№1890 2018年度お盆休み 航空利用データ分析

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 2018年度のお盆休みの航空利用のデータが今日、航空各社から発表されました。例年通り、データから利用状況を読み解いていきたいと思います。
 今年度は8月10日~19日の10日間が対象です。
 今年度は、例年とは若干異なる要素がいくつかあります。まずは西日本豪雨。それと国内では、帰宅のピークとされていた15日に、九州を台風が直撃しました。
 また、ANAのB787-8のトラブルがお盆休み期間にも波及、他社にも影響を与える事になります。どのような数字が並ぶ事になったのでしょうか。

会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。国際線は「日本発」「日本着」で統一。
 注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。「ピーク」は各社が発表している日付をそのまま表記、基準は様々です。

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全日空
国内線 座席数1,926,611席(95.4%) 旅客数1,620,153人(96.2%) 利用率84.1%(+0.7%)
国際線 座席数367,283席(103.2%) 旅客数324,670人(3.0%) 利用率88.4%(△0.2%)
 国内線はやはりB787のトラブルによる減便(期間中は羽田~関空・大分・宮崎各1往復、11・15・16日は羽田~福岡、18日は羽田~伊丹便も欠航あり)の影響もあったか、座席数が5%近くも減少しました。むろんA321などの導入によるダウンサイジングもあったと思われ、全方面で座席数が減少しています。東北・北陸方面は10%近く減少しました。旅客数はそこまで減らなかったので、横ばい、という所か。「関西、中四国方面が好調だった」と言っているから、西日本豪雨の影響はなかったと思われます。
 ピークは、下りが10~12日(11日97.9%)、上りが15~19日(19日95.9%)。13日の上りが68.6%と低調でした。
 国際線は、北米とリゾート路線で座席数がかなり増加、一方で欧州と中国は微減だが、旅客数は全方面で去年を上回りました。リゾート(といってもホノルル路線だけだが)が95.9%と、最も高率でした。
 ピークは、日本発が8月10~13日(11日97.5%)、日本着が16・18・19日(19日93.3%)。期間中上下とも全日、利用率が80%を上回っています。
 臨時便は、内際ともなかったよう(出せる状況にはなかったのだが)。  

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日本航空
国内線 座席数1,410,174席(102.0%) 旅客数1,232,699人(102.9%) 利用率87.4%(+0.7%)
国際線 座席数318,618席(108.5%) 旅客数300,397人(109.9%) 利用率94.3%(+1.3%)
 国内線は、こちらは逆に東北・北陸路線で座席提供数がかなり増えました。北海道と関西路線は微減だが、旅客数は全方面で前年を上回り、特に東北・北陸路線は10%以上も増えました。中四国路線も前年比107.9%だから大幅増で、こちらも豪雨の影響はないよう。
 ピークは、下りが10~12日(11日97.8%)、上りが17~19日(19日97.1%)。
 臨時便は羽田~沖縄28便、羽田~福岡2便、羽田~宮崎2便。16日に運航された宮崎便は、便名と時刻からして、ANAの欠航の対策だったと思われます。
 国際線は、メルボルン線が開設になっていたオセアニア路線の座席数が前年比175.8%、増便になっていたグアム路線が169.5%の大幅増。減便の韓国路線がやや減少しているが、全方面で利用率が90%を上回りました。
 ピークは、日本発が10~12日で10日が99.3%とほぼ満席、日本着が18・19日(共に98.6%)。90%を切ったのは、11・12日の日本着のみでした。
 臨時便はなく、チャーター便は成田~ホノルル1往復、成田→ブダペスト・ローマ、アテネ・プラハ→成田、関空→ミラノ、ミラノ→中部各1便。
 
日本トランスオーシャン航空
 座席数117,680席(104.5%) 旅客数101,254人(98.6%) 利用率78.5%(△5.2%)
 座席数は増えたのに旅客数は減少、利用率という点では低調だったか。臨時便は沖縄~宮古20便、沖縄~久米島2便。
  
琉球エアコミューター
 座席数18,650席(91.6%) 旅客数14,530人(91.1%) 利用率77.9%(△0.5%)
 座席数が減少したが、それ以上に旅客数が減少して、こちらもやや低調。昨年運航がなかった臨時便は、那覇~宮古1便を運航。 

日本エアコミューター
 座席数34,504席(68.1%) 旅客数25,780人(64.2%) 利用率74.7%(△4.5%)
 JAL(J-AIR運航)への移管が進み、座席数が大幅に減少。旅客数がそれ以上に減りました。臨時便は鹿児島~奄美大島4便、屋久島・沖永良部各2便、喜界島・与論各1便、徳之島~奄美大島1便。
 JALグループ3社は、臨時便の運航が活発だった割には、どこも今一つの利用率だったようです。台風の影響があったかも。 

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スカイマーク
 座席数263,730席(106.1%) 旅客数240,152人(103.0%) 利用率91.1%(△2.7%)
 中部~鹿児島・鹿児島~奄美大島路線開設があって座席数が増加しました。ただ、旅客数はそこまでは追い付かなかった。ピークは、下りが11日(98.5%)、上りが19日(97.6%)。80%を切った日はありませんでした。
 
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エア・ドゥ
 座席数82,819席(96.3%) 旅客数74,554人(98.7%) 利用率90.0%(+2.1%)
 春先に新千歳~広島・岡山路線が廃止になっていたので座席数は減少しているが、旅客数はそこまで落ち込まず、利用率が90%に乗りました。ピークは、下りが10~13日で、11・12日が共に99.4%とほぼ満席、上りが17~19日で、19日が99.6%と、こちらもほぼ満席になりました。80%を切ったのは、13日の上りと、17日の下りだけでした。臨時便は羽田~新千歳で16往復(32便)運航。 

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数71,505席(90.3%) 旅客数64,030人(93.8%) 利用率89.5%(+3.2%)
 あれ、座席数が大幅に減少している。この1年では路線廃止や減便はなかったはずだし、確かANA欠航対策の臨時便を運航する、という話も聞こえていたのだが。なにがあったのだろうか。旅客数はそこまでは落ち込まず、利用率は向上しました。ピークは、下りは8月10~12日で、11日は99.7%とほぼ満席。上りは17~19日で、17・18日が98.6%でした。12日上りが69.3%と低率だったが、上下トータルでは全日、80%以上をキープ。 

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スターフライヤー
 座席数60,928席(94.5%) 旅客数54,197人(100.7%) 利用率89.0%(+5.5%)
 座席数は微減だが、旅客数が増えたので利用率はかなり向上しました。ただ、前年も10日(木)~19日(土)との比較なので、多少割り引く必要があるかも。
 全体としてのピークは何日、とは言っていないが、利用動向がやや変則的となり、上りは期間初日の10日(97.0%)が一番高くなりました。下りは11日(97.8%)だが、上下トータルも10日(96.0%)が一番高くなりました。15日が上下トータルで82.6%と低率だったのは、台風の影響か(一番低かったのは10日(80.7%))。期間の前半にヤマが来ています。
  
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フジドリームエアラインズ
(JAL販売分を含む)
 座席数61,752席(108.9%) 旅客数52,468人(105.8%) 利用率85.0%(△2.4%)
 こちらも前年も10日(木)~19日(土)との比較。静岡~出雲・仙台~出雲・松本~札幌(丘珠)開設もあって座席数は増加、旅客数は伸びにやや追い付いていないが、こちらも増加しています。
 FDAは路線別のデータを公表しているが、利用率が一番良かったのは、松本~福岡線(93.7%)となりました。名古屋(小牧)~北九州線が68.2%と一番低くなり、唯一70%を割りました。。
 ピークは、名古屋(小牧)発着は発が11日(98.7%)、着が18日(93.4%)。静岡発着は発が12日(98.8%)、着が18日(94.0%)。松本発着は発が11日(99.4%)、着は10日(98.2%)になりました。 
  
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ピーチ
国内線 座席数121,680席(111%) 旅客数113,031人(110%) 利用率92.9%(△0.6%)
国際線 座席数71,280席(102%) 旅客数66,003人(100%) 利用率92.6%(△0.2%)
※ APJは、前年比のパーセントは小数点以下を省略して公表
 国内線は、3月に関空~新潟線、8月1日に関空~釧路線が就航し、座席数が増えました。ほぼ比例して旅客数も増えています。ピークは、下りが11日(95.9%)、上りが19日(95.5%)。90%を切ったのは、13・14日の上りのみでした。
 国際線は、4月26日に関空~髙雄線がスタート、ただ座席数はそれほど増えていない。ほぼ横ばい、でしょうか。ピークは、日本発が12日(96.6%)。意外に遅かったかも知れない。日本着が19日(95.7%)。 

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数158,949席(97.3%) 旅客数159,746人(97.9%) 利用率88.8%(△0.5%)
国際線 座席数13,806席(84.3%) 旅客数12,491人(82.5%) 利用率90.5%(△2.0%)
 国内線・国際線とも座席数が減少。特に国際線は中部~台北路線が休止となった事もあって、大幅減少となりました。国内線のピークは他社とかなり異なり、下りは12日(96.0%)と遅いうえ、上りは期間初日10日(93.4%)となり、他社がおおかたピークとなる19日上りが74.4%とかなり低くなっているのは、何があったのだろうか。国際線のピークは、下りが12日(97.2%)、上りは16日(95.8%)。17日が日本発・着とも70%台。全体的に低調でした。  

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バニラエア
国内線 座席数64,980席(113.9%) 旅客数57,706人(113.2%) 利用率88.8%(+2.4%) 
国際線 座席数35,820席(90.9%) 旅客数33,278人(90.3%) 利用率92.9%(△0.6%)
 国内線は成田・沖縄~石垣線の新設があり、成田~関空の休止はあったが、座席数が大幅に増えました。ピークは、下りが12日(94.8%)、上りが19日(93.8%)。
 国際線は逆に10%近く座席数が減少しました。ピークは日本発が12日(97.7%)、日本着が19日(97.3%)で、上下トータルは全日90%台でした。
 
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春秋航空日本
国内線 座席数19,278席(77.3%) 旅客数16,841人(71.8%) 利用率87.4%(△6.7%) 
国際線 座席数7,560席(90.9%) 旅客数7,019人(86.1%) 利用率92.8%(△5.2%)
 国内線は、座席数は去年との比較では大幅減。ただ1日より成田~新千歳路線が再開(2往復)、成田~広島路線が2往復に復便したため、GW時よりは大きく増えています。ピークは、下りは11~13日(11日96.1%)、上りは17~19日(19日98.8%)。
 国際線は、路線・便数は前年と変化がないはずだが、座席数が10%近く減少しています。ピークは、日本発は11~14日(12日98.9%)、日本着は17~19日(19日93.9%)で、今シーズンの利用傾向は、他社と同じになりました。

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エアアジア・ジャパン
 座席数10,800席 旅客数9,015人 利用率83.5%
 今シーズンは他社と当日のリリースになりました。中部~新千歳路線のみだが、GW時と比較して、1往復増になっています。ピークは下り(中部発)が10~13日(12日98.3%)、上り(中部着)が16~19日(18日97.0%)。上りがピークの期間の下りは、16~18日が60%台で、全体的に片輸送の傾向が見られます。

 LCC勢は、下り及び日本発のピークが、ほとんどが12日になりました。LCCのピークは早めに来る、という印象を抱いていた所だったのだが、この理由は何だったのだろう。
 
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 以上、簡単ながらお盆休みの航空利用状況をまとめて、感想を記してみました。JALが好調の一方、LCC勢はJJPがただ1社、かなり苦戦した印象がありました。
 次回の分析は年末年始に行います。今日、航空各社は冬スケジュールに関してリリースを出しています。ANAはやはりB787エンジン不具合の影響が出て、国内線はなんとかほぼ現状維持で行けそうだが、国際線は関空~香港・中部~上海の運休や、成田~LA路線の減便が発生します(2月に復便見込み)。この他、SNAの中部~鹿児島開設(SKYなどと競合することになる)、JALグループは鹿児島路線でAT72-600導入など。これらの事柄は、どのような影響を年末年始輸送に与える事になるでしょうか。

 ニュースに拠れば、今お盆輸送の航空は、国内線は0.2%減少、国際線は4%増。中四国路線の増加は、ボランティアの利用も多かったという事です。新幹線は、東海道新幹線は+2%、山陽は横ばい、九州は台風15号の影響で2%の減少だった、という事でした。

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《今日のニュースから》
19日 「ピアノの駅プロジェクト」 新鳥栖駅でオープニング演奏会
20日 朝鮮半島南北離散家族再会事業開始 約3年振り
21日 デパート売り上げ 2ヶ月ぶり減少 猛暑影響で来客減少

 台風19・20号が相次いで、日本に近づいています。西日本豪雨の被災地の傷口が広がる事がないか非常に心配だが、今年は台風自体が非常に多い。去年の8月、日本列島を直撃したのが、5号だったのだから。やっぱりこの気象、異常だ!

№1889 この列車の行先・終点はどんな場所 8.取手

 先日の小田急のダイヤ改正では新しい形態の列車がいくつか現れ、千代田線直通でも存分に見られるようになりました。基本的に日中は向ヶ丘遊園折返しの準急が中心、あとはラッシュ時の通勤準急や各駅停車となるが、改正前の多摩線直通に代わり、朝晩には小田原線で神奈川の県央へ直通する急行が設定されるようになりました。
 その中でも今回は、土休日ダイヤの早朝のみ設定の「急行取手行」から、終点取手駅の表情を書いてみたいと思います。

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 直通先の常磐緩行線は、我孫子までは終日運行があるが、さらに取手まで行くのは朝夕のみ。しかも小田急線が始発となる列車は限られ、さらにそれが本厚木から、となると、土休日早朝の急行3本しかありません。
 最も早い5時48分発2200(→511K)列車は、JRのE233系2000番台になります。2年前から小田急にも乗り入れるようになったが、JRの通勤電車が大手私鉄を走る、初のケースとなりました。「急行」の2文字が、JRとなると違和感ありあり。「急行 取手」は、JR編成では唯一の組み合わせになります。この編成は海老名滞泊で、一旦伊勢原まで回送して、折り返してきたようです。
(本厚木の引上げ線は、各駅停車の編成でふさがっている)

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 E233系の側面の表示。

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 本厚木駅のホームの表示(JR編成入線前)。本厚木駅において「取手」の2文字が表示される事自体は、初めてではない。「急行」となると初めて、という事。

 本厚木始発取手行急行3本は、通常はJRと小田急4000形、メトロ(今は16000系のみ)が1本ずつ。

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 ところが、一番見たかった小田急運用の6時10分発2204(→645E)列車は、なんと撮影日(本厚木駅での画像は全て7月16日 海の日撮影)はメトロ16000系の代走でした(切れかかって見辛いが、運行番号45Eと表示されている)。理由が解らないが、これには少々ガッカリ…。仕方がないけれど。

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 参考までに、16000系の側面の表示。

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取手駅
 改めて、取手駅。ここは以前№1474で、小田急多摩線唐木田行の始発駅として取り上げました。今回は逆になります。
(撮影日:8月13日)
 常磐線で上野から来ると、茨城県で最初の駅になります。2017(H29)年度の乗車人員が27,741人、だから倍にして1日あたり約55,000人の乗降があると考えられます。南柏より少ないのはやや意外。JR東日本全体で152位。
 駅ナンバリングが導入されていて、常磐線快速JJ10、各駅停車はJL32。
 本厚木始発・小田急線内急行の直通列車では、取手まで2時間6~10分。
 西口には駅ビル「ボックスヒル」が建ちます。駅の北側に位置します。

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 西口には関東鉄道バスが発着します。一番多いのは江戸川学園行で、日中は平日15分・土休日20分間隔。他に谷田部方面行、医療センター行が発着。取手競輪場へのシャトルバスも運行されます。大半の系統は今年取手(TK)・水海道(MK)両営業所を統合した守谷営業所(MR)の運行になったが、TK・MKの標記が残った車両も相当数あります。ただ、登録番号は皆つくばナンバーになりました。

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 西口ペデストリアンデッキに掲げられていた、常磐線の東京・品川直通増強を要求する看板。
 いやでも、気持ちは解るけれど、全列車ははっきり無理、でしょ?ここに限らないけれど、人のカネであれやれこれやれ、と一方的な要求を掲げるのは、そろそろヤメにした方が良いのでは…。
(カネだけで済むならまだ良いのかも知れんが)

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 この駅では関東鉄道常総線に接続します。現在、日中は01・16・31・46分出発に統一されているが、全列車単行…。TX開業は、常総線にも多大な影響を与えました。たぶん、JR取手駅にも。

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 JRの取手駅西口。橋上駅舎状ではあるが、東口とは繋がっていません。

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 一方、東口はホーム下にあります。こちらは駅の南側。

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 東口は関東鉄道の他、地元の大利根交通自動車が入ります。北方車庫行が15~20分間隔位。ICカードは利用できないので注意。
 他に関東鉄道が井野団地行や竜ヶ崎行など。他にコミュニティバスも発着。

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 東口は遠隔操作で駅員がいません。「青春18きっぷ」など自動改札を通れない切符の場合は、券売機脇またが精算機のモニターで見せなければ通れません。名鉄の無人駅でよくあるシステムだけれど、この駅は西も東も乗降が少なくないのだから、東口も駅員を常駐させたままで良かったのではないでしょうか?
 
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 取手駅の全体は、こんな感じ。北側の陸橋から撮りました(比較的最近開通したらしい)。手前が関東鉄道常総線、真ん中の2面が快速、(見えないが)各駅停車のホームは一番東です。
 東西は地下通路で結ばれているが、全体的に回遊性があまり良くない気がします。駅を巡る地形も関係しているのだろうが。

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 東口の発車案内表示。一番右の「向ヶ丘遊園」が、新鮮。

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 快速線ホーム。3~5番線の2面4線で、E231系折返しの他、特急待避もあります。こちらは下りホーム5・6番線。

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 各駅停車は1・2番発着。2番線の成城学園前行E233系2000番台と、向こうは折返しの快速E231系。

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 もう一つ、E233系で向ヶ丘遊園行の表示。
 成城学園前も向ヶ丘遊園も、取手駅(に限らず常磐線、ひいてはJR線内)では3月17日改正で初めて見られるようになった行先だが、「学園」だの「遊園」とは、やはりJR線の列車の行先としては、違和感があります。

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 小田急4000形が入ってきました。JRE233系とは、兄弟の関係。

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 小田急4000形は、3年前のダイヤ改正より常磐線に乗り入れるようになりました。大手私鉄の通勤電車がJR線に乗り入れるのも初、また茨城県を走るのも初のケースになっています。3月17日改正時では、取手発着は平日朝夕各2往復、土休日は朝夕各1往復です。

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 3月改正では千代田線⇔小田急多摩線直通は基本的になくなったが、平日の取手発1本のみ、設定が残っています。取手7時42分発754E→6901列車で、小田急線内も各駅停車。

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 唐木田行のホームの表示。

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 各駅停車のホームの時刻表。逆方向で本厚木行というのはないのだが、平日の夕方でさらに遠く、伊勢原まで行く列車があります。

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 利根川橋梁を渡り、唐木田へ向かう小田急4000形。茨城県内といっても、ほんの数百メートルに過ぎないのだが。

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 取手駅の北に位置する、取手ウェルネスプラザ。コミュニティバスの結節点でもあります。関東鉄道運行のポンチョが見えます。

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 利根川橋梁の上流側には、ゴルフ練習場が広がっています。

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 今回は、利根川を渡る渡船「小堀(おおほり)の渡し」を取り上げたいと思います。本来、利根川の対岸は千葉県我孫子市になるが、飛び地のような感じで、取手市域(小堀・取手(一部))があります。元々は地続きだったが、明治時代の改修工事で利根川のルートが変わり、結果この地域が孤立する形となって、大正になって地元住民による渡船の運航が始まりました。その後取手町→取手市の運営となり、現在に至っています。
(水曜日・年末年始は休み)

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 常磐緩行線橋梁のすぐ脇の、取手ふれあい桟橋。

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 小堀の渡しの利用案内書き。ここからは9~16時台の35分に出発(12時台はお休み)。利用料金は大人200円・子供100円。自転車・原付も1台まで乗せられます。
 9時35分の便が近づくと、どこからかオジサンがクルマで乗り付けて、閉じられていた鍵を開けて扉を開きます。やがてエンジン音が近づいて、渡船が来ました。
 しかし、降りてきた客はなし、乗船も、私独り…。ライフベストの着用が義務づけられています。

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 利用料金を船頭のオジサンに支払うと、このような領収書をもらえます。現在は市が民間事業者に委託する形。
 出発も、他に船員とか居るわけでなし、船頭さんが独りで桟橋を蹴っ飛ばす感じです。ちょっと危ないかも、と思ったりする。

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 利根川を下る。風は心地よいが、太陽が雲から顔を覗かせると、やっぱり暑い…。
(冷房が効いた屋内のベンチもあります)

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 小堀桟橋付近の風景は、こんな感じ。真ん中よりやや右手が、乗り場になります。
 小堀からは9~16時台の00分に出発(12時台はお休み)。11時の便で戻る事にして、少し歩いてみました。「利根水郷ライン」と称する道路の交通量が多く、やや耳障り。

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 現在の小堀地域の交通の主力は、取手駅から来るコミュニティバス「ことバス」の小堀ルート。折返し場所があります。バスの開通自体は1999(H11)年だが、「ことバス」に編入されたのは2年前らしい。1~2時間に1本、日中は対岸にある「かたらいの郷」まで行きます。途中我孫子市に越境する事になるが、我孫子市内にはバス停はなく、次は利根川を渡って取手駅東口またはウェルネスプラザになります。バスも決して利用者は多くはなさそう。10時20分発も乗客は乗っていないようでした。

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 古利根沼。これが、遠い昔は利根川でした。対岸は我孫子市で、直線距離では成田線湖北駅の方が近そう。

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 成田つくば航空専門学校。

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 ニュー東豊の観光バスの車庫もあります。本社は我孫子駅の近くらしく、ここは車庫機能のみのよう。一般的な観光バスがほとんどの中、(右側しか見えないが)明らかに元神奈中バスのエアロスターがいます。契約輸送用だろうか。また、一番右に我孫子市コミュニティバス「あびバス」用のローザがいます。昨年から「根戸ルート」を受託しているようだが、今日は運行していないのか、あるいは別車両が代走しているのか?
(帰宅してから調べてみたが、お盆期間中運休、とかとは書かれていなかった)
 取手市内なので、全車土浦ナンバー。

「利根水郷ライン」の交通量は多いが、全体的には田舎ムード。ちょうどお盆休みに入った事もあって、墓参りの姿もあり、お墓のお花も皆、きれいに供えられていました。

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 銚子の河口から、83㎞。

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 11時の便で、取手駅方面へ帰ります。普段利根川を見慣れているわけではないからシロートには解らないが、この日の利根川は増水していて、運行が可能かギリギリの水位、なのだそう。取手が晴れでも上流の群馬とかで大雨だと欠航にせざるを得ず、油断はならないそう。
 帰りの便も、客は私独り。領収書の番号から見て、10時台の1往復は誰も乗らなかったはずだ。

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 ふれあい桟橋まで乗りました。行く手には、常磐線の利根川橋梁。
 緑地運動公園駐車場の桟橋も乗降、なし。それでも船頭さんはキチンと、時間になってから、他に客が来ないかと見に行って、それから出発させました。

 お盆休みのせいもあるのか、この時期の利用者はほとんど居ないそう。土日だと観光利用がチラホラあるそうだが。バス開通までは通勤・通学利用も多かったようだが、今は観光・行楽の利用に期待がかかっているよう。ただ、かなり細々とした体制でもあり、正直な所いつまで…、というのが、実感としてありました。存続の是非を論じる立場にはなく、乗れる内に乗りに行きましょう、という所でしょうか。利根川の渡船はもう2ヶ所しかないし(ここと、上流の赤岩渡船)、通勤電車の駅から歩いて乗りに行ける、かなり貴重な渡し船でありますので…。

 取手駅は、快速線は直流電車の終点でこの先に交直セクション、緩行線はここまで、後は関東鉄道常総線乗換駅、鉄道ファンだとその位しか認識はないかも知れないかなあ。私も、特にバスの撮影で何度も降りた事があるのに、小堀の渡し以外、正直何があるかあまり知らなかった。今回は他の名所・名跡をまわる機会がなくて、もう少し取手を知る余地はあったのかと思います。それでも、小堀の渡しの乗船は、貴重な体験でした。今後も、こんな体験ができる、電車の「終点」を探し、訪ねて行こうと思います。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


《今日のニュースから》
15日 リオ五輪代表選手に暴力 コーチ無期限登録抹消
16日 倉敷市真備支所 41日振り全業務再開
17日 日本貨物航空 改善措置報告書提出
18日 飛騨川バス転落事故から50年 慰霊塔前で法要

 山口県で行方が解らなくなっていた2歳の男の子、無事見つかって本当に良かったです。私は親ってやった事がない独身だけれど、息子・娘や孫、といってもおかしくない位の子供が行方不明になってしまった、というニュースには、敏感になる歳にはなりました…。
 ジェノバの高架道路崩落は、内外に様々な波紋を投げかけています。直接の原因ではないと思われるが、残った部分の高架橋を支える橋脚が、ずいぶんと貧弱に見えました。かなり高いので、景観を重視したのだろうか?早くも責任を追及する声が政府から聞こえてくるようだが、まだ救助作業が続いていて、原因の究明もこれから、という段階で、いくら何でも早過ぎはしないか?なにか右派政権の政治的思惑が透けて見えるのは、気のせいでしょうか?

№1888 私鉄名車列伝 145.西日本鉄道7000形

「私鉄名車列伝」、今回は西鉄7000形です。6000形6050形から連なる4ドア通勤車だが、甘木線との共通運用が考慮された、ワンマン運転対応車両です。

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 7000形は2001(H13)年、天神大牟田線用の通勤車として、11編成22両が川崎重工により製作された。在来車との併結を考慮しつつ、ワンマン運転に対応、本線・支線の区別なく運用で来る汎用設計になっている。

 車体は基本的に6050形と同じ普通鋼製の4ドア車だが、ドアの位置を一部変更の上、ドア間の窓は大型1枚として、一部は固定化した。ワンマン運転時の視認性を考慮し、5000形から続いてきた左右非対称から一新、車掌側もパノラミックウインドウとしたシンメトリーとなった。連結面間には転落防止柵を設けている。
 VVVF制御装置は素子をIGBTに変更した上、SIVと機器箱を一体化して小型化とコストダウンを図った。1C3M制御(7100型の連結側の台車のモーターは1個)だが、モーターを1個増設した1C4M制御化も可能としている。三相かご形モーターは170㎾で、6050形より多少出力を上げている。デジタル方式の電気指令式ブレーキを備え、6000形・6050形との併結も可能。運転台はT字型ワンハンドルマスコンで、ワンマン運転時の乗務員の移動を考慮して平床式となり、旅客案内用として車外スピーカー、自動放送装置を備えている。


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 車内は暖色系で落ち着きのあるインテリアとしている。座席は片持ち式として1人あたり450㎜に拡大。背ずりのみをバケットタイプとして、ドア間の6人掛け座席の中間部には、着席区分を兼ねたスタンションポールを設けた。車椅子スペースは各車に1ヶ所に設けたが、折り畳みシートは省略した。非常通報装置を各車3ヶ所に設置している。2003(H15)年より、ドア上部にLED案内表示器を設置した。

 2001(H13)年2月より営業運転を開始。当初は2連を2本連結した4両固定編成的な運用で本線運用に入り、元特急車1000形を置き換えた。
 この年の11月10日ダイヤ改正時より、天神大牟田線の普通列車の運転形態が大きく変わり、甘木~久留米~大牟田間直通のワンマン運転を中心とした運用に就いて、600形を置き換えた。この600形が玉突きで宮地岳線(現貝塚線)に転用される事で、旧型車を一掃している。この後の増備は3ドアに戻った7050形となった。現在も7050形と共にワンマン運転に就く他、2編成併結で西鉄福岡(天神)乗り入れ運用に就く事もある。


【編成】
←大牟田方     西鉄福岡(天神)・甘木方→
 *Mc 7100* - Tc 7500
* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル2011年4月臨時増刊号 【特集】西日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「私鉄車両年鑑」(イカロス出版)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄19 西日本鉄道」(朝日新聞出版)
「西日本鉄道 完全データ DVD BOOK」(メディアックス)
西日本鉄道発行 パンフレット 等
を参考にさせて頂きました。

 次回は名古屋市営地下鉄5000形を予定しています。東山線で運用されていたアルミカーでした。

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 新政府専用機(B777-300ER)は17日、千歳に到着するそうです。
 今年も8月12日が過ぎました。今年のJALの公式フェイスブックには藤田直志副社長の投稿があり、夜勤前(当時は販売・営業部門担当だったらしい)に職場に戻ると車内は騒然としていて、その後藤岡市の体育館で手伝いをしたが、並べられた柩に、取り返しの付かない事をしたと自責の念に苛まれた、と綴っています。何度も書いているが、航空に限らず大惨事というものは、被害者・遺族はもちろん、まっとうな精神の持ち主なら、「加害者」の側にも重いトラウマを残しつづけるものだと思います。少なくとも日本ではこれを最後の航空惨事としなければないし、一方で日本だけが安全であれば良いわけではないのだから、海外の航空業界にも、重すぎるけれど「貴重」(という表現が適切かどうかは心許ないが)とも言える経験を発信し続ける事も、世界の空の安全のためにも、大事でしょう。

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 徳島の阿波踊りは、実行委員会と振興協会の対立を引きずったまま開催が続いています。日本有数の祭りがこのような歪んだ形で展開されるのは、哀しい。なんとか穏やかな形での解決が望まれます。