№1890 2018年度お盆休み 航空利用データ分析
2018年度のお盆休みの航空利用のデータが今日、航空各社から発表されました。例年通り、データから利用状況を読み解いていきたいと思います。
今年度は8月10日~19日の10日間が対象です。
今年度は、例年とは若干異なる要素がいくつかあります。まずは西日本豪雨。それと国内では、帰宅のピークとされていた15日に、九州を台風が直撃しました。
また、ANAのB787-8のトラブルがお盆休み期間にも波及、他社にも影響を与える事になります。どのような数字が並ぶ事になったのでしょうか。
会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。国際線は「日本発」「日本着」で統一。
注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。「ピーク」は各社が発表している日付をそのまま表記、基準は様々です。
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全日空
国内線 座席数1,926,611席(95.4%) 旅客数1,620,153人(96.2%) 利用率84.1%(+0.7%)
国際線 座席数367,283席(103.2%) 旅客数324,670人(3.0%) 利用率88.4%(△0.2%)
国内線はやはりB787のトラブルによる減便(期間中は羽田~関空・大分・宮崎各1往復、11・15・16日は羽田~福岡、18日は羽田~伊丹便も欠航あり)の影響もあったか、座席数が5%近くも減少しました。むろんA321などの導入によるダウンサイジングもあったと思われ、全方面で座席数が減少しています。東北・北陸方面は10%近く減少しました。旅客数はそこまで減らなかったので、横ばい、という所か。「関西、中四国方面が好調だった」と言っているから、西日本豪雨の影響はなかったと思われます。
ピークは、下りが10~12日(11日97.9%)、上りが15~19日(19日95.9%)。13日の上りが68.6%と低調でした。
国際線は、北米とリゾート路線で座席数がかなり増加、一方で欧州と中国は微減だが、旅客数は全方面で去年を上回りました。リゾート(といってもホノルル路線だけだが)が95.9%と、最も高率でした。
ピークは、日本発が8月10~13日(11日97.5%)、日本着が16・18・19日(19日93.3%)。期間中上下とも全日、利用率が80%を上回っています。
臨時便は、内際ともなかったよう(出せる状況にはなかったのだが)。
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日本航空
国内線 座席数1,410,174席(102.0%) 旅客数1,232,699人(102.9%) 利用率87.4%(+0.7%)
国際線 座席数318,618席(108.5%) 旅客数300,397人(109.9%) 利用率94.3%(+1.3%)
国内線は、こちらは逆に東北・北陸路線で座席提供数がかなり増えました。北海道と関西路線は微減だが、旅客数は全方面で前年を上回り、特に東北・北陸路線は10%以上も増えました。中四国路線も前年比107.9%だから大幅増で、こちらも豪雨の影響はないよう。
ピークは、下りが10~12日(11日97.8%)、上りが17~19日(19日97.1%)。
臨時便は羽田~沖縄28便、羽田~福岡2便、羽田~宮崎2便。16日に運航された宮崎便は、便名と時刻からして、ANAの欠航の対策だったと思われます。
国際線は、メルボルン線が開設になっていたオセアニア路線の座席数が前年比175.8%、増便になっていたグアム路線が169.5%の大幅増。減便の韓国路線がやや減少しているが、全方面で利用率が90%を上回りました。
ピークは、日本発が10~12日で10日が99.3%とほぼ満席、日本着が18・19日(共に98.6%)。90%を切ったのは、11・12日の日本着のみでした。
臨時便はなく、チャーター便は成田~ホノルル1往復、成田→ブダペスト・ローマ、アテネ・プラハ→成田、関空→ミラノ、ミラノ→中部各1便。
日本トランスオーシャン航空
座席数117,680席(104.5%) 旅客数101,254人(98.6%) 利用率78.5%(△5.2%)
座席数は増えたのに旅客数は減少、利用率という点では低調だったか。臨時便は沖縄~宮古20便、沖縄~久米島2便。
琉球エアコミューター
座席数18,650席(91.6%) 旅客数14,530人(91.1%) 利用率77.9%(△0.5%)
座席数が減少したが、それ以上に旅客数が減少して、こちらもやや低調。昨年運航がなかった臨時便は、那覇~宮古1便を運航。
日本エアコミューター
座席数34,504席(68.1%) 旅客数25,780人(64.2%) 利用率74.7%(△4.5%)
JAL(J-AIR運航)への移管が進み、座席数が大幅に減少。旅客数がそれ以上に減りました。臨時便は鹿児島~奄美大島4便、屋久島・沖永良部各2便、喜界島・与論各1便、徳之島~奄美大島1便。
JALグループ3社は、臨時便の運航が活発だった割には、どこも今一つの利用率だったようです。台風の影響があったかも。
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スカイマーク
座席数263,730席(106.1%) 旅客数240,152人(103.0%) 利用率91.1%(△2.7%)
中部~鹿児島・鹿児島~奄美大島路線開設があって座席数が増加しました。ただ、旅客数はそこまでは追い付かなかった。ピークは、下りが11日(98.5%)、上りが19日(97.6%)。80%を切った日はありませんでした。
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エア・ドゥ
座席数82,819席(96.3%) 旅客数74,554人(98.7%) 利用率90.0%(+2.1%)
春先に新千歳~広島・岡山路線が廃止になっていたので座席数は減少しているが、旅客数はそこまで落ち込まず、利用率が90%に乗りました。ピークは、下りが10~13日で、11・12日が共に99.4%とほぼ満席、上りが17~19日で、19日が99.6%と、こちらもほぼ満席になりました。80%を切ったのは、13日の上りと、17日の下りだけでした。臨時便は羽田~新千歳で16往復(32便)運航。
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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
座席数71,505席(90.3%) 旅客数64,030人(93.8%) 利用率89.5%(+3.2%)
あれ、座席数が大幅に減少している。この1年では路線廃止や減便はなかったはずだし、確かANA欠航対策の臨時便を運航する、という話も聞こえていたのだが。なにがあったのだろうか。旅客数はそこまでは落ち込まず、利用率は向上しました。ピークは、下りは8月10~12日で、11日は99.7%とほぼ満席。上りは17~19日で、17・18日が98.6%でした。12日上りが69.3%と低率だったが、上下トータルでは全日、80%以上をキープ。
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スターフライヤー
座席数60,928席(94.5%) 旅客数54,197人(100.7%) 利用率89.0%(+5.5%)
座席数は微減だが、旅客数が増えたので利用率はかなり向上しました。ただ、前年も10日(木)~19日(土)との比較なので、多少割り引く必要があるかも。
全体としてのピークは何日、とは言っていないが、利用動向がやや変則的となり、上りは期間初日の10日(97.0%)が一番高くなりました。下りは11日(97.8%)だが、上下トータルも10日(96.0%)が一番高くなりました。15日が上下トータルで82.6%と低率だったのは、台風の影響か(一番低かったのは10日(80.7%))。期間の前半にヤマが来ています。
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フジドリームエアラインズ
(JAL販売分を含む)
座席数61,752席(108.9%) 旅客数52,468人(105.8%) 利用率85.0%(△2.4%)
こちらも前年も10日(木)~19日(土)との比較。静岡~出雲・仙台~出雲・松本~札幌(丘珠)開設もあって座席数は増加、旅客数は伸びにやや追い付いていないが、こちらも増加しています。
FDAは路線別のデータを公表しているが、利用率が一番良かったのは、松本~福岡線(93.7%)となりました。名古屋(小牧)~北九州線が68.2%と一番低くなり、唯一70%を割りました。。
ピークは、名古屋(小牧)発着は発が11日(98.7%)、着が18日(93.4%)。静岡発着は発が12日(98.8%)、着が18日(94.0%)。松本発着は発が11日(99.4%)、着は10日(98.2%)になりました。
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ピーチ
国内線 座席数121,680席(111%) 旅客数113,031人(110%) 利用率92.9%(△0.6%)
国際線 座席数71,280席(102%) 旅客数66,003人(100%) 利用率92.6%(△0.2%)
※ APJは、前年比のパーセントは小数点以下を省略して公表
国内線は、3月に関空~新潟線、8月1日に関空~釧路線が就航し、座席数が増えました。ほぼ比例して旅客数も増えています。ピークは、下りが11日(95.9%)、上りが19日(95.5%)。90%を切ったのは、13・14日の上りのみでした。
国際線は、4月26日に関空~髙雄線がスタート、ただ座席数はそれほど増えていない。ほぼ横ばい、でしょうか。ピークは、日本発が12日(96.6%)。意外に遅かったかも知れない。日本着が19日(95.7%)。
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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数158,949席(97.3%) 旅客数159,746人(97.9%) 利用率88.8%(△0.5%)
国際線 座席数13,806席(84.3%) 旅客数12,491人(82.5%) 利用率90.5%(△2.0%)
国内線・国際線とも座席数が減少。特に国際線は中部~台北路線が休止となった事もあって、大幅減少となりました。国内線のピークは他社とかなり異なり、下りは12日(96.0%)と遅いうえ、上りは期間初日10日(93.4%)となり、他社がおおかたピークとなる19日上りが74.4%とかなり低くなっているのは、何があったのだろうか。国際線のピークは、下りが12日(97.2%)、上りは16日(95.8%)。17日が日本発・着とも70%台。全体的に低調でした。
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バニラエア
国内線 座席数64,980席(113.9%) 旅客数57,706人(113.2%) 利用率88.8%(+2.4%)
国際線 座席数35,820席(90.9%) 旅客数33,278人(90.3%) 利用率92.9%(△0.6%)
国内線は成田・沖縄~石垣線の新設があり、成田~関空の休止はあったが、座席数が大幅に増えました。ピークは、下りが12日(94.8%)、上りが19日(93.8%)。
国際線は逆に10%近く座席数が減少しました。ピークは日本発が12日(97.7%)、日本着が19日(97.3%)で、上下トータルは全日90%台でした。
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春秋航空日本
国内線 座席数19,278席(77.3%) 旅客数16,841人(71.8%) 利用率87.4%(△6.7%)
国際線 座席数7,560席(90.9%) 旅客数7,019人(86.1%) 利用率92.8%(△5.2%)
国内線は、座席数は去年との比較では大幅減。ただ1日より成田~新千歳路線が再開(2往復)、成田~広島路線が2往復に復便したため、GW時よりは大きく増えています。ピークは、下りは11~13日(11日96.1%)、上りは17~19日(19日98.8%)。
国際線は、路線・便数は前年と変化がないはずだが、座席数が10%近く減少しています。ピークは、日本発は11~14日(12日98.9%)、日本着は17~19日(19日93.9%)で、今シーズンの利用傾向は、他社と同じになりました。
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エアアジア・ジャパン
座席数10,800席 旅客数9,015人 利用率83.5%
今シーズンは他社と当日のリリースになりました。中部~新千歳路線のみだが、GW時と比較して、1往復増になっています。ピークは下り(中部発)が10~13日(12日98.3%)、上り(中部着)が16~19日(18日97.0%)。上りがピークの期間の下りは、16~18日が60%台で、全体的に片輸送の傾向が見られます。
LCC勢は、下り及び日本発のピークが、ほとんどが12日になりました。LCCのピークは早めに来る、という印象を抱いていた所だったのだが、この理由は何だったのだろう。
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以上、簡単ながらお盆休みの航空利用状況をまとめて、感想を記してみました。JALが好調の一方、LCC勢はJJPがただ1社、かなり苦戦した印象がありました。
次回の分析は年末年始に行います。今日、航空各社は冬スケジュールに関してリリースを出しています。ANAはやはりB787エンジン不具合の影響が出て、国内線はなんとかほぼ現状維持で行けそうだが、国際線は関空~香港・中部~上海の運休や、成田~LA路線の減便が発生します(2月に復便見込み)。この他、SNAの中部~鹿児島開設(SKYなどと競合することになる)、JALグループは鹿児島路線でAT72-600導入など。これらの事柄は、どのような影響を年末年始輸送に与える事になるでしょうか。
ニュースに拠れば、今お盆輸送の航空は、国内線は0.2%減少、国際線は4%増。中四国路線の増加は、ボランティアの利用も多かったという事です。新幹線は、東海道新幹線は+2%、山陽は横ばい、九州は台風15号の影響で2%の減少だった、という事でした。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
《今日のニュースから》
19日 「ピアノの駅プロジェクト」 新鳥栖駅でオープニング演奏会
20日 朝鮮半島南北離散家族再会事業開始 約3年振り
21日 デパート売り上げ 2ヶ月ぶり減少 猛暑影響で来客減少
台風19・20号が相次いで、日本に近づいています。西日本豪雨の被災地の傷口が広がる事がないか非常に心配だが、今年は台風自体が非常に多い。去年の8月、日本列島を直撃したのが、5号だったのだから。やっぱりこの気象、異常だ!