№1851 「花」を求めて北陸路 5.のと鉄道 各駅停車

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 のと鉄道は過去にも何度か訪ねた事があり、輪島・蛸島まで路線があった頃にはそれぞれの終点まで乗り通してもいます。今回は穴水が終点になったあと、NT200形の導入が始まったあたりの2007(H19)年以来、11年ぶりの訪問となりました。
 出だしの天気が良くなかったので、今回は久しぶりに残された各駅(前日降りた西岸と、JR西日本管理の和倉温泉は除く)を乗り降りしてみました。能登中島駅のオユ10形も見ておきたかったし。

 4月18日(水)

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 七尾8時17分発125Dで出発します。ごく普通のNT201号。

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 ところが、車内の排気管部に、サインが描かれていました。以前はこの車両が「いろは」ラッピング車で、その名残らしい。でもこの女の子、誰?

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 田鶴浜で126Dと交換になるが、「のと里山里海」のNT300形2連でした。この列車、七尾で折り返し「のと里山里海51号」601Dになる、のだが、水曜日はお休み、一般車両による運用となるはずだ。どうしたのだろう。団体でもあるのか?

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 田鶴浜駅。

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 駅の近くの、田鶴浜交通の車庫。観光バスやスクールバスの他、七尾市田鶴浜地域の巡回バスも運行している。

 601Dは、本来は乗車整理券300円が必要だが、時刻表には水曜日は一般車両で運転と書かれていて、なら整理券は必要ないはず。どうしたものかと聞いてみたら、2両目に乗るように促された。

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 車内の調度品。
 アテンダントまで乗っているが、別に団体とかいるわけではなく、ほとんど乗客はいない。どうなっているのだろう?

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 笠師保駅で、早々に降りました。「のと里山里海」は一度、正式な運転日にキチンと乗って、キチンと撮りたい。
 ここもいい木造駅舎だなあ。アニメに使えるかもしれない?

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 駅の入り口と、駅舎内の照明のハート形?の組子細工が目につきました。歴史的なものか?と思ったがそうではなくて、駅のキャッチフレーズ「恋火」に合わせて、駅舎改修時に後付けされたものらしい。

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 観光列車時刻表。これを見る限り、今日水曜日はNT300形ではなくNT200形の運用で、乗車券だけで乗れる、と読めるのだが。

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 駅前には、バス停が2本並んでいます。先の田鶴浜地域巡回バス「はなバス」と、中島地域の「中島げんきバス」。田鶴浜と中島は、元々は別の町でした(今は「平成の大合併」で、共に七尾市)。

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 これとは別に、鉄道に並走する国道249号線沿いに、立派なバス停の上屋がありました。しかし、バス停はなく、最近廃線になったようです。ポールが残されていて、注意書きからして、北陸鉄道グループのバス(北鉄能登バス?)が運行されていたと思われます。
 131Dで能登中島に向かいます。

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 能登中島駅。ここが、今日のメインとなったかも知れません。

 駅舎に隣接し、オユ10形が置かれています。車内も公開されているので、のぞいてみます。

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 この郵便車、オユ10 2565の説明書き。以前は廃線になった能登線甲駅に留置されていたが、能登線廃線と老朽化のため、当地に移転し、修復されたと記されています。

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 略歴。

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 以前の留置場所だった、甲駅の駅名標が残されています。

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 現役時代と同じ、仕分け棚。

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 その棚には郵便物も積まれているが、本物かどうかは解らない。なお、神戸電鉄菊水山駅は本年3月、正式に廃止になっています。

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 懐かしの円筒形郵便ポストも置かれています。現役として機能していて、投函して郵便を送る事も出来ます。

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 他に、鉄道郵便の思い出の光景の写真が並べられていました。

 オユ10形は全国にもはや2両しか残っていない貴重な存在で(もう1両は中央郵政研修センター)、地元有志による良好な保存状態も感心させられます。
 ただ、郵便輸送もまた、日本の鉄道史の一ページであるのだから、大宮でも京都でも良いが、鉄道博物館で公式な保存・展示が行われるべきだと思う。いかがでしょうか。

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 駅舎内には特産品を販売する「駅マルシェ」があるのだが、残念ながら火・水曜日は休業。

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 窓には、これまたフェイクの急行?「ゆのさぎ号」のサボが掲げられていました。「御花見」でなく「緒花見」なのはもちろん、ヒロイン緒花に引っ掛けての事。
(3日前の15日日曜日には、実際に団体列車として走ったそうだ)

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 ここはもう一つ、「能登演劇堂」があります。駅から徒歩で20分、少々遠いのだが。

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 仲代達矢が主宰する劇団「無名塾」の公演が年1回は行われているようで、過去の上演作品のポスターが、駅舎内の上部にズラリと並んでいます。若村麻由美らも、無名塾のメンバーに名を連ねています。一部を除き、仲代達矢自らが出演しています。公演日には金沢から直行バスの運行もあるそう。

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 駅の穴水寄り、熊木川を渡る、NT200形。

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 結局2時間以上も滞在、131Dで能登鹿島に向かう。駅舎の屋根には、鯉のぼりが掲げられていました。

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 西岸は昨日降りたからスルー、能登鹿島で降ります。行き違いで待っていた七尾行は「NOTO GO」でした。
 1~2週間前だったら桜が見事だったはずだが、ほぼシーズン終了。駅舎は瀟洒だがやや安普請で、アニメの世界観には合わないだろう。

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 高台にある駅から海岸沿いの国道に降りると、北鉄奥能登バスの穴水~曽福路線があります。平日4往復・土曜2往復・休日運休というローカル線だが、次の列車までの間で、ちょうど穴水からの便が来たので、曽福で折り返してきた所を、撮ってみました。

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 曽福の終点は、能登鹿島の一つ先です。かつてはそれこそ、西岸も能登中島も、笠師保も経由して七尾方面へ路線が通じていたのだろう。
 遠いし、この画像では解りづらいかと思うが、海の向こうに、真っ白な北アルプスの山々を見る事ができました。

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 この駅の愛称、「能登さくら駅」の愛称の案内。でも古い。急行〔のと恋路号〕が運行されていた頃のままだ。

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 旧駅舎を書いた絵画が、待合室の中にありました。このままだったら、「いろは」の舞台に起用されていたかも?

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 603D「のと里山里海53号」は運休で、次は135D。先にここで行違ったNT211「NOTO GO」が来ました。これで終点の穴水に着きます。

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 車内には、マジンガーZの主題歌を歌っていた、水木一郎「アニキ」の写真とサインがあります。水木氏、仙石線全線運行再開時に、「マンガッタンライナー」の再開初便を石巻で出迎えたりしているし、案外こちらの方も、鉄道との縁は深いかも。

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 穴水の駅前には、「さわやか交流館フルート」が建っているが、地元出身の大相撲力士、遠藤の春場所敢闘賞受賞を盛大に祝っているようでした。小結となった今夏場所が、大いに期待されたのだが…。
(今日から再出場)

 七尾に到着した頃には、まだ雲が多めながらも、青空が戻ってきていました。
 135Dは折り返しすぐ、604D(通常は「のと里山里海54号」)となります。となれば「NOTO GO」、どこかで撮りたい。しかし、空港へ行く事を考えるともう後戻りはできず、穴水駅の近くで場所を探すしかない。

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 小トンネルの先にある七尾寄りの踏切を渡り、線路際の農道から、築堤を登るNT211を撮りました。多少見上げるアングルになったが。晴れてくれて良かった。

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 穴水駅の構内を、駅の先(旧輪島・蛸島寄り)の踏切から撮ります。左手には、NT200形導入まで主力だったNT100形(127)と、急行〔のと恋路号〕用のNT800形(801+802)が、未だに留置されています。何かは聞かなかったが、何かしらの用途に活用されているらしい。

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 反対側に目を向ければ、かつての七尾線と能登線が延びていた線路が、途中で途切れているのも見えます。左が七尾線、右が能登線。七尾線(穴水~輪島間)廃止が2000(H12)年3月、能登線廃止が2005(H17)年3月。いつの間にか、かなりの時が経ってしまいました。

 構内を見ると、どうやら「いろは」の2両が重連に仕立てられている。営業で動くのか?

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 15時11分発140Dとして、入れ替えられて1番線に入ってきました。2番線で撮ります。現在2・3番線から発着する定期列車はないが、立ち入っても構わないと、駅の職員に確認済みです。
 ファンにとっては、夢の重連!?

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 七尾寄りのNT204。

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 穴水寄りのNT202。

 アニメタイアップ列車というと、2月に撮った伊豆箱根鉄道の「HAPPY PARTY TRAIN」(HPT)も思い出すが、ラッピングされていた3000系と比べると、NT200形はデザインの自由度が高いと思いました。窓の柱が比較的太いし、加えて山側のトイレ部は窓が全くなく、キャラクターのアップを大きく描ける事(「NOTO GO」もそうだった)。「いろは」は基本的に、メインヒロインの緒花を中心に据えれば良いし(HPTはAqursの9人全員を対等に描かなければならない)。もっともこちらも、NT204の鶴来民子は一部窓に掛かっているが。まあどちらも、ファンに好感を持たれるためには、デザインに気を遣わなければならないという点は、同じはず。他社・他作品も含め、色々制約がある鉄道車両のラッピングも、大変なものだと思います。

 本当は、HPT同様、もう少し離れた場所で、ラッピングを真横からキチンと撮りたかった(こちらは左右でデザインがはっきり異なるのだが)。しかし、能登空港からのANA便を考えると、遅くとも駅前を15時10分に出発する北鉄奥能登バス輪島行には乗らねばならず、今回はあきらめざるを得ませんでした。「のと里山里海」のNT300形も撮れていないし、近いうちにもう一度、訪れなければならないか。その場合、「のと里山里海」に加えて能登中島駅のマルシェも火・水曜日休みだし、一方で土休日は、特に西岸駅の混雑も予想されるので、月・木・金のいずれかが良いのか。

 結局、前日公式Webで見た「車両故障で運用未定」とは、何だったのか?恐らくは他の一般車両が故障し、その結果ラッピング車両の運用を変更せざるを得なかった、という事だったのだろう。本来は水曜日運用休止のNT300形が朝に1往復運用されていたのも、その影響だったのではないか。

 穴水にもっと居たかったけれど、能登空港からANA便で帰る事になります。それは次回。

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《今日のニュースから》
20日 台湾 蔡英文総統 インターネット番組出演
21日 加計学園獣医学部新設問題 愛媛県が新文書提出
22日 常磐線Jヴィレッジ新駅 起工式

 Jヴィレッジ新駅は広野~木戸間に造られ、来年4月に臨時駅としてオープンするとの事。グーグルマップを見ると、一番近くなる所は複線化の過程で上下線が大きく離れた地点になり、どのような構造になるのだろう。