№1843 バスラマインターナショナル167(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル167」が、先月末発売になりました。
 表紙は近鉄バスのブルーリボン・ハイブリッドとディーゼルのブルーリボン。その背景はあべのハルカス。

2018 春のオムニバス
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 色々話題豊富だが、表紙で近鉄バスと共に並んでいたアストロメガが注目でしょうか。京成バスとJAMJAMライナーが並んでいるが、どこで撮られたものだろうか。
 京成バスは、テキストにはないが、一般的なスタイルの高速路線バスでは初導入でしょう。何回か書いているが、ダブルデッカーは、1Fの広いノンステップエリアと、2Fの座席数の多さを活かさない手はなく、特に空港バスで普及が進めば良いのではないかと思う。もっと一般的な路線でも。
 JAMJAMライナーは、これは夜行では初導入とされている。座席は写真を見た限りでは、昼行路線とあまり差が感じられない。旧ツアー組で廉価な路線となると、これがベーシックなスタイルになるのだろう。ただ、トイレが付いたのは評価されます。とにかく、高速道路上で長時間封じ込められる事態が怖いので。
年鑑バスラマ2017→2018」刊行の時点では、アストロメガの販売台数は5台だったそうで、たぶんバイヤーのもくろみからはかなり少なかったのではないか、と思われるのだが、この2社の高速路線バス導入で、売り上げに弾みがつくかも知れない。この後、経年化したエアロキングが多数出てくると思われるので、代替需要が期待されるだろう。
 なお、記事とは全く関係ないが、この両社は共に東京の鍛冶橋駐車場を発着するけれど、構内は撮影禁止とされていて、カメラをバスに向けるとスタッフが大慌てで制止にかかるので注意。

バス事業者訪問202 近鉄バス

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 前号では事業者の予告がなかったが、「バスマガジンVol.88」と被る事になったのは、偶然か?
 前回は22年前、近鉄直営時代の38号で取り上げられている。これまで何度か「近鉄バスはジリ貧だ」と書いてきたけれど、路線図を比較してちょっと驚いた。相当数路線が削られている。特にJR関西本線(大和路線)より北がかなり減っている。山間部のローカル線はまだしも、大阪まで電車で10~20分程度の都市圏でこれでは…。路線は網を成さなくなり、落下傘となった路線も少なくありません。近鉄のけいはんな線と南大阪線の間は、各鉄道路線を短絡する外環状線的な路線がほとんど。
(路線概要の図には、JR各線も記載して欲しかった)
 ただ輸送人員は、38号時点との比較ではかなり減り、近年も「漸減傾向にある」としているようだが、表を見る限り、この8年間は一方的な右肩下がりというわけでもない。多少増減はあるものの、2015(H27)年度には2千万人を回復しています。要因が思い浮かばないが、OSAKA VISTA効果もあるのだろうか。路線が減少した割には営業所の統廃合はほとんど行われず、奈良〔営〕が廃止になったのみ。
 高速バスは、関東行は旧ツアー組の台頭もあるのか統廃合が進んでいる印象があり、橫浜発着の「ブルーライト」(相鉄との共同運行だった)も、東京発着の路線と統合になっています。また宮崎県への路線は廃止になったり復活したりの繰り返しという印象で、競合交通機関が多彩(旧ツアー組や航空LCCに加え、昔からフェリーが相当強敵)なので、なかなか厳しそうです。
 なお、貸切バスは一時「近鉄観光バス」とまた別会社に分社していた時期があったが、この点については触れられていない。
 何気ないのだけれど、「バス業界の問題は事業者が自ら解決しなければならない。行政主導の欧米との違いを感じる」の一言は印象的でした。「民間でできる事は民間にやらせればいい」とばかり、バスだけでなく地下鉄まで民営化した大阪市が、すぐ隣りにあるからです。近鉄バスはこの出来事をどう見ているのだろうか。あるいは裁判沙汰にまでなってかなり先鋭化している、両備HDvs国・行政の対立はどうなのだろう。
 車両面は、乗合車326台は22年前との比較では8台しか減っていない。22年前は乗合の中の割合が記されていないが、たぶん一般路線車が減少した一方で、高速・空港車の割合が増えているのだろうと思われる。一般的な貸切車(いわゆる「観光バス」)55台は22年前に比べれば大幅な減少だが、元電鉄系である事、同じ近鉄バスホールディングスの奈良交通が隣接している事を考えると、案外健闘している数字ではないでしょうか。
 なお、夜行高速バスで使用してきたエアロキングが退役するが、後継車にアストロメガ、という考えはないのか?何しろ鉄道もバスも、昔から「2階建て」をやってきた近鉄なので。

 聴覚障害のバスドライバーの記事もあったが、採用する企業の側の理解も大事だが、利用者の側の支持の獲得もまた必要だろう。担当路線は車掌が乗務するらしいが、実際問題として、一般的なワンマン路線バスだと、相当ハードルが高くなるのが現実ではないだろうか。「接客は二の次になってしまっても構わない。とにかく事故さえ起こさなければいい、安全に終点まで走ってくれればOK」で良いのなら、まだ何とかなるかもしれないが、現代のバスドライバーは、当然もっとレベルの高いところを要求されるので。企業送迎の特定バスは、選択肢の一つにはならないだろうか。前号の山梨交通も「外国人ドライバーを特定バスに採用できないか」と話していたし、顧客側の理解さえ得られれば、可能性は広がるだろう。
(一番適しているのは、ガイドが乗務し、基本的には決まった所のみを運行する、定期観光バスではないかと思われるが、どうでしょうか)
 おおさかシティバスは、今号はとりあえず移行の様子だけ。特に「赤バス」などのサービスに一定の評価を出してきたバスラマ誌だけに、今後は転換後のサービスの内容も検証される事になるのだろうか。
 オノエンスターは広告もあって、小型EV車も見られる。ポンチョの強力なライバルとなろうが、ヘッドライトのパーツが8mハイデッカーと共通のため、コミュニティバスとしてはやや表情がキツく感じられる気がする。もう少し柔らかくなった方が良いのではないか。

 香港のダブルデッカー新車の話題があり、以前乗った事もある、新大嶼山巴士(New Lantao Bus)にMANの新ボディーという事です。ただ、在来車共々近郊の住宅路線で運用されるようで、本当は山間部を走って大澳へ行く路線などに導入されても良いのではと思う。安全性からも立ち客は避けるべきなので。なお、香港では2月にダブルデッカーが横転、18人もの死者を出す大惨事が発生、関越や軽井沢以上の大事故でもあるし、この点もどこかで触れられるべきだったと思います。

 次号の事業者訪問は、私の地元も地元、神奈中バスが予告されています。辻堂駅からの連節バスがまもなく運行を開始するそうだが、ここへ来て全社規模で便数の削減が進められていて(13日に戸塚〔営〕でも実施)、ドライバー不足の影響なのでは?と見ているが、実際はどうなのだろうか。昨年実施の分社再編成と合わせて、大いに注目して読みたいと思っています。

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《今日のニュースから》
 2日 米軍輸送機 国道に墜落 米南部ジョージア州
 3日 ザギトワ選手にプレゼント 秋田犬お披露目

 今日は憲法記念日。私のスタンスはいつもと同じ。護憲論者の端くれのつもりだが、一方的で先鋭的な行動(護憲・改憲ともに)には、一切関わり合いたくない。穏やかに推移を見守るだけです。こんな物言いをしたら、「軍国主義者」と非難される事になるのか?