№1809 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 18.近鉄奈良線 近鉄奈良駅<前>
今回の私鉄の駅の時刻表の変遷は、近鉄奈良駅を取り上げます。
近鉄奈良駅は、大阪市内と奈良をダイレクトに結ぶ近鉄奈良線の終着駅で、京都からの京都線の列車も、大和西大寺から特急など一部が乗り入れてきます。1969(S44)年に地下化され、4面4線のターミナル駅として機能しています。
近鉄では2012(H24)年までは、毎年3月中旬にダイヤ改正を行なっていました。しかし路線によって改正の規模に差があり、時刻の上からは変化が少ない改正もあります。なのでここでは、近鉄奈良駅の視点で、ある程度目立った改正が行なわれた年をピックアップしていきます。
前半は、2000(H12)年までの、20世紀の間の改正です。
近鉄の時刻表は、種別・行先毎に縦書きにした体裁が特徴的だが、全体のバランスを容易に見る事ができるように、ここでは一般的な体裁の横書きで記します。
快速急行は急行と容易に区別出来るよう、ここでは紫色で記します。
1987(S62)年3月18日改正
手持ちの近鉄時刻表で一番古いのは、1987年春・夏号です。当時は、土曜日は平日ダイヤでした。
奈良線は特急・快速急行・急行・準急・普通の5本建てで、急行は日中のみの運転でした。日中は快速急行・急行・準急各1本、普通2本(うち瓢箪山折返し)を20分サイクルで運行。
京都線は特急・急行・準急・普通の4本建てだが、準急は主に朝・夕、京都~新田辺間の運行。一部大和西大寺発着の列車もあったが、奈良を始発とする列車はなし(奈良行はあった)。15分サイクルの運行でした。奈良発着の特急は基本30分間隔、京都で折返し京都~賢島・京都~橿原神宮前間特急となる列車が大半で、西大寺からの送り込みの性格もありました。一部30分発がない時間帯があるのは、当時は難波~西大寺~京都間の特急があったためです。
1988(S63)年3月18日は、「アーバンライナー」21000系がデビューした改正が行なわれた日だが、時刻表がないので、ここでは省略します。
1988(S63)年8月28日改正
京都市営地下鉄烏丸線が竹田に延伸して近鉄京都線と接続、相互直通運転が始まりました。新田辺~北大路(当時)間を、日中は30分間隔で運転。
この時点では奈良発着の相互直通列車はなかったが、竹田が急行停車駅になりました。
また、運転系統の変更で、特急・急行の発着が増強されています。
奈良線では平日の快速急行の運転時間帯が拡大され、朝ラッシュ時の快速急行は、奈良発と大和西大寺始発の列車を入れ替え。
1989(H元)年3月17日改正では、奈良線で平日朝の大和西大寺始発快速急行1本が奈良始発に延長され、夜間の生駒行1本が難波まで延長。
1990(H2)年3月15日改正では、奈良線で平日夜間・休日早朝の一部の普通が準急に格上げになり、休日の快速急行運行時間帯を1時間拡大。
1991(H2)年3月19日改正では、奈良線で平日夜間に快速急行を、休日朝方に快速急行・準急を増発。
1992(H4)年3月19日改正
難波~西大寺~京都間の特急が廃止になり、奈良~京都間に建て替えられました。奈良発特急が30分間隔で揃いました。
奈良線で夜間の特急・快速急行が増発になり、生駒→難波で最終電車が繰り下げになっています。
日中の難波~瓢箪山間普通が、東生駒まで延長されています。奈良線の全ての駅で、1時間6本以上、列車が停車する事になります。
この改正で、22000系「Ace」がデビューしました。
1993(H5)年3月17日・1994(H6)年3月15日改正では、奈良駅関係では修正程度。
1993年9月21日、京都線に近鉄宮津駅が開業しました。車庫を併設しています。
1994年改正で、「伊勢志摩ライナー」23000系がデビューしています。
「近鉄時刻表」はこれまで年2回刊だったが、1994年から年1回刊になりました。
1995(H7)年3月16日では、奈良駅関係は修正程度。
1996(H7)年3月15日改正では、京都~賢島間特急1往復に「伊勢志摩ライナー」が運用される事になり、送り込みのため、奈良9時30分発京都行特急も「伊勢志摩ライナー」の運用になります。
京都線新祝園駅が改良工事完成により待避線の運用を開始し、一部の普通電車が待避を行なうようになりました。
1997(H9)年3月17日改正
この改正より、土曜日は休日と同じダイヤになりました。奈良線で、朝方に快速急行2本が増発になっています。
1998(H10)年3月17日改正
京都線で、土休日のみ快速急行が設定になりました。並行するJR奈良線で1991(H3)年より快速が設定されており、改正毎に増強されていたので、対抗の意味があったのでしょうか。あるいはこの年の暮れに奈良の文化財が世界文化遺産に登録されるので、観光客が増えると考えたのかも知れません。
1999(H11)年3月16日改正
奈良線で、平日日中の特急の大半が取り止めになりました。
1990年代後半は近鉄全体で、そろそろダイヤの減量化の流れが見えてきたように思えます。
2000(H12)年3月15日改正
そんな中、京都線で奈良~京都市営地下鉄烏丸線直通急行が運行を開始しました。
近鉄では「シリーズ21」3220系がデビュー、一部編成は京都・奈良の風景を描いたデザインをラッピングしてPRしました。なお一部列車は京都市営10系で運用、奈良にも姿を見せる事になります。
快速急行は平日も含め、日中30分間隔と大幅に増発されました。上下とも竹田で、地下鉄直通急行に接続するダイヤになっています。
京都線の急行が、新祝園にも停車するようになりました。京都府内だが、学研奈良研究都市の玄関口にもなっています(けいはんな線開業はまだ)。
また奈良線・京都線とも、快速急行が新大宮にも停車。奈良線の準急・普通が、特に日中のほとんどが大和西大寺発着に短縮されています。
ここまで、20世紀終わりまでの近鉄奈良駅のダイヤを振り返ってみました。
次回は21世紀に入ってからのダイヤ改正を、近鉄奈良駅目線で回顧します。何と言っても、阪神との相互直通開始が、最大のイベントになります。
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《今日見た・聞いた・思った事》
東急が昨日、東京メトロと埼玉高速鉄道が一昨日、3月30日(金)ダイヤ改正の内容を発表しました。
東急 … 平日朝ラッシュ時の増強がメイン。田園都市線は、ピーク前に上り急行2本を増発。渋谷着7時05分~35分の間5分間隔。下り各停を2本増発。大井町線は、急行を9分間隔に増発、上り各駅停車は全て上野毛または旗の台で急行を待避し、混雑を緩和。池上線は雪が谷大塚折返し5本を蒲田へ延長し、雪が谷大塚~蒲田間で運行間隔を短縮。多摩川線は8時台に1往復増発。目黒線は直通先を調整し、混雑を平準化。
朝ラッシュ以外は、田園都市線は帰宅時間帯に急行・各停を1本ずつ増発、土休日は中央林間行最終電車を繰り下げ(ほぼ平日と同じになる)。大井町線は日中以降、各停を毎時2往復増発、平日夜間の溝ノ口行急行3本を長津田へ延長。目黒線は、6時台奥沢始発、22時台目黒始発の下りを、浦和美園始発に延長。
大井町線の急行を7連化し、田園都市線2020系、大井町線6020系が順次デビュー。
東京メトロ … 半蔵門線は、平日朝ラッシュ時に渋谷~清澄白河間2往復、押上発東急直通1本を増発。雄夜間に渋谷~押上間1往復を増発。南北線は、朝ラッシュ時は王子神谷始発1本を埼玉高速鉄道発に、白金高輪行1往復を東急直通に延長。夜間の赤羽岩淵折返し4往復を埼玉高速鉄道直通に延長。逆に平日・土休日とも日中の埼玉高速鉄道直通の一部を赤羽岩淵折返しに短縮。
埼玉高速 … 平日・土休日とも鳩ヶ谷行最終を浦和美園へ延長し、鳩ヶ谷→浦和美園間で最終繰り下げ。平日朝ラッシュ時に鳩ヶ谷発南北線直通2本、南北線発浦和美園行1本、夜間に赤羽岩淵~浦和美園間4往復増発。平日・土休日とも日中の鳩ヶ谷折返しは取り止め(赤羽岩淵折返しに短縮)。
埼玉高速は、日中の輸送力を朝夕にシフトする形になります。
なお、都営地下鉄三田線も、少なくとも修正程度はあるはずだが、今日の時点ではリリースがありませんでした。
それにしても、今近鉄奈良駅のダイヤを回顧する課程で近鉄全体のダイヤの変遷にも触れる形になっているが、近鉄はこの数年ダイヤの減量が続いていて、来月17日の改正でもその流れは変わらないようです。京都線の特急の復便はあるが。奈良線はそれほどでもないが、近鉄に限らず、関西の私鉄は、全体的には減量傾向が変わらないように思えます。その一方関東は今回の東急もそう、小田急や京王も次の改正で増発が行なわれる事になっていて、「東高西低」の傾向は、今しばらく続きそう。「少子高齢化」+「東京圏回帰」の傾向が、そうさせているのでしょうか。
《今日のニュースから》
16日 金井宣茂航宙士 初の船外活動
17日 藤井聡太五段 棋戦初優勝 六段昇段
羽生結弦選手、金メダル、やってくれました!宮城県が県民栄誉賞授与を検討するそうだが、今回の金メダルには歴史的な価値もあるので、国民栄誉賞もアリ、では?銀メダルの宇野昌磨選手共々、おめでとうございます。