№1730 2017年度お盆休み 航空利用データ分析

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 お盆の航空利用のデータが昨日、航空各社から相次いで発表されました。例年通り、データから利用状況を読み解いていきたいと思います。
 今年度は8月10日(木)~8月20日(日)の11日間が対象。前年と比較して、どのような変化が出ているでしょうか。特に利用率を重視して分析します。

 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。国際線は「日本発」「日本着」で統一。
 注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。「ピーク」は各社が発表している日付をそのまま表記、基準は様々です。
※注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていない カッコ内は前年比

ANA
 国内線 座席数2,218,732席(101.0%) 旅客数1,858,716人(104.6%) 利用率83.8%(+2.9%)
 国際線 座席数392,207席(107.6%) 旅客数347,470人(109.1%) 利用率88.6%(+1.2%)
 国内線はA321導入が進んでいるためか、路線によっては座席数が前年度より減っているが、旅客数は全方面で前年を上回りました。沖縄が92.9%と好調でした。「ギャラクシーフライト」も貢献しているか。旅客数では、東北・北陸が前年比113.2%とかなり増えました。一方で中四国方面が唯一80%を割りました。
 ピーク(90%台)は、下りが10~13日で、11日が98.6%と一番高かったが、前日の10日も普通の平日ながら97.8%と2番目に高くなりました。1日余分に休みを取って、早めに出かける旅客が多かったのでしょう。上りは16~20日(20日95.8%)。18日下りが67.9%と70%を切ったが、上下合計では全日80%を越えました。
 臨時便は羽田~新千歳・八丈島、関空~沖縄で合計31便を運航。
 国際線は、アジア・オセアニアが座席数(前年比116.5%)以上に旅客数が伸びました(前年比118.3%)。逆にホノルル線は座席数(前年比92.2%)以上に旅客数(前年比91.8%)と減少したが、利用率97.3%は、方面別では一番良くなりました。
 ピーク(90%台)は、日本発は10~13日(10・11日6.6%)、日本着は15・16・19・20日(5日92.5%)。発・着共全日80%を越えています。
 臨時便の運航はなかったようです。
 GWの時も書いたが、アジア・オセアニアは中国以外の全路線をひっくるめているけれど、韓国・東南アジア・オセアニア(オーストラリア)で分けて発表すべき時だと思います。
 
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JAL
 国内線 座席数1,318,118席(102.5%) 旅客数1,151,473人(105.0%) 利用率87.4%(+2.2%)
 国際線 座席数322,895席(98.1%) 旅客数301,298人(99.7%) 利用率93.3%(+1.5%)
(国際線は他社運航コードシェア便含む)
 国内線は、関西路線以外は全て、旅客数が座席数を上回りました。沖縄が94.9%と一番良かった。九州は86.2%だったが、九州が前年を大きく上回った(旅客数前年比107.0%)としています。前年は熊本地震があったので、その反動で回復基調、という事でしょうか。
 ピーク(95%以上)は、下りが10~12日で、こちらも11日が98.3%と最も高く、次いで10日が97.6%と2番目に高くなりました。上りは18~20日(20日97.9%)。上下とも全日70%を上回りました。
 臨時便は羽田~新千歳5便、羽田~沖縄23便、羽田~長崎2便。前年と比較して大幅に増えています。
 国際線は全方面で利用率が90%台で、中国線が95.3%と最も高かった。ただ、オセアニア線が座席提供数(前年比78.2%)以上に旅客数(前年比77.6%)が落ち込んで、低調だったと思います。
 なおニュースによると、北朝鮮ミサイル発射報道の後、グアム線で若干キャンセルが出たが、大きな影響はなかったとの事。旅客数は前年比97.0%でした。
 ピーク(95.1%以上)は日本発が10~12日(11日98.1%)、日本着は15~20日(6日96.7%)。日本発は全日90%を上回りました。20日が95.0%と、ピークに迫る数字。
 臨時便はなく、チャーター便はホノルル→成田2便、成田→ホノルル・ブダペスト・リスボン、ダブリン・プラハ→成田各1便。
 
JTA
 座席数123,850席(93.1%) 旅客数113,639人(97.4%) 利用率91.8%(+4.1%)
 臨時便(沖縄~久米島2便、関空・小松~沖縄各1便)が前年より大幅に減ったためか座席数がかなり減少しているが、旅客数はそこまでは落ちなかったため、利用率は90%台に乗りました。

RAC
 座席数22,400席(107.3%) 旅客数17,478人(106.4%) 利用率78.0%(△0.7%)
 DHC-8-Q400導入が進んだからか座席数は増えたが、旅客数が追い付きませんでした。前年はなかった臨時便は、沖縄~石垣で2便運航。

JAC
 座席数55,849席(82.7%) 旅客数44,413人(84.4%) 利用率79.5%(+1.6%)
 一部路線のJAL(J-AIR)移管が行なわれたためか、座席数は前年に続いてかなり減少しています。前年はなかった臨時便は、鹿児島~奄美で4便運航。

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SKY
 座席数272,934席(109.7%) 旅客数256,228人(111.4%) 利用率93.9%(+1.5%)
 神戸~仙台線の再開もあってか、座席数、旅客数ともかなり伸びています。ピークは下りが11日(99.1%)、上りは20日(98.5%)。両方向とも全日85%以上、合計すると90%以上です。
 SKYも期間中臨時便(追加定期便と呼称)を運航しているが、実績は記されていない。事前のリリースでは、羽田~福岡・鹿児島線で運航があったようです。

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ADO
 座席数94,224席(95.1%) 旅客数83,239人(96.6%) 利用率88.3%(+1.3%)
 座席数が減ったが、旅客数はそこまでは落ち込まなかったので、利用率は上がりました。ピークは(99%台)は下りが10~12日(10・11日99.6%)、上りが17~20日(19日99.5%)。ピークの反対側方向で利用が落ち込む傾向があります。臨時便はなかったようです。

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SNA
(ANA販売分は含まず)
 座席数87,069席(105.2%) 旅客数75,809人(105.9%) 利用率87.1%(前年度との単純比較は不可)
 参考までに、前年度の利用率は88.4%でした。横ばい、でしょうか?熊本地震の影響も癒えて、良い方向ではあろうかと思います。ピーク(98%以上)は下りが10~12日(10・12日98.9%)、上りは18~20日(19・20日99.4%)。10~12日の上りが60%台と低迷しました。。羽田~長崎・鹿児島線、鹿児島~沖縄線で臨時便を運航。

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SFJ
 座席数70,513席(115.8%) 旅客数59,393人(107.3%) 利用率84.2%(△6.2%)
 北九州~沖縄線が開設になって座席数が大幅に増えているが、旅客数が追い付かず、トータルでは利用率がやや低迷したでしょうか。日別の最高は、下りは10日、上りは19日で、共に96.5%でした。ピークは路線毎に出していて、北九州~沖縄線は下り(北九州発)が11・17・20日、上り(沖縄発)は11日としています。SFJも期間中臨時便を運航しているが、実績が記されていません。事前のリリースでは、羽田~北九州・福岡線で運航があったようです。

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FDA
(JAL販売分を含む)
 座席数62,312(101.6%) 旅客数59,393人(104.6%) 利用率87.8%(+2.5%)
 前2016年も8月10日(水)~20日(土)を対象。従って前年は日曜日だった21日を含んでいないので、この点をやや割り引く必要がありそうです。GWもそうだった。どうしてだろう?
 FDAは路線別のデータを公表しているが、利用率が一番良かったのは、山形~新千歳線(97.1%)でした。GWでは一番低くなった静岡~札幌(丘珠)線も、93.9%と大幅に伸びました。名古屋(小牧)~北九州が76.8%で、唯一80%割れ。小型機だし、便数も少ない路線が大半だから、ほんのちょっとの増減が、率の上下にかなり左右する事になるのでしょう。
 ピークは空港別に出していて、名古屋(小牧)発着は発が12日(98.4%)、着が19日(98.6%)。静岡発着は発が11日(99.0%)、着が19日(99.8%)。松本発着は発が11日(99.8%)、着が17日(99.6%)。新潟発着は発が19日(97.4%)、着は11日(99.3%)。今シーズンから山形が加わり、発が18・19日、着が11日で、共に98.7%でした。

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APJ
 国内線 座席数121,320席(98%) 旅客数113,444人(98%) 利用率93.5%(+0.6%)
 国際線 座席数76,860席(118%) 旅客数72,479人(119%) 利用率94.3%(+0.6%)
※ APJは、前年比のパーセントは小数点以下を省略して公表
 国内線は成田~新千歳・沖縄線の休止があったが、今回は座席数・旅客数とも微減で、利用率は上がりました。ピークは下りが11日(96.2%)、上りが20日の(95.5%)。上下とも全日、搭乗率が90%を上回りました。
 国際線は台湾・中国方面が良かったとしています。ピークは日本発が15日(96.6%)で、他社より大分遅い。陸上交通の大半が土休日ダイヤとなる期間の最終日なのだから。日本着が16日(96.9%)。90%を切ったのは、10日の日本着(86.7%)のみでした。
 なお、20日のMM64便(香港→関空)で、2012(H24)年3月の就航開始以来の累計搭乗者人数が2000万人を突破したとの事です。

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JJP
 国内線 座席数196,560席(107.3%) 旅客数179,576人(107.0%) 利用率91.4%(△0.2%) 
 国際線 座席数18,000席(105.3%) 旅客数16,674人(118.0%) 利用率92.6%(+10.0%)
 国内線はGWに引き続き横ばいか。ピークは下りが12日(95.9%)で、他社より1~2日遅い。上りは20日(96.8%)。利用率はやや不調だったGWと比較して好転し、両方向とも全日85%以上になりました。
 国際線は成田~上海線の就航があったからか座席数が増加、それ以上に旅客が増加し、利用率は10%も向上しました。ピークは日本発が10日(98.8%)、日本着が20日(94.4%)。全日両方向とも85%以上でした。

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VNL
 国内線 座席数63,000席(144.6%) 旅客数56,496人(137.9%) 利用率89.7%(△4.3%) 
 国際線 座席数43,380席(122.3%) 旅客数40,597人(123.9%) 利用率93.6%(+1.2%)
 国内線は函館への就航、関空~成田・奄美大島線開設があって、座席数・旅客数が共に大幅に増えました。ピークは下りが11日(96.7%)、上りが20日(96.4%)。両方向合計では、全日85%を上回っています。
 国際線も成田~セブ線就航で、座席数・旅客数ともに増えました。ピークは日本発が12日(96.0%)で、こちらもやや遅い。着が19日(98.0%)。全日日本発着共85%以上、合計すると90%以上でした。

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SJO
 国内線 座席数24,948席(173.7%) 旅客数23,467人(169.0%) 利用率94.1%(△2.6%) 
 国際線 座席数8,316席(200.0%) 旅客数8,156人(200.1%) 利用率98.1%(+0.1%)
 国内線は新千歳・関空線の増便で座席数、旅客数とも大幅に増えました。下りのピークは11日・15日(11日98.2%)、上りは15・20日(20日99.8%)でした。上りは全日90%台(最低の13日でも92.3%)だったが、下りは18日以降が80%台でした。
 国際線は天津・ハルビン線開設で、座席数、旅客数とも倍増。ピークは日本発8月12・18・19日(12日99.7%)、日本着13・20日(20日99.7%)だが、日本発着とも全日90%台の高率、波がありませんでした。

 以上、簡単ながらお盆休みの航空利用状況をまとめて、感想を記してみました。
 国内線では前年の「山の日」設定により、ピークが2回に別れる傾向が出てきたようです。九州北部豪雨の影響は、ほぼ無かったと見てよさそう。
 国際線は、この数年同様、インバウンドの利用も多くなったとしています。
 ニュースでは、全社トータルで国内線は5%、国際線は7%の増だとしています。国内線は沖縄・北海道、国際線はアジア方面が好調だったという事でした。
 次回の利用分析は、年末年始に行ないます。重大な国際事件や災害などが無い事を強く願います。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 NHK NEWS WEBや朝日新聞によると、この期間の最終日20日、新千歳発大阪伊丹行のANA便で、出発が1時間位遅れてキャビンが騒ぎになりそうになった、そこへ、たまたま乗り合わせていたシンガーソングライターの松山千春(足寄町出身)が一曲披露したところ(機長から許可もらって)、キャビンは拍手が沸いて落ち着きを取り戻したという事で、今も話題になっているそう。「大空と大地の中で」、懐かしいですねー。もう30~40年位前のナンバーだから。果てしなき大空と 広い大地のその中で~♪

《今日のニュースから》
20日 米喜劇俳優 ジェリー・ルイス氏死去
21日 森友学園前理事長夫妻 補助金詐取容疑で再逮捕
22日 HIS個人情報 11,000人余流出

 アメリカでは皆既日食が大フィーバーになり、これをみようと、全米の道路で大渋滞が起こったとも。5年前の日本の金冠日食フィーバーを思い出しました。私は秋田(羽後本荘)にいて、あそこは部分日食に留まったけれど、快晴だったので見る事ができた、.そんな事も思い返しています。