№1721 初めての 地下鉄博物館

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 これまで、鉄道の博物館は東急や東武、横浜市などいくつか巡ってきたが、東京メトロが運営する「地下鉄博物館」は、実はまだ行った事がありませんでした。
 そろそろ行こうか、とは思っていたが、ここは通常月曜日が休館日、私の休みも月曜日なので、訪れる事がなかなかできませんでした。しかし、開館日となった先月17日の「海の日」が休みになったので、これを機に、初めて訪れる事となりました。

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 地下鉄博物館は東西線・葛西駅の高架下(東側)にあります。入口は南側。

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 左手には「1985 ENOMOTO」と隅に記されたモニュメントがあります。台車をモチーフにしているようです。

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 エントランスでは、模型がお出迎え。「0シリーズ」(01・02・03・05・06・08系)。

 券売機で入館券を購入。210円。ICカードが利用できます。

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 改札口は、手前の自動改札機は使用しておらず、奥の有人改札でパンチを入れてもらう、昔ながらのスタイル。

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 東京メトロの歴史のビデオ。

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 早川徳次(のりつぐ)像。日本発の地下鉄会社、東京地下鉄道の創業者です。

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 社章・シンボルマークの変遷が掲げられています。右側のプレートは左…東京地下鉄道、右…東京高速鉄道。左側は上段の左が営団地下鉄の当初のマークで、右は1960(S35)年から民営化まで使われた「Sマーク」。

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 1両まるまる保存されているのは2両。丸ノ内線301号。地下鉄のみならず、日本における高性能電車の草分けでした。

 
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 こちらは車内が公開されています。結構ピンク色が目立つ。

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 運転台。

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 路線図も残されています。当時は2路線だけで、丸ノ内線は池袋~新宿間のみ。

 もう1両が、一番上の1001号。東京地下鉄道第1号車。
 2008(H20)年の産業遺産に続いて、今年3月には国の重要文化財に指定されました。さらに日本機械学会より「機械遺産」と認定される事になり、7日に認定式が行なわれるとの事。

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 産業遺産に認定された時点の説明書き。

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 重要文化財に指定された時点で、文化財保護の観点から、車内には立ち入れなくなりました。外部から眺めるのみ。当時の乗客や乗務員を模した人形が置かれています。

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 打子式ATSも保存されています。現役時代、実際に動いているのを見た事があります。

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 直接運賃を投入して入場する、ターンスタイルの自動改札機。
(今でも一部の地方空港の展望デッキなどで見る事ができるシステムです)

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 1001号の脇には、開通当時の上野駅のホームが再現されています。「うへの」だけれど、左書きだったんだ。

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 地下鉄の歴史。

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 歴史の年表。下のラインはメトロ各路線を表していて、一番長いオレンジ色が銀座線、一番短い茶色が副都心線。

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 開通記念乗車券(一部メトロカード)。路線毎に整理されています。
 今引き出しているのは半蔵門線で、上は第一期の渋谷~青山一丁目間開業時(1978(S53)年8月1日 だから今日は開業からちょうど39年)の優待乗車証。当時は8000系はまだ無くて(東急8500系を借用していた)、想像イラスト。ヘッドライトは丸形、側窓は2段窓で、7000系のフロントを額縁状にした感じ。

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 地下鉄のしごと。昔の地下鉄の仕事が運転手・車掌・改札掛・出札掛(!)などの職種別に別れていて、30秒程度のビデオと保存品を見る事ができます。

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 地下鉄ができるまでの流れ。工事に着手するまでには、色々手続きが必要なのです。

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 地中で工事を進めていると、時には昔の遺物が出土する事もあります。

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 地下鉄ができるまでのなぞ。

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 副都心線の断面模型。

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 開削工法の模型。左から右へ時間が流れて行く事で、工事の進み方を理解できます。

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 アンダーグラウンド3Dシアター。

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 総合指令所の仕事を体験できるコーナー。

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 地下鉄の安全対策。

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 トンネルの断面。シールド工法で掘るとこんな感じ。

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 駅のサインシステムの変遷。見通しの良くない地下駅で旅客の適切な誘導を促すサインシステムは以前から実践されていたけれど、最近は駅ナンバーの導入もあって、さらに変わってきているようです。
 下段はクイズ。

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 旧型の保存車両ではもう1両、東京高速鉄道129号もあります。ただしこちらは、車体が切断されていて、やや残念。ドアの開閉が体験できます。ここではドアが開いているが、透明のプレートで塞がれています。

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 01系の先頭部も保存されています。29Fは去年の2月8日付けで廃車となり、ほぼ1年前の7月12日に公開が始まりました。

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 シミュレーターと、手前のモニターは地下鉄Q&A。

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 Q&Aはいくつかのランクに別れています。この問題の答え、解りますよね?

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 千代田線のシミュレーター。やや上級向けで、年齢制限があります。この他、年少者でも楽しめる銀座線・有楽町線・東西線のものもあります。

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 昨年の開館30周年を記念して製作された、1001号と301号のタイルアート。

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 01系・02系、その他車両の模型。

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 日本と世界の地下鉄。

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 世界の地下鉄について知る事もできます。NYは一昨年乗りました!

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 そして、お約束の模型運転ショー「メトロパノラマ」。
 ただなにしろ地下鉄なので、都市の真下を走りまわる形です(地上部はない)。永田町付近を模しています。おネエさんのナビゲーションと共に、地下鉄の1日が進行していきます。赤坂見附で、銀座線と丸ノ内線が必ずホームを挟んで並ぶのが面白い。1日4回。

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「地下鉄博物館特別展」。7月一杯は「地下鉄の安全をまもる人と設備の紹介展」でした。

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 図書室は、土休日のみ開館。

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 最後に、これもお約束のミュージアムショップ。個人的には、大人向けの書籍類があると良かった(見落としたのかも知れないが)。
 祝日だったから仕方がないが、子供がやたら多く、チョロチョロあちらこちら走り回るし、歓声も泣き声も大きくて、この点ちょっとしんどかったです。

 以上、初めての地下鉄博物館でした。これでもかなり端折って書いてしまって、舌っ足らずで終わってしまった感があるのは申し訳ありません。
 全体の印象として、車両が少ないか。東京メトロ(営団地下鉄)は、銀座線以外の路線が皆戦後開業と比較的若い鉄道事業者だし、ほとんどは都市部の地下を走るので、郊外に路線が延びて路面電車やバスもある東急、ローカル線が多く、電気機関車や昔の特急電車が展示されていた東武あたりと比べると、バラエティが乏しくなるのは仕方が無い。その分、車両でも施設でも、技術的な部分にスペースがかなり割かれていたように感じられました。比較的最近の出来事も細かく拾われているのは感心しました。めまぐるしく変化する事業者だからかも知れません。
 今後となると、高架駅の真下のスペースのみでは、どこまで展示の充実を図れるか。車両面では、千代田線6000系あたりは1両まるまる保存する事も、技術面でもスタイル面でも「革命的」だっただけに、必要性があるのではないかと思うが、現状では場所がありませんよねえ。千住で保管されている日比谷線3000系も、本当はここで…と思うのだが。それ以外の品物などの展示も考慮するなら、あとは浦安方向へスペースを拡張するしかないだろう。
 いずれにしろ、今の所は日本で唯一の地下鉄事業者の本格的な博物館です(東京都営で、都電・バスも含めて欲しいんだけれどなあ)。他の地下鉄事業者の、今後のお手本となるような運営、そして発展を、今後も期待します。

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《今日のニュースから》
30日 八王子スーパー3人射殺事件から22年 被害者の高校で追悼式
31日 ダルビッシュ有 ドジャースに移籍
 1日 「SLやまぐち号」運行開始から38年 「一日こども車掌」任命

 今日の「SLやまぐち号」はC57 1+C56 160の重連で運行されました。現行のレトロ客車は、今月一杯とのこと。
 山口線は好天だったようだが、今日は神奈川県の県央部で午後になって、激しい土砂降りになり、一部地域では避難勧告も出されました。土砂崩れが一件あったが、九州や秋田のような大災害にまではならなかったのが、幸いでした。もう少し警戒が必要なようだけれど。