西鉄と阪急観光バスは昨日、京都・大阪~北九州・福岡間夜行高速バス〔ムーンライト〕を、3月31日の出発を持って休止(運行終了だろう)すると発表しました。
7年も前の№130でも書いた事の繰り返しになるけれど、〔ムーンライト〕は1983(S58)年3月24日、西鉄と阪急バスの共同運行によってスタート。旧国鉄の夜行急行列車が廃止になっていた事もあって、安さを武器にして人気を集め、さらに後には、当時としては革命的な3列シート車を導入した事もあって、不動の地位を獲得しました。この事が、全国的な高速バスブームを呼ぶ事になります。
〔ムーンライト〕自体も増発、ノンストップ便、筑豊地区経由便の設定が行なわれ、最大3往復にまで成長しました。姉妹系統も多数設定され、西鉄バスの有力エリアで大阪へ行くバスがなかったのは、天神まで電車特急で10分の二日市位、という所まで行きました。また、神戸・京都・奈良へ行く便も設定されました。
一番上は最盛期と言えた1992(H4)年、改築前の天神のバスセンターで出発を待つ〔ムーンライト〕です。
しかしこの後、西鉄の夜行バスは一転して縮小に向かいます。西鉄の関西行夜行は福岡・北九州以外の出発地は廃止、関西の行先も奈良は廃止、神戸や京都も他系統と統合され、2010(H22)年4月以降は、元の北九州経由〔ムーンライト〕1本(大阪経由京都発着)のみ「になってしまいました。
その後、USJ発着系統の新設があったが結局短期間で統合となり、現在に至る事になります。
7年前にも記した事だが、 ライバルだったはずのJRの夜行は大阪発着の寝台特急(高速バス対抗で座席車も連結されていた)が既に全滅し、臨時快速の設定もなくなっていた、だから低コストの足としては夜行高速バスの独壇場…というのが、これまでの常識的な考え方で、西鉄バスにとってはプラスに働いていたはずでした。
景気の低迷や原油価格の高止まり、さらには高速道ETC割引というのが当時としては理由になっていたが、当時流行の「会員制ツアーバス」も相当影響していたのかと思われます。
「会員制ツアーバス」は後に乗合バスに移行、今回調べた限りでは、ウィラー・エクスプレスが1日1往復を運行しています。リラックスワイド(3列)とリラックス(4列)の2クラスで、3月1日大阪発では、リラックスワイド7,400円、リラックス5,900円でした。〔ムーンライト〕が最低で8,000円(大阪発着)なので、コスト的に分が悪くなっていたのかも知れません。
また、LCC航空便の存在もあるかも知れません。現在関空~福岡間をAPJ・JJPの2社が毎日3~5便を運行しています。伊丹発着でANA・JAL便のディスカウント運賃もあります。時間帯からは夜行と直接競合はしないが、こちらもコスト的に影響を与えているのか。
西鉄では、「これまで運行を維持するためダイヤや運賃などさまざま施策を講じてまいりましたが、これ以上の継続運行は困難と判断」した、とリリースしています。もう少しいろいろな取り組みをして欲しかったとも思うが、それにしても、西鉄をしてそこまで言わせるほど、乗客の減少が著しかったのでしょうか。運行体制の維持、特にドライバーの確保もあったのかも知れません。何度か書いているけれど、夜行バスでも所要時間が10時間を越えるような路線は、様々な点で維持が難しくなっていくのではないかと思います。ロケーションにもよるが、〔ムーンライト〕でさえ例外ではなくなるとは。
これで西鉄バスで関西に行く路線は、全てなくなる事になります。
西鉄バスでは同時に、福岡~富士山線〔博多・フジヤマEXPRESS〕の季節運行化(GW・富士山登山シーズン・年末年始・春休み)も発表しています。他の夜行路線は今の所動きはないようで、東京行〔はかた〕も現状維持です。しかし、最も需要が多いと思っていた大阪(関西)への西鉄夜行高速バス路線の全滅は、夜行バス(特に在来の乗合バス)にとっては、重大な転機となるのではないでしょうか。今後、他地域の夜行路線についても、重大な関心を払って動向を見守る必要があるでしょう。
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「トワイライトエクスプレス瑞風」が、昨日お披露目になりました。ダークグリーンの車体色と窓のカーブが、かつての「トワイライトエクスプレス」を彷彿させるようです。一般のニュースでも話題になったが、ただ、私は正直興味なし。「ななつ星」「四季島」もだけれど、値段もさる事ながら、男が一人旅で乗るような列車ではないだろうし、私の旅のスタイルにも合わないので。
ANAHDは今日、ピーチの株式の2/3を4月をメドに取得し、子会社化すると発表しました(現在は39%)。さて、現在100%子会社のバニラエアとは、どのような棲み分けをする事になるのでしょうか。
《今日のニュースから》
23日 小金井市ライブ会場女子大生刺傷事件 被害者が意見陳述
24日 相模原市殺傷事件 元職員を起訴
宅配便のヤマト運輸で昨日、労組が春闘の交渉の中で、引き受ける荷物量を抑制して欲しいと会社側に要求した事は、大きな反響を呼んでいるようです。ネット通販の激増で現場へのしわ寄せが大きくなっているとの事で、朝日新聞によれば、その4割はアマゾンだそう。人手不足が深刻なのは宅配便業界も同じで、このままだと、既にバスや中小のトラックで起きているような大事故が、最大手の運送会社で起きる事態になりかねないかも知れません。ファミレスの24時間営業取り止めもだけれど、24時間いつでもどこでも同じようなサービスが受けられるのが当然、というスタイルのビジネスは、業界に関係なく大きな曲がり角に来ているのかも知れません。どんな最先端のビジネスでも、最後はやはり人、だから。
今日は「プレミアムフライデー」。皆さん大騒ぎだったようだが、私は全く関心なし。第一今に至るまで、「平日の9時~5時勤務」の一般的な職場の仕事って、した事ないもん。20年前位は毎週金曜日は「ハナ金」と呼ばれていて、深夜は普段の平日以上に人が一杯出ていたものだけれど、車掌経験者としては大変でした。終電近くなんて、他線からの接続待ちで大幅に遅れる事も当たり前だったし(だからって乗りたくない、と思った事はなかったが)。公衆電話の長蛇の列がいつも以上に長かったのも、今は昔。