№1607 トランスアジア航空 解散

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 台湾のトランスアジア航空(復興航空 GE)は昨日22日、経営の悪化で会社を解散、今後の運航はすべて取りやめると発表しました。
 前日21日、翌22日の日本路線を含む全便の欠航を急遽決定し、何かあるのかと思われていたところ、昨日の午後に記者会見して発表となったものです。
 理由として、2014(H26)年、2015(H27)年の連続墜落事故で財務状況悪化した事が挙げられているが、加えて日台間の競争の激化、さらに台湾の総統が交代した事による台中間の関係の悪化で、利用者が大幅に減少した事も影響したとみられています。
 GEは民間の航空会社では台湾最古で、主に国内線を運航していたが、最近では近距離国際線にも進出、4年前より日本路線にも参入しました。特に北海道路線が積極的で、新千歳以外に旭川、函館路線も運行していました(一時は釧路にも就航していた)。
 このため今後、これからがシーズン真っ只中になる北海道への台湾観光客の入り込みにかなりの影響が出そうで、特にGE便が唯一の台湾路線という旭川空港は、戸惑いを隠せないようでした。

 私は搭乗した事はなかったが、2000(H12)年に初めて台湾を訪れた時に台北の松山空港で撮影した時に初めて見かけました。それは№1265で書いています。その後2年前に再度訪れた際にも撮影、№1280で書いたが、この頃には新デザインになりつつありました。そして、この頃には日本路線にも就航するようになった事から、成田や新千歳でも見る事ができるようになっていました。最初はA320シリーズだけだったものが、昨年辺りからA330-300も見る事ができるようになって、うれしく思えたものです。A330は解散発表に先行して運用から離脱していたらしいから、成田や新千歳で見られたのは、幸運と言えたのでしょう。
 今後はゆっくりでも路線網を拡大し、台湾第3のエアラインとして発展していくのかと思っていたので、残念な話ではありました。

 唐突な事態ではあるのだが、GEがLCC部門として設立したVエア台湾が9月を持って運航を停止していたので、今思えばこの頃には、本体の経営もかなり深刻化していたのではないでしょうか。
「経営破綻」ではなく「解散」なのは、好意的に解釈すれば、乗客に対して払い戻しや他社への変更などの取り扱いを行う余力がある内に宣言したかったのではないでしょうか。過去には欧米で、突然運航が停止になり、乗客が途方に暮れたケースが少なくなかったし。
 日本のJALやSKYのように、世論の批判は浴びつつも、ともかくなんとか会社の再建を図る(むろん、相当の規模のリストラは避けられなくなるとしても)方向性は、考えられなかったのか。民間最古とはいえ、、フラッグキャリアだったチャイナ・エア、海運最大手企業をバックに持つエバーと比較して、経営を継続する基礎体力がなく、継続は無理と判断されたのかも知れません。台湾はもともと「国土」が九州本島並みに狭いうえ、新幹線の開業で最大幹線の台北(松山)~高雄路線が廃止になったりして、国際線を支えるべき国内線の規模を縮小せざるを得なかった事もあったのでしょう。
 それと、やはり相次いだ墜落事故は決定的だったか。特に去年の事故は、高速道路を走るタクシーを直撃する映像が世界中を駆け巡ったりしたので、影響はより深刻だったはずです。前にもどこかで書いたと思うが、航空に限らないけれど、交通事業者にとって「安全な運行」と「安定した経営」は車の両輪、どちらかが欠けても事業は成り立たなくなると、改めて思い知らされた気がします。

 台湾は「国土」が狭い割には航空会社が多く、昨今はLCCも作られたりしています。しかしVエア以外にも、チャイナ・エアが資本参加するタイガーエア台湾も運航規模の見直しを図ると聞いていて(メインのタイガーエアが、スクートに統一される事もある)、今後は日系各社も巻き込んだ日台間の競争の激化、台中間の関係の冷え込みで、台湾は今後、航空業界全体の大幅な再編が起きるのかも知れません。当然日本にも影響は大なので、今後の各社の動向は要注意です。日本も含めて、これ以上悪くならなければよいが。

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《今日のニュースから》
22日 北陸新幹線 敦賀~大阪間 福井県知事「小浜・京都ルート」支持
23日 囲碁AI「DeepZenGo」 趙治勲名誉名人に三番勝負で負け越し

 昨日の地震は、とにかく人的な被害が出なかったのは幸いでした。朝起きたらラジオがひっきりなしに「福島の浜通りはすぐに3mの津波が来る、急いで避難するように」と繰り返すものだから、5年前の悪夢が蘇るのかと、相当不安を覚えつつ職場に向かったものでした。それにしてもこれが5年前の震災の地震の余震とは、改めて物凄いエネルギーとも思うが、「余震」とは、どの位の基幹までを指すものなのだろうか。今年は国内では熊本に鳥取、海外ではイタリアに先日のニュージーランドと大きな地震が続発しています。改めて、地球にいる限り、地震からは逃げられないものと痛感しました。
 関東地方は、明日は南部の平野でも積雪になるかも知れないとの事。まだ11月なのに。通勤の電車は大丈夫でしょうかね…。

№1606 石勝線 楓駅

 今日は短く行きます。
 前回はJR北海道の経営問題について書きました。ヨソ者がああだこうだいいの悪いのとは言えません。とにかく全ての関係者が納得できる結論を導いて欲しいと願います。どういう方向になっても激痛を伴うものになるとは間違いないだろう、と思わずにはいられないのだが…。

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 今回は廃止路線ではないが、廃止になった駅をご覧頂こうと思います。1988(S63)年2月11日の石勝線・楓駅です。
 石勝線は追分~新得(正確には上落合〔信〕)間の路線で、途中の追分~楓間は、旧夕張線を転用、改良した区間です。この時、新夕張(開業前は紅葉山)~夕張間も石勝線に編入されました。
 現在の夕張支線は夕張線時代は本線格、紅葉山~旧登川間は支線格でした。石勝線開業時に登川駅は廃止、楓駅は新線区間に移転しました。両駅を統合した形です。
 新得方向へ向う本線は行き違いが可能で、別に楓折返し列車用に、引き込み線上にホームが設けられていました。本線の方にも相対式ホームがあって、旅客列車(特急・急行のみだったが)の客扱いの停車も可能ではあったが、結局本線の客扱い停車の設定はなく、楓⇔新得間の移動は新夕張折返し乗車を認める特例が設けられました。
 撮影当時は毎日4本の区間運転の設定がありました。当時のJR各社はまだワンマン運転が始まっておらず、区間運転は新夕張駅の駅員が車掌を兼務する形で乗務していました。
 結局この後楓駅を発着する普通列車は少なくなっていき、末期には1往復のみになってしまいました。それも休日運休だったから、普通列車の設定本数に限れば、旧清水港線とか、現行の札沼線(浦臼~新十津川間)さえ下回る、国鉄・JR史上でも最低記録になったと言えました。
 2004(H16)年3月12日を持って旅客駅としては廃止となり、信号所として機能するのが現状です。集落が遠くて元々利用者が極小だったし、夕張鉄道のバス路線があったので、問題はほとんど起こらなかったようです。

 あれから12年、かつての本線格だった新夕張~夕張間でさえ廃止がほぼ本決まりになって、いつ届け出がなされてもおかしくない状況です。となれば、楓駅発着の普通列車も、遅かれ早かれ廃止になる運命、だったのでしょう。

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 インドの列車事故は、犠牲者が145人の大惨事になってしまいました。インドはこの数年、大規模な惨事が相次いでいます。経済的には発展著しく、BRICSの一角も担う大国のはずなのだが、鉄道の基本的な安全対策に資金が廻らないのはどうしてなのでしょうか。インドって豊かなの?貧しいの?

《今日のニュースから》
20日 「極楽とんぼ」山本圭壱 よしもとクリエイティブ・エージェンシー復帰
21日 サンフレッチェ広島 佐藤寿人 名古屋グランパス移籍発表

№1605 JR北海道 ローカル線問題

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 JR北海道は昨日、全路線の内の半分以上に当たる13線区1,237㎞が、自力で維持する事は困難であると発表しました。既にメディアでチラホラ話が聞こえては来ていたが、昨日正式にリリースが出たものです。
 全国規模のニュースになったから詳細は今更語る事はないが、これが(少なくともJR北海道としては)全部廃止になるとしたら、残存の営業キロが1,151㎞となって、JR九州・JR東海を下回り、JR四国に次いで2番目に小さい路線網となります。残存キロには北海道新幹線148.8㎞を含むため、在来線のみだと1,000㎞をわずかに上回るのみです。
「ローカル線」とは記したものの、「輸送密度200人以上2,000人未満の線区」には特急が走る路線も2路線あり、深刻さが伺えるようです。

 JR北海道の場合、まず根本的に、恒常的な利用者となり得る沿線の乗客自体が、あまりにも少ないと思います。
 参考までに多少乱暴だが、JR北海道の沿線の都市の人口上位10市、比較としてこのところ、株式上場などもあって何かと比較の対象になるJR九州の沿線の都市の人口上位10市を記してみました。

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 北海道最大の都市札幌市は、九州最大の都市福岡市よりも多い。しかし2位の旭川市からして、九州で7位の宮崎市よりも小さく、20万人を越える都市が函館市も含めて3市しかない。10位の室蘭市が10万人を切ってしまっています。
 また、北海道の全自治体で一番少ない音威子府村は、人口が995人しかいない。全部は確認していないが、恐らくJRの特急が停車する自治体では、日本全体でも最小でしょう。
 宗谷本線ではその他中川町1,907人、幌延町2,677人、豊富町4,378人、美深町5,178人、稚内市が39,595人と、名寄以北の沿線の人口が、特急が走る路線にしては極めて少ない。
 石北本線では上川町4,532人、大空町(女満別)7,933人、美幌町21,575人、遠軽町22,265人(旧白滝町・丸瀬布村・生田原町を含む)、網走市40,998人で、見た目の数字だけなら宗谷本線よりも多い。しかし市町村合併で広域化した自治体が大半で(北見市も旧留辺蘂町を含む)ある事に注意しなければなりません。
 今後の伸び代にしても、石北本線そのものが、特に上川~北見間で線形が良くなく、遠軽を経由するため大回りになる上、高規格道路の開通で高速バスの札幌~北見間は約5時間、〔オホーツク〕と30分程度しか違わない。〔オホーツク〕は現状では今後の所要時分短縮は望めず、さらに所要時分を短縮させようとするなら、一から新線を建設する位の莫大な投資が必要。
 特急が走る路線でさえこうだから、他の路線は推して知るべしかと思います。

※ 人口の数値は全て、「日本☆地域番付」を参考にした。

 また、函館本線(函館~小樽間)は、北海道新幹線開業(2030(H42)年度を見込んでいる)まではJR北海道で維持し、新幹線開業後に経営を分離するとしています。しかし、特に長万部~倶知安間は、恐らくは他のローカル線区と同等以下の輸送量しかないはずで、すんなり新鉄道会社に移管されるとは、とうてい思えません。

 いろいろ読んでいくと、他の部分もあるが、設備面の維持に相当金が掛かるのが最大の問題であるように感じられます。大正時代に開業した当時のままの設備(鉄橋・トンネルなど)が多いし、福知山線事故以降必要とされる新型ATSも整備が必要になり、これにも莫大な投資が必要としているようです。
 JR北海道では、「このままでは重大な経営危機に陥る」とする2019(H31)年をメドに、3年かけて沿線の自治体と話し合いとしているが、自治体の反発は大きくなるだろうとも見られています。JR北海道への不信も多少はあるのでしょう。今回の経営危機の発覚も、5年前の〔スーパーおおぞら〕発火に始まる一連の不祥事の露見の課程にあるので。ただ自治体の側も、だからといって大規模な反対運動を起こす体力があるのかどうか。30年前の旧国鉄特定地方交通線問題の時以上に、JRも、自治体も、急速にやせ細っているので。
 北海道の高橋知事も、「徹底した管理コストの削減などの自助努力や、丁寧な説明責任が必要」とコメントしています。無論自治体の長の立場としては当然の発言だろうとは思います。ただ、「管理コスト」の削減と言っても、北海道に関してはやり尽くしているのではないか?やり過ぎると、それこそ残存路線の安全輸送に悪影響を与えるし、今後必要になると思われる投資も出来なくなる(例えば札幌都市圏の駅のホームドア設置、新千歳空港アクセスのインバウンド対策、など)。それは道にとってもプラスにはならないでしょう。

 北海道に限らない話だが、結局「地方ローカル線の維持は誰が、どのような枠組みでやるべきか」という、何年も何十年もなされている議論に、再び陥っている気がします。今朝の朝日新聞でも特集されていたが、2000年度以降全国で750㎞以上の路線が廃止となり(この中には名鉄の支線区や、西鉄の旧宮地岳線が含まれていないので、実際は850~900㎞位だろう)、残存路線も維持には四苦八苦していると報じられています。
 冷たい言い方になるかも知れないが、JR北海道に関しては、今回発表された路線の全部がJR北海道から離れるとは思っていないが、逆に全部の路線がJR北海道の路線として一転維持される事になるとも思えません。誰が費用を出すにしろ、極小の輸送量に対して維持コストがあまりにも莫大なので。沿線のロケーションにもよるが、

「鉄道という交通システムは、最低でも1時間に上下1本ずつ以上の列車が走る位の輸送量がないと、やっていけないのではないか」

と私は考えています。鉄道の特性は大量輸送にあるはずなので。バスと同程度の輸送力しかないディーゼルカーが一日数往復したら終わり、という路線は、鉄道としてはもう無理だろうと思います。残念ながら、今回JR北海道が示した路線のほとんどは、その程度のレベルにしかなりません。1日1往復で終わりの札沼線(浦臼~新十津川間)なんて、とっくに「終わっている」路線だと思います。
 ともあれ、全国的に報道される程だから、JR北海道の路線網は相当深刻な状態にあると思われます。「(不祥事続きの)JR北海道だから」大々的に報道された面もあるかと思われるが、当然他のJR各社も、ひいては中小はもちろん、大手や準大手の私鉄にとっても人事ではありません。私が9月に乗ったJR西日本の芸備線や木次線も、区間によってはJR北海道ローカル線区と同等以下しか輸送量がないと思われる区間がありました。神戸市の中心部にに直結する神戸電鉄粟生線でさえ、存続の危機が叫ばれている位です。今後3年間のJR北海道の路線の動向は、全国の鉄道事業者や自治体関係者、私たち利用者なども、重大な関心を持って見ていくべき事項だろうと思います。

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 小湊鐵道の22施設が昨日、国の有形文化財に登録されました。五井の機関庫、海士有木駅や上総鶴舞駅の本屋(駅舎)、月崎駅の旧ホーム、旧鶴舞発電所などです。当然これらの施設も老朽化が見られるはずで、どうやって維持していくかが課題となるでしょう。

《今日のニュースから》
18日 フィリピン 故マルコス元大統領 英雄墓地に埋葬
19日 鳥取県三朝温泉 JR姫路駅で観光PR