№1551 バスラマインターナショナル156(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル156」、先月末には発売になっていたが、取り上げるのが少々遅くなってしまいました。

各地の新車から
 新エルガ&ブルーリボンが、各地に続々入っています。朝日バスはやはり、大型ノンステップん新車導入は初との事。朝日バスは中型車というイメージがあったが、グループ内転籍で大型ワンステップも入っているし、今後は路線によっては大型化が進む事になるのか。

ベトナムに吹く新しい風(KAZE)
 今回一番注目したのがこの記事。ベトナムの新都心を走り出した、東急の資本が入った路線バスシステム。
 後半の在来のベトナムのバスの乗車記でも簡単に触れられているけれど、アジアのバス、特に一般の路線バスだと、日本のようにキチンとしたバスの時刻が記されていない事が多い。韓国でさえ、始発・最終の時刻さえ記されていなかったほどで、アバウトなイメージが正直あります。
 なので、ベカメックス東急バスの新システム、特に「時刻表を掲げて、その通りに運行する」という部分がどれだけ浸透するかは興味が持たれます。写真で見るだけだが、交通量はかなり少なさそうで、その分ダイヤ運行の確保は容易だろうが。
 それと、ベトナム人の職員、特にドライバーは、これまでアバウトな路線バスの世界をずっと見てきただけに、仕業表通りにバスを運行させる日本式システムが馴染むだろうか。教育面も注目されます。ともあれ、今後の展開が期待されます。
 在来のホーチミンシティの路線バスは、まあ想像した通りの世界が展開されているようだが、それでも冷房付?の韓国製のバスもあったりして、ミエンタイバスターミナルで奥の方に並ぶ長距離便はユニバース?一方でスズキキャリイの「バス」は、まあ「系統番号」も掲げているから合法ではあろうが、走行中に落っこちたりはしないだろうか?道路事情も考えたらちょっと怖い?
 ベトナムはANAのベトナム航空への資本参加もあったりして、今後も日本企業の進出が進む事になりそう。後は鉄道の近代化が図られると良いが。
 バスターミナルの名称の 「9月23日」とは、太平洋戦争終戦直後の1945(S20)年9月23日にフランス軍が旧サイゴンに進攻、これに対する抵抗運動が始まった事から来ている、らしい。ベトナムの歴史は当然、戦争を抜きには語れないので(今でもダナン空港などでは影響があるらしい)、この辺も簡単でいいから触れて欲しかった。我々も、ベトナムを訪れる機会があるなら、少しは心すべきでしょう。
 なお、次号では夜行バス体験ルポがあるそう。日本とは相当違うはず、キツイだろうなと勝手にイメージしてしまうのだが、興味が持たれます。

バス事業者訪問188 くしろバス

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 今回は北海道道東の釧路をベースにする2社で、まずくしろバス。
 最初にカラーリングで、車体に描かれているのは当然鶴だろうと思ったら、くしろバスの場合ははっきり鶴とは決めつけていないよう。厚岸湖はオオハクチョウが越冬で飛来するので、それも含めて鳥全体を象徴させているのでしょう。
 輸送人員の推移の表があるが、ピークの1969(S44)年から、50年近くで6分の1近くに減ってしまっている。年によって違うが、全体的に右肩下がり傾向が止まらないのは辛い。何とか乗客を繋ぎとめようと必死のようで、「1日フリー乗車券」は、釧路~白糠線の片道が600円なので、かなりの大盤振る舞いだと思います。 
 新エルガが3台入ったが、釧路では走行性に問題はないらしい。冬の釧路には私も行った事がある(30年近く前だけれど…)が、天気予報などを見ていると、釧路は冬場寒い時は猛烈に寒いものの、案外晴天の日が多くて、豪雪という事はない、というイメージがあります。
「ねむろ号」はスタート時は4往復(くしろ・根室2往復ずつ)だったが、今は減便されている。ただ、JR根室本線(花咲線区間)も減便、今後の縮小も予想されるため、あるいは盛り返しもあるかも知れません。
 車両面では、フロントも含めた全体をラッピングした広告車が多い。
(上の画像の「下新拓行き」はJRバス代替の厚岸からの路線だったが、現在は廃止の模様)

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 アーカイブスでは、東邦交通時代が全部白黒なのがちょっと残念。平成になってからもしばらくは走っていたので、1枚でも良いからカラーが欲しかった(この私の画像もあまり良い出来ではないが)。

バス事業者訪問189 阿寒バス

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 もう1社は阿寒バス。くしろバスの前身の東邦交通から分離独立した会社とは知らなかった。もう60年経っているから知らない人も少なくは無かろうが。路線網からして性格もかなり違うし。知床半島方面と、一方で摩周から北見のエリアになる美幌に長距離路線が延びて、さらに中標津や弟子屈では小規模なエリア内路線もあるので、とらえどころのないイメージが正直ありました。
 こちらの車体のカラーははっきり鶴。最新移籍のエアロスターは、鶴が車体のサイドに収まっていて、別にフロントには、鶴をイメージしているのか?デザインが施されているようです。
 バスの運行に関心がない自治体があるとは、困ったものだと思う。国鉄時代の末期に特定地方交通線の廃止問題が浮上した時、大反対運動もあちらこちらで起こったはずだったのだが。美幌の観光路線は、今シーズンは7月16日~10月10日、女満別空港~美幌峠に2往復のみ運行、美幌峠で川湯温泉・摩周湖方面に接続、との事。
「インバウンドが増えた」というのは以前帯広の事業者も口にしていた事だが、釧路空港は一時、トランスアジア航空のA330が定期便として就航した事があり、現在も中国キャリアのチャーター便が来る事があるとの事。アジアとしては珍しい雄大な光景が、特にトロピカルなイメージの南国の旅人を惹きつけるのでしょうか。
〔スターライト釧路〕はくしろバスも触れていたが、高速道の延伸で所要時分の短縮が図られ、特急列車に追いつこうとしている所まできているという事。JR特急〔スーパーおおぞら〕は札幌~釧路間最速4時間弱、運賃+料金9,370円。ただし今後JR北海道は、DC特急に関しては〔スーパー北斗〕と共に〔スーパーおおぞら〕に資源を集中してくると思われるので、今後も「早い鉄道特急」vs「安い高速バス」(さらにここでは触れられなかったが、vs「もっと高いけれどもっと早い航空便」)の構図で、激しい競争は続くのだろうと思われます。
 個人旅行者向け新パスで注目なのは、「4/7days」パスで、ひょっとしたら鉄道なども含めて、フレキシータイプのフリーパスは初めて、かも。

 その後、「日本で2番目に長い路線バス」の羅臼~釧路線のルポもあります。奈良交通の大和八木~新宮線との距離的な差はわずか1.2kmで、今後の道路事情の変化によっては、タイトルの逆転もあるかも。ただ所要時間は最大でも4時間、八木~新宮線は6時間30分程度かかるので、この所要時間の違いで、最長に肉薄する距離とは認識されないのかも知れません。テキストや写真を見る限り、直線は相当長くて走らせやすそう。くしろバスもだが、釧路市中心部は解らないけれど、郊外は渋滞はほとんど考えられず、気象の問題はあるが、全体的にはストレスなく走らせる事が出来そうで良いと思う。寿司ネタを運ぶとは知らなかった。
(釧路行の「市立病院前」の行先表示は、「釧路」の2文字がどこかに欲しい。遠方だと、釧路行をイメージしにくい)

 くしろバス、阿寒バスともドライバー不足を問題視しているが、そもそも過疎化・高齢化が進んでいるはずなので、養成以前に「なりたい」と思える人を集めること自体一苦労になるだろうと、やや心配ではあります。
 最後に、1970(S45)年の旧国鉄路線図を記し(この後白糠線は上茶路~北進間を延伸するが、10年足らずで廃線になる)、「鉄道ネットワークが失われてしまったのだから、バスへの期待は大きい」と結ばれています。ただ、くしろバス・阿寒バス両社は共同で様々な利用促進の施策を展開しているが、インバウンド対策もあって、2社だけでは限界でしょう。道東の交通事業者全てを巻き込んだ、総合的な施策が求められます。根室交通・斜里バス・北海道北見バス・網走バス、そしてJR北海道も。鉄道も、バスとの協調失くして、生き残れないのだから。

 インバウンド専門のドライバーの話は、今号は後編。今回は1ページのみで、小規模事業者では違法行為が相変わらず横行している現状があり、その他も交えて結論として、「バスサービスがトータルで利用者に提供されなければならないのに、現状では利用者側が常にチェックして行かなければならないのが、実は大きな問題点」と、和田編集長が記しています。まあこの部分は4年前の関越ツアーバス事故以来、何度も何度も繰り返し言われてきた事なのだけれど。
 観光バスの駐車場の問題は、確かに路上交通への影響も考えると早急な解決も必要だろうが、都心だと地価の問題もあり、目的地の近くに充分なスペースを確保できる所があるだろうか。
 前後編通じて気になったのは、前回も記した事の繰り返しだが、事業者内部のドロドロした人間関係の存在。特に貸切バスの配車の部分。ここでは記されていなかったが、私が私鉄勤務時代に労組幹部から聞かされた事があるけれど、通常は年配のベテランが新車で、若い人はやや古い車両をあてがわれる、のが普通。なのだが、会社によって労使・労労関係がイビツだと、会社に近いドライバーに新車、会社にとっては「嫌われ者」のドライバーには古い車両、となってしまっている所もあると聞いた。路線バスでも「担当者制」の事業者ではたまにあるそうで、私個人は、そんな事が起こるなら、貸切はともかく路線バスは「無担当者・ダイヤ制」にして公平な配車にすればいいだろうにとか思ったものです。いずれにしろ、どんな業界でもそうだろうが、特に交通事業者で人間関係を陰湿にしてしまうと、安全運行の確保に悪影響を与えるのは、過去の旧国鉄・JRの例を見ても明らか。とりあえず会社の内部では、この辺を心して、人事面で気を配って欲しいと思います。

 エルガミオの市販第一号は、一畑バスと発表になりました。今号刊行直前の6月24日、一畑バスが公式Webで発表済み。松江と出雲に1台ずつ。今月中旬から営業運行開始予定との事。
 はとバスのアストロメガは、ベースの黄色を塗り直したのか。確かに前号を見ると、やや薄いかなと感じます。
 熊本地震は、今号はとりあえず読者からの投稿が中心になりました。熊本電鉄の新エアロスターは新色か。産交バス木山営業所は施設もそうだが、ドライバー自身が被災したため必要な数を確保できず、担当路線のほぼ全便が運休になった時期もあったよう。熊本もさる事ながら、大分も訪問者が激減して大変とか。私自身、実は大分はほとんど訪れた事がなくて申し訳なく思っています。次に熊本へ行く機会には、大分へも足を延ばします。
 クアラルンプールのBRT、EVの専用車両はともかく、専用の高架道路は、「ゆとりーとライン」には批判的だったバスラマ誌的にはどうなのだろうか?写真で見る限りは、駅側に改札があるのが異なる点と見えます。

 次号の事業者訪問は広島バス。ところで、イギリスのEU離脱決定は、彼の地のバス業界には何らかの影響を与える事になるのか。その辺は記される事になるのでしょうか。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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