関西圏の私鉄・地下鉄・バスの磁気カード共通乗車システム「スルッとＫＡＮＳＡＩ」の終了が１日、発表になりました。
来年（2017（Ｈ29）年）３月いっぱいで全ての発売を終了、再来年（2018（Ｈ30）年）１月いっぱいで使用も終了するという事です。
これ以降、手元に残ったカードの取扱いについては後日別途通知、との事。
「スルッとＫＡＮＳＡＩ」は1996（Ｈ８）年３月20日、阪急電鉄・阪神電鉄・能勢電鉄・北大阪急行・大阪市営の５者でスタートした、ストアードフェア式磁気カードの相互利用システムです。以降徐々に加盟事業者が拡大して、関西圏の私鉄・地下鉄・バスをほぼ網羅する一大ネットワークとなりました。
事業者の垣根を越えた広域共通カードの考え方は、後の関東の「パスネット」や、名古屋圏の「トランパス」などにも多大な影響を与えています。
また、この結びつきを利用し、各種割引切符の発売やイベントの開催など、利用促進の試みも様々行われました。関西圏以外だと「２day/３dayチケット」は馴染みでしょう。
各社様々なデザインで、利用者やファンを楽しませてくれました。以前にも書いた阪神電鉄のタイガースのカードは、ファンも多かったのではないでしょうか。
2004（Ｈ16）年に新ＩＣカード「PiTaPa」がスタート。ただ、このカードは後から利用を請求するポストペイ方式で、クレジットカード入会を必須とするため、すぐに磁気カードを置き換えるものとはならず、なおもさまざまな磁気カードの発売は続きました。しかしこの数年は各種交通系ＩＣカードの普及が進み、３年前に全国相互利用が始まった事で、さすがの「スルッとＫＡＮＳＡＩ」」も終わりが噂されてきました。
「ＰｉＴａＰａ」の普及も無論あるが（カードの性格からか、展開はややスローモーだが）、ＪＲ西日本のプリペイド方式ＩＣカード「ＩＣＯＣＡ」を近鉄や京阪、大阪市などの「スルッとＫＡＮＳＡＩ」加盟事業者が相次いで発売を開始した事が大きいだろうと思います。独自のＩＣカード「hanica」を導入した阪急バスなどは、先行して「スルッとＫＡＮＳＡＩ」を含む磁気カードの利用を終了していました。関西圏でも、磁気カード離れが進みつつある状況だったと言えます。
ただ、これも会社ごとの個性を重視する関西らしいというのか、全事業者が一斉に磁気カードを止めるのではなく、阪急・阪神・能勢・北大阪の４社は来年４月以降、新ブランドの磁気カードの発売を開始します。
具体的な内容（名称・金額など）はまだ明らかではないが、このカードは、この４社の範囲でのみ共通利用が可能になります。
（私としては、発売額に注目しています。特に、プレミアが付くかどうか。でないと限定的な範囲に留まる磁気カードは、今や全国で使えるＩＣカードに対する優位性がない）
また阪急「ラガールカード」・阪神「らくやんカード」・能勢「パストラルカード」・北大阪「レジオンカード」は、再来年２月以降も、この４社の範囲でのみ利用が継続されます。
（「スルッとＫＡＮＳＡＩ」でも、他社のカードは大阪モノレール「モノカード」以外は不可）
この４社は、システムスタート時のメンバーでもあります。「スルッとＫＡＮＳＡＩ」は阪急が音頭を取ってスタートさせたので、それ故磁気カードへのこだわりが強いのかなあとかとも思うのだが、安易にＪＲのカードシステムに乗りたくなかったのかも知れない。ただこれで来年４月以降、４社で直通がある大阪市・山陽・近鉄などで混乱が起きないかなあという懸念は若干あります（特に北大阪→大阪市営）。
ＪＲ東日本の「イオカード」、ＪＲ西日本の「Ｊスルー」、ＪＲ九州の「ワイワイカード」、それに関東の「パスネット」、名古屋圏の「トランパス」、西鉄の「よかねっとカード」など、ストアードフェア式の「第二世代」の磁気カードは既に自動改札機での利用が終了、一部で自動券売機での利用や払い戻し業務が残るのみです。
これで磁気カードが完全になくなる訳ではなく、先に挙げた４社以外でも、地方のバス会社ではまだシステム的に簡単な磁気カードが普及しており、しばらくは地域限定で磁気カードを見る事は出来るでしょう。
しかし、その施策が全国的に多大な影響を与えた「スルッとＫＡＮＳＡＩ」の終了は、いよいよ日本の交通における磁気カード時代の終焉が、すぐ間近に迫っている事を感じさせるものとなりそうです。
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《今日のニュースから》
１日 軽井沢ツアーバス事故遺族 旅行会社の団体と意見交換
２日 川越 菓子屋横丁 昨年全焼の菓子店営業再開
３日 サンフレッチェ広島浅野拓磨 アーセナル完全移籍発表
今月もまた、国際テロで始まってしまいました。犠牲になられた方々にはお悔みを申し上げます。でも、もうイヤ…。