№1513 思い出の海外旅行クロニクル 22.2003年ハンガリー 6<終>

 2003(H15)年のハンガリー旅行、最後にハプニングはあったものの、大きなトラブルはなく、無事に終わりました。
 最終回はいつもの通り、ハンガリーの鉄道車両と、ブダペスト市内の三大ターミナルの画像をご覧頂きます。またいつもの通り、当時感じたハンガリーの鉄道の印象と、ハンガリーそのもののパーソナルデータを記して、完結とします。

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 ハンガリーの基幹鉄道事業者、ハンガリー鉄道(MÁV Magyar Államvasutak Reszvenytarsasag)のシンボルマーク。当時は政府100%出資の株式会社でした。

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 V43型EL。当時のハンガリーの電化区間なら必ず見られたタイプ。ハンガリー版EF65?GySEVにもいます。

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 入換用と思われる、V46型EL。

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 V63型EL。これはあまり見かけなかった。

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 1047型。シーメンス社製の「ユーロスプリンター」。

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 M41型DL。落書きが残念…。

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 M43型DL。入換用でしょう。

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 一般的な客車。これは1等車。

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 近郊タイプで、プッシュプルトレイン用に運転台付き。

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 IC用客車。

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 GySEVの近郊客車。GySEVは客車も機関車も、基本的にはMÁVと同型です。

 ブダペスト中心部には3つのターミナル駅があります。ターミナル間は地下鉄・路面電車・バスなどで移動します。

ケレティ(東)駅
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 三大ターミナルでは最も主要な駅。1884(M17)年開業と古い駅。国際列車の大半はこの駅の発着でした。
 他ターミナル駅への移動は、ニュガティ駅へはトロリーバス73系統が乗り換えなしで良さそうでした。地下鉄なら2号線と3号線をディアーク・フェレンツ広場で乗り換え。
 デリ駅へは地下鉄2号線で一本。

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 右手は近郊区間の券売機。左手はインフォーメーション。

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 切符売場。

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 構内案内図。左側、真ん中の4線がドームに収まっています。

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 両替。

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 売店。

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 寝台券の発売窓口。

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 上の4枚は夜間に撮影しました。ルーマニアの寝台車が停車していました。これまでご覧頂いたように、ハンガリーでは東欧各地からの長距離列車が多数運行されています。

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 中央部のドーム。

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 発車案内表示。

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 ホーム。

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 最後に、夜のライトアップ。

ニュガティ(西)駅

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 ギュスターブ・エッフェルの設計だそう。大きなガラス張りのファサードが印象的。東部の大平原の方へ行く列車が発着します。
 デリ駅へは、駅前を行き交う市電4・6系統と18系統をモスクワ広場で乗り継ぎ。モスクワ広場からは歩きでもそんなにはかかりません。地下鉄だと、やはり3号線と2号線を乗り継ぐ。

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 ニュガティ駅のコンコース。

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 長距離切符売場。

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 時刻表は白い紙に、路線別に時刻が掲載されています。

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「エキナカ」。

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 この駅も中央部はドームです。ケレティと違って三角屋根になっています。

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 ホーム。

デリ(南)駅

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 前の2駅がペスト側にあったのに対し、三大ターミナルでは唯一ブダ側にあります。唯一近代的なコンクリ造りだが、中はどこか殺風景で、正直あまり好感は持てませんでした。本来は南部への列車が発着するが、私が訪れた時はなぜか、オーストリア方面行の列車が発着していました。

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 コンコース。天井が低い。

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 切符売場。円形なのが特徴。

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 発車案内表示。

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「エキナカ」。

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 ホームに面した側にも、売店が見られます。

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 最後に、ホーム。ペスト側2駅よりは開放的な気がします。中央の赤いELの列車が、この後乗り込むミュンヘン行EC「バルトーク・ベラ」号。

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 今回利用した、「イーストレイルパス」。ハンガリーの他、オーストリア・チェコ・スロバキアの鉄道が乗り放題になります。

 以上、ハンガリーの旅について記しました。
 それ以前の2回の訪問も加えて、ハンガリーの鉄道について知った事、気づいた事、思った事について記してみます。

1. 列車の種別は、基本的にはインターシティ(IC)とセベスヴォナート(S)の2本立て。ブダペスト~ニュイーレジハーザ間には最上級のインターシティ・ラピッド(ICR)が設定され、一部支線ではIC接続のインターピチ(IP)が運行される。

2. 幹線区でも運転本数はそれほど多くはないし、地方の支線区ではかなり少ない。ブダペスト一極集中の傾向があり、地方都市同士を結ぶ列車も少ない。

3. オーストリアに向かう幹線では150㎞/h運転も行われるが、全体的には線形が良い幹線区であっても、スピードはそれ程出ない。

4. 列車は客車列車が中心で、S以下ではプッシュプルトレインや、動力集中タイプの編成も見られる。支線区ではレールバスも多用される。ICがともかく、S以下では車両の整備状態が良くなく、接客面だけではなく、安全面でも問題と思われる部分が多々見られた。

5. ダイヤは正確さにおいて、多少不安定な面が見られる。慢性的に大幅な遅延が発生する訳でもないが。

6. 地方の駅では、趣のある佇まいの駅舎もあれば、コンクリ造りの殺風景な所もありと、全体的にチグハグ。停留所的な駅では、何故か車道がホームを分断している所が多い。

7. 運転面での自動化はほとんど進んでいない。支線区では腕木式信号機が多用されていて、信号現示やポイントの切り替えなどで、かなりの人手を要しているようだ。

8. 地理的に東欧各国の鉄道網の中継地の役割を担い、各国の車両の長距離列車を多数見かける。オーストリアとの結びつきが強く、南部では相互乗り入れを行っている。

9. 南部とブダペストの近郊に私鉄が存在する。地下鉄はブダペスト、路面電車は加えてミシュコルツでも運行されている。バス・トロリーバスも含め、都市交通は全体的に初発も最終も早い。この他、全国各地にナローの「農園鉄道」が存在する。

10. 女性の職員が多く、特に地方で目立つ。運転の現場でも良く見かけた。

11. 首都ブダペストから主要都市までの運賃。2等で、乏しいハンガリー語などを駆使しながら筆談で聞いたので、ひょっとしたら異なるかも知れません。ご了承ください。あくまで目安としてください。レートは2003(H15)年11月29日現在。日本の感覚では、やはり大分安い。

エステルゴムまで 53㎞ 436HUF(≒220円)
シオーフォクまで 115㎞ 990HUF(≒450円)
ジェールまで 141㎞ 1160HUF(≒580円)
ミシュコルツまで 183㎞ 1666HUF(≒840円)
デブレツェンまで 221㎞ 1918HUF(≒960円)
ニュイーレジハーザまで 270㎞ 2184HUF(≒1090円)

 最後にいつもの通り、ハンガリーそのもののパーソナルデータを記しておきます。
(帰国日の2003(H15)年11月29日現在)

正式国名 ハンガリー Hungary
面積 約93,030平方㎞ (日本の約4分の1)
人口 約1016万人(2002年)
政治体制 共和制
国家元首 マードル・フェレンツ大統領(無所属)
※現在はアーデル・ヤーノシュ大統領(フィデス=ハンガリー市民同盟)
政治指導者 メッジェシ・ペーテル首相(無所属)
※現在はオルバーン・ヴィクトル首相()
首都 ブダペスト(人口約177万人 2003年)
国連 加盟(1955(S30)年)
EU(EC) 加盟(2004(H16)年)
NATO 加盟(1999(H11)年)
ユーロ 未導入 (通貨=フォリント(HUF) 1HUF≒0.5円)
言語 ハンガリー語
主な観光地 ブダペスト市内・ショプロン・バラトン湖など
日本からのアクセス 日本からの直行便は運航されていない。

 初めて旧共産圏の国の鉄道を本格的に訪ねた訳だが、率直な印象としては、西側、特にドイツやフランス、ベネルクス当たりと比べると、レベルが落ちるなあというのが本当の所。それは帰りにミュンヘンを経由した時に感じた事でもあります。
 でも、何もかもがダメダメという訳ではないし、穏やかな田園地帯の風景を存分に楽しむ事もできました。全般的に霧が多かったのは残念だが、それがハンガリーという国なのでしょう。「農園鉄道」「子供鉄道」と、西側にはない鉄道に乗れたのも、良い経験だったと思います。
 このあとブダペストの市電に「コンビーノ」が導入されるなど、ハンガリーの鉄道もまた、少しづつだろうが良い方向に向かっているのかと思います。国そのものの政治的・経済的な問題は懸念材料だが。いつか再訪して、その変化を確認できればと思っています。その際は、同じ東側のチェコやスロバキア、ポーランド当たりとセットで行きたいと考えています。同じ旧共産圏でも、何か違いを見いだせるでしょうか。

  当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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《今日見た・聞いた・思った事》

 熊本地震に関しては、私は阪神淡路大震災や東日本大震災同様、しょせん「傍観者」でしかないから、今の時点でああだこうだいうのは控えたいと思います。ともかく、被災された皆様が早く通常の暮らしに戻れる事を願います。
 そのためにも、公共交通の復旧が急がれます。でないと、熊本県外から被災地や熊本市に入る公共交通が今の所ないので。しかし今の時点では、JRの新幹線、在来線、高速道路(高速バス)、航空はいずれも被害が甚大で、今日明日どうにかなるものではなさそうです(高速バス〔ひのくに〕は、明日午後以降の運行再開を協議するらしいが)。新幹線は、GWには間に合わないと思ってよさそうです。とりあえず、鹿児島本線の荒尾~熊本間の再開が望まれる所ではないでしょうか。支援物資の輸送のためにも。
 日本だけではなく、エクアドルでも大地震が起きて、死者が多数出ているそうです。思えば5年前もニュージーランドから始まり、東日本→タイ・ミャンマー国境→スペイン→アメリカと地震の連鎖反応が起きました。起きる時は起きる、のでしょうか…。

 今日は全国的には大荒れの天気だったようです。懸念された熊本は幸い大した事は無かったようだが、関東地方は風が強く、電車が止まったり遅れたり、成田空港では強風で到着便の関空やセントレアへのダイバートが相次いだようでした。

《今日のニュースから》
16日 フランシスコ法王 ギリシャ・レスボス島を訪問
17日 群馬県南牧村 星尾諏訪神社御柱祭 境内の御柱を立て替え