№1447 全国路線バス大百科(講談社ビーシー/講談社)

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 大分前になるが、「バスマガジン」のスペシャルとして、全国の路線バスを集めた写真集が刊行されているので、ここで取り上げます。

 高速バスや定期観光バス、コミュニティバスはほとんど除外し、一般の路線バスのみにほぼ特化して「主要147社」を取り上げています(函館バスあたりが漏れているな。コラムで出てくる事業者もあります)。各事業者の昔の車両も少なくなく、このカラーは見た事がないなという車両も少なくないし、一方で日東交通、関東バス、江ノ電バス、京都市営、京都バス、日本交通、大分バスなど、昔から変わっていないなあという会社もあります(車両の年代にもよるが)
 ラッピング車は広告車は外し、事業者の戦略的なラッピングは掲載もあるとの事で、ルパン三世(くしろバス)、ヤマノススメ(国際興業)、リラックマ(立川バス)が見られます。となると、最近バス事業者でも増えている、自社の「ゆるキャラ」をまとった車両が並んでも良かったかもしれません。小田急の「きゅん太」、神奈中の「かなみん」など。

 無論全部は並べられないにしても、事業者によっては、比較的ベーシックなのに「このカラーは漏れてしまっているなあ」というものも、いくつかありました。箱根登山バスはトップに来るべき現行のオレンジ&クリームがなぜかなかったし、ことでんバスも「ことちゃん」が描かれた現行の水色ベースのカラーがない。越後交通の「ハイライトカラー」や、新京成バスの船橋色・旧習志野色、和歌山バス那賀色あたりはあっても良かったかなと思いました。北陸鉄道はTOPが小松バスでグループのメインのデザインとは言えないものだし、相鉄バスの茶色系の旧塗装(80年代前半まで位の)の写真が2枚とも新型車の復刻車両だったりしました。一方で同じカラーで年式も似ている車両が重複して並んでいる事業者もあり、バランスが悪い部分も見られました。事業者の規模がスペースと必ずしも比例していない部分もあり、この辺は一考の余地があっても良かったと感じます。

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 南海バスは現行カラーの一つ前は緑ベースになっていて、復刻車も走っている(写真もある)が、その前のクリームと茶色は初めて見ました。和歌山バスの旧塗装と同じで、元々は同じ南海電鉄のバスだった名残という事でしょう。また過去には岩手県交通、最近ではいわさきコーポレーションが、複数の事業者が合併したり、グループに統合された事で成立した経緯があり、合併・統合前の事業者のカラーも並んでいて、それぞれの事業者の歴史をカラーから眺める事も出来るでしょう。

 後半はバス事業者の変遷に焦点が当てられ、国鉄バス→JRバスや、民営化された公営バスに関しては割と詳しく記されています。
(尼崎市営バスは2016年4月1日予定と記されているが、3月20日より阪神バスが運行と発表になっている)
 その一方で純粋な民営バスは簡略化された印象があり、個人的には、特に地域分社について詳しくやってもらえればと思いました。形態も様々、程度も様々だし(本体の受託の有無とか)、元に戻った例、再度再編成を行った例もいくつかあり、事業者サイドから見た事情も知りたいので。
 後はバスの裏話的な読み物、でしょうか。私は、車掌が乗ったバスに子供の頃かろうじて乗った記憶があるが、若い人だと、「バスに車掌なんてあったの?」なんて驚くでしょう。鉄道でさえどんどんなくなっているのに。  色々他にもあるけれど、カラー写真がふんだんに並べられて見るだけでも楽しいし、これからバス趣味を始めたい、という向きには楽しめる一冊ではないでしょうか。昔はいい時代だったなあと、私は感じました。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 昨年末のエアアジア機墜落事故について1日、インドネシアの国家運輸安全委員会が調査結果を発表しています。
 当初は悪天候が背景とされ、コクピットクルーがそれを避けようとした事が原因と見られていたが、そうではなくて、整備不良の結果警告が何度も出され、クルーはそれに対処ししようとしたが、本来機首を下げるべき所、誤って機首を上げたため失速し、墜落につながったという結論になっています。委員会はエアアジアに対し、危険な状況における訓練を行う勧告を出したとの事です。
 あくまで私的な印象だが、コクピットクルーの対応も問題だったのだろうが(一瞬、21年前の中華航空機事故が頭をよぎったのは私だけ?)、それ以前に機体制御コントロールの部品に亀裂が入っていて、1年間で23回も警告が発せられていたのに、整備が十分に行われていなかった、そっちの方が大問題なのではないか?と感じました。何故かこの部分を問題視する外部の論調が、ほとんど聞こえてこない気もするのだが。
 この一件を持ってただちに「LCCは危険」などという方向に持っていくつもりは毛頭ないが、LCCの安全運航の体制全般は、外部も普段から関心を持つべきではないでしょうか。ブームを炊きつけるだけではなくて。それにしても、LCCに限らず東南アジアは全域で航空の分野では様々問題が多そうで、タイではアメリカのFAAがタイ航空当局の安全評価を格下げしたとの報道もあり、6月のICAOの勧告で運航に制限がついた事もあって、さらにイメージを悪化させたとの懸念もあるようです。先にはインドネシア国内線の墜落事故もあったし、それぞれのお国柄もあるのだろうが、何とか状況の改善が図られないと、一国だけの問題では済まなくなる。ASEAN経済共同体発足も控えているし、国を越えた航空輸送の状況の改善に向けた協力が求められるのではないでしょうか。

 どうもJR東日本の首都圏エリアでこの数か月、いただけない事態が相次いでいます。横浜線の一件は、柱が折れるほど架線を引っ張る力が強かったのか?E235系のトラブルもはっきりイメージダウンだし、ひょっとしたら、JR北海道に似た問題が、会社の内部に潜んでいるのか…。

《今日のニュースから》
 2日 英議会 シリア空爆を承認
 3日 化血研 血液製剤不正製造 厚生労働省立ち入り検査