№1443 2015年冬 国際線ダイヤ総整理.3
今冬シーズンの日本発着国際線を整理するシリーズ、3回目(終)はアジア地域以外です。長距離路線が中心です。
6.オセアニア・ミクロネシア
QF … カンタス航空 JQ … ジェットスター NZ … ニュージーランド航空 PX … エア・ニューギニ TN … エア・タヒチ・ヌイ SB … エア・カレドニア・インターナショナル DL … デルタ航空(USA) UA … ユナイテッド航空(USA) KE … 大韓航空(韓国) TW … ティーウェイ航空(韓国)
オセアニアは、現状はほとんどオーストラリア路線になるが、意外に少ない印象があります。シドニーなんて、もっと便数があっても良さそうなものだが。12月11日にANAが羽田~シドニー線を就航(シドニー乗り入れは再開)し、QFと真っ向勝負になります。 一方でJQの便数が増えてきていて、レジャー中心に需要が動いているようでもあります。しかし長距離なので、ナロー機のみの日本側LCCは、今の所就航予定はなさそう。
かつてはQFのパース路線なんてあったりもしたが、現在は東海岸に集中しています。
時差が小さいからか、往復とも夜行便が多いのが特徴か。
ミクロネシア、特にグアム・サイパンはアメリカのキャリアが大半だが、DLは旧ノースウエスト、UAは旧コンチネンタル・ミクロネシアの流れを継いでいます。
関空~グアムは韓国のキャリアの就航があります。KEは関空のナイトステイの合間を利用して週3便、またLCCのTWの就航も注目される所です。
ヌメアとパペーテはどちらもフランス領、以前はAF便がパリから成田経由で就航していました。
7.欧州・ロシア・中東・アフリカ
OS … オーストリア航空 SK … スカンジナビア航空 AY … フィンエアー AF … エールフランス航空 LH … ルフトハンザ・ドイツ航空 AZ … アリタリア・イタリア航空 KL … KLMオランダ航空 LX … スイス・インターナショナル・エアライン TK … ターキッシュ・エアウェイズ BA … ブリティッシュ・エアウェイズ HY … ウズベキスタン航空 SU … アエロフロート・ロシア航空 S7 … S7航空 HZ … オーロラ航空 QR … カタール航空 EY … エティハド航空 EK … エミレーツ航空 ET … エチオピア航空
ロシアは、モスクワは欧州に入れても良いが、極東の都市は欧州とは言えないので、別に分けました。
まず、LOTポーランド航空が、1月14日(成田発着)より成田~ワルシャワ線を就航させます(12月号で初掲載)。成田発着月・木・土の週3便、B787。東欧からの定期便は初就航なので、大いに期待です。
この方面は、ANAの攻勢が目立ちます。特にドイツ路線。羽田で枠が優先して配分されたこともあり、羽田・成田からドイツへ1日4便飛んでいます。羽田シフトも目立ち、成田発着欧州線は、パリ線がシフトしたブリュッセル線と、デュッセルドルフ線のみ。
全体で見ると、ロンドン線が意外に少ない。2月にヴァージン・アトランティックが撤退、その代わりの就航がないので3社4便のみ、パリよりはるかに少ない。
KLの福岡~アムステルダム線は、1月3日で終了になります。2013(H25)年4月5日に週3便で就航、一時は週4便まで増えたが、今冬スケジュールでは週2便に留まっていました。AFとコードシェアを行っていたが、日本側にパートナーがいなかった事が苦戦の原因となったのか、2年も持ちませんでした。KLは以前、札幌経由名古屋線も運航していたが、こちらも短命に終わっていました。福岡は代わってAYが就航を表明しています(5月7日から週3便)。ヘルシンキでの欧州各地への乗り継ぎがセールスポイントと思われるし、JALとのコードシェアになるはずだが、集客面ではどうなるか。
欧州線は今後、13日のパリのテロの影響が大いに懸念されます。ベルギーにも飛び火したので、スタートしたばかりのANAブリュッセル線も心配だし、現在成田・関空発着3便のTKも、トルコを巡る状況からしたらどうなるか解らない。さらにシェンゲン協定の行方も、この方面に影響を与える要素になるかも。
ロシアの極東は、一昔前は新潟がゲートウェイになってTu154が見られたし、函館や富山の発着もあったが、極東は成田、サハリンは札幌がゲートウェイに変わりました。特にウラジオストックは日本企業の進出も目立つらしいので増便も期待したいが、簡単に行ける環境にない(ビザ必要)のが辛い所。
就航時、LCCと並んで話題になった中東各社は、ある程度落ち着いてきたようです。A380を就航させたEYは、現在はB777で統一されています。
アフリカはETの就航も話題となったが、一方でエジプト航空は日本路線再開の見込みが立たず、JTB時刻表からは抹消されました。こちらも政情不安定に加えてロシア機爆破テロの影響があり、当分は日本再就航はないでしょう。
8.ハワイ
HA … ハワイアン航空 CI … チャイナ・エアライン(台湾) DL … デルタ航空 KE … 大韓航空(韓国) UA … ユナイテッド航空
昔からJALが強くて、現在も3都市4空港から6便と最多です。しかし、かつてはもっと地方の都市からもデイリーの就航があったのだが、こちらも経営再建の影響で日本の都市が集約された上、コナへの乗り入れもなくなりました。機材もB747退役直後の一時期は、全便B767になっていました。B777-200は今後改修が予定されているが、リゾート路線なので、「SKY SUITE」とは違った仕様になるかと思います。「SUPER RESORT EXPRESS」の再来も期待したいなあ。
成田路線は第三国キャリアの就航もあります。CIは、昔は唯一の羽田路線で、成田発着の他社との差別化として、東京都心からの空港の近さをアピールしていました。KEはロサンゼルス路線からのシフトです。
今スケジュールでは、HAの仙台就航がなくなりました。
9.北米大陸
DL … デルタ航空 AA … アメリカン航空 UA … ユナイテッド航空 SQ … シンガポール線(シンガポール) AC … エアカナダ AM … アエロメヒコ航空
日米路線は昔から航空交渉がモメにモメる路線で、かつては以遠権とか、オープンスカイとかで何度も交渉が決裂した経緯があります。
現在の焦点は羽田の一般枠です。現在、羽田からのアメリカ路線はJALとUAのサンフランシスコ路線、ANAとDLのロサンゼルス路線で、全て深夜枠です。AAのニューヨーク路線が飛んだ事もあったが、短命に終わりました。特に日本→米東海岸だと、時差の影響で日本の出発とアメリカの到着がほとんど同じ時刻になるので、深夜枠だと日本側、アメリカ側、どちらかの時刻が悪くなってしまうのです。
ノースウェストのDL、コンチネンタルのUAとの合併により、基本的に日本側2社、アメリカ側3社の運航に落ち着いています。JALは12月1日よりダラス線が就航(復活)します。
ここもANAの攻勢が目立ちます。ニューヨークとシカゴ、ロサンゼルスはダブルデイリーとなり、8都市へ11便の運航、JALの6都市8便を上回りました。
かつてはKE・TG・MHやヴァリグ・ブラジル航空など、第三国のキャリアの就航が少なくなかったが、現在はSQのロサンゼルス線1便のみです。CIの(台北~)関空~ニューヨーク路線もなくなりました。
カナダは季節による変動が大きく、冬場は便数が少なくなり、AC(エア・カナダ・ルージュ機材)の関空~バンクーバー路線も設定がありません。
メキシコのモンテレイは給油のための寄航で、成田発はありません。メキシコシティが高地にあり、成田までの燃料を搭載できないためで、かつてのJALメキシコシティ線も、バンクーバー経由で飛んでいました。
B787が就航する路線が多くなりました。ボストン・デンバー・サンディエゴは、B787によって初めて日本路線が開かれた都市です。日本及び北米大陸の計7社では、DL以外は全てB787が就航しています。
全体的に、やはり東京(羽田・成田)一極集中の傾向にあります。JALの関空~ロサンゼルス路線が再開したが、あとはUAの関空~サンフランシスコ、DLの中部~デトロイトのみ。
以上、例によって舌っ足らずではあるが、日本発着国際線の冬スケジュールを整理し、分析も行いました。
11月1日現在では、43の国・地域の125都市(131空港)が、80の航空会社によって日本と結ばれています。
一般のニュースでも再三伝えられている通り、日本内外ともにLCC勢の躍進、中国地方路線の急増が、今冬スケジュールでも変わらない流れになっているようです。
一方で中東の紛争に加えて欧州のテロ、中国の経済の低迷などは、国際線の今後に影を落とすかもしれません。
今後への私なりの希望を並べると、まず全体の便数が増えてくるのは歓迎だが、もう少し日本路線が就航する「国」が増えて欲しい。関空開港時にはブルネイやネパール、南アフリカからの就航もあったのに、短期間で終わってしまっています。バングラディッシュやイラン、スペイン、ブラジルなどとの空路もなくなって久しくなりました。ミャンマーやエチオピア、来年のポーランド路線の就航は朗報だが、もっと多様化して欲しい。無論各国の経済規模や航空会社の体力、昨今の国際情勢などの問題もあって簡単には行かないのも事実だが。多い方が、写真を撮りに行く側としても楽しいし♪
それと特にLCC勢だが、付帯サービスの省略・有料化や受託手荷物などの追加料金はともかく、座席のゆとりだけは、何とか大手他社並みの設定にする事はできないものでしょうか?180席のA320で日本から香港まで約5時間を過ごすのは、一昨年沖縄まで乗った身にはちょっと考えさせられてしまいます。何度か書いているが、アメリカでは大手も含めてゆとりが失われつつある結果、機内のトラブルの激増が連日現地のニュース報道を賑わしています。これは巡り巡って、キャリアそのものにも損失になるはずです。未だLCCがブームとなっている今こそ、再検討をお願いしたいと思います。
ともあれ、海外旅行が日本であろうと海外の国々であろうと憧れである以上、それを支える国際線航空便の役割は、旅のイメージを左右する上でも重要です。どのキャリアもそれを今一度、解っているだろうとは思いたいが再度認識して、ダイヤやサービスの改善に努めて欲しいと願います。
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24日 海外衛星搭載H2Aロケット 打ち上げ成功
25日 衆議院選挙「1票の格差」は違憲状態 最高裁判断