№1440 私鉄名車列伝 129.京王電鉄7000系

「私鉄名車列伝」、今回は京王電鉄7000系です。
 地味な系列だと思っていたのだが、この十数年で外も中も大きく変わりました。

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 7000系は、1984(S59)年より製造された通勤車である。各駅停車で運用されていた非冷房の「グリーン車」2010系置き換えを当初の目的として製造された。
 京王線系統では初の全ステンレス車体となったが、基本的な寸法は6000系に準じており、戸袋窓も残されている。前面は車掌側も窓を拡大して左右対称となった。前面と側面を突き合わせる淵部はFRP整形としている。前照灯は京王では初の角形シールドビームとなり、標識灯と一体のケースに収められた。
 性能的には6000系を踏襲していて、150kwの電動機を1C8Mで制御する電力回生ブレーキ併用の界磁チョッパ制御・電気指令式ブレーキを採用している。運転台も6000系同様のワンハンドルマスコンだが、分割・併合運用は想定しておらず、貫通路として仕切る事が出来る構造にはなっていない。


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 車内は平天井となり、冷房はラインデリアを併用している。座席は当初は茶色系で、ミシン目を入れて座席区分を明確にした。床は茶色とオレンジ色のツートンカラーとして、脚の投げ出し防止のため、フットラインを設けていた。

 当初は3M2Tの5連で製造され、1987(H62)年にデハ7050型1両を増結して6連化された。1986(S61)年には8連も製造されている。

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 1987(S62)年より製造された車両は、車号が20番台に飛び、車体がビードプレス仕上げとなり、前面の形態も若干変わった。前面下部と淵部はアイボリー塗装となり、0番台車両も同様に塗装された。1993(H5)年には4連、1994(H6)年には2連が製造された他、6連の一部は8連化、8連の10連化のための中間車両も製造され、最終的には1995(H7)年までに190両が日本車両・東急車両により製造された。

 2001(H13)年より車内のリニューアルが始まり、帯の色はエンジ一色→8000系・9000系に合わせたピンク+紺色のコーポレートカラーに改められている。車内は化粧板が張り替えられ、座席は区分を示す模様を入れた紫地(優先席は青地)に改められた。車椅子スペースも設けられている。ドア上にはLEDによる案内表示装置が設置された。
 この年から特急・急行の運用にも入るようになり、2連は9000系(0番台)に増結する10連運用も見られるようになった。


 2003(H15)年より、VVVF制御改造工事が始まった。改造は2期に分かれており、1期は6連・8連のMT比率の変更を伴い、M車の電装解除が行われている。同時に2連×2本・4連×2本がワンマン化改造され、2連は競馬場線、4連は動物園線で運用されている。

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 車内のリニューアルも深度化し、袖仕切りの設置、座席の色の変更、UVカットガラスの採用も行われている。

 2010(H22)年に始まった第2期は、編成替えや改番も伴う大規模なものとなり、6連×1本・8連×6本→4連1本・10連5本に組み替えられた。車内は座席がバケットシートとなり、10連の5本はドア上にLCDモニターを設置、また4連の1本では、LED表示のスペースのままでLCD化を行っている。
 2012(H24)年10月の7803Fを持って改造は終了し、京王電鉄は全営業車両のVVVF制御化を大手私鉄では初めて達成した。


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 動物園線用の7801Fは2011(H23)年に「Tama Zoo Train」と称して動物のイラストのラッピングが施され、さらに2015(H23)年には車内も改装され、1両毎に異なる動物をテーマとした内装が施されている。ワンマン車以外の編成は京王線内系統の各種列車で、8000系・9000系と共に運用されている。

【編成】
 Tc1 7700 - M1 7000* - M2 7050 - M 7000* - Tc2 7750 (新造当初の5連)
 Mc 7400* - Tc-7750*
 Tc1 7700 - M1 7000* - M2 7050* - Tc2 7750
 Tc1 7700 - M1 7000* - T 7550 - M1 7000* - M2 7050* - Tc2 7750
 Tc1 7700 - M1 7000* - M2 7050* - T1 7500 - T2 7550 - M1 7000* - M2 7050* - Tc2 7750
 Tc1 7700 - M1 7000* - M2 7050* - T1 7500 - M1 7000* - T2 7550 - T2 7550 - M1 7000* - M2 7050* - Tc2 7750

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 前後期2タイプがたまたま並びました。やや見づらいかも知れないが、正面の形態や、側面の外板の違いが分かって頂けるかなあと思います。

 一番上は8連時代の7713Fで、この後2両を他編成から組み込み、10連化の上7727Fに改番しています。
「地味な系列だな」と繰り返してしまうのはデビュー当時の外観からくるイメージもあって、撮影はしていないのだが、趣味誌などの参考文献などを見ると、正面は銀色地にエンジの帯のみ、スカートもなくて、アイボリー地の5000系・6000系に混じると、ステンレス車ながら今一つ目立たなかったかもなあという印象がありました。20番台から正面下部とFRP製の淵部をアイボリーに着色したのは、京王自身もそう感じたのかも知れません。
「Tama Zoo Train」は、現状では編成単位での撮影が極めて困難です。動物園線を乗られた方は解ると思うが、高台を走る上に、線路際に立ち入れる場所がありません(踏切もない)。また、高幡不動駅は改築により大きな橋上駅舎となったため、ホーム上に地盤が広がって暗く、多摩動物公園駅は島式ホームのため編成全体を見る事がほぼ無理です。可能性があるとしたら、多摩都市モノレールの程久保駅からでしょうかね?

 今回の記事は
「私鉄の車両17 京王帝都電鉄」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1993年7月臨時増刊号 【特集】京王帝都電鉄」
「鉄道ピクトリアル2003年7月臨時増刊号 【特集】京王電鉄」
「鉄道ピクトリアル2014年7月臨時増刊号 【特集】京王電鉄」
(いずれも鉄道図書刊行会)
「トラベルMOOK 京王電鉄の世界」(交通新聞社)
「京王電鉄完全データ」(メディアックス)
小冊子「京王の電車」(京王電鉄広報部2001年3月発行)
などを参考にさせて頂きました。
 次回は小田急のロマンスカー、VSE50000形です。気づけばデビューからちょうど10年になりました。ロマンスカーのフラッグシップ、ではあるのだが、数が増えないですね…。

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 明日の晩、本体の更新を行います。旧明石市営バスの画像を再公開します。末期の時刻表と路線図も追加しました。東急バスでエルガミオの画像を追加した他、「ア・ラ・カルト」の「県庁所在地を走るJRバス」を再公開します。福岡市のJRバスも公開を始めます。

《今日のニュースから》
18日 丸川環境大臣 福島第一原発を視察
19日 教育関係NPO法人 自民党支部に献金 政治資金収支報告書が公表