№1438 元近鉄ナロー 日帰りで訪ねて<後>

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 近鉄から転換された三重のナロー路線。もう一方は、今年4月にスタートしたばかりの四日市あすなろう鉄道です。北勢線以上に苦しい経営になるのではないかと思うのだが、新車両がデビューしたばかりで、やる気も伺えます。午後はこちらを訪ねました。

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 桑名から四日市まで近鉄で移動。普通電車に乗り、川越富洲原でアーバンライナー退避。近代的な橋上駅舎に改築され、南口広場が出来ました。

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 あすなろう四日市駅。
 24年前の近鉄時代と大きく異なるのは、自動改札機がなくなって、柵で仕切られるようになった事。切符も磁気券ではなくなっています。近鉄から切り離され、連絡運輸もないので、コスト削減という事でしょう。

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 名古屋線の高架の下にあるホームは、近鉄時代と変わりません。

 内部行に乗車。泊で新車両と交換。内部線も北勢線同様、編成全体を撮れる場所があまりないのだが、南日永駅に近い踏切からだと、何とか架線柱をクリアして、編成全体が撮れそうです。徒歩で戻って、四日市から折り返してくる所を狙ってみました。

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 新車両161F。両端の161・261号は近鉄時代からの車両の改造、中間の181号は完全な新車。しかし、違和感は全く感じません。事前の印象以上に本格的です。
 一方で正面の行先(運転区間)表示がサボに先祖帰りなのが面白い。これもコスト削減対策か。系統が2つしかないから、これで十分、なのでしょう。
(以前の区間表示部は「ワンマン 四日市あすなろう鉄道」で固定 側面は3色LED表示)

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 内部線のもう一運用は内部で入れ替えになり、開業記念ラッピングの163Fが来ました。

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 南日永駅は、駅名票以外は近鉄時代とあまり変わりません。ただし、近鉄時代に既に無人化。
 四日市まで戻る電車が、新車両でした。

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 その車内。これは181号。1ドアで、オフセットになっています。左右で座席の向きが異なっています。床置式の冷房を搭載したので、車内の擬装はやや苦心した所が、編成のあちこちで見受けられます。

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 座席は新調されました。取っ手がハート形。

 今回は全線は乗らなかったので大した事は言えないが、三岐北勢線と比較すると沿線の人口は多そうで、潜在的な需要は無くはないのではないか。ただ、ここは三重交通バスがほぼ全線で並行していて、南日永で言うと、近鉄四日市駅と笹川団地を結ぶ系統が15分おきで走っていて、と言ってこちらは現在の設備(線路配線)では現状以上の増発は無理、フリークエンシー的には分が悪いかなと。
 意欲的な新車両は買えるが、もうひと押しして、LRT的な超低床車両は導入できないかと(部分超低床で良いので)。北勢線にも共通するが、特に駅施設が中小鉄道のナロー路線としてはやや立派過ぎる感があり、維持・管理が今後の経営の負担になりはしないかとの懸念があります。超低床車両とすれば駅施設も電停的な小規模なもので済むし、増設も容易になるでしょう。バリアフリー対策にもなるし。
 三岐北勢線、四日市あすなろう鉄道の今後は、路線そのものに限らず、ローカル鉄道、ひいては地方交通の在り方そのものにも影響を与えるだろうと思えるので、その行方は今後も注目されるべきと思います。

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 帰りは四日市からJR。しかしこの駅、近鉄と違ってただでさえ町外れにあるうえに、駅自体がなんだか貨物駅みたいな雰囲気。一応バス路線はあるけれど、待機しているバスの台数程は便数は多くはない。
 三重県のバスは基本的に三重交通の独占だが、一番右に三岐鉄道のバスが見えます(小さいかな?)。山城駅まで約30分毎に便があります。

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 とはいえ一応特急〔南紀〕も停車する、JRの東海の中でも主要駅、のはずなのだが、駅員終日配置ではないんだ。かなり前に旅行センターも閉店しているし(未だ張り紙が残ったままだ)、冴えないなあの印象が否めない。
〔南紀6号〕が20分以上の遅れ、後続の快速2312Mも5分程度の遅れで来ました。

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 快速2312Mは4連。ワンマン仕様の2連×2で、車掌が乗務しています。

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 行く手に名古屋市の高層ビル群を見ながら快走。ただし、大半が単線区間。

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 春田駅で下り快速の待ち合わせのため、運転停車。
 名古屋→桑名の時にも感じた事だが、列車本数が増えてきているのに複線化がほとんど行われていないのは、名古屋に直接発着する本線としては問題ではないか?せっかく快速を増発しても、運転停車の繰り返しになっては効果も半減してしまう。名古屋~桑名間は1時間当たり、快速〔みえ〕、電車快速に普通が2本、これに〔南紀〕や貨物列車も加わるので相当タイトだと思う。無論鉄橋を架けたりしなければならない所もあるが、複線分のスペースが確保されている部分も少なくないし、できる所から複線化を手掛けるべきではないか?八田付近も、高架化を行った時点で、複線化をやっておけば良かったのに、と悔やまれてなりません。JR東海だったら、在来線短区間の複線化位わけないのでは?リニア新幹線を全線自腹でやるのだから。

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 それでも、その八田付近で近鉄名古屋線の準急を追い抜きました。
 待ち合わせパターンの変更もあって遅れを取り返し、名古屋は定刻に着きました。

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 小田原停車の〔ひかり528号〕。いつも乗る〔532号〕より2時間早い列車です。秋分の日を過ぎると、日が暮れるのが一気に早くなります。17時を過ぎたばかりなのに、東に向かって突っ走るうちに、外は一気に真っ暗。

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 小田原で大量に下車。
 今日は6時過ぎにここから新幹線に乗って、約13時間で戻って気ました。いつになく慌ただしい1日でした。
 また機会があれば、今度は北勢線もあすなろう鉄道も、全線乗り通したいと考えています。特にあすなろうは、どこまで変わる事になるでしょうか。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 今回のパリの大惨事は…。
 この一年、年明け早々のパリの新聞社襲撃事件に始まり、ギリシャの財政とか、難民大量流入とか、フランスに限らず欧州全体が、「一難去らぬうちにまた一難」の繰り返しに明け暮れてしまった感があります。今年はまだ一ヶ月半残っているが、この先クリスマスまでの間に、安寧の時は戻ってくるのでしょうか?
 フランスというのは過激?なお国柄のせいか昔からテロへの警戒心は強かったようで、19年前の長真弓さんの著書にも「リール駅でのパスポートコントロールはやたら厳重で、コンピューター照合までされた。デパートなどでは入口で所持品検査を行っていて、テロに怯えるフランスを象徴しているようだ」と記されています。私自身も、シャルル・ド・ゴール空港などで、マシンガンを抱えた警備兵を見かけたのは一度二度ではありません。
 繰り返しになってしまうけれど改めて思うのだが、欧州、特にEU圏では「国境」を中心に、「理想」が「現実」に敗北しつつあるのではないでしょうか。それもかなり酷い形で。この事件でフランスも国境を閉鎖(航空便や国際列車は普通に動いているらしいが)するとか言っているし、元々難民問題で「自由な行き来」がかなり怪しい状況になりつつあるのに、欧州はこの先どこへいってしまうのだろうと、ヨソ者ながら不安を感じずにはいられません。人心もどこか荒廃しつつあるようにも感じるし(一部だけだろうと思いたいが)。
 とりあえず、月末のCOP21が行えるかが大問題でしょう。温暖化問題がはっきり待ったなしの状況にあるのが解っているのに、会議そのものが行えない状況になったら一大事です。
 さらに日本は来年伊勢志摩サミットがあります。サミット会議場だけの問題ではないです。2005(H17)年の英グレンイーグルスサミットでは、ロンドンで爆弾テロがありました。恐らく、東京や大阪などの主要都市は、過去に例がない位の厳しい警戒態勢が取られる事になるのでしょう。こんなのは本当は勘弁なのだけれど、テロで命を落とすよりは遥かにマシと、今の内から覚悟を決めておかなければならないのでしょう。
(近鉄はどうするのだろう?)
 ともあれテロに怯えないで、穏やかに過ごせる世界が早く戻ってきてほしいと願わずにはいられない。しかし、これから様々な反テロの行動が世界各地で、市民レベルでも行われるのだろうが、これまでの所、それらが全く抑止力になっていないのが、大問題…。

 その翌日には、TGVの試験車両の脱線で多数の犠牲者が出ました。さすがにこれはテロではないだろうと思うのだが(でも今日びのテロ組織は、何を考えているか解らないからなあ)、別に原因があるとしても、これはこれで大問題でしょう。今はフランス全体が動揺してしまっている状態だが、それはそれとしても、キチンとした原因の究明が求められます。

《今日のニュースから》
14日 薩摩半島沖震源地震 鹿児島県に津波注意報発令
15日 旅客船火災で沈没 長崎県西海市沖