№1436 バス グラフィックVol.25(ネコ・パブリッシング)

 ついにMRJが初飛行に成功しました。どのニュースもトップで取り上げています。初就航に向けてはまだまだ先が長いけれど、ともかく大きなヤマ場は越えました。今後の開発作業が順調に進む事を願います。
 となると次は、いつ乗れるのかなーとか先走って考えてしまうが、ローンチカストマーのANAはB737-500の後継と位置付けているけれど、現行ダイヤでB737-500は西日本ベースのANAウィングスの運航で羽田の発着はなく、となるとこのままなら羽田では見られない?羽田からは乗れない?

「バス グラフィック」Vol.25が先月末発売になったが、取り上げるのが少々遅くなってしまいました。
「BRT」がメインの特集となるが、まずバス グラフィック誌もいすゞ新エルガがトップに来ました。

ここが違う!新型エルガ
 バス グラフィックは、先代エルガと並べて新旧比較を行っているのが目新しい。
 寸法的には、車体長はほぼそのままに、ホイールベースを拡大、フロントオーバーハングは縮小して前扉は折戸化、アプローチ及びデパーチャーアングルの拡大、などを行っています。中ドアの位置が大分下がった印象があります。
 ヘッドライト2灯化は、日野ブルーリボンも同じタイプになったので、両者をどう判別したものか、OEM供給時代以来の悩みがまた出てきました。何か小さくても良いから、判別を可能とするアイコンがあれば良いのだが。
 燃料供給孔は、最初はどこにあるのか解らなかったのだが、公式側前輪の上の窓の中にブラックアウトされる感じで設けられているので、目立ちませんでした。
 左前輪上の座席がなくなったのは、全面展望を楽しみたい向きにはガッカリ、かも知れないが、乗り降りに少々難があったのも事実で、現実的な選択か。
 目立たない所では、中扉戸袋部を薄くした所で、通路幅を拡大しています。中ドアは、1種類しか作れないのか?特にQ尺だと、もっと広い幅を求める事業者もあるのではないかと思われます。
 ここでは、事業者カラーの車両はありませんでした。

BRTって ナニ?
 最近になって「LRT」と共に、都市交通改善の切り札として聞かれる事が多くなった「BRT」(Bus Rapid Transit)。特にJR東日本の気仙沼線・大船渡線鉄道代行で運行が始まった事である程度一般にも馴染みになり、新潟のBRTスタートで一気に注目が集まった感があるが、LRT以上に定義があいまいな所もあります。ここではまずその部分の整理から始まります。

 まず、東京大学大学院教授・鎌田実氏に「BRT」の定義を聞いています。
 興味深いのは、「LRTを求める声は各地にあるが、人口減少等も考えると厳しい所が多いだろう。BRTはICT技術の活用でコストを下げられる」のくだりで、欧米などの成功例から日本でもLRT導入を求める声は多いが、大半が端j目にLRTありきでイケイケドンドンだが、現実的にはどうなの?LRTを否定するつもりは毛頭ないのだが、コスト以外にも考えなければならない部分がかなり多い(地べたを走るのだから)と思うので、慎重にやって欲しいというのは、私も何度か書いてきました。「どうしてバス(BRT)ではダメなの?(電車)LRTでなければいけないの?」という理由の説明は、是非LRT論者から聞きたいと思います。
 一連の発言の趣旨からすると、BRTとは在来の都市バスをグレードアップさせた発展型であり、この後出てくる、鉄道の廃線跡を利用した路線は、杓子定規的にはBRTとは呼べないのではないか?そんな気がしました。新潟こそ日本初の、本格的な都市型BRTを目指して始まったのでしょう。

 続いてバス グラフィック誌らしく、新潟BRTの目玉であるスカニアの連接バスを、カラー写真をふんだんに並べて詳しく紹介しています。日本の寸法に合わせてあるとの事だが、特に座席の形状は欧州っぽい。
 その後に実際に動き出した新バスシステム、そして関係者や地元ジャーナリストへのインタビューが並びます。この秋のバス業界の目玉ゆえ全てのバス趣味誌が新潟BRTを取り上げているが、インタビューが掲載されたのはバス グラフィック誌が初めてでした。
 問題になった運賃収受システムだが、特に乗降が多い所(新潟駅前など)は、地上側に係員を置いて、降りた後で運賃を収受する方法も考えられるのではないか?路面電車だが広島電鉄の広島駅に例があり、多区間制運賃で連接車の宮島線直通にも対応できているので。

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 続いて、「BRT」を名乗る全国の路線、ついでに線路跡を活用したJRバス関東の白棚線を紹介しています。
 ここに挙げられた路線は全て鉄道の廃線跡(大船渡線・気仙沼線は廃線ではないが)を利用していて、全て元の鉄道が単線だったので車道も1車線、所々に行き違い場所が設けられています。
 気仙沼線・大船渡線BRTは一昨年乗って、№933で書いたけれど、あれから専用道が大分進んだようです。ただ、まだ細切れという感あり。鉄道の橋が津波で流されたりして、専用道を作れない部分もあるのだろう。
 陸前高田駅は、志津川と同じタイプの駅になり、2年前は路上のバス停に過ぎなかった陸前矢作も、きちんとした折り返し場所が完成していました。陸前矢作~上鹿折~鹿折唐桑間はもう専用道として復旧させる事は考えていないのか。
 白棚線は戦争中に休止になった鉄道の跡の利用で、これを他のBRTと一体で扱うのは、性格的に少々疑問かも知れません。便数が格段に少なく、専用道も一部は一般道に転用されたようだから。この路線を載せるなら、路面電車専用軌道の跡を利用した西鉄バス(北九州市・福岡市)、最近まで鉄道の未成線を利用して運行されていた、西日本JRバス→奈良交通の五新線あたりも、簡単でいいから触れられても良かったかも。

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 名古屋市の基幹バスが今年で30周年、BRTの元祖でもある(特に中央走行方式の基幹2系統)という事で、車両面を中心にとりあげられています。
 当時は都営バス「グリーンシャトル」を1号路線として全国で「都市新バス」の整備が進んでいた所だが(新潟にもあったが、現在のBRTとは区間が異なる)、バス・ロケーションシステムやグレードアップされた車両の導入が主な施策で、一部には優先信号システムなどの施策もあったが、特に他のバスより早く走る事までは求められてはいなかったと思います。 それ故、高速運転を指向した名古屋市の施策が画期的に映る事になったのでしょう。
 ただ、本当は8路線整備される予定が、2路線で終わってしまいました。「山手通」線は地下鉄名城線、「志段味線」は「ゆとりーとライン」、「金城埠頭線」はあおなみ線と、鉄道によって整備される事になります。
 車両面では、名古屋市は全てノンステップになりました。三菱ふそうが全滅。名鉄バスは、エアロスター・エコハイブリッドが、あっという間になくなってしまいました。

 これからもLRTとの比較検討も加えられつつ、BRTの計画は全国的に策定される事になるでしょう。新潟は専用走行路の整備が一体で行われなかった事も問題を大きくした理由の一つであろうが、ともかく専用道であろうがなかろうが、R=Rapid(高速)である以上、特にマイカーなどよりも圧倒的に高速で、ストレスなく走れるような環境の整備(例えば、路上駐車の徹底的な排除)が望まれます。沿線自治体の全面的な協力は必須でしょう。

日本バスめぐり スケルトンボディの移籍車たち
 ついこの間まで「モノコック、モノコック」と言っていたのに、気づけばスケルトンボディの移籍車も、初期の車両(キュービックとか、富士5Eなど)は、移籍先でも去就が怪しくなってきました。
 羽後交通にあった、元都営バス「グリーンシャトル」初代専用車は、他に弘南バス、関東鉄道にも移籍したのだが、どこかに廃車体でいいから残っていませんかねえ?何とかレストアして、「都営交通博物館」にラインナップさせたいと、思っているのだが…。間違いなく、都営バスの歴史の1ページを飾るべき車両のはずなので。

これがランプバスの仕事だ! 昨今のバス グラフィック誌は、リムジンバスに関する記事が多いような気がします。ランプバスは、羽田は意外に乗る機会も少なくないが(小型機が多いので)、成田は記憶する限り、搭乗時に1回、降機時に2回機会があり、ジェットスター・ジャパン(JJP)搭乗時に利用した事は№1057で書きました(今はJJPは第3ターミナルに移転、ランプバスを利用する機会は少ないだろう)。
 ランプバスは公道は走らないけれど、運転にはやはり大型2種免許は必要でしょう。航空の運航に左右されるので、乗合バスとも、貸切バスとも違ったポジションになるのだと思います。

 この他に「ムーバスで武蔵野さんぽ」「希少型式のススメ2」「おもしろバス路線漫遊記(茨城交通)」「京阪ボンネットバスの軌跡をたどる」「関東バスにボンネットがいた時代」「九州青春バス紀行(九州の民営バス)」等。
 大分交通の特急バス、側面のサボの地名はなかなか読み取れないけれど、NF947に関しては大分~日出~中津、とナントカ読み取れました。大分に限らず、九州はどこも一般道経由の特急バスが多くて、いい時代でしたね…。

 最後に新潟BRTのスカニア連接車の折り込みポスター付。

 それにしても裏表紙がリムジンバスの乗務員募集、その見返しが「どらなびEXPO2015秋」、去年の「クローズアップ現代」の報道以降、バス趣味誌はどこも、乗務員募集の広告が急に増えた気がします。リムジンは最初から大型2種取得が必須で、即戦力が求められる様子。どの企業もいい人材が集まる事が期待されます。

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 12月20日開業が発表になっている、札幌市電の環状新線の試運転も、今日から始まりました。こちらも大いに楽しみ。ただ、乗りに行けるのは、来年になってからだな…。北海道新幹線と一体で行きたいと考えています。

《今日のニュースから》
10日 関西空港・大阪空港運営権 オリックス・ヴァンシエアポート企業連合に優先交渉権決定
11日 日本マクドナルドホールディング 第三四半期赤字292億円 上場以来最大