№1402 思い出の海外旅行クロニクル 20.2003年ポルトガル 5<終>

 2003(H15)年1月のポルトガル旅行、今回はやや日程が短く、多少慌ただしくもあったが、今回は大きなヘマもなく、無事日本に帰って来れました。
 最終回は、ポルトガルの鉄道の車両と、リスボンの各駅の画像をご覧頂きます。また、いつものように総まとめとして、当時感じたポルトガルの鉄道の印象と、ポルトガルそのもののパーソナルデータを記して、完結です。

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 ポルトガル鉄道(Comboios de Portugal)のシンボルマーク。

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 当時としては最新鋭と思われるEL。

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 幹線用と思われるDL。フランスのELに似ています。同じメーカーなのでしょう。サンタレン通過。

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 こちらのDLはローカル線用でしょう。2-2配置で、雰囲気は日本のDD16に似ています。

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 旧型の近郊電車。ステンレス車体。そのせいか正面はなんとなく、旧営団地下鉄3000系に似ている気がします。

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 新型近郊電車。ポルト・サンベント駅で。コルゲートもビードもないが、これもステンレス車体なのか?

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 レグア駅構内に停車中のディーゼルカー。

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 客車。ステンレス車体だけれど旧型で、ドアは手動です。

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 リスボンもいくつか駅があるが、メインとなるのはサンタ・アポローニャ。APやスペイン行国際列車も発着します。

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 切符売場。ホームへの通路を挟んで、向こうのブルーのゾーンが通常の切符売場で、手前のグリーンのゾーンが指定券の売場。

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 駅の中のBAR。

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 両替商。

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 ホームは頭端のターミナル形態で、中央の2線(機回し線をはさむ)のみホームに上屋があります。他のホームは駅舎から離れています。

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 首都のターミナル駅だけれど、全体的には小ぢんまりしています。発着本数があまり多くないし。

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 オリエンテ駅。万博の時にできた駅だそう。高架駅。

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 オリエンテ駅のホーム。とにかく屋根が高い。

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 カイス・ド・ソドレ駅。オエイラス・カスケイス方面への近郊電車が発着します。

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 ターミナル駅がもう一つ、ロシオ駅。シントラへ行く列車が発着するのだが、今回もここから列車に乗る機会がありませんでした。

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 最後に、今回利用したイベリック・レイルパス。スペインとポルトガルの鉄道に、2ヶ月の内の8日間が乗り放題。なので本来は持て余し気味になる設定なのだが(現に1日使い残してしまっている)、ポルトガルのみ有効のフリーパスが見つからず、このパスのお世話になる事となりました。この時期は1USD≒120円らしいので、50,000円を超えている事になります。もったいないと言えばもったいないのだが。

 以上、ポルトガルの旅について記しました。
 それ以前、この7年前の1996(H8)年に訪れた分も含めて、ポルトガルの鉄道について気付いた事、感じた事を簡単に記してみます。

1.CPの列車種別としては、アルファ・ペンドラー(AP)を筆頭に、インターシティ(IC)、インターレジオナル(IR)、レジオナル(R)が存在する。リスボン・コインブラ・ポルト近郊では近郊列車「サバーバノ」が運行されている。

2.幹線のリスボン~コインブラ~ポルト間では比較的列車本数が多く、Rだけの乗り継ぎで行く事も十分可能。しかしその他の準幹線や支線(特に南部)は少ない。ダイヤ上の特徴として、土休日にはかなりの列車が運休するものの、逆に土休日のみ設定の列車も目立つ。

3.車輌は客車が中心だが、電車・ディーゼルカーもIRやRで見かける。ほとんどがステンレス車体というのが特徴的。一部には新型車も見かけるが、地方路線の車輌は手動ドアがほとんどだったりして、欧州の他国と比べ体質改善の遅れを感じる。

4.電化率は大都市の近郊区間や幹線を除いて低い。またカーブも多い。しかし、南部や中部を中心に大規模な改良工事が進められている。

5.国際列車は、「南急行」がパリへ行かなくなって久しく、全てスペインまで。タルゴの夜行「ルシタニア」(リスボン~マドリード)と「南急行」(リスボン~イルン・アンダイヨ)の他、ポルト~ヴィゴ間ローカル2往復のみ。
(この他当時はバダホス接続もあった)

5.ヨーロッパにしては踏切が多い。(それも手動)
 それにも増して線路内への公衆の横断が非常に多く、見ていて冷や汗をかいた場面も7年前にはあった。駅も小駅では構内踏切が幅を利かせている。さすがにこの7年の間で、AP運行区間を中心に立体化が進められているようではあった。

6.駅舎はポルトガル名物の「アズレージョ」で飾られている所が多いが、駅舎があってもドア部が塞がれ、使用されていない所が多い。地方では運転関係の駅員がいても窓口が開く時間がかなり短く、ホームの発車案内も乏しい。トイレはたいてい別棟になっているのが特徴的。

7.今は解らないが、当時は国際的な大手クレジットカードが使える駅・窓口が極めて少なかった。私が見た限りではリスボン(サンタ・アポローニャ。国際列車専用予約窓口では使える)やポルト(カンパーニャ及びサンベント)に一つずつだった(コインブラやアヴェイロ等は降りていないので分からないが)。なお、APのBARでは利用できた。

8.私鉄は走っていない。リスボン・ポルトには路面電車が運行されているが、どちらも路線の縮小が続いているらしく、市中の至る所でレールの跡を見かけた。一方、リスボンには地下鉄とケーブルカーが走り、ポルトではLRTの運行が始まった。

9.首都リスボンから主要都市までの運賃(2等利用・長距離は窓口で乏しいポルトガル語を駆使しながら筆談で聞いたもので、ひょっとしたら異なるかもしれませんが、ご了承下さい。レートは2003(H15)年1月18日の頃のもの)

カスケイスまで 25㎞ 1.20€(≒150円)
サンタレンまで 75㎞ 3.70€(≒470円)
コインブラまで 218㎞ 8.10€(≒1,040円)
ファーロまで(バレイロから) 289㎞ 10.20€(≒1,310円)
ポルトまで 337㎞ 11.00€(≒1,410円)
ブラガまで 394㎞ 11.00€(≒1,410円)

 日本はもちろん、欧州の他国と比べてもかなり安い。約60㎞も違うポルトとブラガが同額だから、運賃の上限が設けられているのだろうか。

 それとポルトガル全体の傾向として、何度か書いたが朝が遅い。朝食はホテルでも中クラス以下だと7時半とか8時とかからになる事が多いよう(特に土日)、YHだともっと遅くなるので、その点はプランを立てる上で注意かも。

 最後に、ポルトガルそのもののパーソナルデータを記しておきます。
(帰国日の2003(H15)年1月18日現在)

正式国名 ポルトガル共和国 República Portuguesa
面積 約92,210平方㎞ (日本の約1/4)
人口 約1046万人
政治体制 立憲共和制
国家元首 ジョルジェ・サンパイオ大統領(社会党)
 ※現在はアニーバル・カヴァコ・シルヴァ大統領(社会民主党)
政治指導者 ドゥラン・バローゾ首相(社会民主党)
 ※この後、欧州委員会の委員長を務める事になる。現在はペドロ・パソス・コエーリョ首相(社会党)
首都 リスボン
国連 加盟(1955(S30)年)
EU(EC) 加盟(1986(S61)年
NATO 加盟(1949(S24)年)
ユーロ 導入 1€≒128円
言語 ポルトガル語
主な観光地 リスボン市内、シントラ、ポルトなど
日本からのアクセス 日本からの直行便は運航されていない

 リスボンは欧州の中では比較的小国ではあるが、それでも密度が濃く、それなのに日程がやや短くなった事もあり、1996(H8)年には行かなかった南部にも足を運んだ結果、特にリスボンの地下鉄とか、近郊電車(ダブルデッカーの電車も見かけたが、乗る機会を作れなかった)など、多少反省すべき点もありました。とはいえ、めったに乗れないようなオンボロDCのローカル線の旅など、有意義な所も多々ありました。
 しかしご存じの通り、ポルトガルもこの後財政が急速に悪化、ギリシャ程ではないにしろ緊縮財政を強いられる事となり、そのあおりなのか、そのローカル線も、この数年で急速に整理されているようです。国際列車も先に記したとおり、「ルシタニア急行」と「南急行」が一本化された上にサービスも簡素化されているよう。バダホス経由でスペインへ乗り継いで行く事も、できなくなってしまいました。リスボン~マドリード間の高速新線建設計画も取り止めになった、とも。
 とはいえ、リスボンやポルトでは近郊電車が元気だし、何よりポルトにはLRTのネットワークが整備されました。ドン・ルイス橋をトランジットモールで走るなんて、素晴らしいではないですか。例によって次はいつ行けるかなんて言えないが、もしその機会を作れたら、今度こそリスボンの地下鉄や近郊電車に乗り、改めてポルトのLRTネットワークも訪ねてみたいと思っています。その頃には、元気なポルトガルが戻ってきてくれている事を願います。
 次回のクロニクルは、同じ2003(H15)年5月のデンマークだが、11月に書きます。

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