「私鉄名車列伝」、今回は京成電鉄の通勤車3700形です。
3700形は、成田空港ターミナル新線乗り入れと、北総開発鉄道(現北総鉄道)直通運転開始を機に、1991(H3)年より製造された通勤車で、在来車からは大きくイメージを一新。9次に渡り132両が東急車輛・日本車両により製造され、通勤車の一大勢力となった。
車体は京成初の軽量ステンレス構造となり、コルゲートが廃された。上下はビードプレス、窓部はダルフィニッシュ仕上げが使い分けられている。左右非対称の前面は普通鋼製で、銀色に塗装されている。側面は大型一段下降窓の2連構造で、黒縁に仕上げられている。窓の上部には車外スピーカーが設置された。昨今では他社でもワンマン改造車などで見られるが、当時の関東の大手私鉄では初とされている。
制御装置は京成初のVVVF制御となった。GTO素子の1C8M制御で、130kwの交流電動機を制御する。ブレーキ方式は電気指令式。インバーター制御の集約分散型クーラーが各車両に2台ずつ搭載されている。パンタグラフは下枠交差式で、編成内に5器搭載(M1'は1器)している。
車内は標準的なロングシート仕様で、アイボリーの化粧板とベージュ系濃淡の床、ピンク系の座席のインテリアとなった。天井部にはラインフローファン、ドア上部には3色LEDによる車内案内表示装置が設置されている。
1~5次車は、京成の通勤車では初の8両固定編成で製造された。車種構成が大幅に変わり、両端が電動車ユニットとなって、京急線への直通も可能になっている。1次車導入により非冷房の「赤電」が淘汰、100%冷房化が達成された。2次車より先頭部にスカートが取り付けられ、1次車にも後に取り付けられている。編成により形態が異なるものが試用されたが、後に統一された。先頭車には車椅子スペースが設けられた。3次車からは座席がバケットシートとなった。
2000(H12)年の6次車は初めて6両固定編成で製造され、同時に数多くのマイナーチェンジが行われた。正面では前照灯と急行灯の位置を入れ替え、急行灯は標識灯と上下並列となった。SIVの素子はIBGTに変更、パンタグラフは新造車としては初めて、シングルアーム式を採用した。車内では座席が一人掛けの区分が入ったラベンダ柄となり、袖仕切りも大型化されている。貫通扉の窓が大型化された一方、妻面の窓は廃止された。この他運行番号のマグサイン→LED化や連結面転落防止柵の設置などの変更もあり、5次車以前の車両に反映されたものもある。2001(H13)年の7次車は再び8両固定編成となり、2002年の9次車を持って製造を終了した。
8両編成は本線の特急・急行系を中心に運用され、北総線及び京急線羽田空港までの直通運転も行われている。6両編成は普通電車を中心に運用され、芝山鉄道への乗り入れもある。運用範囲拡大に伴い、行先・種別表示のフルカラーLED化、保安装置のC-ATSへの変更、さらにスカイアクセス線開業に伴い、120㎞/h運転対応工事も行われている。3801Fは北総鉄道にリースされている。
【編成】
←京成上野・押上方 成田空港・東成田・ちはら台方→
M2c 3700 - *M1 3700* - T 3700 - M1' 3700* - M2 3700 - T 3700 - *M1 3700* - M2c 3200
M2c 3700 - *M1 3700* - T 3700 - T 3700 - *M1 3700* - M2c 3200
3700形を含む現在の京成車の京急線乗り入れは、基本的には京急蒲田経由羽田空港までだが、1・2次車については1991(H3)~1995(H7)年の間、三崎口乗り入れの実績がありました。
平日ダイヤのみ
1950K 京成高砂19:09 → 21:06三崎口
(京成高砂→押上 … 普通 押上→三崎口 … 特急)
2151K 三崎口21:17 →23:57京成成田
(三崎口→品川 … 特急 品川→京成成田 … 通勤特急)
※3400形運用の場合もあった
仕事帰りで何度か乗った経験があります。いつもは横浜→上大岡の短区間だったけれど、一度だけ三崎口まで乗り通して、折り返した事もありました。
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年10月臨時増刊号 新車年鑑1991年版」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1997年1月臨時増刊号 【特集】京成電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2007年3月臨時増刊号 【特集】京成電鉄」(鉄道図書刊行会)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄13 京成電鉄」(朝日新聞出版)
「京成電鉄完全データ」(メディアックス) 等を参考にさせて頂きました。
次回は東武特急「スペーシア」100系です。気づけば、デビューからもう四半世紀経ちました。
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《今日見た・聞いた・思った事》
というか、本当は前回書くべきだったが、京阪が一昨日、今年度の設備投資計画を発表しました。総額94億円は、前年度の2割増しだそうです。
保安度の向上に重点が置かれているようで、耐震補強工事を守口市・枚方市に引き続き、浜大津駅でも開始、大津線は運行管理システムの更新、京阪線では新型の「多情報連続制御式ATS」を導入し、今年度の出町柳~深草間から供用を開始するとの事です。
車両面では13000系18両(7連×2、4連×1)の製造に着手、来年度導入。13000系は7連×4、4連×7、合計56両となり、6000系・2200系に次ぐ勢力になります。また、6000系の更新を継続。
サービス面では祇園四条駅のリニューアルや、旅客案内ディスプレイの導入、トイレの整備を実施。
思うのだけれど、関西の大手って、年度毎の設備投資計画を発表しない所がほとんどのようです。京阪以外では名鉄が春先にあったけれど、最近ではこういう投資計画が、投資を呼び込むためには大事な情報らしいし、もっと各社の情報を読みたいと思います。こういうのって、会社毎に発表する、しないを決める程度でOK、なものなのでしょうか?
(関東も京王が発表しない)
《今日のニュースから》
1日 東北最大級 「仙台うみの杜水族館」オープン
2日 新日本プロレス 客の個人情報大量流出
「仙台うみの杜水族館」は、今年開通する市営地下鉄東西線の荒井駅が最寄だそう。