№1379 バスジャパン・ハンドブックシリーズ S88.京都バス 京阪バス

「バスジャパン・ハンドブックシリーズS88 京都バス 京福バス」が先日発売になりました。どちらも、BJ時代から含めて初登場になります。
 京都バスは京都市内路線では市営バスと二分する存在だし、京福バスは福井では最大手のバス事業者、ではあるが、それにしてもはっきり言って、ずいぶん「地味」な事業者をチョイスしたものだと思いました。

◆ 京都バス・京福バスの車両たち
 京都バスと京福バス(グループ)に分けて分析してみます。京都バス126台・京福バス(グループ)243台で、合計しても369台。ハンドブックシリーズになって以降は、R60の川崎市営バス(2006年10月1日現在324台)に次ぐ少なさです。福井の方が多くなっています。

京都バス

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1. 平均車齢は、乗合10.35年、貸切12.36年、特定20年(1995(H7)年式2台しかないから)。貸切の方が乗合より経年化しているが、大半が乗合車と同色の路線車ベースで、純粋な「観光バス」は3台のみ。この3台の平均車齢は8年ちょうどです。
 乗合車は嵐山〔営〕9.70年、高野〔営〕10.83年と高野の方が若干経年化しているものの、どちらも同じ京都市の営業所だし、ほとんど差はないと言えます。高野に1990年代の乗合車が比較的多い(特にいすゞLT)事が、平均を引き上げているのでしょう。最高齢は1993(H5)年式2台。

2. 全用途トータルのメーカー別割合は、三菱ふそうは1台もなし。日野が47.62%と半分近く、いすゞ33.33%、日産ディーゼル19.05%と続きます。乗合に限ると、日野といすゞはほぼ拮抗しています。

3.  乗合車の営業所別配置は、高野63台、嵐山47台。京都の路線バス事情は良く解らないから何とも言えないが、若干東高西低でしょうか。東側は京阪電車が走っているから、フィーダー輸送が多くなるのかも知れません。

4. 乗合車のノンステップ率は4.55%と現状ではかなり低く、大型にはありません。CNG・ハイブリッドの低公害車もなし。
 中古導入は京阪バス(元京阪宇治交通)からのレインボー(リエッセより前の小型車)と、阪急バスからの中型車(貸切登録)各1台のみ。

京福バス(グループ)

1. グループ全部を合計しての平均車齢は、乗合14.33年、高速13.56年、貸切13.72年。
 乗合車は福井〔営〕14.08年、坂井〔営〕14.92年と、どちらも乗合全体の平均から大きく離れてはおらず、両数こそ福井〔営〕114台、坂井〔営〕49台で福井の方が多いが、特に分け隔てなく車両が導入されているようです。
 高速車は本体の長距離車とリムジンの空港車でははっきり違いがあり、京福本体は6年と新しいのに対し、リムジンは21.13年と(後の紀行でも触れられるが)相当経年化しています。京福は一度の大量導入はなく、1~3年毎に1台ずつの導入となっているのが特徴か。
 貸切は契約貸切も多いので、純粋な「観光バス」だけなら、もっと若くなるはずです。
 最高齢は福井観光にいる、1990(H2)年式の中型貸切車。

2. 全用途トータルのメーカー別割合は、こちらも日野49.8%とほぼ半分、三菱32.9%、日産ディーゼル11.5%、いすゞ3.3%、トヨタ2.5%でした。京都とは逆に三菱ふそうがある程度の割合を保っています。いすゞは2013(H25)年になって、エルガミオの導入が始まりました。UDトラックスの撤退で、今後は割合が増える事も予想できます。

3. ノンステップ率は30.67%、中古導入もあるとはいえ、京都より遥かに高くなっています。小型コミュニティバスが多い事もあるでしょう。こちらもCNG・ハイブリッドの低公害車は、今の所はありません。
 京福グループ外からのの中古導入は53台で、32.52%を占めています。自治体からの移籍も目立つが、最多の譲渡元は京阪バス+京阪宇治交通・阪急バス・神奈中バスの各7台でした。京都→京福は全くなし。

 京都・京福を比較してみると、同じ京福電気鉄道の資本下にありながら、全く違った方向性をたどっている事が解ります。無論京都と福井のロケーション自体全然違うし、大都市の中心部を中心に一般路線にほぼ特化した京都と、ローカル路線を多く抱え、観光バスや高速バスもある福井、の経営スタイルの違いもあるでしょう。

◆ 京都バスのあゆみ 
◆ 京福バスのあゆみ
 この両社を理解するには、両社の親会社の京福電気鉄道を理解する必要があります。戦前の電力会社の京都電燈は、戦時体制下で京都と福井の鉄道会社を統合、この時点では、バスは福井側の事業者を傘下に収め、京都は関連会社だった。戦後京都は関連会社を統合して京都バスとし、福井は基本的には自社直営とした、という流れになろうかと思います。
 鉄道自体が京都・福井共に数社の寄せ集めなのだが、どの区間を走っていて、今の電車は元はどの鉄道会社だったのか、その後どのような経緯を辿ったのかがやや解りにくい。その辺も整理された形で記されれば良かったと思います。

直営
 嵐山電鉄(嵐山電気軌道) … 現在「嵐電」と呼称している、嵐山本線と北野線
 叡山電鉄 … 現在の叡山電鉄(二代目)叡山線
 越前電気鉄道 … 現在のえちぜん鉄道勝山永平寺線(勝山~大野は京福時代に廃線)
傍系
 三国芦原電鉄 … 現在のえちぜん鉄道三国芦原線
 永平寺鉄道 … 金津(北陸本線)~本丸岡~東古市~永平寺の路線で、京福合併後に全線廃線
 比叡山鉄道 … 坂本~比叡山間のケーブルカー
 丸岡鉄道 … 本丸岡~丸岡(北陸本線)~西長田間の路線で、京福合併後に全線廃線
 愛宕山鉄道 … 嵐山~清滝間の鉄道と、清滝~愛宕山間のケーブルカーを運営していたが、全線廃線
 鞍馬電気鉄道 … 現在の叡山電鉄(二代目)鞍馬線

 愛宕山鉄道についてはこの後の紀行で出てきます。
 バスは、京都バスは戦争開始前に発足した数社を京福電鉄が統合する形で設立、母体のどの事業者も、鉄道のバス部門として運営された事は無い。昨今は京都市交通局の動向(特に地下鉄の開業)が多大な影響を与え続けているようです。一方で大原の路線は市営バスから譲渡(地下鉄開通による補償の一環と思われる)、市営バスの運行の受託も行われています。

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 京福バスは、統合後は京福電鉄直営で行っていて、別に系列で丸岡バスが運営されていた所、事業合理化で電鉄のバス部門を丸岡バスに譲渡、丸岡バスの商号を変更する形で、今の京福バスになった、という所で、ストレートな分社ではない。
 京福リムジンバスは、最初から福井~小松空港間の空港バスを運行するためにつくられたのではなかったのか。後の移管を見据えていたのかも知れないが。丸岡〔営〕は、旧丸岡バスがあった所とは別なのか。
 京福グループは京阪電鉄の関わりが無視できないが、この辺の記述がやや希薄だったかなと、それと福井は事業再編成の過程で営業所の統廃合が行われているはず(大野など)だが、この辺の記述もなかったのは気になりました。 

 ◆ 京都バス・京福バスの路線エリア
 京都バスは、京都駅より北の京都市中心部が中心になり、格子状の路線網が特徴的。そんな中で、ずいぶんと北の方に路線がひょろひょろ延びて行きます。2路線あるうちの東側は、滋賀県高島市の朽木学校まで延びています。京都バス最長路線で、「あゆみ」に寄れば、当時の朽木村の要請で路線を伸ばしたそう。出町柳から約1時間20分。
 しかし、現状は冬場を除く土休日とお盆に2往復が走るのみ。登山客をメインのターゲットに据えているようなダイヤに見えます。
(他に江若バスが安曇川駅から、また高島市営バス(自家用)の路線あり)
 西側の広河原には、出町柳から通年で1日3往復(+平日のみ広河原発1本)運行。
 京福バスは当然福井市が中心になるが、結構範囲が広いです。完全に放射状とはなっていないのが特徴かも。大野~勝山にかけてもある程度路線があるが、現在この付近は営業所がなくなり、どういう体制で運営されているのだろうか。福井営業所から回送などとムダな真似をするはずはなかろうから、分車庫があるのだろうと思われます。

◆ 終点の構図 岩倉実相院
 行った事は無いのだが、グーグルマップで検索した感じでは、はっきりした回転場はなく、スイッチバック方式を撮っている模様。出町柳駅行と国際会館駅行が共に30分間隔で運行。利便性は良好のようです。

◆ 日本の建築美を愉しむ!
 今回の紀行は東京駅からの夜行バスで始まっているが、夜行バスで始まるのは過去には「シリーズ10 瀬戸内運輸」「シリーズ13 奈良交通」「シリーズ19 岩手県交通」「シリーズ20 ジェイアールバス東北」「NEW38 奈良交通」がありました。
(他に夜行バス単独ルポ掲載号あり)
「携帯はないんですか?」って、聞くだけ野暮な気がしました。
 福井側は、メインの永平寺・丸岡城も去る事ながら、永平寺口(旧東古市)の変電所の建物が印象的。87系統は本数は少ないが、ともかく福井市の外側を走る系統があるのが、なんとなく不思議にも感じます。昔は電車があった訳だから、それなりに流動はあるのでしょう。ここでは記されていないが、この便を含めて日中は東尋坊まで直通運転。
 京都側は、大原(三千院)も寄ればバランスがいいかなと思ったが(高野〔営〕の路線が出てこないので)、大原~嵐山間の便が良くないから仕方がないか。愛宕山鉄道の廃線跡と、その歴史がここで出てきました。トンネルはすれ違いができずに、信号制御で片側交互通行になっているみたい(この紀行では通過していない)。

 今後の両社だが、京都バスに関しては、高速バスへの参入などの大規模な事業拡張は行われないだろうし(既に京阪バスがあるし)、観光バスも競争が厳しいから、市内中心部の路線バスを中心とした事業内容は変わらないだろう。京都市営バスとの関係は良好で、「大快革」には京都バスも関わっている(一日乗車券の京都バスへの範囲拡大)ので、この関係を維持しつつ、一般の利用も当然だが、観光客の積極的な誘致を図って欲しいと思います。既にやってはいるだろうが、外国人旅客への情報の充実もさらに必要でしょう。あとはそろそろ大型ノンステップ車の導入も期待したいが、収容力を考えるとすぐには難しいのか。
 京福バスについては、まずすぐに影響が出るかも知れないのは、今年度予定とされている、福井鉄道のえちぜん鉄道鷲塚針原駅までの直通運転開始。鷲塚針原までは京福バスも路線があり、再編成があるかも知れない。あとは何といっても2020(H20)年度予定の北陸新幹線福井延伸。北陸本線の第3セクター移管も予想され、一般路線・高速路線など、全ての面で影響が出る事になるでしょう。こちらも観光客の取り込みが期待されます。福鉄道・えちぜん鉄道との連携も必須。
 インフォメーションで一つあるとしたら、公式Webで路線図を公開しているが、地域ごとにスタイルが全く変わっていて、つなぎ目の部分が解りづらい。同じ会社なのだからスタイルを同じに、できれば1枚に収めて欲しいと思います。
 そして、せっかく同じ資本関係なのだから、京都と福井、相互の関係をさらに強化させ、双方そして相互間の利用者の獲得に知恵を絞って欲しい所です。無論、京阪電鉄・京阪バスも協力が必要でしょう。京都~福井間の高速バスの設定まではないだろうが。
 ともあれ、これから5年程度で、特に福井は大きく変わりそうだが、両社の今後の発展に期待したいと思います。

 次回刊は東武バスと東野バス(東野交通)。東武は既に「R52」で取り上げられているから11年振りだが、東野交通との抱き合わせになるとは思わなかった。東野も一応東武グループで、宇都宮市内では東武バスを引き継いだりしてはいるものの、現状では一般路線の重複も無く、あまり関連性が強い印象はない。興味は持たれるが、どのような傾向が出るのか、楽しみではあります。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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《今日見た・聞いた・思った事》
 ところで、バスって、どうカウントします?
 今回のハンドブックシリーズは「台」で統一したが、過去の記事をチェックして見たら、「台」と「両」が混在していて、非常に見苦しい記事になっていて申し訳なく思います。
 現在書店で手に入る趣味誌をチェックして見ると、「バスグラフィック」「バスラマインターナショナル」「バスマガジン」「BUS Life」は全部「台」。
 バスジャパンハンドブックシリーズは、「S」からが「台」で、それ以前は「両」でした。
 メーカーは三菱ふそう・いすゞ・日野は全部「台」。
 事業者は「両」を使う所がほとんど?京都バスに加え、都営バスや東急バス、神奈中バス、名鉄バスは「両」でした。一方で西鉄は「台」です。
(京福バスは車両数の記載が見当たらなかった)
 日本バス協会・国土交通省は「両」を使っているようです。
 こうなると、「台」「両」、どちらも正解なのでしょうか?ちょっと迷ってしまいました。
 私としては、当ブログ、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」に関しては、今後製作する記事・コンテンツは「台」で統一して行こうと思います。

 東海道新幹線では、デッキに加えて車内にも防犯カメラを設置する事になったそうです。車内でカメラは、埼京線に次ぐもの?現状ではこれが精一杯でしょう。ユーロスターやスペインのAVEではホームで手荷物検査を行っているが、運行本数も乗車人員も比べ物にならない日本ではできない話だし、そんな事になってしまったら、息が詰まってしまう…。

 ギリシャの国民投票は、IMF財政緊縮策「NO」の結果が出ました。
 スコットランドや大阪とは訳が違って今日・明日・明後日の暮らしがかかっているし、「YES」「NO」、どちらの言い分も解ります。「究極の選択」でした。
 とにかく、こんな事態に陥る前に何とか早く手を打つ、国家も企業もその他何もかも同じだ、と、経済オンチなりに改めて思い知らされました。
 あとはこれがポピュリズムの台頭を赦す事にならないか、ロシアや中国など「第三勢力」の介入を招かないか。それが心配。

「なでしこジャパン」、残念でした…。
 でも、一生懸命最後までやりきる事が出来た、と思えるなら、胸張って日本に帰ってくれば良いと思います。
 お疲れ様でした。

《今日のニュースから》
 5日 不明女子小学生保護 容疑者逮捕 奈良県香芝市
 6日 国土交通省東京航空局談合事件 消防設備会社社長ら逮捕

№1378 この列車の行先・終点はどんな場所 4.小手指

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 東急東横線・みなとみらい線とメトロ副都心線、さらに東武東上線、そして西武池袋線の相互直通開始から、早いもので2年以上経ちました。
 相直開始前の東横線は、上りのほとんど全てが渋谷行だったものが一夜でガラリ一変、見慣れぬ西武や東武の電車と共に、見慣れぬ地名が列車の前部や側面、駅の表示に現れ、お客さんも相当戸惑った事だろうと思います。
 2年以上経って少しは馴れたのだろうとは思うが、それでも行先によっては、「あれ、ここってどんな所なのだろう?」と思う場所も、少なからずあるのではないでしょうか。
 今回はそんな、少なくとも東横線・みなとみらい線ではまだ珍しく見えるだろう、西武池袋線の小手指を取り上げてみます。
 やや風変わり?な響きの地名、無論我々「鉄」には、西武の車両所(車両基地)がある所として馴染みだし、西武線沿線だったらたいていの方々は知る所でしょう。
 これが神奈川の住民となるとあまり知らん、となろうが、一方で、歴史のファンだったら、ある程度は聞いた事があるのではないか?小手指は、そんな駅名、場所です。

 
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 現在のダイヤで東横線からの小手指行は、平日は特急5本・通勤特急1本・急行7本・各停2本で合計15本、土休日は特急16本・急行3本・各停6本で合計25本あります。大半は東急・メトロ・西武の10連運用で、東急・みなとみらい・メトロの8連運用は朝晩に数本あるだけです。西武線内では通勤車の特急はないので、東横・みなとみらい線内の「特急」+「小手指」の表示は、珍しく感じられるでしょう。

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小手指駅
 小手指駅がある西武池袋線は、今年開業100周年を迎えた古い路線だが、小手指駅は1970(S45)年11月20日と比較的最近の開業で、まだ半世紀に満たない。駅番号SI19。開業時より、車両所(車両基地)を併設している。1日の乗降客46,571人は、西武全体で18位。特急「レッドアロー」以外は全列車が停車する。

 東口からは、西武バス路線が発着します。市内の椿峰ニュータウン・早稲田大学・西埼玉中央病院行や大六天循環の他、入間市の宮寺西行、金子駅入口行の発着もあります。最近大規模な再編成が行われて、市外へ行く便は少なくなり、箱根ヶ崎駅行はなくなりました。椿峰ニュータウン行(所沢〔営〕)以外は、飯能〔営〕が担当。

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 小手指駅は2面4線。日中は快速急行(東横線の特急の直通)と各駅停車の相互接続があります。

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 西側の陸橋から見る、小手指車両基地。
 ヘッドマーク付きの20000系は、西東京市のラッピング編成。折返し列車は、その左の引き上げ線での折返しが主で、ここではメトロ10000系が見えます(架線柱が邪魔だが)。
(ダイヤによってはホームで直接折り返す事も)

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 南口のクレープ店。メニューが豊富。
(イチゴのメニューは12~5月のみ)

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 一方北口は、路線バスは所沢市コミュニティ「ところばす」のみ。「西路線」(航空公園駅~狭山ヶ丘駅)が入るが、本数は少ない。
 メインになるのは、西武総合企画が運行する、早稲田大学所沢キャンパス行の送迎バス。以前は全便南口から発車していたが、今は午前中は北口からの発車。学生などの、学校関係者以外は乗れません。このバス、西武バス一般路線車からの転用なのは明らか。「IC」マークが残ったまま。

 小手指駅界隈はこの数年、高層マンションが駅前にいくつも並ぶようになりました。ちょうど10年前、埼玉県に短期間居住して、所沢市内で仕事をしていた事があって、小手指駅前も何度も足を延ばしているのだが、その頃とは大分雰囲気が変わりました。駅自体はあまり変わっていないが。

 歴史的に「小手指」というと、駅の南西にある古戦場でしょう。その跡地は、南口から西武バスで行きます。
 1番乗場からの早稲田大学・宮寺西・西埼玉中央病院行で約5分、誓詞橋(せいじがばし)で下車。

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 古戦場の碑は、バス停から少し戻って右に入り、学校の前を通って、保育園の向かい側にあります。

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 傍らの、古戦場の説明書き。
 鎌倉時代から南北朝時代にかけて何度か合戦が繰り広げられたが、特に1333(元弘3)年の、新田義貞の鎌倉攻めが有名です。新田軍はこの地で鎌倉幕府軍と三十数回もやりあった後、分倍河原まで幕府軍を押し込み、一気に鎌倉まで攻め寄せ、鎌倉幕府を倒した、そのような事が記されています。

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 背後にこんもりそびえる「白旗塚」。新田義貞が、源氏の象徴の白旗を掲げたという由来があるそうです。

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 白旗塚はてっぺんに上る事が出来ます。地盤は最近、地元の学生らの手によって修復が行われたそう。

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 この付近ではもう一つ、古戦場碑のすぐ近くに、「埋蔵物文化財調査センター」が立っています。

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 知らなかったのだけれど、所沢は結構遺跡が多くて、そこから出土した埋蔵物を展示しています。「吉野ヶ里」や「三内丸山」みたいな全国区の物はないけれど、地図を見ると、地方道の「所沢青梅線」の沿線に、特に遺跡が多いようでした。2Fでは、出土品の修復などの作業が、熱心に行われていました。

 
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 ここでは遺跡とは別に、「ミヤコタナゴ」の飼育がおこなわれています。「ミヤコタナゴ」は国の天然記念物に指定されているが、所沢市では1983(S58)年を最後に自然状態での生息は確認されていない。卵を孵化するのに必要な二枚貝の繁殖ができる状況にならない限り、これら飼育されている「ミヤコタナゴ」を還す事もできないらしいです。
 センターは8:45~17:00オープン。ただし土休日等は休み。

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 誓詞橋。国道463号線「所沢入間バイパス」の「誓詞橋」交差点をクロスするように流れる小河川の橋。名前からは何か曰くみたいなものも感じるが、現状は全然目立たない、ごく普通の欄干が歩道の脇に立つだけ、そんな感じ。

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 誓詞橋バス停。小手指からの西武バスは、誓詞橋交差点から早稲田大学・宮寺西行は左折、西埼玉中央病院行は右折。

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 早稲田大学所沢キャンパスの校舎。小手指駅からバスで15分程度。
 宮寺西行の場合は、「芸術総合高校」で降りて坂道を歩いて行けばたどり着きます。

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「早稲田」と言えば、大隈重信。所沢にも像があります。

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 構内は広く、グランドと野球場もあります。野球場では地元の方々を対象としているのか、太極拳の教室が行われているようでした。

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 最後に、バスターミナルで待機する、早稲田大学の送迎バス。
 西武総合企画が運行する送迎バスは、現状では、1.元から送迎バスとして導入されたスペースランナー、2.西武バスの一般路線用から転用されたエルガ・ワンステップに大別できるようです。
(この他、特定の便で運用される、バリアフリー対応のワゴン車あり)
 送迎バスは広い屋根が整備された乗場があるが、一般路線〔小手02〕系統は、歩道上にパス停のポールが立つだけ。便数は一部を除いて少なくはないです。

 古戦場跡や早稲田大学は解っていたつもりだったが、遺跡が多いとは、今日に至るまで全く知りませんでした。馴染みの列車の行先の近くに、これだけのものがあろうとは。たまには乗り物から離れ、こういう所を訪れ、見聞きして理解を深める(…深まったのかな…?)事も必要と、改めて思わされました。今後も、このような列車の「終点」を訪ねて行きます。

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《今日のニュースから》
 3日 須崎市ご当地キャラ「しんじょう君」 台湾でPR 
 4日 サッカー武藤嘉紀 結婚を発表

№1377 私鉄名車列伝 126.京成電鉄3700形

「私鉄名車列伝」、今回は京成電鉄の通勤車3700形です。

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 3700形は、成田空港ターミナル新線乗り入れと、北総開発鉄道(現北総鉄道)直通運転開始を機に、1991(H3)年より製造された通勤車で、在来車からは大きくイメージを一新。9次に渡り132両が東急車輛・日本車両により製造され、通勤車の一大勢力となった。

 車体は京成初の軽量ステンレス構造となり、コルゲートが廃された。上下はビードプレス、窓部はダルフィニッシュ仕上げが使い分けられている。左右非対称の前面は普通鋼製で、銀色に塗装されている。側面は大型一段下降窓の2連構造で、黒縁に仕上げられている。窓の上部には車外スピーカーが設置された。昨今では他社でもワンマン改造車などで見られるが、当時の関東の大手私鉄では初とされている。

 制御装置は京成初のVVVF制御となった。GTO素子の1C8M制御で、130kwの交流電動機を制御する。ブレーキ方式は電気指令式。インバーター制御の集約分散型クーラーが各車両に2台ずつ搭載されている。パンタグラフは下枠交差式で、編成内に5器搭載(M1'は1器)している。


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 車内は標準的なロングシート仕様で、アイボリーの化粧板とベージュ系濃淡の床、ピンク系の座席のインテリアとなった。天井部にはラインフローファン、ドア上部には3色LEDによる車内案内表示装置が設置されている。

 1~5次車は、京成の通勤車では初の8両固定編成で製造された。車種構成が大幅に変わり、両端が電動車ユニットとなって、京急線への直通も可能になっている。1次車導入により非冷房の「赤電」が淘汰、100%冷房化が達成された。2次車より先頭部にスカートが取り付けられ、1次車にも後に取り付けられている。編成により形態が異なるものが試用されたが、後に統一された。先頭車には車椅子スペースが設けられた。3次車からは座席がバケットシートとなった。


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 2000(H12)年の6次車は初めて6両固定編成で製造され、同時に数多くのマイナーチェンジが行われた。正面では前照灯と急行灯の位置を入れ替え、急行灯は標識灯と上下並列となった。SIVの素子はIBGTに変更、パンタグラフは新造車としては初めて、シングルアーム式を採用した。車内では座席が一人掛けの区分が入ったラベンダ柄となり、袖仕切りも大型化されている。貫通扉の窓が大型化された一方、妻面の窓は廃止された。この他運行番号のマグサイン→LED化や連結面転落防止柵の設置などの変更もあり、5次車以前の車両に反映されたものもある。2001(H13)年の7次車は再び8両固定編成となり、2002年の9次車を持って製造を終了した。

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 8両編成は本線の特急・急行系を中心に運用され、北総線及び京急線羽田空港までの直通運転も行われている。6両編成は普通電車を中心に運用され、芝山鉄道への乗り入れもある。運用範囲拡大に伴い、行先・種別表示のフルカラーLED化、保安装置のC-ATSへの変更、さらにスカイアクセス線開業に伴い、120㎞/h運転対応工事も行われている。3801Fは北総鉄道にリースされている。

【編成】
←京成上野・押上     成田空港・東成田・ちはら台
 M2c 3700 - *M1 3700* - T 3700 - M1' 3700* - M2 3700 - T 3700 - *M1 3700* - M2c 3200
 M2c 3700 - *M1 3700* - T 3700 - T 3700 - *M1 3700* - M2c 3200

 3700形を含む現在の京成車の京急線乗り入れは、基本的には京急蒲田経由羽田空港までだが、1・2次車については1991(H3)~1995(H7)年の間、三崎口乗り入れの実績がありました。

平日ダイヤのみ
1950K 京成高砂19:09 → 21:06三崎口
(京成高砂→押上 … 普通 押上→三崎口 … 特急)
2151K 三崎口21:17 →23:57京成成田
(三崎口→品川 … 特急 品川→京成成田 … 通勤特急)
※3400形運用の場合もあった

 仕事帰りで何度か乗った経験があります。いつもは横浜→上大岡の短区間だったけれど、一度だけ三崎口まで乗り通して、折り返した事もありました。

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年10月臨時増刊号 新車年鑑1991年版」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1997年1月臨時増刊号 【特集】京成電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2007年3月臨時増刊号 【特集】京成電鉄」(鉄道図書刊行会)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄13 京成電鉄」(朝日新聞出版)
「京成電鉄完全データ」(メディアックス) 等を参考にさせて頂きました。

 次回は東武特急「スペーシア」100系です。気づけば、デビューからもう四半世紀経ちました。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 というか、本当は前回書くべきだったが、京阪が一昨日、今年度の設備投資計画を発表しました。総額94億円は、前年度の2割増しだそうです。
 保安度の向上に重点が置かれているようで、耐震補強工事を守口市・枚方市に引き続き、浜大津駅でも開始、大津線は運行管理システムの更新、京阪線では新型の「多情報連続制御式ATS」を導入し、今年度の出町柳~深草間から供用を開始するとの事です。
 車両面では13000系18両(7連×2、4連×1)の製造に着手、来年度導入。13000系は7連×4、4連×7、合計56両となり、6000系・2200系に次ぐ勢力になります。また、6000系の更新を継続。
 サービス面では祇園四条駅のリニューアルや、旅客案内ディスプレイの導入、トイレの整備を実施。
 思うのだけれど、関西の大手って、年度毎の設備投資計画を発表しない所がほとんどのようです。京阪以外では名鉄が春先にあったけれど、最近ではこういう投資計画が、投資を呼び込むためには大事な情報らしいし、もっと各社の情報を読みたいと思います。こういうのって、会社毎に発表する、しないを決める程度でOK、なものなのでしょうか?
(関東も京王が発表しない)

《今日のニュースから》
 1日 東北最大級 「仙台うみの杜水族館」オープン 
 2日 新日本プロレス 客の個人情報大量流出

「仙台うみの杜水族館」は、今年開通する市営地下鉄東西線の荒井駅が最寄だそう。