№1350 2015年度GW 航空利用データ分析

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 本日、GW中の航空各社の利用実績が一斉に発表されました。いつも通り、数字から利用状況を読み解いてみます。
 今年度は4月28日(火)~5月6日(水)を対象。前年度より3日少なくなっています。
(このため、前シーズンに発表された数値とは、単純な比較はできない)
 注目されるのは、北陸新幹線の影響がどの位出ているか、羽田~北陸路線。それと経営破綻直後に路線網の縮小を行ったSKYでしょう。
 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。
※注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていない カッコ内は前年比


ANA
 国内線 座席数1,654,138席(97.1%) 旅客数1,164,475人(108.8%) 利用率70.3%(+7.6%)
 国際線 座席数255,947席(102.9%) 旅客数204,337人(113.9%) 利用率79.8%(+7.7%)
 国内線は、東北・北陸路線の座席提供数が81.6%と大幅に減りました。北陸路線の小型化を行った影響なのは間違いないはずだが、旅客数は前年比96.2%とそれほどの落ち込みにはなりませんでした。沖縄路線が75.0%と好調でした。「その他」の旅客数が前年比126.3%と大幅に延びたが、羽田~セントレア路線の開設でしょう。
 一方、4月29・30日の上りの利用率が5割を割り込みました。
 臨時便は羽田~沖縄・中部~沖縄・沖縄~石垣で合計11便を運航。
 ピークは下りが5月2日(95.7%)、上りが5月5・6日(6日95.4%)。
 国際線では中国線の旅客数が130.2%と大幅に増えました。欧州線は座席提供数がやや減ったが(B787-8の投入か)、利用率は111.4%と好調でした。ホノルル線の利用率が91.5%と高率。
 ピークは日本発4月29日と5月1・2日(2日93.0%)、日本着5月5・6日(5日92.0%)。
 臨時便は運航がなかったようです。


JAL
 国内線 座席数997,297席(97.0%) 旅客数733,956人(107.0%) 利用率73.6%(+6.9%)
 国際線 座席数269,959席(100.3%) 旅客数229,419人(108.6%) 利用率85.0%(+6.5%)
(国際線は他社運航コードシェア便含む)
 国内線は2シーズン連続して座席提供数が減少しているが(小松線小型化に加え、B777の退役が進んでいるからか)、利用率は70%を上回って好調でした。ただ例によって中国・四国方面の利用率が64.9%と低い(今年は、広島空港のアクシデントが影響しているかも)。前年比では上回っているが。こちらも東北・北陸方面は座席提供数が92.4%と減らしているが、旅客数は上回りました。沖縄線も同じです。関西方面が81.2%と高率でした。
 一方でこちらも4月30日の上りが5割を切っています。
 臨時便は羽田~新千歳3便・羽田~沖縄1便・関空~新千歳1便の合計5便。前シーズンは19便だったそうだから、かなり減りました。
 ピークはやはり下りが5月2日(97.7%)、上りが5月5・6日(6日95.9%)。
 国際線は韓国路線が好調だったと言っているが、座席数は前年比86.5%と大きく減っています。関空~ソウル路線自社運航便の休止があると思われるが、旅客数はそこまでは減らなかったので、利用率は88.0%と上がっています。中国線も座席提供数は減ったが、利用は増えたので利用率は85.3%と高率でした。グアム線が93.6%とかなり良かった一方、オセアニア線は78.7%、欧州線が79.1%とやや低くなりました。GWは短いし、欧州は円安ユーロ高の影響があるか?
 ピークは日本発4月29日~5月2日(2日94.4%)、日本着5月4日~6日(6日95.8%)。
 臨時便はホノルル便3便、チャーター便はパラオ便3便。 

JTA
 座席数91,600席(96.5%) 旅客数74,251人(104.7%) 利用率81.1%(+6.4%)
 前年はやや落ち込んだ利用率が、今年は向上しました。
 臨時便の事だと思うが、那覇~久米島線14便・那覇~南大東2便運航、とあるが、南大東はRACではないのか?

RAC
 座席数14,886席(96.5%) 旅客数11,600人(106.4%) 利用率77.9%(+4.8%)
 RACでは、臨時便の運航はなかったとしています。

JAC
 座席数73,805席(95.9%) 旅客数45,898人(104.2%) 利用率57.7%(+5.1%)
 JACも臨時便の運航はなし。

HAC
 座席数6,480席(98.4%) 旅客数4,064人(109.5%) 利用率62.7%(+6.7%)
 HACが再び他のJALグループと同時に発表されるようになったが、別にHACも独自に発表しています。
 函館~三沢路線の運航がなかったので座席提供数は減ったが、利用者は増加しました。ピークは下りが5月2日(72.5%)、上りが4月28日(77.5%)

 JALグループは全体的に座席提供数が前年より少なくなったが、利用率は向上しています。ダウンサイジングの効果が表れているのでしょうか。


SKY
 座席数202,488席(102.5%) 旅客数166,081人(106.8%) 利用率82.0%(+3.3%)
 経営破綻直後で路線・便数を縮小した後だけに注目されると思うが、利用率は前年より向上しており、何とかうまく乗り切れたという所ではないでしょうか?GWまで落ち込むようだと本当に困るのだが。
(前年は、A330-300の就航が延期になっていた状況にあった)
 ピークは下りが5月2日(98.5%)、上りが5月6日(99.0%)。


ADO
 座席数73,188席(110.1%) 旅客数52,527人(121.5%) 利用率71.8%(+6.8%)
 旅客数が前年を大きく上回って好調だったと見えます。ただし、4月30日の北海道発は利用率37.7%と低調でした。
 座席提供数が大きく増えているが、新千歳~仙台線増便の一方で新千歳~福島・新潟・富山・小松路線の休止があり、トータルではそれほど変わらないのではないかと思ったのだが、B737-700が増えたからでしょうか?
 ピークは下り(北海道行)が5月2日(99.2%)、上り(北海道発)が5月5・6日(6日98.9%)。
 臨時便は羽田~新千歳4往復8便を運航。


SNA(ANA販売分は含まず)
 座席数67,881席(105.8%) 旅客数51,920人(118.0%) 利用率76.5%(前年との比較は不可)
 こちらも旅客数が前年を大きく上回っています。ただこちらも上り便で、4月28日・30日の搭乗率が4割を割っているのは少々気がかり。
 ピークは下りが5月2日(98.8%)、上りが5月6日(99.0%)。
 5月2・3・5・6日に羽田~長崎線で臨時便を合計8便運航。


SFJ
 座席数49,998席(89.5%) 旅客数39,151人(101.3%) 利用率78.3%(+9.2%)
 座席数は大幅に減ったが(羽田~福岡線の減便はあったが羽田~山口宇部線の開設があり、トータルでは便数は変わらないと思うが、どうして?)、旅客数が増えたため利用率は大きく向上しました。しかしここも、4月29・30日の搭乗率が5割を切りました。
 全体のピークは下りが5月2日と6日(98.5%)と、他社とやや違う傾向も見えました。上りは5月6日(99.6%)。


FDA(JAL販売分を含む)
 座席数40,860席 旅客数30,944人 利用率75.3%(△0.4%)
 利用率はやや減っているが、新路線の開設もあるので、前年並みと言って良いのでは?
 FDAは路線別のデータを公表していて、春スケジュールより新設の小牧~出雲線は86.5%と好調。一方で小牧~北九州線は54.9%と低調でした。やはりビジネス中心?小牧~高知線は89.1%と、前年の81.9%から大幅に向上し、全路線中最高の利用率になりました。
 

APJ
 国内線 座席数99,000席(116.0%) 旅客数90,230人(121.0%) 利用率91.1%(+4.0%)
 国際線 座席数34,200席(106.0%) 旅客数30,673人(110.0%) 利用率89.7%(+3.6%)
 とにかく絶好調、の数字が並んでいると思います。国内線は下りが4月29日以降・上りが5月1日以降、国際線も日本発が5月5日まで、日本着が5月4日以降の全日で、搭乗率が90%を越えました。
 国内線下りは5月2日95.6%、上りは5月6日96.7%、国際線日本発は5月2日96.1%、日本着は5月6日の95.2%が最高でした。


VNL
 国内線 座席数34,380席(141.2%) 旅客数30,289人(184.5%) 利用率88.1%(△20.7%) 
 国際線 座席数19,440席(300%) 旅客数16,885人(297.6%) 利用率86.9%(△0.6%)
 ソウル路線の休止はあるが、ともかく1年で輸送量も輸送力も急激に増えました。国内線は成田発が4月29日~5月4日・成田着が5月2日以降、国際線は成田発が5月4日まで・成田着が5月4日以降の全日で、搭乗率が90%を越えました。
 AAPはピークがいつとは記していないが、国内線の搭乗率の最高は、下りは12月29日の97.8%、上りは1月4日の98.3%。
 国内線成田発は5月2日97.7%、成田着は5月6日97.7%、国際線成田発は5月1日98.1%、成田着は5月6日の98.1%が最高でした。国際線成田発のピークが1日なのは、香港行に20時55分出発JW307便があるからと思われます。


 主要航空会社では、IBX・JJP・SJOは、今日の時点では発表がありませんでした。
 GWはお盆・年末年始と違って「短期決戦」になりがちで、国内線は5月2~6日の5連休に集中する一方、4月28~30日の上り便が全体的に低調、という傾向になりました。
 北陸路線についてはANA・JALとも利用者は当然減少と思われる(両社とも東北路線も含めているので実際の数値は解らないが)が、機材のダウンサイジングを行った結果、利用率の点では歯止めが効いているのかとも思います。もちろんGWまで利用率が下回るようでは困るし、通常の時期だとどうなのか。
 次回は夏のお盆休みにデータ分析を行います。北陸路線は今後も注目でしょう。

 北陸新幹線については4月26日~5月6日の間、JR西日本区間の上越妙高~金沢間は39万1千人の利用で、前年の在来線特急〔はくたか〕〔北越〕との比較で3倍、JR東日本区間の高崎~軽井沢間は72万2千人の利用で、長野新幹線時代の前年との比較で2倍になっていると発表がありました。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

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