№1347 バスラマインターナショナル149(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル149」が先月末発売になりました。
 表紙は広島電鉄のエルガ・ハイブリッドとセレガ空港車、それと京都急行バスのBYD製大型EV。

各地の新車から
 西日本JRバスのノンステップ新車は、デザインが変わりました。
 車両そのものとは関係ないが、ICカードが「PiTaPa」とは意外な選択でした。JR西日本グループなら「ICOCA」だろうとも思うし、それ以前に、今の所金沢は他に全国相互利用ICカードを利用できる交通事業者はない。北陸鉄道のICとの互換性も今の所はなく、利便性としてはとりあえずはどうなのか。

ヒュンダイユニバースの衝突被害軽減ブレーキを韓国で体験
 バスラマ誌も南陽に行ったのか。こちらでも、新型ブレーキシステムの開発をメインに据えていました。
 現代そのもので言うと、バスはラインナップの充実は今後の要望次第、エネルギーは、国内向けは当面はCNGが中心だろうと読めました。水素燃料電池は、乗用車向けが先になるだろうとも。

2015 韓国最新バス事情
 という割には見開き2ページのみでやや軽いかなと感じました。前号で「韓国のバス事情を知りたい」と書いたのだが(次号に続くそうだが)。
 バスレーンに数珠つなぎのバスが凄い。それも大半が高速バスみたい。高速道のバスレーンもそうで、いかにバスの需要が高いかを見せつけてくれるが、ここへきてKTXの影響は大きくなってきているそう。クムホの「ファーストクラスバス」は運賃水準がKTXと同水準になる可能性があるとの事。「早い高速列車」vs「安い高速バス」の図式は、韓国では当てはまらなくなってきているのか?KTX自体、(少なくとも日本人の感覚では)割安ではあるのだが。
 ここでも江南の高速バスターミナルが取り上げられているが、漢字の表記がほぼなくなってきているそう。そうかも知れない。バスターミナルに限らず、韓国では漢字がほとんど使われなくなってきているそうで、KBSテレビのニュースでさえ、漢字はせいぜい「日」(=日本)「北」(=北朝鮮)「美」(=アメリカ)位しか見られません。
 エンヴァイロ500が本格運行にならなかったのは残念。ただ、評価自体は良かったそうなので、いずれ再運行を期待します。

中国製の量産大型電気バス・BYDが日本初上陸
 京都急行バス(京都駅八条口~京都女子大学)で走り出した中国製大型EV。
 前号で「バスラマ賞」を受賞した韓国HFGはカタログ上で80㎞程度、今号で同時に取り上げられた臨港バスのエルガミオベースのEVは約40㎞だそうだから、200㎞というのはちょっと驚きではあります。
 ただ、バッテリー搭載位置もあるが、中ドアがやや前よりにあるので、乗降性はどうかな、という感じはします。前輪ホイールベース上を丸々バッテリーが占めているレイアウトも、日本人の目にはどう映るでしょうか。後方からの前方の展望は良くなさそう。
 HFG及びBYDのEVを見ると、まだ色々制約もあるだろうが、日本の大型EVの開発、大丈夫かな?と思ってしまうのと、一方でこれだけのEVを作れる中国で、なぜ大気汚染がなくならないのかとか、色々考えてしまいました。 

バス事業者訪問181 広島電鉄株式会社

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 広島電鉄は以前、46号の「事業者訪問42」で取り上げられていて、17年ぶりになりました。今号はこの後分社したエイチ・ディー西広島(ボン・バス)もまとめて取り上げられています。
 概要を比較すると、資本金が17年で倍以上になりました。営業キロは、軌道(路面電車)が0.2㎞延伸しているが、広島港付近の整備のためです。バスは800㎞も少なくなったが、長距離路線からの撤退のためだろう。それより、従業員数が400人以上も減っているのがちょっとビックリ。ボン・バスは50人強しかいないし、高速部門はもともと規模は大きくはなかったと思われる事、西風新都の路線を拡充している事、呉市営バスを引き継いでいる事を考えると、どうしてなのだろうと思う。
 17年前は市内路線中心の「第一自動車部」と、郊外線中心の「第二自動車部」に分けられていました。去年組織再編が行われたという事だが(当然ここでは記されないが、背景には一昨年の経営陣の内紛もあったのではないだろうか?)、現在の「都市圏輸送営業部」「地域輸送営業部」は、この流れを受け継いでいると考えて良いのか。これに「呉輸送営業部」を加えた3部体制、が今の広電バスの組織でしょうか。
 17年前は「アストラムラインの影響を受けている」とされていたが、既に西風新都の開発は始まっていたはずで、まだこの辺の恩恵を受ける所までは行っていなかったのでしょうか。
 バス総合案内システムについては、17年前はあまり活用されていなかった、もっとシンプルな方法を模索しているとしていました。当時はIT技術も今ほどではなかったからやむなしの部分もあったろう、3月スタートの「くるけん」は、長年の経験の蓄積の賜物と言えるかもしれません。
(「7事業者」とは、広電・ボンバス・広交・広島バス・芸陽・JR・備北、で良いだろうか?)
 高速バスは、17年前には既に見直しの傾向が見えていました。福岡線はビジネス客中心だから、所要1時間20分程度の新幹線には所要時間で太刀打ちできない、とも。陰陽連絡は高速道開通前からの歴史がある路線だし、鉄道の整備が行われず、陰陽連絡特急の設定が行われなかった事も有利に働いたでしょう。今後、広電程度の規模の事業者だと、高速バスについては同じような方向性に行くのではないかと考えられます。
 呉に関しては、当たり前だが駅前を発着するバスは皆広電カラーになりました。3年前、市営バス最後の直前に訪れた時とはまるでイメージが違って見えます。車両も広電プロパーが増えたようです。特に音戸方面の路線の現状はどうなっているのだろう。また、市営バス時代に一旦休止になった呉~広島空港路線の再開と、その後の利用の推移も知りたいと思いました。
 ボン・バスは、路線網自体は己斐中心は変わらないと思う。地域密着の性格がより強まっているのだろう。「列車のダイヤに運行ダイヤを合わせざるを得ない」としているが、本来西広島の山陽本線はそんなに本数が少なくはなかったはずで、何度も書いているが、この辺はJR西日本に、もうちょっと何とかして頂きたい。17年前には、己斐峠を越える広電バスの走行写真がありました。この路線が、今もボン・バスの主力になっているようです。ただ、本数は広電時代から減っているかもしれません。
 車両面では、元呉市営のキュービックが目新しい。この車両は呉市営時代、地元のボランティア団体の寄付金で購入されたと、17年前にしるされていました。車体にもその旨記されていたようだが、広電になってからはないのか。
 広島市内はバス事業者が多いのは17年前も今も変わらないが、広島市に関しては最初から公営の電車・バスはなかったし、バス事業者は郊外線指向の事業者も少なくないので、市内交通に関しては、広島電鉄の動向が左右する状況は昔も今も、将来も変わらないはず。この辺りを自覚して、市内交通を引き続きリードする気概を持ち続けて欲しいと思います。
 そろそろ広島ももう一度行きたいな。電車の新車も走っているし。

 熊本市営バス終焉についての記事があって、「比較的」最近の時期の写真もありました。廃止前に行った「市営バスの歴史展」の展示がやや物足りなくて、この位の時期の写真が欲しいなと思ったものでした。熊本のバスは民営で統一されたが、直前に熊本バスが再生支援を受けたと別の記事にあり、熊本市のバスはなかなか厳しそうです。各民営事業者の連携の強化が求められます。
 小松島市営についてなかったのは残念。

 巻末の「INFORMATION」に、浜松市博物館の「なつかしの市営バス展」開催の話題がありました。
(5月23日~7月12日)
 来年で廃止から30年になるのを記念して、との事。2月に浜松に行って、市営バスの廃車体も見てきただけに、感慨深いものはありました。
 次号は創刊25周年記念号、四半世紀で日本のバスはどう変わったのか、集中して特集されると思われます。個人的には沖縄に注目します。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 昨日は東武と小田急で、今年度の設備投資計画が発表になりました。

東武(328億円):「鉄」的に注目される部分をピックアップすると、先日新造が発表になった、新特急車500系(3連×8本)の製造に着手。
 通勤車では今年度も引き続き60000系2編成12両を「アーバンパークライン」(野田線)に導入。本線・東上線への新車導入はこの数年途絶えていて、本線に残っている30000系2編成は、まだしばらくは半蔵門線・田園都市線直通運用に使われる事になると思います。
(ただし、遅くとも田園都市線ホームドア整備時点で本線から撤退、だろう)
 日比谷線直通用の新型20m車については、今年度は言及がありませんでした。
 設備面では大宮~春日部間急行運転、上りTJライナー及び東上線⇔地下鉄直通列車の急行運転開始に向けた設備改修工事の実施、東上線では池袋~川越市間で新型ATSの使用を開始。
 ホームドアは和光市と川越で整備に着手。「スカイツリーライン」については、日比谷線直通用車両の置き換えが行われないと、実施は不可能でしょう。
 高架化工事は、新たにとうきょうスカイツリー~曳舟間の連続立体交差化計画の都市計画決定手続きに着手したとの事で、しばらくは準備段階か。ここには特急車などの整備を行う留置線もあるが、どうなるか。

小田急(289億円):車両面では、久しぶりにMSE(10両)を新造。これはロマンスカー増発用か、LSE代替なのか?
 通勤車は新造は行わず、引き続き1000形(4両)の更新を実施。
 設備面では引き続き、下北沢付近の地下複々線化工事と、各駅停車10連運転開始に向けた工事を推進。通勤者の新車導入は、これらの工事の進捗状況を見据えて行われる事になるでしょう。
 新宿~新百合ヶ丘間でD-ATS-Pを導入、全線で運用を開始。他にデジタル列車無線を導入。
 サービス面では、タブレット端末を利用した旅客案内を開始。今年度は駅と、ロマンスカーの車掌によるサービスを開始。
 それにしても、下北沢の複々線化は、少なくともあと2年程度はかかりそうで、工事の開始から13年もかかる事になります。計画自体は20世紀からあるので、少しかかり過ぎではないでしょうか。確かに難工事ではあるし、先行して高架複々線化した区間が裁判沙汰になったりした影響もあるのだろうが。

《今日のニュースから》
31日 「スター・ウォーズ」10年振り新作 ヒロイン役デイジー・リドリーら会見
 1日 通天閣「免震」工事完成 現場を公開