№1341 思い出の海外旅行クロニクル 16.2000年イタリア 8<終>

 2000(H12)年11~12月のイタリア鉄道の旅、今回は大きなヘマもなく、無事に日本に帰って来れました。
 最終回は、イタリア鉄道の車両と、ローマ・テルミニ駅の画像、そしてほんの少しだがイタリアのバスの画像もご覧頂きます。また、いつものように総まとめとして、当時感じたイタリアの鉄道の印象、イタリアそのもののパーソナルデータを記して、完結です。

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 イタリアの基幹鉄道事業者は、イタリア鉄道(FS = Ferrovie dello Stato)。この年民営化し、列車の運行業務を、子会社のトレタニアに引き継いでいます。最新のシンボルマーク。

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 国鉄時代のマークも、若干残っていました。

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ETR500
 正面のデザインが変わった2次車。

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ETR500
 これは1次車。個人的にはこちらの方が好みかな。
 ETR500の2枚は、ローマのランブレーテ駅での撮影。

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ETR460
 これはトリノ・ポルタ・ヌォーヴァで撮りました。

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旧型近郊電車
 ランブレーテ駅。

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E646

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E656
 イタリアは、連接タイプのELが数多く見られました。最もオーソドックスな形式と思われます。

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E633

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E402B

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E402A
 AとBの違いは、私には解りません。EF66のようなもの?

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D445

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AL663
 イタリア全土の非電化ローカル線で見られます。シチリア島やサルディーニャ島でも走っています。

ローマ・テルミニ駅
 前回訪問(1995(H7)年)から5年の間に、改装されてきれいになっていました。

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 駅の佇まいそのものは変わっていないと思います。

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 コンコース。

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 窓口。

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 券売機。方面別にこれから発車する列車数本を表示し、その列車毎の運賃・料金を提示します。6カ国語対応。

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 セルフレストラン。夕食で利用しました。コスト例で、パスタ・コーラ・パン・フルーツサラダで12,500ITL(≒600円)。

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 両替と鉄道警察。

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 案内窓口。

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 発着案内のソラリー。左が到着、右が出発。長距離列車のラインナップも少なくないが、国際列車はさすがにほとんどないようです。

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 フィミチーノ空港へのアクセス鉄道「レオナルド・エクスプレス」の乗場。

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 やはり欧州の大ターミナルらしい、頭端式のホーム。夜撮ったので暗いのは勘弁。

ミラノ中央駅

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 ミラノ中央駅駅舎。

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 窓口。

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 発着案内のソラリー。上段が出発で下段が到着。スイスの駅の名前も見られます。到着の一部は大幅な遅れになっている。

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 コンコース。

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 売店も多数あります。

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 ホーム。ドームに覆われた頭端式。いかにも欧州のターミナル。

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 今回利用した、「イタリアレイルカード」。日本で購入し、249USD(27,400円位ではなかったかと)。2等車が15日間連続で利用可能。

 イタリアのバスも少しご覧頂きます。

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 トリノの市内バス。

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 トリノには連接車もあります。

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 カリアリの市内バス。旧型。4枚折戸が4ヶ所もあります。

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 トリノの郊外バス。広告ラッピング車?

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 同じく、トリノの郊外バス。

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 最後に、カリアリの長距離バス。どこへ行くのかは解らなかったが。
 見た限り、イタリアでは市内バス=黄色、郊外・長距離バス=青で基本的には統一されているように見えました。
 また、日本でもそろそろ見られるようになっていたLED行先表示が、イタリアでは既に相当数普及していました。

以上、イタリアの鉄道の旅について書いてきました。
 それ以前に周った分もひっくるめて、イタリアの鉄道について気付いた事、感じた事を簡単に記してみます。

1.列車の種別は、ユーロスター・イタリア(ES=高速特急 現在はイーエス・スターと呼称)を筆頭に、ユーロシティ(EC=国際特急)、インターシティ(IC=特急格)、エスプレッソ(E=急行格)、インターレッジョナーレ(IR)、ディレット(D)、レッジョナーレ(R)に区別されている。ただし、IR・D・Rの区別は、ダイヤ上ではあいまい。

2.一部の区間を除くと、幹線区でも本数はそれほど多くはない。休日にはかなりのローカル列車が運休、路線によっては全面運休となる区間もある。
(土曜日は平日と同じダイヤで運転される列車が多い)

3.北部のミラノ・トリノからローマより南部、さらにシチリア島へ直通する長距離列車が、昼夜とも多数設定されていた。特に夜行は旧型車両中心に長大編成が組まれ、さらに複数の行先を併結する列車も多いので、一昔前の日本の夜行急行列車を彷彿させるようだ。

4.評判が良くなかった列車のダイヤだが、まだ完全とは言い切れないものの、一頃に比べれば定時運転が確保されるようになった。少なくとも、始発駅は定時に出発する事が多くなった。

5.車両はPCが中心で、IRやRではプッシュプルトレインが大半。ECは大都市の近郊列車や一部のD、電化された支線で見られる。DCは非電化の支線の運用が大半で、優等列車では見られない。

6.全体的に旧型車が多い上、壊れたりなくなったりしてもそのまま放置されているなど、整備状態が良くない。何より、これまでご覧頂いたように、車体が落書きで汚染されている車両が非常に多くて見苦しい。高速特急のETRでさえ見られるようでは、車両の管理体制の側にも問題があるのではないだろうか?

7.車内の放送は、ES・IC等を除いて全くない。旧型車両の場合は、放送設備そのものがないのではないだろうか。地下鉄・市電・バスにもない。

8.この5年の間で託送手荷物輸送「チッキ」が廃止になっていた。その事もあり、荷物車・郵便車は全く運行されていなかった。

9.国際列車は、ミラノを中心とした北部を中心に運行があり、フランスからTGVも乗り入れる。通常はローマが南限だが、バカンスシーズンには東海岸へ行く列車も設定されるようだ。

10.時刻表に名前がありながら全列車が通過、実質信号所としか機能しない駅が非常に多い。本当に廃止になった駅も少なくなかった。

11.駅員配置駅では、たいてい鉄道警察の交番が併設されていた。列車内でも警官の姿を良く見かけたし、やはりお国柄で犯罪が少なくないのだろうか。

12.線路の改良は前回から、特に南部で引き続き活発だった。高速新線の延長や線形の改良が進行中。シチリア・サルディーニャ両島では電化工事も進行中だった。

13. 私鉄が全国各地で活躍していた。空港アクセス快速が走る大手から、旧型DCのローカル鉄道まで、日本同様バラエティに富んでいる。

14. 地下鉄はローマ・ナポリ・ミラノで、市電は加えてトリノで運行されていた。バス・トロリーバスもひっくるめた市内交通は、全体的にインフォメーションが不十分と感じた。

15.首都ローマから主要都市までの運賃(2等車)。
 チビタベッキア 81㎞ 8,000ITL(約400円)
 ナポリ 214㎞ 20,600ITL(約1,030円)
 ミラノ 366㎞ 50,500ITL(約2,530円)
 ヴェネチア 573㎞ 56,100ITL(約2,850円)
 トリエステ 710㎞ 58,200ITL(約2,910円)
 パレルモ 916㎞ 73,200ITL(約3,660円)
 ※1ITL≒0.048円で計算

 最後に、イタリアそのもののパーソナルデータを記しておきます。
(帰国日の2000(H13)年11月7日現在)

正式国名 イタリア共和国 Repblic of Italia
面積 約301,341平方㎞ (日本の約0.8倍)
人口 約5,737万人
政治体制 共和制 議員内閣制
国家元首 カルロ・アツェリオ・チャンピ大統領(無所属)
※現在はセルジョ・マッタレッラ大統領(無所属)
政治指導者 ジュリアーノ・アマート首相(無所属)
※現在はマッテオ・レンツィ首相(民主党)
首都 ローマ(人口約264万8千人)
国連 加盟(1955(S30)年)
EU(EC) 加盟(1993(H5)年)
NATO 加盟(1949(S24)年)
通貨 リラ(ITL) 1ITL≒0.048円
言語 イタリア語
主な観光地 ローマ(トレビの泉・バチカン等)、フィレンツェ、ヴェネチアなど
日本からのアクセス ローマ・フィミチーノ空港へ、成田からJAL週3便(1便はモスクワ経由)・AZ週2便(ミラノ経由)、ミラノ・マルペンサ空港へ、成田からJAL週3便・AZ週5便に加え、関空からもAZ週3便が運航されていた。当時は全便、JAL・AZ共同運航だった。

 前回の反省も踏まえ、今回は基本的に時計回り1周とややゆったりさせたプランとなりました。従って南部が中心となり、大陸側の北部は足を踏み入れる機会は少なくなりました。その間にも欧州縦横断・欧州一周があって北部にも行ったからある程度バランスは取れているとも思うが。
 15年も前の話だし、特に南部はこれ以降行っていないから現状は解らないが、当時は民営化の直後でもあったし、イタリアの鉄道は近代化の途上にあったのか思います。高速新線開業の一方で昔ながらの長距離列車も多数存続、一方では路線の近代化工事も進行中で、車両も新型車の導入がある程度進んでいました。
 ダイヤ上の利便性がやや劣る(特に南部)は、需要の点でやむを得ない部分もあります。ある程度入念なプランニングをされる事をお勧めします。乗り継ぎ時間も、やや余裕を持たせた方が良いでしょう。
 後は国そのものの問題。ギリシャ等に比べるとやや落ち着いているようだが、財政問題は以前厳しいと思います。これが鉄道の運営に影響が出なければいいがと感じます。あとは国民性の事だからしょうがないかも知れないが、特に落書き、何とかなりませんかねえ?欧州ではどこでも見られるけれど、特にイタリアが酷いのは事実なので。

 この翌年の2001(H13)年、私的な事情もあって、欧州行は1年お休みとなりました。次回のクロニクルは初のアメリカ、10月のロサンゼルス行について書きます。何しろ「9.11」の直後、色々影響を感じました。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 ジャーマン・ウイングス機事故の追悼ミサ・式典が17日、ケルンの大聖堂で行われました。
 地元のTVニュースをBSで見ただけなのだが、むき出しの感情というものが表には出ないで、重い悲しみが支配する、そんな空気だったように感じました。
 印象的だったのはガウク大統領の発言で、機体を故意に墜落させた「加害者」とされる副操縦士の家族の心中にまで言及し、他の被害者の遺族と同列に慰霊していた事でした。
 無論事故の真相の究明や、補償の交渉が進む内に、いろいろ違った事が起きてくるのだろうが、この時点に限っては、関係者全てが感情を押し殺し、犠牲になられた方々の霊を静かに慰めよう、そんな場であるように見えました。
 一方、セウォル号沈没事故から1年の韓国では昨日、犠牲者の遺族や支援者がデモを起こして警察と衝突、けが人も出た上に身柄を拘束された人も多数出たそうです。
(日本も含めて)アジアではどこでもそうだと思うが、特に韓国では、この手の事故が起きると、遺族の方々は非常に激しく感情的な言動・行動に出る事が多いようです。
 ドイツ・韓国、どちらの行動が正しいかなんて、この手の、惨事によって身内を失った経験がない私に発言する資格はないでしょう。私自身はただ、セウォル号、ジャーマン・ウイングス機、どちらの事故の犠牲者に対しても、静かに冥福を祈るだけです。
 日本でも、まもなく福知山線の大惨事から10年です。裁判の経緯もあって、遺族の方々の怒り・憤り・不信は未だ根深いようです。前にも書いたけれど、(交通に限らず)大惨事は被害者・加害者、どちらの側にも心に深い傷を残します。絶対に起こしてはいけない事のだと、交通事業の関係者は、上も下もはっきり意識して、安全運行に取り組むべきです。

 こちらは幸い人的被害が出なかった広島のアシアナ機事故だが、空港は再開されたが、ILSが破壊された影響で今日の発着便は全便欠航、明日も全便欠航が予想されています。中国地方では最大の空港なので影響は大、早く何とか復旧してほしい所だろうが、GWに間に合うのでしょうか?
(ANAは、羽田~岩国線で臨時便2往復を運航)

《今日のニュースから》
18日 北海道博物館 札幌市にオープン
19日 高台に新たな桜並木 岩手県山田町で植樹