№1314 思い出の海外旅行クロニクル 15.2000年ベルギー 5<終>

 2000(H12)年5~6月のベルギー鉄道の旅、最終回はいつものように、ベルギー国鉄の車両と、ブリュッセルの各ターミナル駅の画像をご覧頂きます。また、いつものように総まとめとして、当時感じたベルギーの鉄道の印象、ベルギーそのもののパーソナルデータを記して、完結とします。

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 国鉄のシンボルマーク。
「国鉄」と記してきたが、フランドル語ではSNCB(Société Nationale des Chemins de fer Belges)、ワロン語ではNMBS(Nationale Maatschappij der Belgische Spoorwegen)と称します。

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EL 1314号

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EL 2123号

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EL 1188号
 番号は大きく離れているが、上の2123号と同型では?こちらはブリュッセル~アムステルダム間直通IC用で、客車はオランダ。

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EL 2221号

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DL 6220号

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EC 561号
 IC用の電車で、デンマーク・IC3のような風貌。ただし一般的なボギー車。

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EC 329号
 近郊電車。

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 その車内。

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EL 822号

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EL 644号

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 郵便電車。上の電車の改造車?

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DC 4408号

 こうして並べてみると、一昔~二昔前位のベルギー国鉄の車両は、皆どこか風変わりな風貌に見えます。

 ブリュッセルの中心部の駅もこの十数年で大きく変わってしまったようだが(特にミディ駅)、昔はこんな感じだったんだ、という目線で見て頂ければ。

◆ 北(ノード)駅

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 ここの駅ビルは改装されています。

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 駅舎内のコンコース。
 実はこの写真を撮影した背後に鉄道資料室があるのだが、休業だったのが残念でした。

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 国内線の切符売り場。

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 こちらは国際線の切符売場。

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 大型の出発案内表示。

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 北駅のホームは、ドームでない中間駅の形態なので、少しつまらない感じも。近郊列車の発着が中心。

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 昔の北駅はこんな感じだった、という所で、昔の北駅を描いた絵葉書。1900(M33)年頃らしい。

◆ 中央駅

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 曲面を描いたガラス張りの壁面が印象的。

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 中央駅のコンコース。半地下式。

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 出札窓口。その上には出発案内表示。

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 右は自動券売機。左手奥にあるのはコインロッカーと、忘れ物取扱所。

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 小規模なエキナカもあります。

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 中央駅は地下ホーム。

◆ 南(ミディ)駅
 南駅はこの4年前、1996(H8)年にパリからTGVで到着、№967で書きました。
 翌年のオランダ旅行の帰りでも経由しているのだが、あの頃とは様相が大分変りました。

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 再開発工事の真っただ中、欧州らしい風景はちっとも感じられません。

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 工事中の看板。左がワロン語、右がフランドル語で並べて掲げられていました。

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 駅の内部は大分改装が進んで、きれいになっていました。コンコースは、他の駅とは少し違ったイメージもしました。

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 コンコースに掲げられた時刻表。左の黄色=出発、右の白色=到着、なのだが、到着の時刻表が掲げられていたのは、ここまで見てきた限りでは、ベルギーではこの駅だけでした。

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 発車案内表示。

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 切符売場。

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 券売機。

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 エキナカ。

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 サイン類はユーロスターやタリスの受け入れに合わせてか、ピクトグラムを多用した新しいものになっています。

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 南駅のビジターセンター。


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 ユーロスターの乗場の入り口。イギリス行なのでパスポートコントロールもあり、一般のお客さんはホームには立ち入れません。空港と同じ。

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 南駅の、一般の列車が発着するホーム。ここも中間駅形態で、発着も近郊列車・国内ICが主体となり、正直旅のムードには欠けていたかも知れません。

 一般の駅の時刻表は、こんな感じ。

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 このような感じでホームに立っています。左が土休日用、右が平日用、だったっけ?

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 さらに、地方の無人駅などだと、バス停然とした、安普請なポールに時刻が掲げられています。

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 今回利用した、「B-TOURRAIL」パスです。1ヶ月の内の5日間利用できるフレキシータイプ。2,200BEF(≒5,600円)。通貨の流通は翌年だが、既にユーロ建ての金額も記されていました。

 今回の旅行、それに以前の経験・体験を踏まえ、ベルギーの鉄道について気付いた事、感じた事を簡単に記してみます。

1. 列車の種別は、国内列車ではインターシティ(IC=特急格)、インターレギオナル(IR=急行格)、ストップトレイン(L=普通列車)の3種類。全て乗車券だけで乗れる。

2. 運転系統は、基本はブリュッセル中心だが、終着としている列車は少なく、スルーの列車がほとんど。系統は高度に規格化され、IC・IRでは系統ごとにアルファベットを使った案内も行われている。

3・ 一部の非電化ローカル線を除けば1時間サイクルでダイヤが組まれて利用しやすい。ただし土曜・休日は大幅にダイヤが変更され、駅の時刻表も平日と土休日で別になっている。列車は減便のみならず、系統によっては運転区間や停車駅の変更もある。一部の駅は全列車通過になる。

4. 車両はIC・IRはEC及びELペンデルツーク、LはECが使用される。DCは見た限りでは、アンデルヌ地方の一部路線のみのように見えた。ICには新型車の導入が進み、一部には更新車も見られるものの、全体的には古い車両が少なくない。

5. 複線化率はかなり高い。1~2時間に1本程度のローカル線でもほとんどが複線化されている。電化率も高いようで、DC運行区間でも電化工事が行われていた。踏切が、欧州の中では多い方かも知れない。

6. 国際列車はユーロスターとタリスが中心となり、在来タイプの列車は少ない。アムステルダム・ケルン・ルクセンブルク・リール行等は国内列車の延長に近く、自国の車両が運用される。他国の車両はあまり見かけない。

7. 駅の密度は路線・地域によってかなり異なるようで、1~2㎞間隔である所も、20㎞位ない所もある。小駅では路面電車の如く、線路際に土を盛って、駅名票・ベンチ・バス停然とした時刻表を並べただけの簡素な所が多い。ここも廃止になった駅が少なくないようだ。

8. ウィーンを初め、各地の「中央駅」を名乗る主要駅の駅舎は、たいてい中央部に大きな明り取り窓を持つ吹き抜けを設けた、独特の設計になっている。エスカレーター・エレベーターが整備されている駅が多かった。

9. 純粋な私鉄は走っていない。地下鉄はブリュッセルで、路面電車・ライトレールは加えてゲント・アントワープ・北海沿岸・シャルルロワで走り、バス・トロリーバス共々、地域毎の統一組織で運営されている。路面電車も地下区間が目立つ。

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 ここで市内バスの画像を掲げておきます。ブリュッセルはSTIB/MIVBが運営。

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 フランダース地方のDe Lijn。

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 ワロン地方のT.E.C。 

11. 首都ブリュッセルから主要都市までの運賃(2等車)。
 ブリュッセル空港 17㎞ 90BEF(約230円)
 アントワープ 48㎞ 200BEF(約510円)
 ナミュール 65㎞ 245BEF(約630円)
 リエージュ 103㎞ 405BEF(約1,030円)
 オステンド 119㎞ 460BEF(約1,170円)
 アーロン 202㎞ 580BEF(約1,480円)
 ※1BEF≒2.55円で計算

 最後に、オーストリアそのもののパーソナルデータを記しておきます。
(帰国日の2000(H11)年11月2日現在)

正式国名 ベルギー王国 Kingdam of Belgium
面積 約30,528平方㎞ (九州よりやや小さい)
人口 約1,018万人(1998(H10)年)
政治体制 立憲君主制 議員内閣制
国家元首 国王アルベール二世
※現在は子息のフィリップ国王
政治指導者 ヒー・フェルホフスタット首相(フラームス自由民主)
※現在はシャルル・ミシェル首相(改革運動)
首都 ブリュッセル(人口約95万3千人)
国連 加盟(1945(S20)年)
EU(EC) 加盟(1957(S32)年)
NATO 加盟(1949(S24)年)
通貨 フラン(BEF) 1BEF≒2.55円
言語 オランダ語(フラマン語)・フランス語(ワロン語)
主な観光地 ブリュッセル(グランプラス)、ブリュージュ、北海沿岸など
日本からのアクセス 当時はブリュッセル・ザベンタム空港へ、サベナ・ベルギー航空が成田から週4便の運航があった。

 今回は若干路面電車・軽鉄道や保存鉄道が中心になってしまったでしょうか。
 ミディ駅やアントワープに代表されるように、ベルギーでは各地で鉄道の改良工事が進行中でした。フランスとオランダに挟まれ、ユーロスターの乗り入れも行われるようになったからでしょうか。比較的小国でもあり、欧州の鉄道の中では地味な部類に入るとは思うが、一部のローカル線を除けば利便性が高く、新型車両の導入も進みつつあり、快適な旅が期待できると思います。
 後は国そのものの問題で、元々フランダースとワロンの対立で分裂寸前まで行った事もあった上、昨今は国際テロのターゲットにもなりつつあり、心配です。海も陸地も美しい、穏やかな地がいつまでも続いてくれる事を、心から願います。

 次回の「クロニクル」は同じ年の秋、5年ぶりとなったイタリアです。前回は最後にイタイ目にあっただけに、プランニングも若干慎重なものになりました。4月に書く予定。

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《今日のニュースから》
21日 女性限定の航空教室 日本航空機操縦士協会が開催
22日 ニュージーランド大地震から4年 現地・富山で追悼式

 パイロットというと、この他年齢制限が67歳まで(条件付きだが)引き上げる方針を国土交通省が固めたとも伝えられています。昨年のLCC大量欠航を見るまでもなくパイロット不足は深刻なようで、それは他交通(特にバス)も同じではあるが、しかしなりたくたって誰でもなれるものでもなく、意欲だけでは無理な部分が多いから難しい…。
 4年前は東日本大震災を含め、世界的に大地震が多発した年だったが、その始まりがニュージーランドでした。