毎年恒例の「年鑑バスラマ 2014→2015」が昨年末発売になりました。遅くなって年をまたいでしまったが、ここで取り上げます。
表紙はポーランドのハイブリッドノンステップバス、新型エアロスター(東急バス)、北九州市営の大型EV。
北九州市営のEVが、南国交通共々「バスラマ賞」を受賞したと、ぽると出版の公式Webで発表されています。
◆2014年 国内バスハイライト
EV・ハイブリッド車が普及。EVは韓国製の大型車が上陸し、ハイブリッド車はモーター駆動とAMT採用の次世代車の実証運行が始まった。2階建てオープントップバス、京阪バスの新デザイン定期観光車、相変わらずブームの旧塗装復刻車、など。
和田編集長による今年の巻頭言「いま日本のバスは 2014年の動きから」
1.貸切バス新運賃・料金制度スタート
2.多発する貸切バス事故 今あるインフラの有効活用を。
3.日本のバス輸出 (というか、日本のバスメーカーに未来はあるか)
3点に共通していると思うのだが、公共交通の重要性とか、バス輸送の安全運行はとても大事な事なのだが、個人的には今一つ、社会全体を巻き込んだ議論には発展しないように感じられる。専門誌的なバスラマ誌の特性だからやむを得ない部分もあるが、どうも一方通行、あるいは事業者及びメーカーサイドとの狭い範囲でのやり取りに終始し、肝心の利用者サイドの目線が本当の所はどうなの?という所が見えてこない気がする。
3点目は久しぶりに日本のバス(特にノンステップ車)のコンポーネントに言及しているが、では、実際にバスに金を払って乗車する利用者は、日本のバスのコンポーネントをどう感じているのだろうか?欧州のシティバスは進んでいる、と言っても、現地のシティバスを利用する日本人はそう多くないだろうし、いてもでは日本では?とまで考えをめぐらす人々はどれだけいるだろうか?案外、日本だとこんなものだろう?で終わりのような気がする。欧州との比較、の意味では、日本でも少数ながらシターロを中心に欧州製の連接ノンステップバスが走り、そこでは国産車との乗り比べもたやすいはずだが、それらを利用できる乗客は、国産車をどう評価しているのか?その辺の心理を知りたいと思う。
日本にもバスのみならず公共交通について考えるNPO法人などの団体は数多くあり、彼らがもっと積極的に日本のバス(車両のみならずだが)について積極的に自らの視点を発信してほしいとも思う。もっとも都市圏だとバスシステム自体が不十分、LRT(電車)を走らせろという方向性に行きがちだし(去年行った金沢市はそんな感じだった)、地方だとまず路線の運行・維持が先決、バスそのもののコンポーネントについては、あまり関心がないのだろう。
1・2点目についても、バスに限らないが、大事故が起きた時にはあれこれ騒ぐが、結局日本人の特性なのか、のど元過ぎれば…で終わってしまう事が少なくない。「貸切バスの現状に社会はもっと関心を寄せるべき」とも記されて、それは全く同意見(路線バスも同じ)なのだが、貸切バスについては規制緩和の在り方も問題だったはずだが、そもそもそれによる競争で運賃値下げやサービス向上を期待する声の方が圧倒的に大きく、ジャーナリズムもそれをあおってきた結果もあると思う(背景には、規制緩和以前の交通業界に対する、特に運賃・料金面の不満もある)。そこまで踏み込まないと、バス、ひいては公共交通全体に関する世論全体の共通認識はなかなか生まれないのではないだろうか。昨年のNHKの調査報道は、少なくともバス業界や趣味の世界では大きな反響を呼んだようだが、それが社会全体の空気を変えるきっかけには、なりうるだろうか。
海外メーカーからの調達に関しては、国産の良し悪しに関わらず、今後拡大が続くのだろう。昨今の超円安が問題になるが。鉄道でさえ、JR東日本は八戸線用の新型DC導入を公募として、外国製導入の可能性を排除していない。バスに関しても、国産に適当なものがないから海外から、というより、もっと積極的に国産と海外産を比較検討する方向になるのではないでしょうか。
◆国内バスカタログ
三菱ふそうエアロスターのモデルチェンジが一番大きかった。既に北海道・旭川から沖縄・石垣島まで導入が進んでいるそう。以前も記したが、長尺ノンステップ車のラインナップが期待される。後は、これをにらんでJ-BUS系がどう動くのか。
◆海外バスカタログ
認識不足を恥じるのみなのだが、昨今はトルコ・中国製が存在感を高めているそう。特に中国製なんて、EUではイメージ的に抵抗感はないのか?とか感じるのだが。バス自体が先進的なのに、北京を中心に連日大気汚染が国際ニュースになるのは、総合的な交通政策全般に問題があるのだろうか。個人的には韓国メーカーの現状も知りたいと思う。ユニバースに続いて、EVも日本で走り出しているのだから。
◆歴史編 東武鉄道時代のバス達
分社・バス専業になる前の東武鉄道時代の過去の車両。
写真を眺める限り、いすゞまたは日野が大半なのは終戦直後から一貫しています。富士重ボディがほとんどなのは、やはり富士重工が伊勢崎にあったからか。
日産ディーゼルの大型車があったのは意外とも見えるが、これも上尾に日デの工場があるかららしい。沿線に自動車関連の工場があると車種選定に影響が出るのは、民営でも同じものだと思います。
(神奈川の相鉄バス(綾瀬〔営〕)で一時日産ディーゼルが入ったのも、座間に日産自動車の工場があったから)
一般路線車のクリーム+紺色は私も何度か見かけて、本体でも掲載していたけれど(再公開はもう少しお待ちください)、古臭いというより、電車のセイジクリーム単色と同じで、今一つパンチに欠けているかなあとも感じます。とはいえ、どこかで復刻してもらえるとうれしい。
ここでは車両が中心になったが、東武鉄道のバスと言ったら北関東の広範囲に路線網があり、茨城県でもあちらこちらで走っていたし、上越新幹線開業時には上毛高原~鬼怒川温泉の特急まで走った事もあったほど。あと10年早く生まれていれば、郊外の東武鉄道バスを撮りに行く機会もあったのにと惜しまれます。それだけに、今は「東武」のバスが走っていない地域の車両、ついでに沿線の情景も、もう少し欲しかったと感じました。
(日光の定期観光バスは、一時期日光交通に移管されていた。東武バス日光の運行に戻ったのは一昨年4月)
去年もまた、特にドライバーを中心にバス事業の問題点がいくつも浮上した年になりました。今年もいろいろ厳しい年になるはずだが、一番感じるのは「公道上でのバスの地位が低い」事。これを何とかしない限り、BRTもコミュニティバスもノンステップ車もへったくれもないし、人も集まらない。関係者全て(立法も、行政も、メーカーも、事業者も、ドライバー等も、そして時には利用者も)が一体となってバスの社会的地位向上に努めてもらいたいし、バスラマ誌もその一翼を担う記事づくりをして欲しいと感じます。何度か書いているが、特にこの数年はメーカーとの風通しが今一つ良くないように感じるので。
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明日、福岡へ飛びます。ANAのB787-9です!明後日のSKYのA330-300で戻り、次回の更新は通常通り行う予定。
今年から、更新しない日についても簡潔に記します。
《今日のニュースから》
2日 「どさんこ」で新春恒例の騎馬参拝 函館八幡宮
3日 箱根駅伝 青山学院大学が初の総合優勝
箱根の「函嶺洞門」区間が昨年より通行止めになり、新ルートのバイパスに変更になりました。3・8区の原宿交差点アンダーパスとか(駅伝は通らない)、京急空港線の立体化とか、長年やっていると、細かい所でルートの変更も起こるものです。