№1291 2014年度年末年始 航空利用データ分析

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 2014年度年末年始の航空各社の利用実績が、5日一斉に発表されました。データから利用傾向を読み解いてみたいと思います。
 今年度は12月19日(金)~1月4日(日)を対象。従ってANAの九州路線の実績には、4日の私の搭乗が反映されている事になります。621,172分の1ではあるが。
 国際線では円安の影響がどの程度あるのかと思っていたが、各社とも「ほとんどなかった」としているようです。

 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。
 注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。「ピーク」は各社が発表している日付をそのまま表記、基準は様々です。


ANA
 国内線 座席数3,257,023席(98.5%) 旅客数2,294,711人(98.1%) 利用率67.7%(△0.3%)
 国際線 座席数477,437席(113.2%) 旅客数391,197人(117.9%) 利用率81.9%(+3.3%)
 国内線は、前半は天皇誕生日の頃が連休にならなかったため低くなったが、全体的には前年並みになったとしています。天皇誕生日を挟んだ12月22日と24日は、全体的に利用率が5割を切りました。24日の上りは42.3%とすごく低い。
 方面別では沖縄路線が前年度を上回ったが、他の主な路線はやや減りました。「その他」が前年比で大幅に増えたが、冬スケジュールでスタートした羽田~セントレア路線が押し上げたのでしょうか。
 ピークは下り12月29~31日、上り1月3・4日で、4日上りは97.4%。
 臨時便は計47便運航。
 国際線は昨今の積極拡大路線が効を奏しているのか、大きく増えた座席提供数以上の伸びで利用者が増えました。特に欧州線とアジア線が大きく利用率を伸ばしています。欧州線は円安ユーロ高が心配されたが、確かにほとんど影響していない。
 ピークは日本発12月26~28日と1月4日、日本着が12月19・20日と1月2~4日。これを見ると、インバウンドが増えているのも貢献しているのかも知れない。


JAL
 国内線 座席数1,937,092席(100.6%) 旅客数1,343,829人(98.5%) 利用率69.4%(△1.5%)
 国際線 座席数516,603席(100.7%) 旅客数437,334人(103.3%) 利用率84.7%(+2.1%)
(国際線は他社運航コードシェア便含む)
 こちらも国内線は全体的には利用率の数字が落ちました。12月22日の下り、24日の上りが5割を切っています。方面別では九州路線が前年を上回る利用者があったが、他は皆下回っています。中国・四国路線の利用率が61.3%で、やはりこの方面の弱さが出ているように思えます。北海道路線も座席提供数が少なくなったのに、利用者はそれを下回る利用でした。
 ピークは下り12月26~30日、上り1月2~4日で、1月4日の上りは97.2%。
 臨時便は計26便。
 国際線は米大陸線と東南アジア線は好調だったが、こちらは欧州線が前年を下回りました。「グアム線が良かった」と言っていて、確かに前年比102.1%だったが、何か理由があったのだろうか。
 ピークは日本発12月26~28日と1月3・4日、日本着12月19・20日と1月2~4日で、これもインバウンドが影響しているかも知れない。
 臨時便はホノルル便5便、チャーター便は合計22便。フェアバンクス6便とはオーロラ見物?


JTA
 座席数175,625席(93.0%) 旅客数129,281人(92.8%) 利用率73.6%(△0.2%)
 臨時便は計18便。


RAC
 座席数28,626席(107.6%) 旅客数20,363人(111.9%) 利用率71.1%(+2.7%)
 JTAが減った分RACが増えたという感じ。臨時便は計14便。


JAC
 座席数136,360席(93.8%) 旅客数75,906人(91.1%) 利用率55.7%(△1.6%)

 なお、HACが昨年JALグループに復帰したが、ここでは現れませんでした。この後出します。


SKY
 座席数488,241席(120.4%) 旅客数332,683人(120.7%) 利用率68.1%(+0.2%)
 熊本・成田路線がなくなったが、A330-300就航の効果は大きかったようです。5日搭乗した便も満席で全体的にも好調と見えたし、派手なウケ狙いはホドホドにして、地味でも堅実にサービス向上を続けて行けば、プラスの方向に向かうのではないかと思いますけれどね…。
 ピークは下り12月27日、上りは1月4日で98.3%の高率でした。


ADO
 座席数140,481席(108.3%) 旅客数105,308人(108.9%) 利用率75.0%(+0.4%)
 久しぶりに利用が大きく増えて、座席提供数を上回る利用がありました。ADOでは、12月24日の下りが68.9%と比較的高率でした。
 ピークは下りが12月27~29・31日、上りが1月4日で96.2%でした。


SNA(ANA販売分は含まず)
 座席数122,317席(105.5%) 旅客数90,852人(116.4%) 利用率74.3%(+4.9%)
 こちらも全体的には利用が大きく伸びました。但し、12月22日が全体で利用率が4割を割り込んでいます。
 ピークは下りが12月29日、上りが1月4日で99.6%と、空席が皆無に近い状態。
 臨時便は鹿児島線を4便運航。


SFJ
 座席数91,133席(74.0%) 旅客数72,061人(72.2%) 利用率79.1%(+2.0%)
 座席提供数が大幅に減っています。この一年で福岡~セントレア・羽田~山口宇部就航、福岡~関空休止、羽田~福岡減便があったものの、トータルの運航便数はほとんど変わっていないはずなのだが。
(福岡線がANAコードシェアとなり、ANA販売分は除外しているのかも知れない)
 一方で12月22日は64.6%、24日も74.2%と高率でした。
 SFJはピークがいつとは記していないが、搭乗率の最高は、下りは12月27日の92.9%、上りは1月3・4日で100%と全便満席になりました。


FDA(JAL販売分を含む)
 座席数63,048席(110.5%) 旅客数46,493人(111.53%) 利用率73.7%(+0.6%)
 小牧からの山形線開設、青森・花巻線の増便があって、こちらは座席提供数が大きく増えました。
(一方で静岡~新千歳は休止)
 FDAは路線別のデータを公表していて、名古屋~高知線が84.4%と高率でした。青森線も搭乗率が前年を上回り、増便の効果が出ているようです。
 ピークは空港ごとに出しているが(FDAのネットワークでは下り上りの概念が希薄になるからか)、トータルすると12月27・28日、1月3・4日がピークとなりそうです。


APJ
 国内線 座席数166,320席(124%) 旅客数145,477人(123%) 利用率87.5%(△0.3%)
 国際線 座席数61,200席(115%) 旅客数55,466(119%) 利用率90.6%(+3.1%)
 相変わらず拡大傾向が続き、それに伴って旅客数も増加して行っています。
 AAPはピークがいつとは記していないが、国内線の搭乗率の最高は、下りは12月29日の93.9%、上りは1月3日の95.4%。
 国際線では、下り(日本発)は12月28日の97.3%、上り(日本着)は1月3日の96.4%でした。


VNL
 国内線 座席数38,880席(308.6%) 旅客数32,859人(297.0%) 利用率84.5%(△3.3%) 
 国際線 座席数27,000席(441.2%) 旅客数24,583人(422.3%) 利用率91.0%(△4.2%)
 前年度は就航したばかり。1年で輸送量も輸送力も急激に増えました。
 AAPはピークがいつとは記していないが、国内線の搭乗率の最高は、下りは12月29日の97.8%、上りは1月4日の98.3%。
 国際線では、下り(日本発)は12月28日の98.9%、上り(日本着)は1月2日の98.5%でした。


HAC
 座席数11,736席(106.9%) 旅客数7,093人(100.8%) 利用率60.4%(△3.7%)
 HACはJALグループに復帰したが、とりあえず今回は個別にリリースが出ました。座席数が増えているが、旅客数の伸びが追い付きませんでした。
 ピークが下りが12月25日の80.6%、上りは1月4日の89.1%でした。


 主要な所では、IBX、JST、SJOはリリースを確認できませんでした。
 全体の傾向として、一部を除いて国内線は集計最終日の1月4日が上りのピークになりました。羽田空港の到着ロビーは凄まじい混雑だったんだろうなあと、数字を見ると思います。翌5日の福岡空港がかなり混雑になっていたのも、4日までの航空便を確保できず、この日まで待たざるを得なかったからなのかなあと感じました。私は基本的には航空利用のデータを発表する年末年始、GW、夏のお盆休みは航空利用がほぼないので(旅行は行っても鉄道利用)、ピークの利用を肌身を持って感じる事がなく、その意味では、先の福岡往復は良い経験でもあったのかなと感じました。
 次回はGWに分析を行います。北陸新幹線開業の影響がどう出るでしょうか。
 

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《今日のニュースから》
 6日 福島県双葉郡の消防本部 原発事故後初の出初式
 7日 パリの新聞社で銃撃戦 10人以上死亡

№1290 バスラマインターナショナル147(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル147」が昨年末刊行されました。年をまたいでしまいましたが、ここで取り上げます。
 表紙はしずてつジャストラインのエルガミオとセレガ高速車。しずてつはvol.35でも静岡鉄道直営時代に取り上げられていて、この時はエアロスターMとエアロクィーンMVでした。

★ 各地の新車から
 旭川電気軌道は2種類の旧塗装復刻で、ブルーリボンⅡの方のカラーは見た事があるが、エアロスターの方は、当時としては結構斬新なのでは?

★ ジェイアールバス 最近の動向
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「グランドリーム」デビューに連動した企画でしょう。
 空港バスは「THEアクセス成田」が初めてではなく、大宮~成田空港線「ONライナー」に入っていた事がありました。松山線がLCC就航で打撃を受けているとの事だが、バスが運賃面で航空に負けるなんて、一昔二昔前には考えられない事でした。
 LCC等他交通との競争という事もあるが、JRバス関東に限った事ではないが、バスドライバー不足等他の要因も合わせて考えると、今後は需要にもよるが、昼行では5時間、夜行でも10時間を超える路線は、基本的には成り立たなくなってくるのではないでしょうか。
 スカイツリー路線の見直しは初めて聞きました。確かにスカイツリー開業の後に行われたダイヤ改正で一部減便になっているが、今日現在ではスカイツリー路線の存廃に関わるリリースは出ていません。全面廃止なのか、東武バスが単独でやる事になるのか。
 車両面での課題も指摘されていたが、現実問題として超長尺車両の導入は、日本の現状ではどうなのだろう?東京~大阪間等で東名高速を頻繁に運行できるJRバスだから言える事だと思う。今回の福岡旅行で博多バスターミナルを見る機会があったが、ビル自体が狭く、道幅も狭い上にカーブも坂もきつくて、シーズンには数台が続行で仕立てられるような状況では、現状のサイズでも安全運行上厳しいと感じました(実際に若干ヒヤッとする場面も、正直あった)。だから導入できる事業者は結局施設面でも恵まれた数社にとどまり、それこそ国内のメーカーは手を出しづらいのではないか。
 旧国鉄色の復刻については何もありませんでした。残念。

★ 東武バス長期モニター車引退
 先月の西武バスCNGノンステップ車とは一転、14年の間一貫して安定して走れていたのが、数字を見てもうかがえます。東武バスは1990~2000年代に路線網が縮小した結果、日光は厳しいけれど、都心に近い方は急坂・急カーブの路線がほとんどないので、あとは走行環境に恵まれればコンスタントに走れる環境は整っているのだと思います。環境の整備がいかに大切である事か。
 東武バスのモニターは一旦中断するとの事で、次回は現行のモニター車では空白のコミュニティバスから選ばれたら良いのではないでしょうか。東武バスはコミュニティの受託が多いので。

★ バス事業者訪問179 しずてつジャストライン
 分社はどこでもある事だが、「ジャストライン」の社名は思い切ったネーミングと思ったものでした。普通なら「静鉄バス」当たりに落ち着きそうなものなので。
 路線網はvol.35(当時は「ユーザー訪問31」)と比較すると、山間部への路線がかなり少なくなりました。畑薙ダムへ行く路線もなくなっています(今は季節運行)。地形的にも、どうしても東海道線より海側を経営のメインに据えなければならないようです。18年前は記されていなかったが、2003(H15)年以降の実績は基本的に右肩下がり。2011(H23)年は一時輸送人員・走行キロが共に延びているが、新静岡セノバの効果なのか。ただ翌年以降はまた減っていっているのが辛い。
 18年前の記事を読みなおすと、高速バス事業は環境の整備を待ってからと記されていました。対東京や名古屋で新幹線との競争はできないともあります。新潟に向かう「中部横断道路」に期待していて、直行の鉄道がない方面ならと考えていたようでした。現在の高速バスの積極的な展開は、方針が180度変わった事を伺わせます。
(ここでは全く記されていないが、新東名の開通も影響しているかも知れない。新東名経由の路線はないようだが)
 羽田空港への乗り入れの検討は面白い。夜行バスの形態で実現したら、羽田発着の夜行バスは初めてになります。一方で静岡空港路線は、一時期は30分間隔で走っていたのに、かなり少なくなりました。発着便数が少ないから当然の流れではあるが、その辺の事情も知りたかった所。
 18年前には、規制緩和以前より既に貸切バス事業の価格競争が深刻化している事もうかがえました。
 ICカードでは、ルルカの他関西のPiTaPaも導入しているが、その狙いはどこにあったのか?
 今回しずてつが取り上げられたのは、NHKの調査報道で、ドライバー養成の取り組みが取り上げられた事があるでしょう(もちろん番組では、しずてつの名は一切出てこなかった)。その成果もあるのか、平均年齢45歳は、番組で言われていた48歳よりは若くなっています。それでも高齢化している感はあり、今の取り組みが今後に結び付けば良いと思います。
(この仕組みは、航空とは逆だと思う。航空は、JALやANAなどの大手は自社で養成しているが、昨今のLCCなどは既に操縦免許を持っている人を採用している。それが災いして昨年の大量欠航にもつながったわけだが)
 車両面では、昭和の車(P-規制)が未だに残っているとは。しずてつレベルでも経年車の代替は簡単ではないのか。他事業者からの移籍車は、今はなくなっているようです。 
 前にもどこかで書いたが、「自主運行バス」とはコミュニティバスとどこがどう違うのか。しずてつに限らず東海地方では良く見られる名称だが、その辺が記されればと思いました。
(自治体によっては自主運行バス=コミュニティバスとしているようだ)

★ The Buswayと最近の英国バス事情

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 まず、ヴィクトリア・コーチステーションとナショナル・エクスプレスが出てきたのは、一昨年乗っているだけに懐かしいなあと思った。コーチは予想通りネット予約が普及しているのか。
「ゆとりーとライン」を引き合いに出して、ケンブリッジのガイドウェイバスとの比較で問題点を挙げているのは解る(「ゆとりーと」は、将来乗客が増加した時に新交通システムに転換できる構造にしているとの事)。ただ逆に言うと、ケンブリッジは鉄道線路跡を利用しているのなら、なぜLRTでなく、わざわざガイドウェイバスとしたのか。線路跡を利用するだけなら、普通の専用道路にしたって良かったはず。それにイギリスでもロンドンやマンチェスター等に加え、スコットランドのエジンバラでもLRTが開業したとの事だし、日本のLRT論者ならそれこそ電車を走らせろというだろう。JRのローカル線を転換した富山ライトレールの前例もあるし。その辺の選択の事情こそ知りたい所でした。
 他、ロンドン市内のバスも数点あったが、「英国バス事情」というなら、英国全体の情勢について記して欲しかった。ロンドン市内で民営数社がロンドンバスを運行する状況であれば、地方都市も同じなのか。新ルートマスターには白いボディがあるが、何だろう。300台以上になっているなら、ロンドン中心部なら簡単に乗れる状況になっているのでしょう。

 香港のエンヴァイロ500H(ハイブリッド・ダブルデッカー)の記事があったが、学生による市街地占拠行動が香港のバス事業に与えた影響がどの程度のものかも知りたかった。香港も2012(H24)年に行って、バスにも乗っているだけにとても心配だった。あの行動、東欧革命や「アラブの春」に比べたら大甘だと思うんだよなあ。
 レシップが発表したフルカラーLED表示、早く認められて普及してほしいと思う。3色LEDを産んだ日本である事だし、白と黄色では見やすさの違いは、鉄道車両を見ても歴然としていると思う。
  最後に、ATの連載中の「焦ってはいけないが遅れも出したくない、定時運転が一番焦らないで済む状況だ」の一言、まったくその通りだと思います。ATがどうのこうのでなく、車両面でも施設面でも、あるいはダイヤの策定や営業政策の面でも、政治や行政の政策施策も含め、こういう状況を恒常的に実現できる環境の整備こそ、日本のバス業界に求められるのだと思っています。

 来月の事業者訪問は西武バスだそう。一般路線バスももちろんだが、北陸新幹線開業を控えて高速バス事業をどうするのかが注目されると思います。「あのアニメ」は出てくるのか?

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 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 昨日・今日、慌ただしくも福岡まで行って、西鉄の313形を撮ってきました。後日書きます。今日午後のSKYのA330-300に乗って、「グリーンシート」も試してきました。それにしても子供のなんと多い事。事前改札であんなに並んでいたの、初めて見た。帰省ラッシュは昨日で終わり、今日はいつも通りになっているだろうと思っていた私が大甘でした。年末年始の航空輸送実績は今日各社からリリースが出ました。次回書きます。

《今日のニュースから》
 4日 スノーボードで不明の男女3名 全員救助
 5日 築地初競り クロマグロ451万円で落札

 目がクラクラする値段だが、一昨年は約1億5000万円、去年も736万円だったそうだから、これでも大分安く?なっています。

№1289 年鑑バスラマ2014→2015(ぽると出版)

 毎年恒例の「年鑑バスラマ 2014→2015」が昨年末発売になりました。遅くなって年をまたいでしまったが、ここで取り上げます。
 表紙はポーランドのハイブリッドノンステップバス、新型エアロスター(東急バス)、北九州市営の大型EV。
 北九州市営のEVが、南国交通共々「バスラマ賞」を受賞したと、ぽると出版の公式Webで発表されています。

◆2014年 国内バスハイライト

 EV・ハイブリッド車が普及。EVは韓国製の大型車が上陸し、ハイブリッド車はモーター駆動とAMT採用の次世代車の実証運行が始まった。2階建てオープントップバス、京阪バスの新デザイン定期観光車、相変わらずブームの旧塗装復刻車、など。

 和田編集長による今年の巻頭言「いま日本のバスは 2014年の動きから」
1.貸切バス新運賃・料金制度スタート
2.多発する貸切バス事故 今あるインフラの有効活用を。
3.日本のバス輸出 (というか、日本のバスメーカーに未来はあるか)

 3点に共通していると思うのだが、公共交通の重要性とか、バス輸送の安全運行はとても大事な事なのだが、個人的には今一つ、社会全体を巻き込んだ議論には発展しないように感じられる。専門誌的なバスラマ誌の特性だからやむを得ない部分もあるが、どうも一方通行、あるいは事業者及びメーカーサイドとの狭い範囲でのやり取りに終始し、肝心の利用者サイドの目線が本当の所はどうなの?という所が見えてこない気がする。
 3点目は久しぶりに日本のバス(特にノンステップ車)のコンポーネントに言及しているが、では、実際にバスに金を払って乗車する利用者は、日本のバスのコンポーネントをどう感じているのだろうか?欧州のシティバスは進んでいる、と言っても、現地のシティバスを利用する日本人はそう多くないだろうし、いてもでは日本では?とまで考えをめぐらす人々はどれだけいるだろうか?案外、日本だとこんなものだろう?で終わりのような気がする。欧州との比較、の意味では、日本でも少数ながらシターロを中心に欧州製の連接ノンステップバスが走り、そこでは国産車との乗り比べもたやすいはずだが、それらを利用できる乗客は、国産車をどう評価しているのか?その辺の心理を知りたいと思う。
 日本にもバスのみならず公共交通について考えるNPO法人などの団体は数多くあり、彼らがもっと積極的に日本のバス(車両のみならずだが)について積極的に自らの視点を発信してほしいとも思う。もっとも都市圏だとバスシステム自体が不十分、LRT(電車)を走らせろという方向性に行きがちだし(去年行った金沢市はそんな感じだった)、地方だとまず路線の運行・維持が先決、バスそのもののコンポーネントについては、あまり関心がないのだろう。
 1・2点目についても、バスに限らないが、大事故が起きた時にはあれこれ騒ぐが、結局日本人の特性なのか、のど元過ぎれば…で終わってしまう事が少なくない。「貸切バスの現状に社会はもっと関心を寄せるべき」とも記されて、それは全く同意見(路線バスも同じ)なのだが、貸切バスについては規制緩和の在り方も問題だったはずだが、そもそもそれによる競争で運賃値下げやサービス向上を期待する声の方が圧倒的に大きく、ジャーナリズムもそれをあおってきた結果もあると思う(背景には、規制緩和以前の交通業界に対する、特に運賃・料金面の不満もある)。そこまで踏み込まないと、バス、ひいては公共交通全体に関する世論全体の共通認識はなかなか生まれないのではないだろうか。昨年のNHKの調査報道は、少なくともバス業界や趣味の世界では大きな反響を呼んだようだが、それが社会全体の空気を変えるきっかけには、なりうるだろうか。
 海外メーカーからの調達に関しては、国産の良し悪しに関わらず、今後拡大が続くのだろう。昨今の超円安が問題になるが。鉄道でさえ、JR東日本は八戸線用の新型DC導入を公募として、外国製導入の可能性を排除していない。バスに関しても、国産に適当なものがないから海外から、というより、もっと積極的に国産と海外産を比較検討する方向になるのではないでしょうか。

◆国内バスカタログ

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 三菱ふそうエアロスターのモデルチェンジが一番大きかった。既に北海道・旭川から沖縄・石垣島まで導入が進んでいるそう。以前も記したが、長尺ノンステップ車のラインナップが期待される。後は、これをにらんでJ-BUS系がどう動くのか。

◆海外バスカタログ
 認識不足を恥じるのみなのだが、昨今はトルコ・中国製が存在感を高めているそう。特に中国製なんて、EUではイメージ的に抵抗感はないのか?とか感じるのだが。バス自体が先進的なのに、北京を中心に連日大気汚染が国際ニュースになるのは、総合的な交通政策全般に問題があるのだろうか。個人的には韓国メーカーの現状も知りたいと思う。ユニバースに続いて、EVも日本で走り出しているのだから。

◆歴史編 東武鉄道時代のバス達
 分社・バス専業になる前の東武鉄道時代の過去の車両。
 写真を眺める限り、いすゞまたは日野が大半なのは終戦直後から一貫しています。富士重ボディがほとんどなのは、やはり富士重工が伊勢崎にあったからか。
 日産ディーゼルの大型車があったのは意外とも見えるが、これも上尾に日デの工場があるかららしい。沿線に自動車関連の工場があると車種選定に影響が出るのは、民営でも同じものだと思います。
(神奈川の相鉄バス(綾瀬〔営〕)で一時日産ディーゼルが入ったのも、座間に日産自動車の工場があったから)
 一般路線車のクリーム+紺色は私も何度か見かけて、本体でも掲載していたけれど(再公開はもう少しお待ちください)、古臭いというより、電車のセイジクリーム単色と同じで、今一つパンチに欠けているかなあとも感じます。とはいえ、どこかで復刻してもらえるとうれしい。
 ここでは車両が中心になったが、東武鉄道のバスと言ったら北関東の広範囲に路線網があり、茨城県でもあちらこちらで走っていたし、上越新幹線開業時には上毛高原~鬼怒川温泉の特急まで走った事もあったほど。あと10年早く生まれていれば、郊外の東武鉄道バスを撮りに行く機会もあったのにと惜しまれます。それだけに、今は「東武」のバスが走っていない地域の車両、ついでに沿線の情景も、もう少し欲しかったと感じました。
(日光の定期観光バスは、一時期日光交通に移管されていた。東武バス日光の運行に戻ったのは一昨年4月)

 去年もまた、特にドライバーを中心にバス事業の問題点がいくつも浮上した年になりました。今年もいろいろ厳しい年になるはずだが、一番感じるのは「公道上でのバスの地位が低い」事。これを何とかしない限り、BRTもコミュニティバスもノンステップ車もへったくれもないし、人も集まらない。関係者全て(立法も、行政も、メーカーも、事業者も、ドライバー等も、そして時には利用者も)が一体となってバスの社会的地位向上に努めてもらいたいし、バスラマ誌もその一翼を担う記事づくりをして欲しいと感じます。何度か書いているが、特にこの数年はメーカーとの風通しが今一つ良くないように感じるので。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

 明日、福岡へ飛びます。ANAのB787-9です!明後日のSKYのA330-300で戻り、次回の更新は通常通り行う予定。

 今年から、更新しない日についても簡潔に記します。
《今日のニュースから》
 2日 「どさんこ」で新春恒例の騎馬参拝 函館八幡宮
 3日 箱根駅伝 青山学院大学が初の総合優勝

 箱根の「函嶺洞門」区間が昨年より通行止めになり、新ルートのバイパスに変更になりました。3・8区の原宿交差点アンダーパスとか(駅伝は通らない)、京急空港線の立体化とか、長年やっていると、細かい所でルートの変更も起こるものです。