№1274 バスマガジンvol.68(講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジン」vol68が先月末に発売になりました。
 立川バスの「リラックマバス」1号車が表紙。 

◆ 賢いバスウォッチング
 広島と札幌で、それぞれ市内のバス路線の概要と利用法、撮影のガイド。
 札幌は市営バスがなくなってちょうど10年になってしまったけれど、両市とも一般の路線も高速バスもバラエティが多彩だから、飽きる事がないです。個人的にはしばらくご無沙汰なのは残念なのだが。
 どちらもICカードがスタートしているが、札幌のSAPICAは全国相互利用のカードを受け入れているが(逆は不可)、広島は今の所はJR西日本のICOCAだけで、他地域は受け入れがないのが残念。ただ、以前も書いたけれど、銀行のATMでチャージができるのは、他地域にも参考になる施策ではないでしょうか。
 札幌は、事業者で言うと、夕張鉄道とばんけい観光ももう少し詳しく記されても良かった。夕張鉄道は歴史がある事業者だし、どちらもSAPICAの導入はないものの、市営地下鉄との乗り継ぎ割引があって、札幌の市内交通の一翼を担っているのだから。中心部に乗り入れがないからだろうけれど。
 札幌の撮影ポイントは私も立った事があるが、夏の午後が、特にAのルートで入ってくる車両の撮影に適していると思う。
(同時進入の車両や、横断歩道の歩行者が被る可能性があるのは覚悟、だが)
 車両面では広島・札幌の各社共、プロパーの新車と中古車を並行して導入しているのが共通点でしょうか。説明書きが簡潔ながら詳しいが、中古車の出所がよく解るものだと思いました。 

◆ 小松島市運輸部完全ガイド

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 小松島市営バスは四半世紀前、昭和から平成に変わった直後、1989(H元)年2月の四国旅行で乗った事があり、小松島で撮影もしました。改装はされているものの、運輸部の建物自体は変わっていません。
 徳島市の他、テキストでは記されていないが、目佐和田島線は一部阿南市を経由しています。ただし阿南市内にはバス停はなく、市の外れに位置する大林・目佐地域の利便性を確保するための設定かと思われます。
 今回公式Web上で時刻表を見直してみたのだが、どの系統も本数がかなり少なく、5路線で22往復+片道3便しかありません。去年廃止になった鳴門市営バスは3路線ながら34往復あったから、便数的にはより小規模です。徳島~小松島は2路線合わせても15往復のみ。25年前はもっと頻発していた記憶があるのだが。
 車両面では、25年前でも乗合は18台(+貸切10台)だったそうだから元々大規模ではなかった。比較的最近まで新車が導入されていて、何とか公営で維持していきたかったという意思もうかがえました。
 歴史的にはわずかな期間ながら、海部観光バスの受託をしていたのが注目。民営バスが公営の受託をするケースは全国的に少なくないが、その逆はどの程度あるものだったのだろう?路線バスでは、民営バスへの配慮で再編するケースはあったが、路線ごと民営バスに譲渡する事は、これまではなかったようです。
 小松島市は市の規模そのものも小さいし、無論他地域の公営バスと同様の問題もあろうが、加えて国鉄小松島線の廃止、明石海峡大橋の開通と南海フェリーの徳島港移転も打撃になったのではないでしょうか。この規模だと、独立した公営を維持するのは難しそうです。
 となると、去年鳴門市に行ったばかりだが、来年あたり小松島も行かなければならないかなあ。ただ、来年は熊本市営バスも同日廃止になるし、日程の調整が難しくなりそう…。

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.68 立川バス

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 小田急グループとは言え、西武バスや京王バスのグループに囲まれているので(小田急バスと、一般路線ではつながっていない)、個人的には正直やや地味な印象があるのだけれど、立川市は最近は、八王子市を上回る位の勢いがあるらしいので、合わせて成長を遂げている、という所でしょうか。
「立川」と特定の都市の名前がついている割には、「コンパクトな」とは言っているものの、小金井市から瑞穂町まで、割と広めの路線網があるのではないでしょうか。
 成田空港線が苦戦、か。立川~成田空港3,600円。JRで立川~東京が640円、低運賃空港バスが1,000円だから倍以上になってしまうのは確かに痛いか(円安傾向で、旅先であまりお金を使えなくなっているし)。無理をしない(安全性を落とさない)程度の運賃の見直しは必要かも知れない。
 車両面では、昔は関東地方では珍しく前後ドア車が中心だったけれど(だから「地味な印象」を抱いてしまうのかも知れない)、最近は小田急バスに仕様が近づいてきたようです(特にエルガ)。
「リラックマバス」があまりにも有名になったけれど、ここでは間に合わなかったようだが、公式Webでは11月10日より「ウドラバス」なるラッピング車が走っているそうです。「ウドラ」とは立川市の公認「なりそこね」キャラクターだそうで、立川駅~若葉町団地間で運用されているそうです。
 横田基地の輸送は、去年終わっていたのか。

◆ 10月1日、とさでん交通が誕生
 土佐電気鐵道と高知県交通が統合した「とさでん交通」が10月1日スタート、ここではその経緯と、当面の取り組みを記しています。
 新塗装もあるが、白黒写真なのが残念。
 バスに関しては、まずは行先番号を導入、行く行くはICカードシステムで得られたデータを基にしつつ、路線網の抜本的再編成も行うそう。
 新マークは、実際には緑…土佐電、オレンジ…県交通のイメージカラーで、両者の融合を体現したもの、と言えるでしょう。新塗装車はまず電車1両、バス2両が走り出したが、今後どの位のペースで増えていくのか、趣味的に当面気になるのはその点かな。高速バス等はどのような色遣いになるのだろう。

◆ 路線バスで行く!アニメ聖地巡礼
 
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 ついにバス趣味誌にも聖地巡礼の波が…。
「ヤマノススメ」が選ばれたのは、池袋から1時間もかからずに行ける飯能が舞台である事、国際興業のラッピング車が走っている事があるのでしょう。
 このアニメは見た事がないから偉そうな事は言えないが、なるほどよくスケッチされているなと思う。こうなると、アニメ製作者へのインタビューとかあっても面白かったかも。簡潔でも、全体のストーリーが記されても良かったと思います。
 またバス趣味誌としては、別に旧塗装復刻のキュービックも走っているので、その辺も触れて頂ければ良かった。
 スーパーなどが名前を変えているにも関わらず、国際興業バスだけはそのままなのは面白い。メインのエリアからは離れ小島になっている飯能〔営〕路線は、一時は撤退も取りざたされていたよう。取りあえずは立ち消えとなったようだが、大半がローカル線だから苦しい事情は変わらないはずで、アニメが乗客増につながってくれればと感じました。

◆ 終点までのバス散歩
 おんたけ交通の高坪。御嶽山噴火の2日後だそう。
 おんたけ交通の自主運行路線は今やチャオスキーリゾート・濁河温泉への路線と新宿行高速バスのみ、後は町営バスの受託のみ。とはいえ写真を見ると大型車もあって、そんなに利用は少なくもないのかも知れない。終点の高坪も、平日5往復・土休日4往復なら、この手の路線としては少なくないと思うし。
 路線を道路地図と照らし合わせると、御嶽山はかなり遠く、降灰の害はあるとしても、一般の観光には何の問題もなさそうです。震災もそうだったが、「風評被害」とは、そういうものだとも思いますが…。
 どのみち付近は雪の季節になって観光のオフシーズンに入った訳だけれど、来年春になったら、観光客が戻ってきてくれるでしょうか。とりあえず、再び噴火災害が起きない事を願うのみ…。

 ところで、この「終点までのバス散歩」や「変わり種バス カタログ」、「バスマガ社会経済学」が「最終回」となりました。どれも始まって間もなく、「経済学」は前回始まったばかりだったのに。
 次号予告では「2015年、バスマガジンはパワーアップします」と高らかに謳っており、全国乗合バス100選などの募集は引き続き行われているのだが、どうも全面的に編集スタッフが入れ代わるようなのです。
 テキストを読んだ感触では、内部で何かあったのではないかと要らぬ勘繰りもしてしまうのだが、次号以降、どのような内容になるのだろうか。正直若干の不安もなくはないが、ともあれ来年以降も期待先行で発売を待ちたいと思います。

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