№1270 HAC重大インシデント 報告書公表

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 3年前、2011(H23)年6月4日、北海道エアシステム(HAC)のサーブ340B型機が、奥尻空港進入時に地上に異常接近したインシデントについての、運輸安全委員会の報告書が公表されました。
 このインシデントも、幸い事故に至らず、乗客乗員全員が生存しているにもかかわらず、ずいぶんと時間がかかった感があります。
 難しいので端折ってしまうが、機体が空港に進入中、一度ゴーアラウンドしたが、高度の再設定を行わなかったためオートパイロットが降下を指示、コクピットクルーが確認をしていなかったため高度30mまで降下。警報が鳴ったため再上昇して難を免れた、という事のようです。
 報告書を斜め読みした感触では、機長が再上昇の際冷静さを若干欠いていて副操縦士に操縦が移行された事、それ以前の審査において厳しい指摘がなされた個所があったらしい事から、まず機長の技量そのものに疑問符を付けざるを得ないだろうと思います。
 また、機長・副操縦士とも、オートフライトシステムに依存し過ぎているとも記されていました。
 一方でHACに関しては、ゴーアラウンド時のモード変更の際には確実な呼称を行わなければならないのに「可能な範囲で行う事」とのみ記載、規定類の改定も行われていなかった、機長のフォローアップ教育も不十分だった、としています。インシデント発生の認識も甘く、事後には既定の機体点検を行わなければならなかったのにそれもなかった、とも指摘されていて、HAC側にも相当重大な責任があるのではないでしょうか。
 背景として、機長の疲労があるのではないか?ともしていました。決定的な原因ではないが、休日明けからインシデント発生日までの乗務割が記されていて、

6月1日…乗務6便・勤務時間9時間35分・乗務時間5時間26分
2日…乗務4便・勤務時間5時間10分・乗務時間2時間45分
3日…乗務6便・勤務時間9時間35分・乗務時間5時間41分
4日(本来の予定)…乗務6便・勤務時間7時間00分・乗務時間3時間15分

となっていました。基準はクリアしているが、便と便の間隔がほとんどの所で25~30分になっていて、コミューター航空の辛さが感じられます。ターンアラウンドが短いのはどこも同じだが、私は適宜次のクルーへの引き継ぎも行われているだろうと考えていたので、若干ショックでもありました。
 これらを踏まえ、HACに対して、

1. モード変更・変化時の確認呼称を、乗務員に確実に行わせる事。フライト・トレーニング・ガイドの見直しの検討も必要
2. オートフライトシステムに頼り過ぎないよう、マニュアルの操縦訓練を増やす事

この2点を勧告しています。
 全体としては、この3か月後に発生する、ANK機の急降下インシデント以上に、極めてまずい事態と感じました。パイロットだけの問題にはできない、会社全体で解決すべき事です。
 HACは翌年、元JALのパイロットを新社長に迎えました。そして先日、再度JALグループ入りしています。
 私は№789で「いつかはHACに乗る機会を作りたい」と記しました。それはこの報告書を読んだ後でも変わっていません。再生はまだ道半ばだろうとは思うが、親会社の力を存分に借りてでも、安全運航を完遂できる航空会社でい続けて欲しいと願います。

 今日はこの他、JR九州と流鉄の踏切事故についても報告書が出ました。JR九州は佐世保線で1年前に起きたものだが、これを読むと、「障害物検知装置」も万能ではないな、と思わされます。№1199で書いた山陽電鉄の事故でもそうでした。

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《今日のニュースから》
2026年冬季オリンピック・パラリンピック招致 札幌市長が表明

 これから侃侃諤諤議論が起こるでしょう。私は少々疑問。次の冬季が韓国の平昌、2年後に夏の東京。8年の間にアジアでオリンピックが3度も行われるとは考えにくいので。