№1234 日本の旅客機2014-2015(イカロス出版)
毎年恒例の「日本の旅客機」、2014-2015版が先月末発売になりました。
表紙は運航を開始したばかり、ANAのB787-9。裏表紙はSKYのA330-300。
特集記事が2つ、その間にメインとなる各社毎の運行機種カタログが挟まり、巻末に白黒でシートマップと全登録リストという構成も例年通りです。
第1特集『2020年の日の丸フリート』
東京オリンピック開催が決まった2020(H32)年を見据えて、航空各社ともここへきて、フリート構成に大きな影響を及ぼすだろう機材計画を、相次いで発表。
一方で大型計画のキャンセルも明らかになり、昨年からだがターボプロップ機の後継の問題も浮上、明暗様々な動きがありました。これらを、機材毎にまとめています。
この1年で一番大きかったのは、「明」はJALのA350シリーズの大量発注、「暗」はSKYのA380-800のキャンセルとなるでしょう。
一方ANAはB777-9Xを発注、JALのA350シリーズとの対決は、ワイドボディの同じクラスではトライスターvsDC-10以来となって、この面でも注目になりそうです。B777-9Xは少し遅くなりそうだが。
A380は、もはやJALもANAも買わないのではないか?もちろん購入・運航コストもあるし、成田・羽田の国際線枠が拡大して増便もある程度は可能になっていて、A380で一日1便より、B777やB787、A350などのコンビネーションで一日2~3便とする方が、ダイヤ上の利便性が向上するのは明らかなので、A380を導入する積極的な理由が見当たらない。
JALはこの後、MRJの発注を発表しました。ただし導入は順調に行っても2021(H33)年、先に来年度よりE170の追加とE190の新規導入も発表になっています。
『旅客機最新データ』
構成自体は去年と変わらず。ただし、各カテゴリーごとの扉の写真は、印象的なシーンを数枚集めて並べるスタイルに変わりました。
B747旅客型が完全に退役した事は一般にも話題となったが、その他はエアアジア・ジャパンの運航終了以外、姿を消した機材は無くて、表面上は穏やかと言えなくもない。
しかし水面下では、JALのB777-200の退役が始まっているし、SKYのB737-800やSFJのA320-200も、(私の感覚では)早くも姿を消した機材があり、割と動きは大きいようです。
ANAのB737-700ERは、通常のトリトンカラーになったのか。B767-300も、「モヒカンカラー」は終わってしまいました。スペシャルカラーは整理の段階に見えます。
テキストに2015年度導入と記されていたJALの「SKY SUITE 787」は、前倒しという事なのか、今年12月1日のフランクフルト線就航と発表になっています。また、東南アジア・インド路線への導入も再開になりそう。
第1特集から引き続きでもあるが、この数年来の「日本の旅客機」は、、テキストが全体的にエアバスびいきに見えるのは、気のせいでしょうか?ボーイング・エアバスとも、どのモデルもライバルに比べて良い所、弱い所両方を備えているものなのだから、その辺を見極めた、適切な機材の導入が、各キャリアには求められます。
〔2014-2015版で初登場の機種〕
ANA B787-9
SKY A330-300
VNL A320-200
SJO B737-800
〔2014-2015版で姿を消した機種〕
ANA B747-400D・DHC-8-Q300
WAJ A320-200
第2特集『10のキーワードから読み解く 日本の旅客機キャビンのトレンド』
「10のキーワード」とあるが、大まかにはシート、もう一つはWi-Fiを初めとするITへの対応。
プレミアム・エコノミーは、だんだんかつてのビジネスクラスに近くなってきました。JALなんて、「SKY SUITE 787」のプレミアム・エコノミーは、「初期のビジネスクラスのよう」とはっきり言っているし。
もう本当にファーストクラスなんていらないんじゃないの?と思う。この先、どのような進化がありうるの?
(「1-1-1」の3列配置、とか?)
しかし、特に上級クラスでは周辺機器も大掛かりになってきていて、以前のように短期間で模様替え、みたいな事はできなくなってきています。特に国際線では、慎重な機材計画が求められるようになっています。
(SKYのA380の違約金が巨額なのも、背景にはこのような事情(上級クラスのみ設定による特殊な仕様)があるらしい)
巻末に『日本の旅客機 全航空会社全機種シートマップ』。
ANAのB777-300ERは、エコノミーで3-4-3の10列配置にした機材があるようだが、北米大陸・欧州路線としては、どうなんだろう…。
最後に『全登録記号リスト』。
VNLはやはり、ANAからの転籍(リース)がありました。
ついに全機リタイヤしたB747-400Dは、ほとんど全機がスクラップ、または部品取りの運命。少なくとも、次のキャリアで再起、の機材は1機もない。
JALのB777-200リタイア1番手のJA8981も、さっそく部品取りらしい。いずれもフライトサイクルが短い国内線ほぼオンリーでこき使われ来たので、再起はほぼ不可能になるようです。
来年は、JALのB787-9の導入はあるものの(E190は来年には入るのか?)、SKYのA380キャンセルもあって、目立って大きなニュースとなるような新機材の導入はなさそうです。その中で、B737の第2世代(400、500)の動向が注目になるか。SNAの400は今月一杯、ADOの500も再来年1月には退役、同時期にはJTAのB737-800の導入が始まる事になり、この世代で最後まで残るのは、ANAの500になるのでしょうか。MRJの初飛行が来年には行われるが、ANA機のB737-500の行方は、MRJの開発次第でしょう。B777シリーズも含め、1990年代半ばに導入された機体の展開が注目。
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