これまで「私鉄の車両シリーズ」として、私鉄・公営の旅客車両について書いてきたシリーズ、今回より、新たに「私鉄名車列伝」と改称します。
鉄道の世界に於いて「名車」というと、史上に残る記録ホルダーとか、新技術を導入したとか、高速列車や豪華列車とか、何かしら鉄道ファンに限らず、世間一般にインパクトを与えてきた車両に与えられる称号というイメージがあるだろうと思います。
マスプロ的に量産される通勤電車とか、評判が良くなくて「駄作」の烙印を押されてきた車両など、「こんなの『名車』じゃねぇよ」と思われる「クルマ」決して少なくない事は私も理解します。
しかし私鉄・地下鉄等はもちろん、ここでは取り上げない国鉄・JRの車両も含めて、あるいはバスだって、客船だって、旅客機だって、皆当初は「人や物を運ぶ」社会的に重要な使命を帯びて、この世に生み出されてきたはずなのです。もちろんその後の結果が傑作か駄作かの評価の分かれ道になるけれど、私自身は、後に世間的にはどのような評価を得る事になろうとも、これら全てを「名車」と呼び、功績を称えたいと思うのです。子供じみているとは私自身も思っているが、世の中に生まれてきた乗り物、私自身は全否定だけはしたくないのです。
(それが、このブログそのもののコンセプトの根幹でもあります)
そういう事を意識して、これからのこのシリーズを続けて行こうと思います。ここの所はペースが鈍っているが、1~2ヶ月に1系列は取り上げていければと考えています。書く事自体は前と変わりませんが。
なお、サブテーマは面倒くさいので、とりあえず「私鉄の車両シリーズ」のままとします。過去のシリーズ記事のタイトルもそのままです。
前回、昨年の暮れに近鉄2610系を取り上げてから4ヶ月も経ってしまいました。今回は京阪電気鉄道9000系です。
京阪本線は1997(H9)年3月のダイヤ改正で、朝ラッシュ時の淀屋橋行特急の枚方市停車が始まったが、8000系(当時はダブルデッカー車がない7連)では混雑の激化が予想された。このため朝方には特急に、日中は急行などと多目的に使用できる車両の開発が求められ、3ドアセミクロスシートの9000系が川崎重工で8連×5編成、合計40両製作された。
車体は7200系とほとんど同じ形状の、ダブルスキン構造のアルミ車体だが、座席配置に合わせてドア位置が多少変わり、先頭車は車体長を延長している。車体色は在来通勤車と同じ濃淡グリーン系だが、水色の帯を巻いて区別していた。走行システムは7200系と同じVVVF制御、200kwの誘導電動機を1C4Mで制御する。
車内は中央のドア付近を境にした
集団離反型の固定クロスシート、両端のドア付近にはサイドシートを配置したセミクロスシートとしていた。クロスシートは旧3000系ダブルデッカー車に採用された物と同様、ノルウェー製のバケットタイプを採用した。クロスシートとロングシートの境界部にはポリカーボネイト製の仕切りを設けて、乗客同士の目線が合わないような配慮がされていた。各車両の大阪寄りには車椅子スペースが設けられていた。ドア上部には液晶式の車内案内表示器があり、窓ガラスはパワーウィンドとして、ボタン操作での開閉が可能としていた。
朝ラッシュ時には淀屋橋行下り特急に集中的に投入され、混雑緩和に威力を発揮した。日中は急行や準急、8000系検査時には特急にも代走で運用されている。1999(H11)年には競馬開催時の臨時快速「淀快速ターフィー号」にも専用で運用された。
2002(H14)年には9005Fの中間T車4両のロングシート化改造を実施。特急が10分間隔に増強された2003(H15)年9月改正では8000系の不足分を補い、日中にも特急の定期運用に就くことになった。
中之島線開業の2008(H20)年以降、快速急行用新3000系導入に伴い、新CI導入に合わせて全車両のロングシート化改造が実施された。
新シートは背ずり部に半月形の模様を施した、黒と黄緑色(優先席は黄色系)のバケットタイプとなった。パワーウィンドも撤去され、側窓は手動開閉式となった。なお、旧クロスシートは伊賀鉄道に譲渡され、200系(元東急1000系)に使用されている模様。
改造後は6000系、7000系などの8連と共通に運用されている。
【編成】
←出町柳方 淀屋橋方→
Mc1 9000* - T1 9500 - T2 9600 - *T2 9100 - M1 9100* - T3 9500 - T4 9600 - *Mc2 9000
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1997年10月臨時増刊号 新車年鑑」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2000年12月臨時増刊号 【特集】京阪電気鉄道」
「同2009年8月臨時増刊号 【特集】京阪電気鉄道(鉄道図書刊行会)
「京阪電車 車両の100年」(京阪電気鉄道/ネコ・パブリッシング)
「京阪電気鉄道 完全データ」(メディアックス) 等
を参考にさせて頂きました。
次回のこのシリーズは、阪急で神宝線に運用される9000系です。
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