№1154 バスジャパン・ハンドブックシリーズS83 西武バス
「バスジャパン・ハンドブックシリーズS83 西武バス」、発売から割と経っていたようだが、入手が少々遅くなってしまいました。
発売している書店が限られているので。
西武バスは2004(H16)年1月1日発行の「R51」で取り上げられていて、ちょうど10年ぶりになりました。
今回は、10年前との比較も含めて分析してみます。
◆西武バスの車両たち
1.今号におけるグループ全体で1189台は、10年前と比較して111台の増加になりました。
乗合車33台、高速車26台、総合企画の特定車両は71台も増加している一方、貸切車は19台の減少になっています。
全体の割合では、特定車が17%以上を占め、特定事業が西武バスグループにおいて重要な柱である事が伺えます。
高速車が10年前の5.66%→7.32%の一方、貸切車は8.16%→5.80%となり、地位が逆転しています。
2.西武バスはつい最近まで、はっきり日産ディーゼル偏重でした。
1990年代半ばまでは、一部小型車等を除けば、全て日産ディーゼル車。
後半よりいすゞが並行して導入されるようになったが、10年前の時点では、日産ディーゼルの割合は83.67%を占めていました。
21世紀になっても一般路線車は日デといすゞを並行して導入してきたが、2010(H22)年の日デ生産終了以降は、一転して三菱ふそうが新規導入の大半を占めています。
2013(H25)年では、日デ車の割合は46.68%と、ついに50%を割りました。一方で三菱ふそうは既に21.71%と、全体の1/5を上回っています。
日デ生産終了があったとはいえ、これほどガラリと導入の傾向が一変する事業者も珍しいかと思います。前号の西鉄バスもそうだったけれど。
いすゞはエルガ・ハイブリッドやエルガミオの導入もあるが、この数年は導入数が減っています。
日野はBRCハイブリッド2台の導入はあったものの、後はひたすら、コミュニティ用の小型車のみ導入がされています。
10年前には導入されたばかりのクセニッツは、短命に終わりました。
3.平均車齢を用途別に出してみました。
乗合車は平均5.62年と出ました。10年前は4.68年で、1年程延びています。
新座4.36年、上石神井4.53年、練馬4.76年と、都心に近い営業所が若くなっています。
一方で西武高原バス軽井沢12.92年、西武秩父バス秩父12.64年と地方が高齢化しているのは、他の事業者に共通した傾向か、と思います。
高速バスは6.21年と意外に高齢。高原軽井沢在籍の2002(H14)年式8台が影響していると考えられます。
貸切車も7.52年と、案外と経年化しているように思われました。
特定車は契約元との関係(契約元からの要求など)もあって、単純には車齢の算出はできないと思います。
ただ、西武バス本体の路線バスから、あるいは契約元の自家用車からの転用も少なくはないのだが、その割合が10年前の33%強→27%強と少なくなりました。
全体の台数が大幅に増えている事を考えれば、自社導入車両が相当増えた事が解ります。特定輸送のグレードアップが図られているのでしょう。
なお、グループ内の移動・特定輸送契約元からの移籍以外の中古導入はありませんでした。
4.乗合車の営業所配置の割合は、上石神井14.35%、滝山13.99%、新座11.58%と、こちらも都心に近い営業所に多く配置される傾向があります。
練馬は62台と意外に少ないが、10年前と比較して24台も増加しています。そんなに大幅に路線が増えた訳ではないとは思うが、他営業所からの移管もあったのか。
10年前との比較では、練馬の他、小平18台、新座が12台の増加。一方で滝山が8台、川越が7台のマイナスになりました。
また、西武高原バスの三原営業所が廃止になり、西武高原バストータルでは5台のマイナスになりました。
平均車齢も考え合わせれば、都心に近い所に新車を集中配置→経年車は郊外や地方、一部は特定転用、という流れになろうかと思われます。ただ、西武バスに限れば、それほど大きな差にはなっていない。
高速は練馬は当然、観光大宮、高原軽井沢が大幅増になっています。
貸切は観光練馬5台増以外は横ばいか減少、本体の練馬と観光秩父は、貸切車の配置がなくなりました。
特定は契約元との関係があるからか営業所の変遷が比較的大きく、10年前にはあった大泉・小鹿野が廃止になった一方、芝・高野台・所沢センターが開設しました。
(企画の所沢営業所は東所沢駅に近い場所に移転し、旧営業所のそばに所沢センターを設けたようだ)
4.ノンステップ車は488台(特定転用車を除く)。
コミュニティバス用のポンチョやエアロミディMEもあるが、乗合車全体の割合は58.87%にまでなりました。
(10年前は23.12%)
立川が73.68%と3/4近くを占める一方、上石神井は47.06%と5割に届いていません。
なお今回はADG-HX6JHAEなど、一部画像がない形式がありました。
◆ 西武バスのあゆみ
西武バスは、大手私鉄系のバス事業者としては珍しく、昔からバス専業でやってきているイメージがあります。
創世記は鉄道(武蔵野鉄道・旧西武鉄道)の運営だったが、バス専業の東浦自動車に、鉄道のバス部門を統合する形になっています。東浦自動車は浦和の会社だったから、今の西武の鉄道路線網とはかなり離れた会社に統合したものです。
(だからさいたま市にまとまった路線網があるのか)
「西武自動車」は、1.初代…現西武バスの旧社名、2・2代目…現西武総合企画の旧社名、3・3代目…西武バス本体の受委託の受け皿。
◆ 西武バスの路線エリア
基本的には中央本線~八高線~川越線~東武東上線に囲まれたエリア+さいたま市。
エリア的には10年前とほぼ同じだが、細かく見ると廃止になっている区間が結構見られるようです。
新宿~池袋線(〔宿20〕系統)は他の路線とのつながりが全くなくなり、日高市への乗り入れもなくなりました。
一方で立川駅の南側から西の方面へ路線が延々と伸びているが、羽村のアウトレットモールへの路線(〔立70〕系統)で、途中にはバス停はなし。
◆ 終点の構図 上赤坂
ここは〔新所02〕系統(新所沢駅~本川越駅)と接続しているので、純粋な終点ではありません。
(「西武バスの路線エリア」の地図では、所沢営業所の少し上にある○の場所)
でも昔車で仕事をしていた時に通った事があるのだけれど、〔古01〕系統の折返し場所自体は〔新所02〕のルートから外れていて、確かに赴きある場所と感じました。
埼玉県はどこもそうだが、市の境がかなり複雑に入り組んでいて、上赤坂も川越市と狭山市の境に位置しています。
(この折返し場所は狭山市)
三芳町やふじみ野市、所沢市も隣接しているので、結構ややこしい所。
◆ 武蔵野の秋 秩父の秋
10年前の乗り継ぎの旅は種村直樹氏による大宮から飯能への乗り継ぎで、「『彩の国」味比べ紀行』のタイトル通り、全区間が埼玉県に収まっていました。
今回は谷口礼子さん(舞台俳優らしい)による1泊2日の旅で、荻窪から秩父まで、西武秩父線も加えたかなり立体的なコースになっています。
所沢市ではコミュニティバスも混ぜています。これも加えないとルートがつながらないので。
「東京炭鉱前」のバス停の名前、どこからきているのだろう?
(都営バスも走っている所)
石神井公園は昨年本体の表紙の画像でも使わせてもらったけれど、23区でも探せば自然が美しい所がみつかるものだなあ。
西武バス本体は、全体的には車両のレベルは高いと思います。
元々平均車齢が低い事業者だったし、先のノンステップ車も全体的に均等に配置され、車両面で営業所による格差はあまり大きくはありません。
一方で気になるのは軽井沢の西武高原バスで、乗合車のほとんど全てが都心の西武バスからの転籍である所。軽井沢が今でも西武グループで重要な観光資源であるのは間違いないし、乗車時間が比較的長くなるだろう事を考えると、「用途外」でもやや役不足なのではないか。東武バスの日光地区のように、直接本格的なワン・ロマタイプの車両が導入されても良いのではないかと考えます。
運行面では、都心部では今後も放射状に延びる鉄道網の短絡を重点的にPRして行く事になるでしょう。
郊外は何とか現状の維持が図られる事が望まれます。所沢あたりでも案外縮小の傾向にあるし。
高速バスは、来年の北陸新幹線開業がかなり影響を与えそうです。安さを武器に維持する方向に行くのかとは思いますが、比較的運行時間が長い昼行便はどこまで対抗できるでしょうか。
次回刊は京急、9年前にR55で取り上げられているが、どう変わっているか。羽田空港関連がかなり伸びているでしょう。
その次の九州産交バスが待望です。初めてだし、熊本県のほぼ全域を網羅していて、車両面で大変バラエティがあるので。残念ながら路線の縮小はここも例外ではなく、本体のコンテンツの「終点の記憶」で行った黒白への路線も、今月から産交バスではなくなり、球磨村のコミュニティバスになってしまいました。そのあたりの動向はどう記されるのか。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
今日の朝っぱらは津波報道一色になってしまったが、日本は何事もなくて幸いでした。ただ、伊豆大島は強い雨で、土砂災害の危険が高くなっているようで心配です。
《今日のニュースから》
楽天・聖澤諒選手 外野手連続守備機会無失策 プロ野球新記録を達成