毎年恒例の「年鑑バスラマ 2013→2014」が先週発売になりました。
表紙はJRバス関東の高速バス訓練車両を中心に、中国で生産されているEBUSCOのEV車(想像イラスト)、濃飛バスのエアロエース。
◆2013年 国内バスハイライト
最大の関心事は「新高速乗合バス制度スタート」だったが、既に制度がスタート、かなり語りつくされている部分も多いからか、カラーグラフ序盤は、低公害車が中心になった。
扉が京王バス東のエルガ・ハイブリッド(京王バスのいすゞ車導入は13年振り)、小松バスのポンチョEVや大船渡線BRTのエルガ・ハイブリッド、「ゆとりーとライン」のBRCハイブリッド(2ステップ車)など。
沖縄に行った時に撮ってきて、このブログや本体でも御覧頂いたけれど、沖縄では大型ノンステップ車が大挙導入されました。
東陽バスへの導入も期待したいと思います。
後は、これもブログで御覧頂いた鳴門市営バス(3月一杯で廃止)や大阪市の「赤バス」、旧井笠鉄道バス廃止と、都営バス撤退後を引き継ぐケイエム観光バス。
都会も地方も、ここへ来て事業者の盛衰が際立ってきているという事でしょうか。
旧塗装車の復刻も相変わらずだが、熊本市営バスは初耳だった。ここでは間に合わなかったが、JRバス関東でも今月から旧国鉄高速車2種の復刻車が走っていて、次の141号で取り上げられるでしょう。
今年の「巻頭言」は、「バスサービスが安定して持続・発展するために」と題し、
1.高速バスに関する新制度 利用者が望む都市間輸送はネットワーク化だ。
2.東京オリンピック開催とバス 今あるインフラの有効活用を。
3.自転車の交通ルール徹底に期待 特にバス停留所付近の自転車の挙動について、安全教育と啓蒙が必要。
と、3点の課題を挙げられています。
都市間輸送の「ネットワーク」化で言うと、在来の高速バスは、地域の路線バス事業者が新規に参入し、目的地側の事業者と提携しあうという、諸外国ではほとんど例がないと思われるシステムで路線が延びてきた。しかしその事が全国ネットワーク形成には足かせとなり、旧ツアーバスの台頭に太刀打ちできない、という事情はあるだろう。
といって地方の事業者の全国展開は簡単ではないから、中央道の「CHANCE」をケーススタディに、当面は方面別に核となる事業者の下に(「CHANCE」なら京王バス)、方面別の連合体みたいなものを作り、それらが連携し合う、というのが、とりあえずは現実的ではないだろうか。
その過程では、予約や発券のシステムやルール(いつから予約開始、とか)の統一なども望みたい。現状では路線によって(同じ事業者でも)結構バラバラなので。
バスの優先走行に関しては、どこでも「バスレーン」があまり有効に機能していないように感じられてならない。特に一時停止(トラックなどの荷物の積み下ろしが多い)ので、スイスイ走れる状況が少ない。設備面だけでなく、一般ドライバーへの啓蒙も必要と思われるのだが、うまく行くかは正直疑問。一つの案と思われる中央走行方式は名古屋の他、台北やベルギーのリエージュでも見かけたが、歩道からバス停へのアプローチが問題となるだろう。
(スウェーデン・エーテボリが、ある程度理想的な「BRT」かも知れない)
それとここでは触れられなかったが、高速路面電車「LRT」には、やはり疑問符をつけているだろう事が伺えた。
「啓蒙」が必要なのは自転車問題も同じで、もはや対バスに限った事ではない。経験上、単純な「啓蒙」では限界が来ていると思われる。多少強権的になっても、自転車専用レーンの新設とその走行の遵守、違反者の取り締まり、などが必要なのではないだろうか。当然反発は大きくなるだろうが。
例年同様に国内で発売されているバスのカタログが並ぶが、今回は特に目立った新型車両はなし。
◆海外編
表紙にも掲げられたEBUSCOのEV車は、後部は日本のノンステップ車同様、ステップ付。
バンホールのエクスキシティはフロントデザインがLRTっぽいが、3連接車は、日本では活躍できる場所がほとんどないのではないだろうか。去年の香港、今年のロンドンを見た事もあるが、ダブルデッカー車を並べても良いのではないだろうか。しつこいのだが、日本では連接車よりダブルデッカーの方が有効ではないかというのが持論なので。
◆歴史編 相鉄バス 昭和の足跡
140号の事業者訪問が相鉄バスだったが、昔の画像が多少物足りなく思えていました。ここで来ましたか。
まず、小机駅(横浜線)の駅舎が出てきたのは感動。№1056で出した通り、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)開場を機に大規模な橋上駅舎に改築されたが、それまでの間は民営化後も、平成になってからもかなり遅くまで、この木造駅舎が残されていました。テキストの通り、現行ダイヤでは休日は運休なのだが、新横浜まで延ばして毎日運行に戻す、という事も考えられて良いかと思うが…。
鶴屋町のバス駐車場も、営業所の名残りか。今は待機するバスも少ないし、ターンテーブルも使わなくなり、高速バス待合室だった所は、事務所として賃貸の募集が出ています。全体的に、規模が比較的に小さいのに、営業所の変遷がかなり大きい事業者と見えました。
行先方向幕も興味深いものが多く、相模大塚駅⇔飛行場正門間はよく見ると、英文が併記されていました。
車両面では、昔はフロントのマークはメーカーで、相鉄の社紋になったのは1960年代後半(昭和40年代)に入ってからか。北村のモノコック車体はいいなあ。
「昭和」と謳っているので、茶色系の1970年代までのものがほとんど、昭和でももう少し最近の、緑系の先代色の車両があっても良かったと思いました。モノコックでも冷房改造された車両とかあったので。あと「帰省バス」とか。
「アリソン製AT」の記事は、「バスにはATを積極的に導入すべし」の、バスラマ誌の姿勢がはっきり出ているように感じました。良い事尽くめではないとしても、バスドライバーを巡る環境からも、AT導入は避けられない道だ、という事でしょう。
来年のバス業界も色々あるだろうが、とりあえずの大問題は大阪市営バス民営化問題だと思います。今の所議会の紛糾で、早くても来年7月。市バスに限らず大阪市は市長サイドと議会の対立が先鋭化して、色々混乱しているようです。どういう方向に行くのか解らないが、穏やかな解決が求められます。
大阪に限らずどの地域でも、バスが活気をみなぎらせて活躍できる舞台が整えられる事を望みます。
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《今日のニュースから》
元NBA選手デニス・ロドマン氏 北朝鮮訪問終え北京に到着
これが3度目の訪朝だが、またすぐ訪朝する予定だとの事。
顔面のあちこちに飾りをつけて、よく入国が許されるものだなあ。