宮崎での実験開始から40年以上、長年「夢」のレベルで留まっていたリニアモーター高速鉄道が、いよいよ現実のものとして、目の前に姿を現す事になりそうです。
昨日の事になりますが、JR東海は「リニア中央新幹線」の詳細なルートを、「環境影響評価準備書」の形で公表しました。
品川~名古屋間286㎞を最速で40分(全駅停車で72分)で結ぶとしています。
全線の86%は地下になるという事。車窓はほとんど楽しめなさそう。
建設費9兆300億円はJR東海が負担。
羽振りのいい話だけれど、世界初の、(旧国鉄だったとはいえ)民間の鉄道会社が一から建設する高速鉄道という事になります。
(少しは公的な費用が出るかもしれないが)
始発の品川(「東京ターミナル駅」)自体が港南口の地下約40m、名古屋(「名古屋ターミナル駅」)も旧名古屋ターミナルビル(JR高速バスや名古屋市営バスのターミナルだった)跡地の地下30mに設置。
注目された中間駅は、「神奈川県駅」は当初の予想通り相模原市の現橋本駅付近の地下、「山梨県駅」は甲府市内の地上(甲府駅からは遠く、中央道甲府南ICに近い)、「長野県駅」は飯田市内のJR飯田線と交差するあたり、「岐阜県駅」は中津川市の中央線美乃坂本駅に隣接する地上に設置されるという事です。
「長野県駅」は伊那上郷~元善光寺間になりそうで、開業したら飯田線にも駅ができるでしょう。
また、車両基地は相模原市の鳥屋(「関東車両基地」)と、「岐阜県駅」に隣接した場所(「中部車両基地」)に設けられるようです。
鳥屋とはずいぶん辺鄙な場所に造ると思いました。鳥屋は旧津久井町で宮ヶ瀬湖の北にあるが、神奈中バス便が橋本駅から10本あるだけの田舎です。
そんなに大規模な面積は必要ないとも思うが、都心は全線地下だから、ここまで来ないと場所を確保できないという事でしょう。
運賃は現行<のぞみ>+700円だそうで、意外に安いかな?5割増し位にはなるかなと考えていたので。
開通は14年後の2027(H39)年を予定で、来年度には着工にこぎつけるとしています。
新聞紙上では期待と不安が交錯、特に環境面(南アルプスを横断する事、貴重な生物の生息地が近くにある事、電力事情、大半が地下だから残土の処理)を不安視する声は多いとしています。
それらはもっと詳しい人が多いだろう、逆に私には解らない部分が多いから別に任せるとします。
では、別の面、「リニア中央新幹線」が交通、特に鉄道に与える影響はどうなるか?
まず、「リニア中央新幹線」は整備新幹線ではないし、松本・長野を目指す中央本線とはだいぶ離れているから、在来線がJRから分離されて第3セクター化という事は、ないはず。
東京~甲府間の特急<あずさ><かいじ>にどの程度影響が出るの?となるだろうが、目立ってガクッと利用が減るとは、私には考えられない。
むしろ東海道新幹線がこれでガラリ一変するかも知れません。
2027(H39)年は開業から62年、相当老朽化が進んでいるだろうし … これから並行して補修もやるだろうが … 、東京~名古屋・大阪間をダイレクトに結ぶ事を前提とした今の線路配線は、中間駅から東京や名古屋・大阪へ早く到達するには適していないように感じます。
駅によっては、全面的に造り帰る必要も出てくるでしょう。
(私的には、静岡あたりがそうだと思う)
若干でも本数が減るなら、かねてから構想はある相模新駅(相模線の倉見付近)とか、今は全く話はないが武蔵小杉にも駅を造ろう、他にも駅を、という話も浮上するかも知れません。
リニアと東海道新幹線、両者のバランスをどう取るかも、リニア開業後の課題にはなるでしょう。
後はやはり名古屋止まりでは中途半端で、大阪までいかに速やかに延伸できるか。
大阪はどこに駅を造るか。中間駅は?
三重県と奈良県で一箇所ずつ、奈良県は大和郡山あたりが名乗りを上げているが…。
(№992で書きました)
ここまでできると、東京~大阪間の航空輸送は、ほぼ壊滅する事になるでしょう。
しかし2045(H57)年と32年も先の話では、私は…生きているかなあ…?
初の本格的長距離リニアモーター高速鉄道であるだけに、今後も紆余曲折色々問題が浮上するでしょう。
環境問題についてはJR東海自身も自覚していると信じたいし、少なくとも無駄な対立・衝突は、公共交通の整備では見たくないと思います。
関係者全員が知恵を絞って、問題を一つ一つ解決していってほしいと思います。
1年、2年先さえ解らないのに14年先の事なんて全く見えないけれど、とにもかくにも無事に開業を迎えられ、それを目の当たりにできる事を期待したいと思っています。
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《今日見た・聞いた・思った事》
今回はお詫びです。
№827で「ドアカット」(ホームが短いため、停車中でも一部の車両のドアを閉じたままにする扱い)について書いたとき、「梅屋敷・戸越公園が解消されると、首都圏で残るのは九品仏・腰越・田浦だけになる」と書きました。
お気づきの方、多いと思いますが、他にもありました。
東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の浅草です。
浅草の場合、ホーム自体は編成の長さ分あるのだが、先端が急曲線上にあり、ドアとホームの間隔が開きすぎて危険なため、2番線は先端2両は締切扱いにしているのです。
昨日浅草を経由して、アッ!と思ってしまいました。
(本当は写真を撮りたかったが、警備員がいて、無駄なトラブルは私も望まないから撮らなかった)
1番線も8両編成の場合は2両カットになります。
そういえば、同じような理由で一部のドアを閉じる(1両全部ではない)ケースが、秩父鉄道の一部の駅で見られます。
なので№827については「ホームが短いのでドアをカットする」駅と理解して頂ければ幸いです。
二度三度同じ事を繰り返してゴメンナサイ。再びこのような事がないよう、気をつけていきます。
《今日のニュースから》
プロ野球加藤コミッショナー 「統一球」問題で辞意表明