№1031 京王の電車・バス 100年のあゆみ(ネコ・パブリッシング)

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 京王電鉄の前身、京王電気軌道が電車とバスが揃って営業を開始したのは1913(T2)年4月15日。
 今年100周年を迎え、記念した写真集が「ネコ・ムック」として刊行されました。

 電車とバスが同じ会社で同時にスタートしたのは、意外に珍しい事かもしれない。大手私鉄のバス事業は、母体となった鉄道が、培養のため沿線に延びる中小事業者を買収した事から始まるのが、大方の歴史的な流れになるから。
 という事もあり、「レイル・マガジン」と「バスグラフィック」を同時に発行する「ネコ」らしく、両者を同等に扱っているのが目を惹きました。
 全体的に写真中心で過去から現代へ、という、「年史」的な書籍としてはごくオーソドックスな流れになっています。
 簡単なバスの路線網が新旧(1955(S30)年と現在)であったが、比較すると重心が明らかに、JR南武線より西に移動しているのも良く解ります。
「京王閣」とは、現代だと競輪しかイメージできないけれど、昔は一代レジャー施設だったのか。1930(S5)年の「沿線名所図絵」にも、中央にドンと大きく描かれているし。
 野猿峠は今もハイキングコースはあるが、一昔前だと高尾山・陣馬高原と同等位の地位はあったようです。
 泊りがけで行く、東武や小田急等のような一大観光地は無いが、京王も結構昔から、行楽の誘致や輸送にも携わってきていたのだなと、改めて感じさせられました。
(その一方で、多摩動物公園駅は、比較的早くから大学輸送の玄関口になっていた事も伺えた)
 その流れで言うと、東京競馬輸送にもう少しテキストが割かれても良かったかなと。
 直接ダイヤにも影響を与えていたし、特に武豊のデビュー以降、競馬も一般的なレジャーの要素が加わるようになるので。
 また、比較的最近でカラーフィルムが普及した1980~1990年代位の写真も白黒が多く、もう少しカラー写真が欲しかったと、「西武100年」もそうだったが、もっと「今」を走る京王の電車・バスの姿も見たかった。
 年表的な視点では、1990(H2)年4月の新CI導入について触れられていなかったのは、少々気になりました。
 バスはエルガ・ハイブリッドが入ったが、間に合わなかったのかな?京王初のハイブリッド車になるのだが。

 京王の電車・バスは今後どう変わるか。
 といっても電車は車両に関しては7000系のVVVF改造が終わったばかりで最高に安定した状態だし、施設も調布地下化工事が終わると他に大規模な工事は予定されていない。
 7年後のオリンピックも見据えて(沿線でも東京スタジアム(味の素スタジアム)でサッカーと近代五種を予定)、地道な質的改善が進められるのでしょう。
 趣味的には、8000系10連の中間M室の処遇をどうするかが、当面の焦点か。
 バスはやはり中央高速バスをメインに据えつつ(富士山が世界遺産になったし)、こちらも少しずつでも改善を図っていく事になるのでしょう。
 特に新宿の新バスターミナルの早期完成が待たれます。
 他の大手と比べるとやや地味ながらレベルが高い京王電鉄・バスの次の100年、大いに期待します。

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 明日はお休みし、本体の更新を行います。
 東武バス日光「世界遺産めぐりバス」やブルーリボンⅡワンロマ、関東自動車「リーバス」等の画像を追加します。

《今日のニュースから》
中国各地で最悪の大気汚染 江蘇省などで高速道路相次ぎ閉鎖

№1030 神奈川の駅を全部撮る! 8.神奈川新町~上大岡

「神奈川の駅を全部撮る!」シリーズの第8回です。
 京急の主要駅が集まりました。


神奈川新町 かながわしんまち
京浜急行電鉄 本線

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駅舎

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2面4線ホーム

(2013(H25)年3月13日撮影)
開業:1915(T4)年8月21日
所在:横浜市神奈川区
駅番号:KK34
 新町検車区を併設する。特急・エアポート急行停車駅で、テクノウェイブが近いが、乗降人員は16,484人と意外に少ない。上りホームのみ12両編成に対応していて、朝方の下り特急は後部4両を京急川崎から回送扱いにして、ここで切り離す。


金沢八景 かなざわはっけい
京浜急行電鉄 本線・逗子線

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駅舎

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ホーム

(2013(H25)年6月6日撮影)
開業:1930(S5)年4月1日
所在:横浜市金沢区
駅番号:KK50
 金沢文庫からここまでは複々線。横浜市立大学が近く、学生で賑わう。4番線の傍らの変電所は、開業当時の面影を残している。総合車両製作所からの1,067㎜軌間の引込み線が4番線まで延び、神武寺までの逗子線の上りは3線になる。2012(H24)年10月改正より快特・<京急ウイング>が停車、全列車停車となった。乗降人員55,064人は全線で第8位。


金沢八景 かなざわはっけい
横浜新都市交通(10月1日から横浜シーサイドライン)

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高架駅(仮駅)

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ホーム

(2013(H25)年6月6日撮影)
開業:1989(H元)年7月5日
所在:横浜市金沢区
駅番号:14
 開業時以来、京急の駅から離れて国道16号線を隔てた反対側の仮駅への発着が続いている。再開発に合わせて国道16号線を跨ぐ形で軌道を延長し、本駅に移転する予定。現状は軌道上にホームを設けているので、1線しかない。


金沢文庫 かなざわぶんこ
京浜急行電鉄 本線

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橋上駅舎

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2面4線ホーム

(2013(H25)年6月6日撮影)
開業:1930(S5)年4月1日
所在:横浜市金沢区
駅番号:KK49
 金沢区の最主要駅であり、乗降人員70,858人は全線で第5位。全列車停車。金沢検車区につながり、朝夕ラッシュ時には12両編成列車の増結・切り離しが見られる。釜利谷等ののニュータウンの他、関東学院大学や、金沢自然公園への玄関口でもある。


鎌倉 かまくら
江ノ島電鉄

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駅舎

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ホーム

(2013(H25)年5月15日撮影)
開業:1910(M43)年11月4日
所在:鎌倉市
駅番号:EN15
関東の駅百選
 JR駅の西口にあり、連絡改札も設けられている。3月にエキナカ「ことのいち 鎌倉」がオープンした。3~5番線があるが、通常は3番線…乗車、4番線…降車として使用し、5番線は早朝に1回使用するのみ。


鎌倉 かまくら
東日本旅客鉄道 横須賀線

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東口駅舎

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西口駅舎

(2013(H25)年6月21日撮影)
開業:1889(M22)年6月16日
所在:鎌倉市
駅番号:
関東の駅百選
 有数の観光地への玄関口として、通年観光客で賑わう。特に6月の紫陽花シーズンには、首都圏各地からの臨時列車が多数発着する。東口駅舎は、旧駅舎は時計台がシンボルとして親しまれていて、駅舎改築時に西口に移転して保存されている。新駅舎にも時計塔がある。ホームは島式。乗車人員42,038人


鎌倉高校前 かまくらこうこうまえ
江ノ島電鉄

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駅舎

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ホームから眺める相模湾と江ノ島

(2013(H25)年4月7日撮影)
開業:1903(M36)年6月20日
所在:鎌倉市
駅番号:EN08
関東の駅百選
 駅員無配置。


上大井 かみおおい
東海旅客鉄道 御殿場線

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駅舎

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相対式ホーム

(2013(H25)年3月28日撮影)
開業:1948(S23)年6月1日
所在:足柄上郡大井町
駅番号:
 行き違いが可能。駅員無配置。


上大岡 かみおおおか
京浜急行電鉄 本線

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西口

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ホーム2面4線

(2013(H25)年6月11日撮影)
開業:1930(S5)年4月1日
所在:横浜市港南区
駅番号:KK44
関東の駅百選
 港南区の交通の要衝であり、乗降人員140,826人は京急全線で品川・横浜に次いで3位。17年前の1996(H8)年10月1日に京急百貨店がオープン、ホームから百貨店に直結している。ホーム全体が人工地盤で覆われている。全列車停車。


上大岡 かみおおおか
横浜市交通局 ブルーライン(1号線)

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7番出入口

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島式ホーム

(2013(H25)年1月31日撮影)
開業:1972(S47)年12月16日
所在:横浜市港南区
駅番号:B11
 第1期開業時の終着駅。鎌倉街道の真下に駅があり、折返し列車用の引き上げ線が設けられて、日産スタジアムのイベント開催時の臨時列車などで利用される。「お客様サービスセンター」があり、定期券などの他グッズも販売、ブルーラインの模型も置かれている。乗降人員69,975人。

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 神奈川の各市町村には、それぞれどれだけの駅があり、それはどの位の密度になるでしょうか。
 かなり荒っぽいが、数値を並べて、比較してみたいと思います。
 横浜など複数の会社が乗り入れる駅でも、杓子定規的に別々の駅に分けています。なので完全に実態を反映している訳ではなく、参考程度にしてください。

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 まず政令指定都市3市の各区を見ます。
 横浜市は西区が一番密度が高いが、横浜駅が6者集まるので実質7駅、1駅あたり1.00㎢。それでも横浜市の中では一番駅辺りの面積が小さくなりました。。
 駅数では金沢区が一番多いが、京急とシーサイドラインが共に、こまめに駅が設けられている事があります。
 一方、栄区はJR根岸線の本郷台駅しかなく、横浜市内では図抜けて密度が低くなりました。
(大船駅も半分は栄区にあり、笠間口が設けられた)
 栄区は開発が比較的遅く(戸塚区からの分区は1986(S61)年11月3日)、しかも開発の中心は駅から離れた南部で、本郷台駅や大船駅、及び港南台駅(港南区)や金沢八景駅(金沢区)からの神奈中バスがメインの交通機関になります。
 一方、同じ日に戸塚区から分区の泉区は、1999(H11)年に相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄が相次いで延伸した事で、密度が高くなりました。
 川崎市は早くから工業化が進んだ川崎区が、京急やJR鶴見線の駅が多い事もあって、駅数は多くなりました。
 しかし、臨海部に埋立地が広がっていったので、面積は川崎市で一番広くなったものの、面積当たりの密度は低くなりました。
 宮前区はともかく幸区が意外に少ない(尻手・鹿島田・新川崎)と思ったが、JR川崎駅が川崎区との、矢向駅が横浜市鶴見区との境にあります。
 相模原市は「平成の大合併」でできた政令指定都市で、特に緑区は城山・相模湖・藤野・津久井町を丸々含んでいるので、面積がずば抜けて広いのに駅が実質3つしかなく、密度が極めて低くなりました。
城山・津久井町は駅がなかった)
 これは昨今成立した、各地の政令指定都市の区域全般に言える事ではあります。
 他の市町村では、小田原市と藤沢市は乗換駅を含むので、実質は横須賀市が駅が多いといえます。
 駅数が多い京急線が、長々と市域を貫いているからでしょう。
 密度では江ノ電がある鎌倉市が、一番駅当たりの面積が小さくなりました。
 平塚市が、広さの割には駅が1つしかなく(平塚)、市では(綾瀬市を除けば)一番駅が少なくなりました。
 皆様はこの数字を、どう捉えられるでしょうか。

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 JR飯田線・平岡~天竜峡は、10月10日(木)始発より運行再開ができる事になりました。
〈秘境号〉も運転できそうです。

《今日のニュースから》
福島沖で水揚げのタコ 築地市場で取引再開

№1029 小田急小田原線 豪徳寺駅

 神奈川の駅について長期連載中ですが、今回は東京都内の駅について書きます。
 さすがに東京23区の大手私鉄の大幹線、神奈川以上の駅の変化が大きいようです。

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 小田急小田原線の豪徳寺駅は東京都世田谷区にあります。
 もともとは築堤上にあり、東急世田谷線山下駅が隣接、乗り換え客も多く見られます。
 下北沢~登戸の複々線化・連続立体化工事で高架線の駅となり、周辺共々大きく姿を変えました。

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 20年位前の旧駅舎。

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 高架線になって、南北を結ぶ道路が開通していました。その道路前に駅施設があります。

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 小田急のコンビニ「Odakyu SHOP」。

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 駅前には招き猫の像があります。
 豪徳寺が「招き猫」発祥の地らしく、寺には数多くの招き猫が奉納されているそうです。
(なお、一番の最寄は東急世田谷線の宮の坂駅)

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 改札前。

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 券売機。
 昔より少なくなって、2台しかありません。PASMOなどのICカードが普及したからでしょう。

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 改札口。

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 精算機。

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 改札内コンコース。

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 エスカレーターは、上下ホームとも上下並んで設けられています。

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 ホーム上のエレベーター。

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 冷暖房完備の待合室もあります。
 ただ、上も下も、列車の出発案内や、運行情報に関わる情報表示装置はありませんでした。

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 最後に、中央に急行線を挟む相対式のホーム。
 各駅停車・区間準急は8連までだが、ホームは既に10連分確保されています。
 下北沢複々線化完成の時点で、各駅停車の10連運転が始まるのでしょう。千代田線~常磐線直通の停車もありうるでしょうか。
 急行線には、乗務員の昇降台らしきものがあります。夜間には急行線への車両の留置があるのでしょうか?見た事がないから解らないですが…。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 ちょうど1年前の京急線の脱線事故に関しての調査報告書が、運輸安全委員会から公表されました。
 去年の9月24日深夜、局地的な大雨の最中、追浜~京急田浦を走行していた1500形特急が、トンネル手前の土砂に乗り上げて3両が脱線、乗客と運転士の56人が重軽傷を負ったものです。
 別に添付されている説明資料を読むと、線路などの鉄道そのものの設備や車両には問題なく、非常ブレーキ操作や事故後の乗客の誘導などに関する乗務員の行動も、マニュアルに従った正しいものだったとしています。
 一方で崩落した斜面は長年にわたる降水などで脆弱になっていた可能性があり、コンクリートの基礎の性能も低下していた可能性があるとして、①事故現場においてはのり面工による対策や適切な排水工を施す事や、土砂止め柵の設置などの対策が必要、②それ以外では、地形的に類似している場所では適切な対策を施すと共に、図面が残されていない場所については、現時点で適切なものになっているか、降雨量に対する運転規制と共に見直しが必要、と結論付けています。
 これを受けて京急では「内容を真摯に受け止め、沿線すべての斜面の調査点検と対策に尽力し、安全・安定輸送の確保に向けて取り組んでいく」としています。
 今回は列車が巻き込まれてしまった事案ですが、今年になってからも山陰や近畿、東海地方のJR各線や京阪京津線などで、大規模な土砂崩れによって長期の不通に追い込まれている路線が数多くみられます。
(京阪京津線は、29日の夕方に運転を再開する予定、との事)
 この数年の豪雨はどこもハンパではないから対策も簡単ではないだろうが、京急に限らず、鉄道事業者全てが、この報告書を基に、より一層充実した災害対策が施される事が望まれます。

《今日のニュースから》
みずほ銀行 反社会的勢力への融資で金融庁より業務改善命令