№885 フルカラーLED時代 行先表示のあり方は 1.現状編(JR東日本)
鉄道車両の行先・種別表示は、古くは「サボ」から、一昔前の幕式そして3色LED(黄・緑・赤)を経て、フルカラーLEDが当たり前となりつつあります。
その特性から単に行先・種別だけでなく、多彩な情報を提供する方向に向かいつつあるようですが、私的には疑問に思える内容が少なくありません。
特に日本語と英語を交互に表示する方式は、利用者に戸惑いを与えるかもしれません。
また、サボや幕式の時代には無くても特に問題にならなかったのに、LED表示になったとたんに多数の情報が加わった事で、却って見る者に混乱を与える事になっていはいないか?と思われるケースも多々見かけます。
東西のJRや大手私鉄を中心に幕式・3色LED式も交えて実例の画像を並べ、個々に検証した上で、ではどうすべきなのか、全く個人的な意見ですが記してみたいと思います。
まず、いち早くフルカラーLED表示への移行が進む、JR東日本や関東の大手私鉄の例を並べてみます。
1.JR東日本
京浜東北線 サハ209-46 2009(H21)年12月17日
一昔前まで当たり前だった幕式。
種別・行先(+小さな英文)の、国鉄時代から(フォントさえも)引き継がれたシンプルなスタイル。
蕨駅での撮影だったが、ホームにも種別・行先の表示がある事もあり、これだけでも運行内容が充分伝わるのではないか?
他の路線の電車が出発する事もないのだし。
私が年配で、交通に関してある程度物知りだからそう感じるのかもしれないのだが…。
外房線 サハ209-2117 2010(H22)年8月3日
209系は房総地域へのコンバート改造がされた時点で、行先・種別表示が3色LED化された。
同じ運行区間でも複数ルートがあるエリアのためか、行先と路線が交互に表示されるようになった。
しかし、路線名(この場合は外房線)のみの表記に切り替わると、行先が消えてしまう。
上段のような、路線名+行先の併記のみでも良いのではないか?
(但し、全体的な表示スペースが小さい)
総武本線 モハ112-2114 2010(H22)年8月8日
209系によって淘汰された、房総地域の先代車両の幕式表示から、まず113系。
途中の経由地を表記していたが、経由地名が小さくて見づらい。
内房線 クモハ211-3054 2010(H22)年8月3日
高崎線からコンバートされた211系では、上部に路線名を記していた。
211系の行先表示ではラインカラーを取り入れていた。
路線名は、これでも少々見づらいかも。
横須賀線 サハE217-2055 2009(H21)年11月25日
E217系は幕式から、3色LEDへの交換が行われた。
(後期の新造車は最初から3色LED)
東戸塚駅での撮影。
総武快速線への直通で、東京からは快速として運行される事になるが、表示には何も記されていない。
しかしこれでも、利用者にとっては問題なかったはずだ。
(E217系は全列車横須賀線内普通、総武本線を初め房総各線は皆快速、と統一された運行形態という事もあるだろうが)
湘南新宿ライン サロE231-1048 2009(H21)年11月24日
E231系では最初から3色LEDとなり、路線名と行先を交互に表記するようになった。
特に湘南新宿ラインの表示は問題が多い。
全体的に、小さいスペースに情報を詰め込みすぎ。
上下の比較では「特別快速」以外に共通点が無いし、スタイルが全く変わってしまって、一瞬でも目を離した瞬間、全く別の情報に変わってしまったかのような錯覚を与えているのではないか?
中央線快速 クハE232-43 2009(H21)年11月3日
本格的にフルカラーとなったE233系では、駅の停車中は次の停車駅を表示するようになった。
複数の種別が混在する路線だからだろうが、本当に必要な情報か?
おかげでただでさえ小さいスペースなのに、ぎっしり情報が詰めこまれ、特に英文表記は種別上部の「Holiday Rapid」の文字が下部の「Akigawa」のオレンジ色部分にまで食い込んで、みっともない。
中央線快速 クハE233-51 2013(H22)年4月28日
ついでに前面も。
上段で全体的に「ホリデー快速」と表示されているため、下段の愛称+行先との交互表示の最中において種別名の大きな表記がいきなり行先を遮って現れる事になり、どぎつく感じられる。
ホリデー快速に関しては、どうせ本数も少ないし、103系・201系時代のように窓下に愛称のサボを掲げ、上段は種別(「特快」で充分)と行先の常時表示にしても良いのではないか?
その方が「マニア」受けもするだろうし。
また初期の中央線向けでは、列車番号が種別・行先と並んで表示されているが、内部の業務用の情報の表示のために乗客向けの情報を犠牲にしてしまっている(ように見える)のはどんなものか。
JR側もそう考えて、次の京浜東北線向けから場所を変えたのだろうが。
(実際には種別・行先表示スペース自体のサイズは変化が無い)
京浜東北線 モハE233-1254 2009(H21)年11月20日
京浜東北線のE233系では、駅の停車中にはこのパターンが繰り返し表示される。
そもそも「京浜東北線」の表記は必要?
水色の帯の電車は京浜東北線と解りきっているし(だからどの系統でも他線との判別のために、帯の色で国鉄時代からのラインカラーを踏襲しているのだから)、必要なら名古屋市営地下鉄各線のように、ドアの横に大きく「京浜東北・根岸線」とでも記したステッカーを貼っておけば、むしろ解りやすいのでは?
東海道線 モハE233-3004
211系置き換えで東海道線に投入された、近郊仕様でも内容は同じ。
これもドア横に「東海道線」と書いておけば済む話だと思う。
肝心の行先の表示を犠牲にするべきではない。
<つがる> E751-103 2010(H22)年4月7日
特急からまず、少し古くなってしまったが、八戸~青森~弘前間運転時のE751系<つがる>。
3色LED。
「指定席」「自由席」の表示や号車番号といった、設備的な表示は、種別・行先とは別に表示を設けるべき。
号車番号に関しては、鉄道会社や系列によっては最初から別に分けていた事例もあったのだから。
(新幹線0系からしてそう)
<成田エクスプレス> モハE259-12 2009(H21)年11月25日
フルカラーになったE259系<成田エクスプレス>もそう。
号車番号は別にして、その分列車名、行先を大きく書くべき。
また、日本語が読めない外国人の利用が多くなる国際空港アクセス列車では特に、日本語と英語を連続して併記するスタイルとすべきで、安易に交互表示にする事はすべきではない。
<あさま> E226-112 2011(H23)年3月30日
新幹線から、3色LEDのE2系。
上2段が愛称(種別に相当)・行先表示、下2段が「指定席」「自由席」の表示。
わざわざ別に「指定席」「自由席」を表示する窓を別に設けているのに、最上段ではなぜ、行先表示を犠牲にしてまで「自由席」の表示を出す必要があるのか。「あさま 東京」のみで済む事のはずだ。
<はやて> E514-6 2012(H24)年2月28日
JR東日本の新幹線車両は、E5系からフルカラーになった。
基本的にこの3パターンが繰り返される。
新幹線とはいえ、やはり停車駅の表示はいらないと思う。
ホームに詳細な表示がある上、アナウンスもしつこいくらい流れるから。
それ以上に「指定席」とグランクラスのマークが問題で、特にグランクラスはグリーン車や普通車になる事はありえないのだから、これもドア横のピクトグラム表示だけで充分。
ホーム側でも乗車位置の案内が出るのだし。
その分きちんと行先「東京 Tokyo」を連続して表示しておくべきだ。
3色にしろフルカラーにしろ、LEDは多彩な表示ができるのが利点ではあるのだが、それをいい事にアレコレ情報を詰め込んで、結果的に一番大事な「種別」「行先」を犠牲にしてしまっているケースが多い。
こうして並べてみると、やはりE233系が一番良くないと思う。
複数回に分けないと全部伝えられないとは、あまりに細々情報を詰め込みすぎ。
それでは、私鉄各社はどうなのか、次回は関東大手の行先・種別表示を、フルカラーを中心に並べてみます。
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小田急線の東北沢・下北沢・世田谷代田各駅が、3月23日より地下化されるとリリースが出されたようです。
詳細はPDFファイルに記されているようですが、当方のビューワーが不調なのか、ファイルが読めません。
いずれにしろ、ようやくここまで来たかの感はありますが、後は一刻も早い複々線化が望まれます。
《今日のニュースから》
「レ・ミゼラブル」 興行収入41億7500万円 日本公開のミュージカル映画で史上1位