№884 バスマガジンvol.57(講談社ビーシー/講談社)
「バスマガジン」57号が先月末発売されました。
表紙は東急バスのエルガ。
「バスマガジン」で東急バスを突っ込んで特集した事は、意外になかったか。
◆ 与論島の小さな路線バス
離島の路線バスが取り上げられるケースは、どのバス趣味誌でもそれほど多くないので、こうして取り上げられるとうれしいな。
与論島を初めとする奄美諸島は、かつての東亜国内航空(TDA)がかなり力を入れてキャンペーンをやっていたけれど(沖縄への就航がなかった時代)、今は観光としてはどうなんだろう?
(「穴場」とは言えるだろう)
沖縄本島にかなり近くても、沖縄とは微妙に違うイメージがあるらしい。
車両は本当に最小限という感じで、路線はコミュニティバス的な要素の方が強そうだ。
◆ 首都圏のコミュニティバス
「コミュニティバス」というと、一般的には郊外や地方で、在来路線バスが存亡の危機にさらされてどうしよう?という所から始まるケースが多いと思うけれど、首都圏だともう少し積極的にやっている所が多いみたい。
もちろん都営バスの縮小でどうしよう?から始まった港区のケースもあるが、港区にしてもさらに積極的な路線展開が図られている様子。
表参道で渋谷区「ハチ公バス」と競合するのが面白い。
23区で現在、ほとんどの区では形態の違いはあれコミュニティバス(あるいはそれに近い乗合タクシー)の運行があり(全く無いのは品川・目黒・江戸川区位?)一度23区のコミュニティバス全部を並べて、あり方を比較・検証する事も必要かも知れない。
繰り返しだけど、都営バスとの連携は必須だと思う。
パチンコ店がスポンサーの稲毛区の無料バスも面白いけれど、考えさせられたのは海老名市で、海老名SAの商業施設経由にルートを変更したら、コミュニティとしては無視できないほどの利用の増があったとの事。
コミュニティバス(=海老名市)にとっても、SA(=NEXCO中日本)にとってもプラス(Win-Win)に働いた訳で、大きく考えると「コンパクトシティ」のあり方を考える上でもモデルケースとなりうるのではないか。
海老名SAは現在高速バスのバス停が無いが、可能ならSA内に高速バスのバス停を設置(JR東名高速線、小田急箱根高速バス、本厚木~羽田・成田空港、海老名~羽田空港線の停車が考えられる)、高速バス⇔コミュニティバスの乗り継ぎにも発展できるのではないか?
◆ 鳴門市営バス バス事業完全ガイド
鳴門市営バスが、今年3月一杯で事業を廃止、徳島バスに引き継がれる事になりました。
一昨年秋の西日本旅行で引田(香川県)を経由した時に鳴門市営バスの折返場やバス停を見かけていて、「県境を越える市営バスとは面白い」と、№600で書いたばかりでした。
しかしもはや3路線、しかも最終が19時30分とは、正直公営バスとしてはどうなのか?とは思わざるを得ない。
カラーグラフと白黒の2部構成で歴史についても記されているが、気になったのは「福良線」の扱いが非常に軽かった事。
福良とは淡路島にある旧南淡町(現南あわじ市)の町で、鳴門海峡を越えて兵庫県にまで乗り入れていた事になります。
(上の画像も25年前の福良での撮影で、後方に淡路交通のキュービックがいる)
2002(H14)年まで走ったそうだが、もう少し大きく扱われても良かったと思います。
車両面では西工は1台も無く、また中古導入も無くて3年前まで新車が入っていたとは、最後まで何とか公営でやっていきたかったという事ではなかったか。
それと、貸切バス事業が最後まで残るのは、近年相次いで廃止になっている公営バスでは異例でしょう。
最後を見に行くのは、現状では考えていないのだけれど…。
◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.57 東急バス
よくよく考えれば東急バスとは、東京23区・川崎市・横浜市の大都市のみをエリアとする都市型バス事業者で、かつては長距離急行バスや「ミルキーウェイ」もあったとはいえ、完全なローカル線は存在しないし、それでいて意外に人気がある事業者かもしれない。
私もファンの1人であるのですが。
「バスマガジン」以外のバス趣味誌でもかなり取り上げられているし。
ロケーションの良さがあって、若々しいイメージがあるのでしょう。
だから車両面も相当マスプロ的に画一化されていると思いきや、同じ一般路線でも地域(特に東京と神奈川)や営業所によって細かく仕様が分かれていて、1形式1台という車両が意外に少なくない。
しかしそうなると追跡は大変なのだが。
(東急バスは運用路線を固定する事が多いので、その点ではラク、なのかも)
◆ バスマガ調査隊が行く!! 鉄道廃止路線を走るバスと鉄道遺構
鹿島鉄道代替の「かしてつバス」のレポートだけれど、その導入の背景まで考えると、あまりキャピキャピした内容は好ましくない気もするが…。
「かしてつバス」は、鉄道としてやっていくには乗客が少なすぎたけれど(1日平均1,600人だったそう。旧国鉄の特定地方交通線は1日4000人/㎞)、首都圏でもあるし、バスであればなんとかやっていける数値なのだろう。
行き違いはやはりドライバー任せ、なのか。
昔乗ったアルペンルートのトロリーバスは確かタブレットを使っていた気がするが、長距離だし、ダイヤ体系が複雑なので、この方が合理的、安全面でも特に問題はないという事か。
信号位はあった方が良いかなとも思ったが(横浜市営バスなどに例がある)、全交換場所に設けるとこれまたコストがかかりそうだ。
◆ 路線バス全方位レポートvol.57 宮崎県
また2ページに戻ってしまいました。
三州自動車を除くとほぼ宮崎交通が独占だし、5年前のvol27で宮崎のバスの特集をしていた事もあるだろうが、もう少し県内各地を走るバスの姿を捉えた写真が欲しかった。
ちょうど今日からプロ野球のキャンプが始まり(今年はWBCもある)、臨時バスも走るので盛業を期待します。
秋田市の「ELEMO-AKITA」では、バッテリーにリチウムイオン電池(米国製)が使われているそうだが、現状のB787の問題を見ると、ひょっとしたら大丈夫なのか?と考える人も出るかもしれない。
負荷は大型旅客機とは大分違うはずだから、これで問題ないとは思うが。
巻末には大阪市営バスの赤バス「大正ループ」で「シーサー」ラッピングのマルチライダーの写真があったけれど、「大正ループ」も3月末での廃止がほぼ本決まりの状況です。
赤バスに限らず、大阪市では昨年末に地下鉄・ニュートラムまで含めた完全民営化へのロードマップが発表になり、現在は市民からのアンケートを募っている状況。
鳴門市営の如く、各地の公営バスの民営化はもはや全国的な流れとして避けられない状況ではあるが、それにしても大阪市営のケースはどこか「攻撃的」とも映る内容で、どこかでその詳細や反応を記す必要があるのではないでしょうか。
とりあえず次号では、赤バスについて取り上げられる事を期待しますが(次号予告にはないが)。
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