№863 JTB時刻表から見る日本の乗り物 2012年

 2012(H24)年も大詰め。
 一応今日を除いてもまだ3日残ってはいますが、TVのレギュラー番組はほとんどが今日で今年の放送を終了。
 交通でも、JR四国などの例外はあるものの、大半は今日が今年最後の平日ダイヤ運行日と、完全に年末年始モードに突入しようとしています。
 当ブログでも2012年の締めくくりとして、JTB時刻表2012年1~12月号からを中心に、今年の日本の交通について改めて振り返ってみたいと思います。

 鉄道は、今年は新線の開業がなく、東北では震災で被災した路線の復旧活動が鋭意進められました。
 ただし、今年も自然災害の影響を免れる事は出来なかったようです。
 鉄道と競合する交通で低廉さを売りとした事業者が相次いで参入、交通大競争が加速しましたが、一方で時代から取り残された交通の淘汰もありました。
 JRグループは北海道を除いて3月17日にダイヤを改正。
 JR北海道は6月と10月の2回に分けて改正を行っています。
 
《2012年の十大トピックス》
◆ 東京スカイツリー・スカイツリータウン開業

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 世界最高634mの自立式電波塔「東京スカイツリー」と、複合商業施設「東京スカイツリータウン」は5月22日に開業。
 何度か書いている通り、ここは以前は業平橋駅の貨物施設であり、貨物廃止後は一時期ラッシュ対策の折返し列車のホームが設けられた事がありました。
 東武鉄道・東武バスなど、事業主体の東武グループでは、開業と共に鉄道・バス両面でアクセスの充実を図りました。

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● 業平橋駅を「とうきょうスカイツリー」駅と改称、浅草・押上~東武動物公園の愛称を「スカイツリーライン」と命名
● ダイヤ修正を実施、下り「スペーシア」一部、上り全特急がとうきょうスカイツリー駅に停車
● 「スペーシア」を順次リニューアル
● 展望列車「スカイツリートレイン」634型デビュー
● 東京駅・羽田空港・TDR~スカイツリータウンシャトルバス運行開始、上野駅~スカイツリータウンに新型車両導入
 シャトルバスについては、羽田空港・TDR関係以外は未だ時刻表の掲載がありません。
 東武グループ以外も高速バス・一般路線バス・定期観光バスでスカイツリータウン関連路線の新設・改変を実施、各鉄道事業者の押上駅には「スカイツリー前」の副称が設定されました。 

◆ 〈ひたち〉〈くろしお〉に新型車両導入

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 JR東日本のE657系は常磐線の<スーパーひたち><フレッシュひたち>で運用されている651系・E653系置き換え用としてデビューした新型特急車両。
 3月17日改正に先駆け、3月3日の<復興いわきフラガール号>より運行を開始しました。
 改正の時点では<スーパー・フレッシュひたち>合わせて14往復で運用。
 なお、今年秋には全列車E653系に置き換えられる予定でしたが、今の所は651系・E653系も引き続き運用されています。
(来年3月16日改正で統一と発表済み)
<ひたち>系統は、本来はこの改正で系統を分割、いわき~仙台はE653系による新名称の特急が走る事になっていました。

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 JR西日本の287系は北近畿方面に続いて、ダイヤ改正時より<くろしお>にも導入されました。
 当面は京都・新大阪~紀伊田辺・白浜の7往復で運用。
 外観では帯の色が、北近畿方面の赤から青色に変更されています。
<くろしお>系統には振り子式特急車が運用されていましたが、振り子車→非振り子車の置き換えは初のケース。
 置き換えられた381系は再度北近畿エリアに転用されています。

◆ 東海道新幹線300系引退 東北新幹線はE1系撤退
 新幹線では世代交代が進みました。
 東海道新幹線では、1991(H3)年3月にデビューした300系が引退しました。
 デビュー時は早朝・深夜の<のぞみ>で運用され、「名古屋とばし」が話題になりました。
 東北新幹線では9月29日にダイヤ改正があり、E5系追加投入の一方で、E1系「MAX」が撤退しました。
 
◆ 札沼線(学園都市線)電化開業

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 6月29日、桑園~北海道医療大学間28.9㎞が電化開業しました。
 ダイヤ改正は2回に分けて行われ、電化開業時点ではDC列車も併用されていました。
 10月27日の2回目の改正で札幌口では全列車電車化、石狩当別~札幌~新千歳空港直通快速<エアポート>が新設定されました。

◆ 〈日本海〉〈きたぐに〉廃止
 日本海縦貫線を走る伝統の夜行2本が一挙に廃止になってしまいました。
 大阪発北陸・東北行定期夜行列車は全滅。
 両列車とも多客時の臨時としては残されていますが、運転日が少なく、先行きは心配です。
(<きたぐに>は米原経由→湖西線経由に変更)
 これで毎日運転の定期夜行列車は特急<サンライズ瀬戸・出雲><北斗星><あけぼの>、急行<はまなす>の4本だけになってしまいました。
 また、上野~金沢急行<能登>の設定がなくなりました。
 
◆ 豊肥本線 水害で不通
 7月の九州北部豪雨の影響により、豊肥本線・久大本線・日田彦山線・平成筑豊鉄道の一部区間が不通になりました。
 日田彦山線と平成筑豊鉄道は比較的早期に、久大本線・うきは~夜明も8月25日に再開しています。
 しかし豊肥本線・宮地~豊後竹田は被害が甚大で、徐々に復旧区間が延びたものの、全線の再開は来年8月になる見込みです。
「ななつ星」運転開始には間に合いそう。
<九州横断特急>は八代~熊本~宮地と豊後竹田~大分~別府に分断、別府側は40番台の列車番号を与えられています。
 時刻表に現れずじまいでしたが、<あそぼーい!>が夏休み期間中、博多~八代~人吉で運行されました。
 この他岩泉線・名松線も、引き続き運行再開がなりませんでした。
 このままバス転換という流れになるのでしょうか。

◆ 気仙沼線 BRT方式で再開
 東日本大震災の津波で甚大な被害を被った気仙沼線・柳津~気仙沼は、線路敷の一部をバス専用道路に転換、BRT(Bus Rapid Transit = バス高速輸送システム)として運行を再開しました。
 8月20日の時点では「代行輸送」、12月22日より本格的な「仮復旧」としています。
 途中にベイサイドアリーナ「駅」を新設しています。
 運賃はJR線とBRT区間の合算、「青春18きっぷ」「フルムーン夫婦グリーンパス」でも利用できます。
 大震災関係では、仙石線・陸前小野~矢本、石巻線・石巻~渡波、八高線・種市~久慈が3月17日、三陸鉄道北リアス線・田野畑~陸中野田が4月1日に再開。
 昨年の水害で長期不通になっていた身延線・内船~身延は3月17日に再開して特急<ふじかわ>も全面的に再開、只見線・大白川~只見は10月1日に再開しました。 

◆ 十和田観光電鉄・長野電鉄屋代線廃線
 両路線とも、3月一杯を持って廃止になりました。
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十和田観光電鉄 三沢~十和田市
 東北新幹線・七戸十和田駅開業で打撃を受けた上、東日本大震災に止めを刺された格好でした。
 当初は3月一杯の時点では廃止を前提とした休止、来年1月一杯で正式廃線の予定でしたが、前倒しの形で3月の完全廃止になりました。

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長野電鉄屋代線 屋代~須坂
 かつては国鉄からの急行<志賀>の乗り入れもありましたが、末期には1~2時間に1本程度の運行に落ち込んでいました。
 一昨年には増発等の社会実験も行われましたが、線形のためか、輸送量の増加にはつながらなかったようです。

◆ 東京駅赤レンガ駅舎復元
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 5年がかりで進められていた東京駅丸の内の赤レンガ駅舎の復元工事が終わり、10月にオープンしました。
 南北両ドームを円形化、3階部分の復元などが行われ、東京ステーションホテルの営業の再開や、エキナカの新規出店もあります。
 連日観光客が駅舎の内に外に集まり、新観光名所として賑わっています。
 今後、同様な歴史的建築の鉄道駅舎保存のモデルケースとなる事が期待されます。
 12月号のカラーグラフで紹介。

◆ LCC航空3社就航
 就航前から話題となり、経済分野を中心とした一般のニュースでも大々的に取り上げられてきたLCC(Low Cost Carrier)が3月から相次いで就航しています。
 3月1日のピーチ(APJ)を皮切りに、7月1日にジェットスター・ジャパン(JST)、8月1日にエアアジア・ジャパン(AWJ)が就航、各社とも急速に路線を拡大し、APJとAWJは国際線にも就航しました。
 12月1日現在では次の路線に就航しています。

ピーチ
 ANAと、香港の投資会社等の合弁。
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国内線
 関空~新千歳 3往復 12月15日から1往復増
 関空~福岡 3往復
 関空~長崎 2往復
 関空~鹿児島 2往復 12月15日から1往復増
 関空~沖縄 3往復 来年1月21日から1往復増
国際線
 関空~ソウル(仁川) 3往復
 関空~台北(桃園) 2往復
 関空~香港 1往復

ジェットスター・ジャパン
 JALと、オーストラリアのジェットスター(カンタス系LCC)等の合弁
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 成田~新千歳 3往復
 成田~関空 2往復 ※12月6~21日3往復
 成田~福岡 3往復
 成田~沖縄 1往復 ※12月6~21日・1月8日~3月30日欠航
 関空~新千歳 3往復
 関空~福岡 2往復
 関空~沖縄 1往復 ※12月6~21日欠航 

エアアジア・ジャパン
 ANAと、エアアジア(マレーシアのLCC)等の合弁
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国内線
 成田~新千歳 3往復
 成田~福岡 2往復
 成田~沖縄 1往復
国際線
 成田~ソウル(仁川) 1往復
 AWJは、来年のセントレア就航を発表しています。
 東京都心~成田空港では、LCC利用者を目当てにしたと思われる格安空港バスの運行が始まっていて、関西空港でもLCC専用ターミナル共用開始に伴う空港バスの再編成が行われています。
 
◆その他
○ 特急〈あさぎり〉運転区間短縮 小田急MSE運用
○ 〈東北新幹線大宮開業30周年記念号〉運転
○ JR東日本 在来線特急の公衆電話サービス終了
○ JR九州・南海等 夏期節電ダイヤ実施
○ 三江線 バス増便社会実験実施
○ 近鉄特急「さくらライナー」「伊勢志摩ライナー」リニューアル
○ 西鉄バス「オープントップバス」運行開始
○ 中国バス「ドリームスリーパー」運行開始
○ 井笠鉄道 バス事業廃止
○ 岩国空港開港
○ スターフライヤー 国際線就航
○ 北海道国際航空 「AIR DO」に社名変更
○ 新東名高速道路開業 高速バス「昼特急」運転開始
○ スカパー!「鉄道チャンネル」とのコラボページスタート 
 
《表紙の写真・グラビア連載》
1月号 信越本線(古間~黒姫)
 115系3連で、バックは黒姫山。
●初詣は お伊勢さんへ
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第58回 西武鉄道 鉄道本部工務部連続立体交差化事務所勤務
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.7 電車の冷暖房の仕組みを探る

2月号 金沢駅
 日本海(奥羽本線 大鰐温泉~石川)
●日本海縦貫線の夜行列車 さようなら『日本海』『きたぐに』ルート
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第59回 東急車輛製造横浜製作所 電線下拵え担当
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.8 流氷砕氷船ガリンコ号Ⅱの仕組みを探る

3月号 常磐線(赤塚-内原)
 E657系。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第60回 京都市交通局 高速鉄道部烏丸線運輸事務所 高速運転士
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.9 潜入ルポ!飛行機の機体整備
●にっぽんの旅100年史 ~JTB創立100周年特集~

4月号 映画「僕達急行 A列車で行こう」
 松山ケンイチ・瑛太とJR九州キハ25の映画宣伝スチール。
●鉄道シーン満載の『僕達★急行 A列車で行こう
●春の奈良へ行こう!
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.10 列車の食堂車を探る

5月号 東武スカイツリーライン 特急スペーシアと東京スカイツリー
 浅草~とうきょうスカイツリー(発売時点では業平橋)
●東京スカイツリータウン 5月22日(火)グランドオープン!
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第61回 京浜急行電鉄㈱運転車両部 運転士
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.11 新交通システムの無人運転の仕組みに迫る
 
6月号 高山本線(角川-坂上)
 キハ48(東海色+国鉄ツートンカラー)
●祝 大宮~盛岡間 東北新幹線開業30周年
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第62回 阪急電鉄㈱梅田駅 助役
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.12 車両改造の舞台裏を探る
 
7月号 秋田新幹線(赤渕-田沢湖)
 山間部を行くE3系。
●奥羽山脈を越えて、その先の東北へ
「山形新幹線20周年」+「秋田新幹線15周年」記念。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第63回 新幹線メンテナンス東海 勤務
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.13 ジェットフォイルの速さの仕組みに迫る
 
8月号 SLレトロみなかみ(上越線 敷島-津久田)
 C6120+旧型客車。
●夏休みに乗りたい オススメのSL
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.14 SLの走行の仕組みに迫る
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第64回 伊豆急行 伊豆急オモシロ駅長「下田生まれのアナウンサー駅長」

9月号 東海道新幹線(岐阜羽島-米原)
 コスモス畑。
●桐生⇔間藤 トロッコ列車で行く わたらせ渓谷鐵道の旅
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第65回 東京地下鉄株式会社(東京メトロ)半蔵門・南北線工務区 工務係
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.15 SLの走行の仕組みに迫る

10月号 山形新幹線(奥羽本線 庭坂-赤岩)
●まほろばの里 吉野・飛鳥へ
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第66回 嵯峨野観光鉄道 鉄道部運輸課 運転士
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.16 懸垂型モノレールの仕組みに迫る

11月号 スーパーおおぞら(石勝線 占冠-トマム)
 283系。
●神戸 「平清盛」ゆかりの地をめぐる
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第67回 京成電鉄㈱鉄道本部 運輸部 車掌
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.17 ラッピング車両の舞台裏に迫る

12月号
 ライトアップされた東京駅赤レンガ復元駅舎。
●式年遷宮を迎える 伊勢神宮へ
●博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.18 機内食はどのようにしてつくられるのか
●よみがえった赤レンガ駅舎 東京駅丸の内駅舎オープン!

《裏表紙の広告》
1月号 近鉄 ご朱印巡りきっぷ
2月号 エッシェンバッハ光学ジャパン イージーポケット
3月号 近鉄 「未来に向かって、願いを込めて。」
4月号 近鉄 「飛鳥へは、近鉄で。」
5月号 近鉄 「春日大社へは、近鉄で。」
6月号 エッシェンバッハ光学ジャパン イージーポケット
7月号 近鉄 「きらめく夜の奈良へ。」 
8月号 スカパー! 鉄道チャンネル
9月号 近鉄 「伊勢志摩につつまれよう。」
10月号 神戸空港利用推進協議会 KOBE de 清盛 2012 
11月号 近鉄 「秋の吉野へ。」 
12月号 近鉄 「初詣は、伊勢島へ。」 

《定価》
1~12月号 1150円(本体1095円)

※その他 交通業界以外のトピックス
◆ 領土問題で日中・日韓関係悪化
◆ 「遠隔操作ウィルス」事件
◆ IPS細胞開発 山中伸弥教授 ノーベル医学・生理学賞受賞
プロ野球日本シリーズ 巨人4-2 MVP:内海哲也
日本ダービー優勝馬 ディープブリランテ 鞍上:岩田康誠


●来年の乗り物はどうなる
 東海道・山陽新幹線N700A系・秋田新幹線E6系デビューの話題もありますが、JR線に関しては全体的には、ネットワークに関わる大きな動きはなさそうです。
 在来線では車両の置き換えに重点が置かれそうですが、新系列はなくてやや地味目か。
 都市鉄道では東急東横線⇔メトロ副都心線(さらに東武東上線・西武池袋線)の相互直通運転開始や、交通系ICカード全国相互利用が挙げられます。
「ななつ星」は運行形態やターゲットからして一般の庶民が簡単に乗れるようなものではないはずで、個人的には近鉄「しまかぜ」に期待かな。
 プッシュホン予約やオレンジカード発売の終了、新幹線のオーディオやJR東海在来線車内販売の廃止がアナウンスされていて、公衆無線LANのサービス拡大(小田急のEXEが大手私鉄の有料特急では初のサービスを開始している)など、サービス面が大きな転換点を迎えそうです。
 高速路線バス新制度や、羽田・成田両空港乗り入れ回数増は、鉄道、そして時刻表にはどの程度影響を与えるでしょうか。

 当ブログでは、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 なお、当ブログに寄れない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 松井秀喜選手が、ついに現役引退を表明してしまいました。
 残念ながら、「起死回生の逆転満塁ホームラン」を放つ余力はなくなってしまったようです。
 それでも、日米両野球界に記した輝かしい足跡は、決して色褪せる事はありません。
 20年間お疲れ様でした。
 まずは故郷の石川で、ゆっくり休んでください。
 
《今日のニュースから》
東京証券取引所 最後の「大納会」 13年ぶり 最終日に年最高値を更新


 今年1年も当ブログ、そして本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」をご愛顧くださいまして、ありがとうございました。
 来年は、当ブログは7月頃に更新1000回を迎える見込み、本体は4月に開設10周年を迎える節目となります。
 何年たってもどちらも未熟なままですが、それでもなお少しずつ向上を図っていきたいと考えています。

 当ブログは、明日・明後日は定休、さらに大晦日は本体の更新のため、本日が今年最後の更新になります。
 本体では、神奈川のバス事業者の画像数点を新規に追加・交換する予定。
 なお、この年末年始は仕事のため遠出をする事はありません。
(仕事があるっていうのは、ありがたい事ではあります)
 従って新年の当ブログは、1月1日から早速スタートできる予定です。

 本年はこれで失礼致します。
 来年は、来年こそは全ての人々にとって良い年となるよう、願わずにはいられません。

№862 私鉄の車両シリーズ108 相模鉄道7000系(1~11次車)

 久しぶりの「私鉄の車両シリーズ」、今回は相模鉄道7000系です。
 途中でマイナーチェンジを行いつつ長期にわたって量産され、相鉄の発展の礎となりました。

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 7000系は1975(S50)年より製造された、相鉄初の新造アルミ通勤車。
 1986(S61)年の12次車より車体デザインのマイナーチェンジ、1988(S63)年の14次よりVVVF制御の採用が行われているが、ここではまず、11次車までの80両について取り上げる。
 全車両が日立製作所によって製造された。


 走行系は新6000系を踏襲しているが、車体はアルミ製となり、対新6000系比で5~6tの軽量化が計られ、消費電力の低減に貢献している。
 外観上、東急車輛製の同じアルミカー・5100系及び2100系(3次車~)と比較すると、前照灯及び尾灯の位置が異なり、屋根上の通風器がガーランド型に変更されている。
 電動機の出力(130kw)は変わらないが、歯車比を変更し、将来のスピードアップに対応している。
 直角カルダン駆動・ディスクブレーキ等、相鉄独自の仕様は引き続き取り入れられている。


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 車内は新6000系(20次車~)同様の暖色系となり、5100系以降採用されている、油圧式の一段下降式パワーウィンドも引き続き採用されている。
 新製時より集中式冷房を搭載している。


 当初は7500形(海老名向きTc)・7700形(横浜向きTc)及び7100形(M)ユニット(奇数-偶数)車が製造された。
 1980(S55)年の7次車の内4両はヒートポンプ式のクーラーが試用されている。
 1983(S58)年より、組成の自由度を高めるため7000形(横浜向きMc)、及び7600方(T)が製造された。
 7000形は7100形(偶数車)とユニットを組成。
 主にラッシュ時の10連運転用に使用され、日中以降は切り離されて8連で運用される事が多かった。


 以降他系列と共通で線内の各種列車で運用されてきたが、運用数の減少や11000系の増備により、2003(H15)年より一部が休車、2006(H18)年より廃車が始まっている。
 7000-7100形2ユニットは改造の上、事業用のモヤ700系となった。
 架線検測・救援機能を備えた入替車両として、モニ2000形及びED10形を置き換えている。
 旅客車両は24両にまで減少したが、引き続き各種列車に運用されている。
 なお、新塗装化は行われていない。正面・側面への新ロゴマーク追加のみ行われている。


【編成】
←横浜方     海老名・湘南台方→
 Mc1 7000* - M2 7100* + Tc 7700 - M1 7100* - M2 7100* - T 7600 + Tc 7700 - M1 7100* - M2 7100* - Tc 7500
 Mc1 7000* - M2 7100* + Tc 7700 - M1 7100* - M2 7100* - Tc 7500 + T 7600 - M1 7100* - M2 7100* - Tc 7500
* パンタグラフ
※代表的な組成例

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 7000系のプラレールが8月より「グリーンぽけっと」で発売になっています。
 7月29日には先行発売があり、記念したヘッドマーク付「プラレール発売記念号」が9月まで運行されました。

 今回の記事は
「私鉄の車両20 相模鉄道」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1986年8月臨時増刊号 【特集】相模鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年7月臨時増刊号 【特集】相模鉄道」(鉄道図書刊行会)
「私鉄の車両編成表 91年版」(ジェー・アール・アール) 等
を参考にさせて頂きました。

「私鉄の車両シリーズ」、次回から5回は大手を離れ、東日本の地下鉄・都市近郊・路面電車・ローカル線・モノレールを取り上げます。
 次回は都営地下鉄三田線の6300形。
 ひょっとしたら将来、相鉄線への乗り入れもあるのか?

 当ブログでは、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 なお、当ブログに寄れない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

《今日のニュースから》
トレーラーハウス利用の宿泊施設 宮城県女川町で営業開始

№861 バスジャパン・ハンドブックシリーズR79 函館バス(星雲社)

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「バスジャパン・ハンドブックシリーズR」29冊目は、引き続き北海道の函館バス。
 前身の「バスジャパン」を含めても、初めて取り上げられる事になります。

◆ 追分ソーランバス紀行
 函館の観光名所は「函館山」と「朝市」だと思うのですが、それどころか空港から函館駅さえスルーして江差へ向かっています。
 北海道の観光地はどこも本州とは一味もフタ味も違う、本州から見ればどこか異国情緒さえ感じる場所が多いと思いますが、函館は早くから本州との結びつきが強かったからか、純日本的な名所が目立つと思います。
 函館~江差線は遠い昔に乗った事がある事は本体でも記しているのですが、「追分ソーランライン」という名前は、あったかなあ。
 高速バスなし、一般路線ばかりで長距離を乗り継いでいくというスタイルは初めてかも知れない。
 こういうバス旅もいつかはしてみたいものです…(っていつも書いているよな)。  

◆ 終点の構図 船見町
 もっと遠くが選ばれるかと思いましたが、函館市内・函館市営バスの終点です。
 昭和営業所からの1系統の終点ですが、バスの行先は一つ手前の「高龍寺前」としているようです。
 極めて乱暴で不謹慎な比較ながら、「従軍慰安婦」の5文字を思い出してしまった。

◆ 函館バスの路線エリア
 ほぼ渡島半島全域に路線を広げているが、路線図から見るだけでは、長距離の幹線が主要な集落をダイレクトに結んでいるだけで、地域のコミュニティな路線は少なさそう。
 なので函館市だけを別に切り取って記しています。
 最北は長万部ターミナルと、せたな町の上三本杉と思われます。
 鹿部と沼尻の間のルートが切れていて、あれ?函館~長万部の路線がなかったっけと思いましたが、七飯~大沼~森間で国道5号線をダイレクトに結んでいて、大沼~森が抜け落ちているようです。 

◆ 函館バスのあゆみ
 函館バスそのものだけでなく、函館市営バスについても前身の事業者を中心に関連付けをしながら記しています。
 戦前はご多分に漏れず事業者が乱立して理解が難しい部分もあるのだけれど、全体的には戦前も、戦後も、最近も、鉄道が直接的にも間接的にも歴史に絡んできます。
 函館バス自体は終始バス専業ですが、前身には小規模な私鉄が2社あり、大沼電鉄の鹿部駅は瀟洒な駅舎が置かれていたようですが、どんな車両が走っていたのかは、もはや知るすべはないようです。
 1950~60年代は、全国的に労働争議が経営を危うくするケースが少なくなく、函館バスも例外ではなかったのですね。
 これを機に東急が資本参加…というのも、例えば国際興業が入った岩手県交通に似ています。
 一時は奥尻島も走っていたのですか。
 最近では松前線・瀬棚線のバス転換も影響を与えていますが、もう20年以上も経ってしまいました。

◆ 車両の現況
1. 高速バスがない(函館には高速道路自体がない)ので一般乗合(路線)と貸切(エイチ・ビーを含む)のみですが、一般路線には長距離仕様及び長距離カラー(東急マーキュリーカラー)が相当数存在し、17.11%の路線車が長距離中心で運用されているようです。
 函館・昭和・日吉の函館市内3営業所だけで76.43%。
 全体の3/4以上が配置され、函館市一極集中になっている事が伺えます。

2. 路線車は、平均車齢が11.63年と出ました。
 1959(S34)年製のボンネットバスを含めての数字で、前号のJHBが12.31年、首都圏の茨城交通でさえ17.72年だったから、地方バス会社としてはかなり若いといえます。
 最古参はボンネットを除くと1988(S63)年式。
 一番多いのが1995(H7)年式で、53台あって全体の20.15%あります。
 ただしその内自社発注は7台のみ。
 東急バスが31台で1995年式の58%以上を占め、元京急バスも9台・16.98%になるのが目を惹きます。

3. 路線車全体では38.78%が他社からの譲渡車両。
 函館市営バスはもう4台しかなく、最古参は1995(H7)年。
 2003(H15)年の完全譲渡まで8年ありましたが、その間に市営バスには車両の投入はなかったのでしょうか。
 譲渡元は函館市営も含めて16社局ですが、全体でも東急バス(トランセ含む)28.14%と、1/4以上を占めています。
 登録番号から読むと、東急グループから離れた2004(H16)年以降の方、特に2007(H19)~2008(H20)にかけてが、東急バスからの譲渡が多いのが目に付きます。
 東急バスの使用12年で移籍、という流れか。
 グループの絆は切れても、中古車両導入のルートがしっかり確立している、という事でしょうか。
 一方で自社導入も並行して行われ、中古も含めてバランス良く車両の購入・更新を行っているようです。
 新車導入は当然函館市内が中心ながら、2009(H21)年の北桧山〔出〕への8台もの集中投入が注目されます。

4. ノンステップ化は42.59%、地方の事業者としては驚異的な数字といっても良いと思います。
 特に2001(H13)年以降の自社購入車両は、長距離路線用を除いて全車両。
 エアロスター・エコハイブリッドは、当ハンドブックシリーズでは初登場です。

 今後の函館バスを大きく変える要素は間違いなく、2015(H27)年予定の北海道新幹線新函館開業。
 といって高速バスの設定はなさそうだから、新函館・木古内を拠点として、日本海側各都市への長距離路線の強化が図られる事になるでしょう。
 関連して江差線・木古内~江差は廃線が確定的となったが、代替バスはどのような姿となるか。
 比較的大規模ながら地味な印象もある函館バスですが、車両面の質は高いし、函館市内も郊外も観光資源も豊富だから、JR(新幹線も在来線)や第3セクター鉄道(五稜郭~木古内)、航空・市電などと連携を図りつつ、地域密着の事業者として発展する事が期待されます。
 相当数が代替時期を迎えそうな長距離路線用車両は、どういう方向に向かうのか。
 
 次回刊は首都圏に戻って、関東バスと予告されています。
 そういえば、東京都内の大手事業者では、「バスジャパン」時代を含めてもここだけ取り上げられた事がありません。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 今朝フランスのニュースをBSで見ていたら、中国・北京~広州の高速鉄道が今日開業するというニュースがありました。
 全長約2,300㎞で世界最長、新青森~鹿児島中央よりも長く、所要8時間。
 これで中国の高速鉄道は総延長9,300㎞になり、フランスやドイツ・日本などをあっという間に抜いて世界ナンバーワンの高速鉄道網を保有する事になります。
 中国の高速鉄道というと、昨年の追突事故や、その後始末が問題になりましたが、ここでは触れられていませんでした。
 しかし安全面はとりあえず置くとしても、高速列車でも8時間とは、車内はとても快適な造りとは言っていますが、やはりきついかもなあ。
 アテンダントは乗務するらしいですが、食堂車はなさそうです。
 2等車の片道は105ユーロ(約12,000円程度?)だそうで、日本の感覚では激安ですが、これでも中国国民の大半(農民や工場労働者の平均月収が360ユーロ)にとっては法外な運賃とか。
 航空との競争という点でも少々見劣りしそうで、さすがに全区間利用という乗客は多くないだろうとも思います。
 数年後にはさらに香港・西九龍駅にも乗り入れる事になるのでしょう。

 フランスからはもう一本、外科医のストレス管理の研修として、「医師2名が旅客機のコクピットのシミュレーターを操作する」というプログラムがあるそうです。
(もちろんプロのパイロットもいる)
 緊張する場面で「対話を続ける」(コミュニケーション)重要性を自覚させる訓練だとか。
「ストレスが多くてもコミュニケーションがあれば、事故は減らせるものだと知った」とは麻酔医の話。
 この航空機の方法論は、既に外科手術でも取り入れられているそう。
 パイロットが「チーム」として行っている方法を取り入れてもいいだろう、という専門家の談話もありました。

《今日のニュースから》
第2次安倍内閣発足 国土交通省に太田昭宏公明党代表

 今更何も言いません。とにかく全ての面において、穏やかに事を進めて欲しいです。
「第○次」という言い方は、途中別の政権をはさんでも通算するものですね。
 何しろ戦後すぐの吉田茂内閣以来のケースだそうで、初めて見るものだから。