№827 少なくなる 首都圏の「ドアカット」駅

 京急線でダイヤ改正が行われて1週間が経ちました。
 京急蒲田駅の下り線高架切り替えによるこの改正では、多くのものが新たに見られるようになった一方、もう見られなくなってしまった事も、数多くありました。

「見られなくなった事」としては、こんな事もありました。

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 梅屋敷駅下りホームの「ドアカット」です。
 高架化で踏切がなくなった事で見られなくなりました。
「ドアカット」という響きはマニアックになってしまうのですが、ホームが短いために長編成の電車では一部車両がホームからはみ出して停車させざるを得ず、その分、はみ出した車両は停車中でもドアを閉じたままにしておく事を言います。
 ならホームを延ばせば…なのですが、色々事情があってそうもいかない駅が、昔はどの鉄道にもかなりありました。
 京急線梅屋敷もその一つで、ホームが4連分しかないため、6連では横浜方2両がはみ出してしまっていました。
 以前は上下ともでしたが、上りは先に高架線に切替えられて解消、下りのみ「ドアカット」状態が残っていました。

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 下りの梅屋敷で開かない、6連の横浜方2両のドア部には、このような表示ステッカーがありました。

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 下りホームで、イマイチ解り辛いかもしれませんが、ホームはやはり短いです。
 前後を踏切でガッチリ挟まれているために、延長工事が出来なかったのです。
 それでも昔の普通電車はほとんどが4連だったからまだ良かったのですが、800形の6両固定編成がデビューあたりから、少々問題になってきていたのではないかと思われます。
 駅舎は高架化前より上下で独立していました。

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 客扱い中。
 手前の車両はドアが空いて、その先ホームからはみ出している車両はドアが閉じたままと解ります。

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 この現象の原因となっていたのが、この「梅屋敷1号踏切」でした。
(電車は北総9000形のエアポート急行で、通過)

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 踏切には、こんな表示もありました。
 普通のみの停車で停車時間も短かく、踏切自体交通量も多くなさそうだから、特に問題にはなっていなかったと思われます。

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 踏切の先に6連の停止目標。
 その先の信号機は、京急蒲田駅の場内信号機です。
 上り線側は、以前は車掌が確認のために降りるステップがありました。

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 今度は反対側、南側から梅屋敷1号踏切を見ます。
 今後は左手の高架下に上下統一の新駅舎が造られるはずです。
 完成した時、駅そのものやその周辺は、どう変わるのでしょうか。

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 梅屋敷1号踏切側から見た、梅屋敷駅ホームです。

 梅屋敷駅は20日を持って「ドアカット」が解消されましたが、すぐ近くの東急大井町線でも、「ドアカット」解消工事が進んでいる所があります。
 戸越公園駅です。

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 ここもホームの両側を踏切にガッチリはさまれていた結果、なんと各駅停車が5連なのに、ホームが3連分しかなく、2両もカットになっていました。
 梅屋敷よりも乗降が多く、少々問題になっていたと思われます。
 この駅の場合は、大井町寄りの下神明2号踏切を移設する事でホームを延伸し、「ドアカット」を解消する工事が進められています。

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 この駅では、大井町側の2両の扉が開きません。
(本当に足りないのは1.5両分か)

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 下神明2号踏切に関しては既に移設済み、後はホーム延伸工事の真っ只中です。

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 昔の下神明2号踏切の跡地にホームを造っている最中です。

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 とりあえず下りには、車掌が監視するための仮設ステップが設けられています。
 戸越公園の場合はいつから解消、というのは、まだアナウンスがありません。
 来年初め位でしょうか。

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 このように、昔は首都圏の各地で、ホームが短いがため、停車中に一部車両のドアを閉じたままにしておく駅が、比較的最近までかなりありました。
 特に多かったのは東急で、東横線からして代官山と菊名、東急多摩川線の鵜の木がありました。
 菊名なんて急行退避駅なのに7両分しかなく、歩道橋が出来るまでは「ドアカット」したまま退避を行っていました。
 代官山はトンネルを一部拡幅する事で解消しましたが、その過程で一時期渋谷方に仮設の駅を造っていました。
 鵜の木は目蒲線時代4連化されたので1両はみ出してしまっていたのですが、運転形態変更時に3連に戻ったので、自然に解消されたものです。
 特に東急の場合、利用者の急増で長編成化を推し進めたものの、設備が追いつかなかったという事情があったのではないでしょうか。

 他の鉄道では知る限り、京王井の頭線の神泉がそうでした。
 代官山同様、トンネルを拡幅する事で解消しています。
 異色だったのは横浜市営地下鉄の戸塚。
 延長開通時、湘南台方が難工事のため当初はホームが4連分しか造れず、新横浜方の2両が、地下鉄にはあるまじき?「ドアカット」を行っていました。
(有効長自体は6連分あった)
 特殊な取り扱いが行われたケースとしては、箱根登山鉄道の風祭がありました。
 以前は小田急線の新宿から6連の急行が乗り入れて停車していたのですが、ホームが登山電車の小型3連までしか対応できなかったため、箱根湯本側1両のみ、職員による車内のコックの操作により、手動でドアの開閉をさせていました。

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 梅屋敷に続いて戸越公園でも解消されると、首都圏で「ドアカット」を行う駅は、3箇所にまで減ります。
 まず東急大井町線では、九品仏駅で引き続き「ドアカット」が残る事になります。

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 ここも両側を踏切ではさまれて、ホームが4連とちょっと分しかありません。
 これでもホームを若干延ばし、かろうじて4両分は対応させているようですが…。

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 踏切の向こう側のステップで、車掌が監視しています。

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 踏切停車中はこんな感じ。

 踏切の移動はどちら側も容易ではなさそうだし、高架化・地下線化もここでは不可能に思え、現状維持が続くのではないでしょうか。

 江ノ電の腰越も「ドアカット」を行う駅です。

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 4連運転を行う列車が多い(土休日の日中は全列車)のですが、鎌倉方の1両はホームからはみ出す事になります。
 藤沢方からホームを見ますが、ホームを若干延伸した跡があります。

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 鎌倉方から見ますが、こちらも若干ホームが延長され、3両分が確保されています。
 昔はホームが2両分しかありませんでした。
 江ノ電で4連は2連×2になりますが、以前は4連だと鎌倉方の2連にいたら、腰越駅では完全に封じ込めになって降りる事が出来ません。
 あらかじめ手前の江ノ島、または鎌倉高校前までに藤沢方の編成に乗り移っておく必要がありました。

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 停車中は、こんな感じ。
 梅屋敷のような表示類はありませんでした。
 停車時間が短いから、これで済んでいるのでしょう。

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 踏切の先の、停止目標。

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 客扱い中。
 ステップはなく、車掌は乗務員室から身を乗り出す格好で監視しています。

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「ドアカット」を告知する、案内看板。
 江ノ電の各駅のホームで見られます。

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 腰越駅で「ドアカット」を行うための、切替スイッチ。

 そして、JRにも1箇所、横須賀線の田浦駅があります。
 地方線区だとローカル扱いで閉じた状態にしたり、逆に乗客が少ないから敢えてホームがなくてもドアを開けた状態にした事も昔は全国各地で見られましたが、首都圏の電車区間では、恐らくここだけです。

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 ここは踏切ではなく、トンネルに両側がはさまれて短くなっています。

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 下りの客扱い中。
 七釜トンネルに完全に突っ込んでいる1号車のみならず、2号車も最前部はドアが閉じたままです。
 113系時代はこんな事はなかったですが、E217系置き換えの結果、ドアが側壁に近づいてしまったため、このような措置が採られているのでしょう。

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 その七釜トンネルのなかに、停止目標があります。
「10」という標識もありますが(横須賀線は11連と4連しかない)、「湘南新宿ライン」スタート時には215系などによる横須賀発着列車も設定されていて、その名残りでしょうか。

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 トンネル内には、間違ってドアが開いてしまった時の対策だろう、ステップも設けられていました。

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 車掌に確認を促す、スイッチ確認標識。

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 上りも田浦トンネルに突っ込む先頭11号車と、次の10号車の最前部ドアが締め切りです。
 田浦駅はトンネルが障害なので、車掌の確認監視のため、上下列車とも前側が締切になるのが特徴です。

 田浦駅の場合は乗客も発着する列車も少ない、まして日中の2/3は4連の区間運転だし、トンネルを繰り抜いてまでホームを延伸するとは考えられない。
 九品仏・腰越・田浦、いずれも首都圏ではかなり後々まで残る「ドアカット」駅になるでしょう。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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