№825 日本の有人宇宙飛行 やはり夢か

 今朝の朝日新聞科学欄には、「有人飛行 命かけられますか」と銘打って、日本が独自の有人宇宙開発を目指すべきなのかを問う特集記事がありました。
 日本人初の宇宙飛行士・毛利衛氏が宇宙飛行を果たして20年になるのを踏まえた企画記事ですが、トーンはやはり否定的なようです。
 主に倫理的な視点から書かれていて、宇宙飛行士を主に軍属から選抜したアメリカ・ソ連(ロシア)・中国と違い、宇宙飛行士全員が一般人である日本では安全基準の線引きが必要だが、それがあいまいだと指摘しています。

 日本独自の有人宇宙飛行、と聞くと、№537で取り上げた、人気コミック「ふたつのスピカ」(原作:柳沼行)を連想される方、多いでしょう。
 もう一度簡単にあらすじを振り返ると、

 2010年(というからもう追い抜いてしまっている)、日本初の有人宇宙ロケット「獅子号」は、打ち上げに失敗して唯ヶ浜の市街地に墜落。宇宙飛行士だけでなく、地上の人々も多数犠牲になり、その中には主人公の少女、鴨川アスミの母親もいた。しかしアスミは、母の葬儀の日に出会った幽霊の「ライオンさん」(実は獅子号の乗組員だった若者)との出会いをきっかけに宇宙への憧れを強く抱くようになり、10年後、国立東京宇宙学校の「宇宙飛行士養成コース」に進学して、クラスメイト達と共に宇宙を目指す事になる。
(原作はメディアファクトリー社から全16巻が発売。また、NHKでアニメ・ドラマが制作されています)

 コミックはあくまでファンタジーだからどのようにも描けるけれど、実際にこのような惨事が起こったら、「宇宙飛行士養成コース」どころか、日本独自の宇宙開発そのものがジ・エンドになるでしょう。
(まして地上の人々まで多数巻き添えにしてしまっては)
「日本にはシャトルのような事故(ちなみに「スピカ」は、チャレンジャー事故をモチーフにしている)を許容する能力はない、有人宇宙飛行はやるべきではない」という、朝日記事の中の立花隆氏のコメントが、多少の寂しさは感じつつも、現状では正解に最も近いのでしょう。
 原作の柳沼先生は「中国にまで追い抜かれてしまった日本の宇宙開発の現状を変えるには、有人宇宙飛行しかない」というお考えをお持ちのようだと、どこかで見た記憶はありますが。

 ただ、国家やJAXAのようなレベルではやらないかも知れない。
(JAXAは「こうのとり」ベースの有人船を考えているようだが)
 しかし、今既にアメリカなどで胎動している民間宇宙ビジネスの波が日本に波及し、宇宙旅行の実現を謳うベンチャー企業が現れたらどうするか。
(「スピカ」でも後半、友朗(アスミの父)と佐野(宇宙学校講師)が有人宇宙飛行を目指す会社を立ち上げようとするエピソードが描かれる)
 宇宙飛行のノウハウを会得するのは簡単ではない(友朗と佐野は共に、「獅子号」のプロジェクトに途中まで関わっていたけれど)から、日本では可能性があっても相当先だろうけれど、全くゼロでもないだろうから、今の内に考えておく事は必要なのかも知れません。

 個人的には、数年がかりの特殊な訓練を詰まなければならないとか、何千万円も払って数分で終わりなんてレベルじゃなく、現代の旅客機のように、何の不自由もなく、誰もが全て、自由に遠い宇宙へ行き来できる時代が来て欲しいと思います。
 私が生きている間では不可能でしょうが…。
 日本自らが有人宇宙ロケットを開発する事はなくても、国際的に何か手伝える事があれば良いのではないでしょうか。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 東急東横線で夕方人身事故が発生、一時武蔵小杉~元町・中華街の折返し運転となっていました。
 以前にも少し書きました、東横線は全体的に退避や折返しのための線路容量が少なく、来年メトロ副都心線や、さらには西武・東武との直通運転が始まると、ちょっとしたアクシデントでも広範囲な輸送障害を引き起こす可能性があります。
 菊名には渋谷方にクロス、武蔵小杉~元住吉(どちらの駅の扱いになるのだろう?)にも渡り線が入りますが、私が見た感じではこれだけでは不十分で、自由が丘・綱島あたりにもクロスが欲しいかなあと思います。
 とにかく10両編成が折り返せる駅が非常に少ないので。

 東浜巨投手は、ソフトバンクが交渉権獲得。
 このまますんなり入団なら、東都大学リーグ奪三振記録1・2位が同じチームで投げる事になります。
《今日のニュースから》
ドラフト会議開催 大阪桐蔭高校・藤浪晋太郎投手は阪神が入団交渉権獲得