№824 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 6.京急線横須賀中央駅(後)
京急線横須賀中央駅の時刻表から、京急線のダイヤの変遷を振り返っていますが、1999(H11)年7月31日改正は、重要かつ画期的なものになりました。
1999(H11)年7月31日改正
ポイントが2つあります。
① 特急も日中は全て快特(京急においてはこの改正からこの名が正式な種別名になる)に格上げとなり、快特と普通を10分間隔で運行。
(京急川崎~金沢文庫間においては普通電車は1時間12本運転)
快特は久里浜線内は各駅に停車。
普通は朝ラッシュを除いて浦賀発着に固定。
過去に何度か書いていますが、このダイヤが可能になったのは、京急自身の研究の成果もありますが、加えて快特停車駅と通過駅の差が大きく、「この駅は停めるべきか。停めなくてもいいか」と悩む必要がほとんどなかったのではないかと考えられます。
ただし、隣の汐入は日中の特急の停車がなくなったので、少々もめる事となります。
また、当然の如く品川を越えて、浅草線~京成線に直通する快特も新たに運行される事になります。
なお通勤快特は金沢文庫まで特急で運転、金沢文庫で快特に変更という形態に変わりました。
② 横浜方面~羽田空港間の直通運転がスタート。
とりあえずは上りだけで、早朝の快特・特急1本ずつを運行。
快特は普通の始発の前の設定になりました。
(三浦海岸始発→堀ノ内行区間運転を延伸)
当時の京急蒲田は上り線から直接1番線には入れず、3番線客扱い→乗客を乗せたまま品川方に引き上げ→転線して1番線客扱いという形態でした。
この改正に関してあくまで個人的な感想ですが、快特の10分間隔運転は、日中でもロングシート車が快特で走り回る事になって、浅草線直通もあり、関西の阪急や京阪の特急のようなステータスシンボル的な部分が失われ、「記号化」した部分があったかなと。
(最も、関西も似たような道をたどる事になるのだが)
また通勤快特は、まとまった本数があるし、特急との区別のためにも、そのままで良かったのではないか?
途中で種別が変わるのは(特に遅→速)、誤乗防止のためにもあまり好ましくないと考えるので。
2000(H12)年7月22日改正
土休日の快特が品川~金沢文庫間で12連運転を開始、この増結車両が金沢文庫から普通になって浦賀または新逗子に直通する形態になりました。
平日の夕方でも、下り快特で同様の形態の運行が行われています。
この他、羽田空港行快特の前を走る普通が設定になり、結果的に始発列車が繰り上げになっています。
2001(H13)年9月25日改正では、下りでも羽田空港→横浜方面直通運転が始まりました。
深夜になりますが、快特・特急1本ずつ。
2002(H14)年10月12日改正
日中においても、横浜方面~羽田空港間の直通運転が本格的に始まりました。
羽田空港~京急川崎間は特急、京急川崎~金沢文庫間は快特の後部に連結、その先は普通電車という形態です。
下りの場合は京急川崎駅の引き上げ線に渡り線を増設、先行してきた羽田空港発の列車が引き上げ線に入り、品川からの列車の到着を待って入線・連結というユニークな運行形態でした。
平日にも行われていますが、この時点では上りは全て新逗子発で、下りが浦賀行でした。
夜間には全区間特急の羽田空港始発直通も増発されています。
この他、日中は品川終着の快特の泉岳寺延伸も行われています。
2003(H15)年7月19日改正
前年設定の羽田空港直通の普通電車を、土休日のみ新逗子発着と半数を入替え、上りでも羽田空港直通が利用できるようになりました。
40分間隔という事になります。
以降羽田空港アクセス輸送を中心にダイヤ改正が毎年繰り返されていきますが、横須賀中央に関しては、パターンの変化はほとんどありませんでした。
2006(H18)年12月10日改正で、朝ラッシュ時の神奈川新町行特急の羽田空港・京急川崎延長が行われています。
2010(H22)年5月17日改正(10月21日修正)
京急蒲田駅上りが高架線になった事に伴う改正で、5月17日にすでに実施。
その後7月17日の京成線スカイアクセス開業に伴う修正を加え、この日は羽田空港国際線ターミナル駅開業により再度修正になりました。
この改正については№212・№221あたりで書いているので、そちらも見ていただければ。
横須賀中央目線で見ると、羽田空港直通が新逗子発着「エアポート急行」に移行した事で、普通電車→快特連結の直通は取り止め。
一方で朝方の京急川崎行特急が羽田空港まで延長されています。
快特が金沢八景に停車。
なお、7月17日修正の時点で、スカイアクセス経由成田空港行特急が設定されています。
その後東日本大震災に伴う節電ダイヤを経て、2011(H23)年9月23日にダイヤ変更(「改正」とはしていない)を実施。
退避駅の変更など、一部パターンが変わっています。
横須賀中央駅目線では、金沢文庫発着の特急の延長でラッシュ時の増発、土休日夕方の品川行快特の泉岳寺延伸、など。
2012(H24)年10月21日改正
そして、これがこの日曜日から使われている新ダイヤです。
エアポート急行10分間隔運転開始もあり、休日は快特の12連運転がなくなりました。
(土曜日は朝方に残る)
日中の普通電車は、ほぼ品川~浦賀間の運行に固定された感があります。
このダイヤで日中羽田空港へ向かうとしたら、快特に乗って、上大岡で退避するエアポート急行に乗り換えるのが現実的でラクかと思いますが、どうでしょう。
(京急蒲田まで乗って品川から来る快特に乗り換えると一番早いが、7分程度しか違わない。乗り換えは上下移動を伴うし、40分に1回は京急蒲田通過の「エアポート快特」だ)
なお、スカイアクセス経由成田空港行が増発されているのが目に付きます。
以上、横須賀中央駅の時刻表から、27年間の京急線の時刻表を、本当に簡単ですが振り返ってみました。
とはいえ横須賀中央駅目線だけでも、かなりのボリュームになってしまったかも知れません。
さて、京急蒲田駅の高架化も完成して、今後の京急のダイヤの方向性はどうなるのか?
現在本線及び関連する支線では、京急蒲田付近以外に連続立体化などの大規模な工事は行われていないし、その計画もありません。
また隣接する鉄道も、JR横須賀線は線形から強力なライバルになりえず、湘南新宿ラインも直接大きな影響は与えていないようです。
京急は、蒲田立体化工事開始の時点で既に「品川・横浜~羽田空港間10分間隔運転を目指す」と謳っており、今回の改正で実現を見た事になります。
さらにこれ以上、ダイヤ編成に影響を与えそうな沿線のビッグプロジェクトもありません。
従って、今回の改正ダイヤが当面の完成形といえ、京急線内に限れば、この先一部種別や停車駅の見直しなどはあっても、数年の間は大幅なパターンの変化は起こりえないと考えられます。
しばらくは需要を細かく観察しながら小規模な改正が繰り返されるのかと思いますが、横須賀中央(横須賀市)に関しては、対横浜・東京方面への輸送において絶対的な大動脈である事は疑いようがなく(先日の脱線事故でも改めて認識させられた)、地道な改善を積み重ねつつ、その地位を確保し続ける事が求められるかと思います。
横須賀市そのものの人口の減少が、特にラッシュ輸送にどう影響を与えるかは注意し続ける必要もあるかと思いますが。
一つだけ挙げるとすれば、「京急=高速運転」のイメージがありながら、朝ラッシュ時、特に対品川の所要時間の短縮が図れていない事。
横須賀中央から対横浜では1985年の通勤快特9本で平均38分→2012年の「B特急」10本で平均34.1分と大幅に短縮になっているのですが、対品川では1985年の61.5分→2012年は63.1分と、逆に増大しているのです。
(ちなみに日中の快特は、品川~横須賀中央間で1985年の45分→2012年は停車駅が2つ増えていながら44分)
増発や空港線直通開始など、理由は様々あるでしょうが、横浜でJRなど他の鉄道への流出が多い事を考えると、品川までの所要時間の短縮は、今後の課題の一つとなろうかと思われます。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
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