№808 私鉄の車両シリーズ107 京浜急行電鉄700形

「私鉄の車両シリーズ」、今回は京浜急行電鉄700形です。
 本当は水曜日あたりに取り上げる予定だったのですが、事故があったので先延ばしにさせて頂いていました。
 700形はバリバリの高速運転を繰り広げる京急の電車群の中にあっては、終始地味な存在に終始したようでした。
 限定的ながら、快特の運用もあったのですが…。

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 700形は、地上線専用の経済的な通勤車として、1967(S42)~1971(S46)年にかけて4連×21編成、合計84両が川崎車輛(川崎重工)及び東急車輛によって製作された。

 本線の普通電車のスピードアップと乗降時間の短縮をめざしたため、18m級ながら片開き4ドア車となった。
 開閉できる窓が片側4箇所ずつと少ない。
 Mc-T-T-Mcの組成で、客室面積の等分化と乗務員室のスペースの確保、粘着性能の向上を図るため、先頭の700形は18.5m、中間の770形は17.5mと全長を変えている。
 制御方式は1000形と同じだが、1C4M制御で、モーターの出力が150kwと大きい。
 Mc-T-Mcの3連で本来の性能を発揮するよう設計されていたが、終始4連で製造された。
 このため、3連を想定して形式が制定されたT車770形は番号が行き詰まり、12両は車号が形式より小さくなっている。

 運転台は、1次車709Fまでは高運転台式で正面窓が小さく、それまでの京急の車輛とは趣きが異なった表情になった。
 2次車711Fから通常の運転台になり、窓も拡大されている。


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 車内のロングシートは奥行きを詰め、床面積の拡大を図るなどラッシュ対策が盛り込まれている。
 そのため京急の電車としては、実用本位の簡素な雰囲気があった。
 換気装置は1000形のファンデリアから通常の扇風機になった。

 1975(S50)年より一時期、770形を1両抜いて3連として運用され、編成からはずされた770形は1000形に編入して運用された事もあった。
 5年程で元の4連に戻り、高速性能を生かして、ラッシュ時には特急や快特の増結車両としての運用が設定されるようになった。
 このため増結運用に入る編成から優先して冷房化改造が行われ、1988(S63)年までの8年間で全編成の冷房化が完了した。
 分散式冷房装置を3基ずつ搭載している。
 合わせて1次車の運転台が改造され、正面の形態が統一された。
 編成によって行先・種別幕の地の色が変更されたものがある。

 以降ラッシュ時のピーク時には700形のみで組成された12連の快特(通勤快特)の設定もあったが、他は急行・普通電車での運用が中心で、終始地味な存在と言えた。
 1997(H9)年より廃車が始まり、2003(H15)年には本線運用から撤退、晩年は大師線専用として運用された。
 2006(H18)年に全車両引退している。
 Mc車700形合計22両は高松琴平電気鉄道に譲渡、1200形として琴平線・長尾線で運用されている。


【編成】
←浦賀・京急川崎方     品川・小島新田
 Mc1 700* - Tu 770 - Ts 770 - *Mc2 770
* パンタグラフ u=「浦賀寄り」・s=「品川寄り」で、機能的な意味はない

 今回の記事は
「私鉄の車両18 京浜急行電鉄」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 【特集】京浜急行電鉄」(鉄道図書刊行会)等
を参考にさせて頂きました。


 ちなみに700形オンリーの12連運転は1978(S53)年に始まりましたが、この場合編成中の旅客ドア数が片側48となり、国鉄常磐線快速の103系で15連運転が始まる(確か1985(S60)年)までは最多記録でした。
 多少ノッペリした顔つきは賛否両論あったようでしたが、私は端正な部分も感じて悪いとは思っていなかったですけれどね。

 次回のこのシリーズは相鉄7000系の前期形、正面が切妻のタイプについて取り上げます。
 この正面スタイルを持つ相鉄車も、気付けば相当減ってきました。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 明日・明後日の更新はお休みします。
 実は30日(日)及び10月1日(月)の2日間で、九州(熊本・福岡)に行く予定です。
 しかしご存知の通り、台風17号が日本に接近しており、最悪の場合、30日には日本列島を直撃するかもしれません。
 30日の羽田空港7時50分出発・熊本行ソラシド11便が欠航にならない限りは行きますが、行けても、当日の熊本の好天は期待できなさそう…。
 その場合は熊本の市電に乗ってきます。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 東急東横線で東京メトロ10000系に続いて7000系(7016F)も営業運転に入り、実は先ほど、仕事帰りにたまたま乗ってきました。
 今日かららしいのですが、今日は08K運用に入っていて、通勤特急の菊名~横浜で乗車しました。
 車内は、天井吊り広告は他の東急車と同じ、窓上は全部東急関係(クレジットカードや旅行代理店など)、規格が違うため、プラスチック板に描いてはめ込んでいました。
 ドアの窓ガラスの注意喚起や「To Me CARD」はさすがにメトロのままでしたが、ドア上の千鳥状のLED表示は使用せず、横浜に近づくと女性車掌の肉声による放送が流れました。
 西武6000系(6052F)、東武9000系(9002F)の訓練運転も連日熱を帯びていて、半年後に迫った相互直通運転開始に向けて、ムードが盛り上がってきているようです。
 という事で明日・明後日の土日は駅も沿線も大勢の「鉄」たちが集まるでしょうが、くれぐれも事故を起こしたり、他の人に迷惑をかけたりしないように。

 この問題は場所だけでなく、お子様の面倒を見る「人」の問題も関わってくるから、思っている以上に難しいと考えます。
 自分の大事な子供を、訳のわからない人には任せられないでしょ?
《今日のニュースから》
保育所の待機児童 全国で2万4000人

№807 隠れたベストセラー B757

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 日本の航空会社は導入しなかったけれど、世界的にはベストセラー、という旅客機があります。
 ボーイング757(B757)も、その一つだと思います。
 B757はセミ・ワイドボディ機B767の兄弟機として開発されたナローボディ機。
 コクピットを共通化したことで、B767と同じ資格で操縦できるというのがウリ。
 1983(S58)年にアメリカのイースタン航空で初就航。
 その後2005(H17)年までの間、実に22年に渡って、合計1,049機が製造されました。
 ストレッチ形のB757-300も55機ありますが、大半は標準型のB757-200で、貨客混載型1機を含む914機が製造されました。
(なお、短尺型のB757-100も計画されたが、机上のプランに終わった)

 日本では空港事情からかもう少し大型のB767が好まれ、B757は導入されませんでした。
 外国のキャリアも日本線への導入は、比較的最近まで皆無でした。
 それでも1994(H6)年の関西空港開港以降、日本でもある程度見る事ができるようになっています。
 私がこれまで世界の各地で撮影してきたB757の写真を御覧頂きますが、昔の写真が多く、キャリアも大きく変わったり、なくなったりしてしまっている所が少なくありません。
 なのであえてコメント抜きでABC・アイウエオ順に並べ、ついでに撮影場所を記しておきます。

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LTU(ドイツ) : フランクフルト

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USエアウェイズ(アメリカ) : ロサンゼルス

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アエロメヒコ航空(メキシコ) : ロサンゼルス

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アメリカウエスト航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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アメリカン航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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エア・ホーランド(オランダ) : アムステルダム

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エア・ヨーロッパ・イタリー(イタリア) : チューリヒ

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エチオピア航空(エチオピア) : フランクフルト

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コンチネンタル航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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デルタ航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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トランザビア(オランダ) : アムステルダム

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トランスワールド航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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ナショナル航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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ノースウエスト航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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ブリティッシュ・エアウェイズ(イギリス) : チューリヒ

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ユナイテッド航空(アメリカ) : ロサンゼルス

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ロイヤル・ネパール航空(ネパール) : フランクフルト

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ワンツーゴー(タイ) : 成田空港

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遠東航空(台湾) : 台北・松山空港

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上海航空(中国) : 羽田空港

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中国西南航空(中国) : 名古屋空港(小牧)

 私のB757搭乗は今の所たった1回、1995(H7)年5月27日、ブリティッシュ・エアウェイズ706便、ロンドン(ヒースロー)→ウィーン線のみです。

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 機内はこんな感じ。

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 ウィーンに到着して降りようとしたらコクピットのドアが開いていて、パイロットにお願いしたら写真を撮らせてくれました。
「9.11」の6年も前、良い時代でした。

 B737の次世代タイプ、B737MAX開発の決定もあって、B757は7年前に製造が終了しました。
 既に21世紀に入ってから製造のペースが落ちていた事もあり、これから数年で数を急速に減らしていくでしょう。
 今後、搭乗する機会は…たぶん、無いかも。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 京急線は今朝7時過ぎ、ようやく運行を再開しました。
 今の時点ではダイヤも、元に戻っているようです。
 繰り返しになりますが、15年の間で2度、隣接した場所で同じような事故が繰り返されたとなると、抜本的な事故防止対策が求められる所です。

 東武鉄道が「展望車両634型『スカイツリートレイン』」を、10月27日(土)にデビューさせると発表しました。
 6050系2編成を改造したもので、写真も公開しています。
 天窓を設置した上で、窓に向いた座席やサロン等が設けられています。
 レイアウトは伊豆急「リゾート21」に近いですが、発想としてはJR九州の「海幸山幸」に近いでしょうか。
 11月までは東武トラベル主催の臨時列車、11月28日以降、臨時特急として走らせるとの事です。
 6050系は会津鬼怒川線開業に合わせて、快速用6000系の車体を乗せ変えた車両ですが、初期の車両は既に更新から四半世紀を越えており、走行システムも古いため、他の車両の行く末がどうなるか、注目される所です。

《今日のニュースから》
放射性廃棄物最終処分場 環境省 茨城県高萩市を提示

№806 山下達郎「OPUS ALL TIME BEST 1975-2012」 本日発売

 スミマセン、今日は残業もあって帰りが遅くなったので、乗り物とはほとんど関係ない事で、簡単にお茶を濁してしまいたいと思います。
 私が大好きなシンガー、山下達郎のベストアルバム「OPUS ALL TIME BEST 1975-2012」が本日発売になりました。
 ただのベスト盤じゃない、1975(S50)年の「SUGAR BABE」時代にまで遡って、実に37年に渡っての、その名の通り「オールタイム・ベスト」です。
 まだ買ってきたばかりで聞いていない(だって全部聞くと4時間越えるもん)ですが、これからじっくり鑑賞してみます。

 ちなみに最近は竹内まりやとか桑田佳祐とかが同じ企画をやって、この後はユーミンも同じような生涯に渡るベスト盤を出すようです。
 特に1980年代の「ニュー・ミュージック」と呼ばれるジャンルを引っ張ってきたトップランナー達も、デビューから30~40年経ち、60歳代に手が届くか届かないかという年齢になってきたので、この機会に自らのディスコグラフィーを振り返ってみよう、そんな思いもあるのだと思います。

 私が山下達郎のファンになった最初のきっかけは、何といっても「RIDE ON TIME」でした。
 1980(S55)年発表なのですが、「こんな斬新な歌を歌えるシンガーがいたのか!」と驚かされたものです。
 比較的最近の人だと、ANAを舞台にしたドラマの主題歌、という印象も持たれるかと思いますが、元々はCMソング。
 なんと、日立マクセルの、「カセットテープ」ですよ!
 当時はDVD・ブルーレイどころかCDすらなく、VTRもまだまだ高嶺の花、という時代でした。
 このCMには山下達郎自らも登場しています。
 達郎はこの「RIDE ON TIME」で大ブレイクし、一気にニュー・ミュージックのトップランナーの座に登り詰めるのです。

 当然いくら3枚組だからって収録できる曲には限りがある訳で、収録されている曲目のリストを見ると、ほんの少し、私の好きな方向とは違う部分も、それはもちろんあります。
 個人的には「僕の中の少年」や「Blow」、「NEVER GLOW OLD」あたりが入って欲しかったとも感じるし、「ON THE STREET CORNER」シリーズからもラインナップされたら良かった …彼の音楽人生を語る上で「一人アカペラ」は外せないだから… とも思います。
 しかし、CMソングや、映画・ドラマの主題歌が大半だから、言い換えれば私みたいなコアなファンでなくても、充分楽しめるはずです。
「○○○48」とかもいいけれど、たまにはこんなジャンルも聞いてみてはいかがでしょうか?
 若い人でも、「目からウロコ」だと思いますよ?
「RIDE ON TIME」を初めて聞いた、私のように。

「乗り物とほとんど関係ない」と最初に書いてしまいましたが、乗り物のCMソングも数曲入っています。
「高気圧ガール」「踊ろよ、フィッシュ」はANAの沖縄キャンペーン。
「高気圧ガール」は1983(S58)年の発表で、当時のANAは「モヒカンカラー」だったから、今の感覚だとピンと来ないかも知れません。
 もちろんそれは、単に達郎が凄かったという事。
(選から漏れた中では「飛遊人(ヒューマン)」もANAのCMソングだったが、同名の旅行商品のCMで、方向性が180度異なる)

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「クリスマス・イブ」はJR東海の東海道新幹線のCMソングですが、発表は同じく1983(S58)年。 
 最初からCMソングとして作られたわけではありません。
 30代位からの方だと「シンデレラ・エクスプレス」というキャンペーンを覚えておられるのではないでしょうか。
 発表からチャート1位まで6年6ヶ月は最長記録だったのだそうです。

 多彩なジャンルで曲作りをしてきた山下達郎ですが、終始一貫したテーマは何か。

『時代』という言葉に惑わされるなよ

という事なのだろうと、思っています。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 京急線は、今日も運行を再開できなかったですねー。
 何でも脱線した車両は、3両目(1919号車)の台車が車体から外れてしまっているとの事で、1・2両目もその可能性が高いという事。
 トンネルに突っ込んでしまって、クレーンとかが使えないからより困難な作業になっているのでしょう。
 横須賀市に通じる、鉄道の大動脈ですから、一刻も早い復旧が待たれます。
 昨日の京急の会見では「雨の降りが想定の範囲外だった」という事で、当時の横須賀市は100㎜の大雨だったそうですが、でも「想定の範囲外」という言葉、去年も散々聞いたような…。
 確かに昨日も少し書いた通り、この数年の、特に大雨は異常で、豊肥本線もまた不通になってしまったし、名松線や只見線も、未だに復旧の見通しが立っていません…というか、復旧させるのか?
 恐らくこれから先、大雨や強風などの異常気象は、規模を拡大しながら繰り返し起こるでしょう。
 どこまで「想定の範囲」にするのか、というのもまた難しい判断になるのですが、京急に限らず、鉄道に限らず、単独では難しいにしても、より強力な防災対策が求められ続けるでしょう。

《今日のニュースから》
大関日馬富士 第70代横綱に昇進