№770 バスマガジンvol.54(講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジン」54号が先月末発売されましたので、少々遅くなりましたがここで取り上げます。
 表紙は千葉中央バスの富士重工ボディ車。
 ひところは千葉駅前では当たり前のように見られたものです。

 冒頭では日野・いすゞ各車種、及び三菱ふそうエアロクィーン&エアロエースの新型のガイド。
 今回発表の新車種に関しては、どれも外観的には前の規制の車両と違いが認められず、判別はきわめて難しい。

◆ 関東地方における富士ボディの動向徹底レポート

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 富士重工のバス車体生産終了から10年という事で、関東地方の富士重車体車両の現状を、特にNOx・PM法の規制と絡めてレポートしています。
 新7EボディのRPが江ノ電バスの他は北海道中央バスしかない、というのはああそうか、と今更ながら気付かされました。
 多分上大岡駅と藤沢駅に行けば、割と良く見られるのでは?
 いくつかのターミナル駅で、富士重ボディ車がどの位見られるか?というレポートもありますが、横浜駅でいうと、横浜市営のCNGノンステップ車に限れば、あと4~5年程度は見られるのではないか?と考えられます。
 小湊鐵道には三菱ふそう・日野+富士重ボディ車両が多くて注目なのですが、こうなると一度どこかで小湊鐵道全体の特集もお願いしたいです。
 現状では「青春18きっぷ」を1日分使って北関東に行くのが、富士重ボディを数多く観察する早道なのでしょう。

◆ 西日本車体工業 歴代バスボディ徹底解説

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 その富士重に代わって全国区に躍り出た西工ボディも、その期間は長くはありませんでした。
 富士重も西工も、21世紀に入ってからのバス業界全体の変化(特に日デ→UDの経営)に翻弄されてしまった部分があまりにも多いと、今になって改めて思います。
 連載第7回は、路線車の最終形態の96MC(B及びE型)。
 車体そのものは同じでも、装備品に関しては年を追う毎に少しずつ変わっていって、車体そのもののマイナーな変化も含めて結構変わってきているんだと実感。
 本題と直接関係ないですが、前号では元事業者が明かされなかった十鉄の電車代替バスは、やはり阪急バスでした。
 ただ、さらにその前は神戸電鉄でしたか。 

◆ 東日本大震災の被災地で活躍するバスを追う 第2回
 今回は鉄道代替バスの現状ですが、合わせて鉄道の復旧計画も記されています。
 JRの、特に山田線と大船渡線は歴史も古いし、三陸鉄道と比較して規格も低いので、再建するのならものすごく莫大な費用がかかりそう。
 新しい街づくりも影響を与えるのだけれど、どの道お金をかけて直すのなら高規格の新線を建設して、ビジネスユースに向く(安定した収入を得るためにも)特急列車の設定をすべき、と思うのですが、どうでしょう?
 気仙沼線はBRT方式によって、今月には運行を再開するという事ですが、鉄道への再転換も考慮とはしていますけれど、緊急的には止むなしとしても、柳津という中間部での乗継は中途半端ではないか、という印象は否めません。 
 都営バスカラーの日デの県交通バスは、やはりいまだ違和感があるなあ。
 いずれ通常の県交通カラーになった時、復興が進んでいると実感できるのでしょう。
 鉄道と代替バスの路線図が記された地図でもあればもっと良かった。
 
◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.54 防長交通

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 山口県はJRバスや岩国・宇部の市営バスもあるものの、基本的に東部が防長交通、西部がサンデン交通とエリアの棲み分けが出来ているように見えるのですが、正直な所防長交通のエリアは、どこか今ひとつピンと来ないところがあります。
 山口・防府・周南(徳山がある市)・下松などのある程度有力な市がいずれも人口が10万人台で、サンデン交通における下関市(人口約27万人で山口県では最大)のような、核になる都市がないからでしょうか。
 運行エリアを見ると、もちろん多少は減っているはずだけれど、全体的には、案外路線網は維持できているかなと言う印象があります。
 カラーリングでは、旧塗装のうち赤系は防石鉄道という事だけれど、あれ、これが防長交通本来のカラーではなかったっけ?記憶違いでしたか?
「記憶違い」と言えば、この塗り分けパターンで、昔はさらに青系があった気がするのですが、あれはなんだったんだろう。
 車両面では近鉄との結びつきが強く、譲渡元が多様なサンデン交通とは好対照だと思います。
 基本的には塗り替えを行わないという事で、山口市営バスも譲渡から14年経った今でもそのままのカラーで走っていますが、このカラーの多さも、防長交通の印象を若干薄くしている要因かもしれない。
  
◆ さようなら、エアロキング第7弾 特別企画
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 「バスマガ調査隊が行く!!」シリーズの第2弾でもあり、女の子がJRバス各社の夜行高速用エアロキングをレポートしています。
 一方で高速ツアーバス問題とか、保安基準改正とかのシリアスな記事も並行して掲載されているのを見ると、何かチグハグな構成にも思えるのだけれど、「週刊現代」などを刊行する講談社らしい所か!?
 車内レイアウトを見ると、4列シートを採用しているのは、今は関東・西日本の「エコシリーズ」のみで、逆に独立した2列のハイグレードなシートを設置する車両が多くなってきているのが最近の特徴でしょうか。
 この辺、広大なキャビンを利用して細かくクラス設定を行う大型旅客機を連想させます。
 車両によってはそろそろ代替も考えなければならない時期が来ていると思いますが、どうするのだろう?
(昨今の円高ユーロ安もあり、欧州製の再導入が最も手っ取り早くて有力と考えている)
 
◆ 路線バス全方位レポートvol.54 奈良県
 奈良交通グループの独占に近いからか、今回もわずか2ページになりました。
 数少ない地元資本の路線バス事業者に吉野大峯ケーブル自動車があって、キャブオーバーバスが使用されていたという事でしたが、平成に入ってまで使われていた割には、ほとんど趣味誌には取り上げられませんでした。
 もったいないと言う感があり、今更見たり乗ったりは出来ないけれど、何かの機会に振り返る事は出来ないでしょうか。

 その他、「保安基準改正」の要点を記した記事では、主にシートベルトについて記されています。
 一般路線バスでシートベルトをつけた例は過去にもあり、横浜市営バスではかつての95系統(第三京浜経由)専用車には全座席に設けられていました。
 昔はフロントに「ワンマン」の表示があったり、ドア部には「自動扉」と表記する事が義務だったりしていたのですが、年を追う毎に、システム的な改善に重点が移りつつあるようです。
(ワンマンバスがもはや当然だからだろう)

 スカイツリータウン関係の路線の記事はなかったですね。ゴメンナサイ。
 京王バス(東・南)と千葉中央バスが新宿~土気の高速バスを明後日から運行、一部の便はスカイツリータウン前を経由するという事です。
 千葉中央バスにはかつて、貸切格下げと思われる富士重ボディの高速車もありました。
 スカイツリー開業があと10年早かったら、富士重ボディの高速車が見られたかも。

 次号は「ネオクラシックバス」。
 そろそろモノコック車も、年貢の納め時でしょうか?
 
 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 明日・明後日はお休みです。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 昨日東北道で事故を起こしたツアーバスの運行会社に警察の捜索の手が入ったと、先ほど速報がありましたが、この手の事故はアメリカでも後を絶たないようです。
 日本時間の今朝、イリノイ州でダブルデッカーバスが橋の橋脚に衝突、1人が死亡、30人程度が怪我をしたという事です。
 このバスは「Megabus」と言ってアメリカでは結構大手、インターネットでの購入では1$から乗れるが、一方で2年前にも4人死亡の事故を起こしており、NSTBに寄れば事故率がグレイハウンドの7倍に上るそうです。
 アメリカでは5月にNSTBによる特別の査察が入り、26のバス会社を運行停止にさせたとは、以前にも少し書きました。
 それでもやっぱり事故を完全に根絶、とはいかないですかね。
 国土がとにかく広いし、州によって決まり事が違ったり、当然それを踏まえてバスの運行形態も日本とはかなり違うだろうから単純には比較できないけれど、この手の格安バスは、どの国でも利用にはかなりのリスクが伴うようでもあります。
 ネットで調べてみた感触では、日本人の利用もかなりあるようです。
 日本国内と同様、単純に安さに飛びつかず、一度安全性を疑ってかかった方が良いのかもしれません。

 行列の前には、真夏の餅つき。
《今日のニュースから》
那須与一の武者行列 栃木県大田原市で開催