№715 クローズアップ現代「検証 高速ツアーバス事故」

 先月29日の関越自動車道における高速ツアーバス事故にについて、昨日・5月7日放送のNHK総合「クローズアップ現代」で取り上げられました。
 多少急に決まった企画だったようで、翌日(今日)放送予定だった海洋発電(ちなみにこれも、先日のつくばの竜巻に変わったようだ)と違い、はっきりした内容が放送当日まで公表されていませんでした。
 
 最初に、放送された内容を簡略化した上で、その要旨を記してみます。

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 先月29日、関越自動車道で、高速ツアーバスの衝突事故が起きた。原因は運転手の居眠りだった。7人の命が奪われ、39人が重軽傷を負った。バスを運転していたのは、法律では禁止されている日雇いドライバー、安全教育や健康管理は行われていなかった。
 急成長を遂げた、高速バス業界。激しい価格競争の中で、低賃金で雇える日雇いのドライバーが横行、夜間も一人での運転が常態化していた。
 国は、業界の実態に問題がある事を知りつつも、根本的な対策を打てていなかった。
 なぜ、高速ツアーバスの事故は繰り返されたのか、その原因に迫る。


キャスター国谷裕子:眠気をこらえながら乗客を乗せて、ハンドルを握る高速バスのドライバーは、どれだけいるのだろうか?夜間の長距離運転にもかかわらず、仮眠も交代のドライバーもなし。乗客7人がなくなったバスを運転していた容疑者は、「疲れていて居眠りをしてしまった」と供述している。高速バスを走らせるバス会社は、一回毎の依頼である「日雇い」のドライバーは法律上禁止されているが、容疑者はバス会社に日雇いで雇われていた。そして、事故後行われた特別監査で、バス会社には他に30以上の法令違反があった事も明らかになっている。2000年の規制緩和以降、貸切バス業者が急激に増え、夜間長距離を走る高速バスが急成長した。競争激化で、バス料金の価格低下が進む中、利用者数はH17年21万人→H22年600万人へと急増した。 こうした中、人件費が削られ、ドライバーが厳しい勤務状況で働いていて、安全がおろそかにされているのではないか、高速バスの監督強化を求める声が高まっている。
 過酷な価格競争が進んだ中で、国は充分な監督・取締りを行う事が出来なかった。
 まず、なぜバス会社が日雇いドライバーを雇うのか、業界の実態に迫る。


 事故を起こした「陸援隊」が昨日(5月6日)、記者会見を行った。
 事故の原因は運転手の居眠りとしたバス会社だったが、事故の後の国の特別監査で、36項目の法令違反を指摘され、日雇い運転手を使っていた事も明らかになった。
 金沢→千葉間の545㎞、日雇いのドライバーは夜間、交代要員もなく、初めてのルートを一人で運転していた。
 この容疑者は、7人が死亡する事故を起こした。警察の調べに対して、「夜一人で運転するのは不安だった。疲れていて、居眠りをした」と供述している。
「陸援隊」は容疑者を1日1万円の日雇いで運転させていたが、日雇いは会社がドライバーの勤務状態や健康を管理できず危険なため、法律で禁止されている。



記者取材:バス会社は、違法な日雇いドライバーをなぜ使うのか?6台のバスを保有するバス会社を取材した。この会社の正社員は一人だけで、社長自らが電話番をする。付き合いのある10人程の運転士を、その都度日雇いで雇用している。当初は正社員の運転手5人を雇っていたが、収益の悪化で3年前に全員解雇、その後は日雇いに頼っている。

(社長)「常備雇うのはよほどの売り上げがないと無理。従業員の経費をかけないようにするにはどうするか、になってしまう」

 その背景には厳しい価格競争がある。H10年度に2,100社あまりだったバス会社は、H12年の規制緩和以降急増、H22年度には4,500社近くと、2倍に増えた。価格をギリギリまで下げようとする高速ツアーバス業界は、安全よりもコスト削減を優先させ、長距離を一人に任せたり、日雇いに頼ったりする会社が後を立たないと言われている。

(社長)「仕事量を増やすには価格を下げるしかない。うちが安全を守れない。今回の関越の事故については、はっきり言って他人事ではない。明日は我が身と絶えず考えている」

 日雇いドライバーの実態を、毎週日雇いでツアーを請け負っている男性に話を聞く事が出来た。月曜日から金曜日はフルタイムで送迎バスの運転をしている。平日昼12時~夜10時まで毎日仕事し、金曜日の仕事が終わるとすぐに、夜行バスの日雇いドライバーとして大阪を出発、東京に土曜日の朝に着き、仮眠の後その日の夜に東京を出発、日曜日の朝大阪に戻る過酷なスケジュールだ。

(男性)「ただ来てくれてその仕事をこなしてくれると、それでOK。本職が何かなんて全然関知しない。実際体調が悪かった時など居眠り運転はしていた。身内にはどんな事があっても夜行バスは乗るなと良く言っていた」


 今回の事故の背景には、ツアーバスの仕事が丸投げされていく業界の仕組みにも問題があった事も解ってきた。ツアーを企画した大阪の旅行会社と「陸援隊」との間には、仲介業者Aと、バス会社Bが介在していた。旅行会社は17万円で手配したが、A社とB社が1万円の手数料を取り、「陸援隊」には15万円。安全にかけるコストが、さらに削られていた。
 仲介業者Aは、最終的に「陸援隊」に仕事が廻った事は出発直前まで知らなかったと説明、責任の所在があいまいになっていた事が解った。

(仲介業者A)「3~4日前に解っていたら大丈夫なの?ぐらいは聞くけれど、私もB社のバスが走ると思っているから。ところが「陸援隊」に仕事が流れちゃったでしょ?私もそれは解らないの」

 年間の利用者が600万人にも上る高速ツアーバス。熾烈な競争の中で、安全管理がおろそかな実情が明らかになった。しかし事故後も、乗場は大勢の利用者で賑わっている。



国谷:事故は起こるべくして起きたという状況ではないか?
安部誠治(関西大学教授):5年前に吹田でスキーのツアーバスが大きな事故を起こしたが、現状は当時よりもっと悪くなっているように思う。一つは、5年前にはいたとしてもそれ程目立たなかった日雇いドライバーが、かなり目立っている。夜行ツアーバスは夜間の運転なので、過労防止のためには月単位のドライバーの状態を観る事が必要なのだが、日雇いでは月単位では見る事が出来ない。安全管理の面で非常に由々しき事態になる。
国谷:正社員でないと管理は難しいのではないか?
安部:他にも飲酒運転の防止も大事なのだが、普通のバス会社で行われているチェックも、日雇いではどこまで出来るのか?という問題がある。
国谷:旅行会社が仲介業者・バス業者、さらに運転していたのはその下のバス会社だった…。
安部:今回は途中に2社入っている。昔はこんなに「中抜き」なんてなかったのに、ビックリしている。これをやると実際に運行するバス会社の収入はどんどん少なくなる。経営が苦しくなり、どこを削るのかという事になる。一つは日雇いドライバーの多用につながり、もう一つは、バス車両の更新もままならなくなる。実際過去にはバスの火災事故も起きていた。
国谷:しかし利用者は急増、その原動力は低価格…。本来の適正価格は?
安部:難しいが、規制緩和前の東京~大阪の夜行路線バスは8,000円程度だった。今は半値以下になっている。燃料費が上がっているのに半値以下とは、やはりどこかに無理があるはずだ。今の3,500~4,000円という値段は、安全のコストを見込んでいない。

国谷:現在の夜行バスは、かなりの距離を一人で運転していていても違法ではない。国の安全基準のあり方が問われている。


7台のバスを所有する大阪のバス会社では、ギリギリの採算ラインの中で、長距離夜行バスでは、ドライバー2名の体制を取っている。週2回東京~大阪間を往復するドライバーの便に同乗させてもらった。夜の9時に出庫。600㎞弱の距離を、2名で交代しながら運行する。このドライバーは、睡眠時間を充分取っても、夜の運転は眠気を感じる事があるという。

(ドライバー)「眠気がきた時は、目が開いていても脳が寝ている。危険を感じた時はいつも交代してもらっている」

 深夜2時30分、SAに着くと車内で仮眠を取る。その間はもう一人のドライバーが運転する。3時間後、ドライバーは再び運転を始めた。新宿に着いたのは、渋滞の影響もあって予定より遅れて午前9時、12時間の行程となった。このドライバーは、300㎞以上の安全運行には、ドライバーが2名必要だという。

(ドライバー)「仮眠が取れる取れないが一番大きい事だと思うので、一人の運転は考えづらい」

 労働組合では、そもそも夜行バスは距離に関係なく、一人の運転では無理だと、国に規制を求めている。
 国は一度、バスの安全に関するルール作りを迫られた事があった。5年前、吹田市で居眠り運転による死亡事故が発生、高速ツアーバスの安全性を疑問視する世論が高まった。国土交通省は検討会による議論を続けてきた。検討会のメンバー(委員)である元ドライバーは、価格競争は行き過ぎと主張、夜行バスの運転手は2名で行う事を義務化すべきだと訴えてきた。

(委員)「夜行バスの運転は顔に脂汗が出る位疲労が出るというのが現実。それは机上の議論では解らない。その事は他の人にも解って欲しかった」

 ところが検討会では、市場を守る事や、業界内部の調整に追われ、安全に関する議論は深まらなかった。

(業界団体)「高速ツアーバスはコンプライアンスの品質にも問題があった。しかし市場が大きいので、小事故や法令違反で市場を壊せない」
(旅行会社)「法律にのっとって事業をしているのだから、悪質という事はありえない。問題点を解決しつつ、需要の拡大を図るべき」

 今回の事故の1ヶ月前にまとまった報告書には、ドライバーが置かれた厳しい実態への対策は打ち出されなかった。国土交通省は、バス会社への監査を強化する事で、悪質な業者を排除して安全を守る、としていた。
 しかしこの監査も、充分機能していない事が解った。
 監査で数ヶ月の営業停止処分を受けた会社では、社長がドライバーに違法な長時間労働をさせていた。

(社長)「その頃は請け負った仕事はこなさなければならない。なのでやった」

 処分後会社は一旦運転時間を見直したものの、すぐに元に戻した。監査はめったに行われないので、実態が発覚する事はないという。

(社長)「会社が多くて手が廻らないのが実情。監査の指摘は、多分どの会社も守れていないだろう」

 激しい価格競争が続く高速バス業界。国の対策が進まない中、事故は繰り返された。

(国土交通省自動車局安全政策課長)「この事故をきっかけに今月中には新たに検討会を立ち上げ、過労運転防止のために新しい施策を提案したい」



国谷:安全対策は待ったなしだが、現在国土交通省が打ち出している主な安全対策は、1.監査・行政処分の強化2.バス会社の安全性を認定して公表3.旅行会社に運行の責任を持たせる、とあるが、監査は機能するのか?
安部:監査に期待するのは無理だ。国土交通省300人体制でツアーバス会社に加えて路線バス会社、タクシー会社、トラック会社全部はとても見切れない。認定制度についても、新規参入のバス会社は許可を受けているのだから「認定優良バス会社」などと二重基準を設けるのではなく、指導・監督を強化して適正化させる事がより重要。旅行会社に一定の責任を持たせるのは意味があるだろう。
国谷:一番気になるのは、一人のドライバーに夜間、どの程度まで運転させる事を認めるのか…。
安部:今は670㎞だが、2年前の総務省の行政監察でも、国土交通省に再点検するよう指摘している。大阪のある大手バス会社では、380㎞を越えると2名にしていて、200㎞で2名乗務している所もある。今の670㎞は余りに緩すぎる。かなり厳しいものに変えていく必要がある。
国谷:そうなると、立ち行かなくなる業者も出てくるのでは…?
安部:安全が一番大事だから、労働条件やコンプライアンスを確保して、それで経営が成り立たないバス会社が出てきても、それは仕方がない。
国谷:体力のないバス会社は、なかなか参入できなくなる…?
安部:監査が機能しないのだから、入口の部分で質的にハードルを高くして、バス会社を選んでやるというのが一つの方法だ。貸切バス業界は混沌としている。構造改革を今やるしかない。

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 ちなみに、JRバス〈ドリーム号〉の東京駅~大阪駅は、一番スタンダードなタイプで7,200円~8,600円。
 ウィラー・エクスプレスは自社のWebサイト上で、「500㎞を越える路線はドライバーを2名乗務させている」としていました。
 路線バススタイルの高速バス事業者の中で、今回の事故を一番敏感に捉えたと思えたのは国際興業グループで、国際興業本体では、Webサイトのブログ上で自社の夜行バスの運行体制について詳細に記している上、岩手県交通・十和田観光電鉄・秋北バスでも全て「夜行バスは2名乗務」と記していました。
 ではこの番組の内容を踏まえて、私が今回私なりに感じた事、思った事、考えた事を、多少直感的ではありますが、記してみようと思います。

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 まず入口の部分で、この番組においては「高速バス」の定義があいまいに思えた。見ている視聴者にはJRハイウェイバスや〈ムーンライト〉〈ノクターン〉などの路線バススタイルの高速バスと、今回事故を起こしたバスなどの「ツアーバス」が混同されてしまうのではないか。「高速バス」「高速ツアーバス」「夜行バス」などかなりごっちゃになっているように聞こえる。

 ここでは全体的に2点に絞って指摘を行っていた。「日雇いドライバー」と「ドライバーの人数」について。

 驚かされたのが、「日雇いドライバー」の横行で、なんだかトラックみたいな扱いだ。いや、トラックでも大手はここまでは行かないか?(トラックの業界の事は解らないからなんともいえないが)私がイメージしてきたバスなどの交通の運行管理とは全然違う。私はさすがに一晩だけで大事故を引き起こす程の疲労にはならないだろうと思っていたのだが(甘いか?)、会社の説明では3日間休みを与えていたという。一応それを信じるとしても、その3日間にドライバーが何をしていたのかは把握できない訳で、送迎バスと掛け持ちだというドライバーの証言を聞くと、この事故を起こしたドライバーも疲労を蓄積させるような別の業務を、会社が知らない所でやっていたのかもしれない(今日の新聞報道によれば、3日の休暇の間、自らが保有するバス車両の修理を行っていたという)。
 また予想通り責任の所在が旅行会社とバス会社、どこにあるのかがあいまいになっていたが、加えて中間に2社入っていて、予約・販売から実運行まで原則1社の路線バススタイルと比べて杜撰だと思う。
 現行のツアーバスに関しては、発注する旅行会社の責任が最も大きいと思う。貸切バス会社の認定制度の事はとりあえずおくとしても、実際のバスの運行はどの会社になるのかという程度の事は、事前に公表しておく位はするべきではないか。

 一方夜行運転のドライバーの数については正直な所、単に1人でいいのか2名必要か?という議論はピントが合っていなかったと思う。正規路線バススタイルでも夜行完全ワンマン運転を行っている所はある。しかし距離が短かったり、運行途中の休憩時間をかなり取ったり、特にJR関東では途中の営業所で交代させたりしている路線もある。一方で2名乗せていたとしても、旅客機のように並んでコクピットにつき、相互にチェックしながら飛行させる訳ではなく、運転は必ず1名だ。その1名が何らかの体調不良を起こしていれば、事故につながる事になる。モラルの問題もある。だから単純な数合わせの問題ではなく、もっと根本の労働条件や職場の雰囲気などの問題から考えなければならない。
 しかしこれは当然、ツアーバスのみならず、既存の路線バススタイルの高速バスにも大きな影響を与えるだろう。

 その意味で、労働組合の役割は重要なはずだ。実際番組内でも出てきて、国土交通省の対応を批判する声も出てきた。ただし過去の労働運動は本来真っ先にやるべき雇用の確保や労働条件・権利の維持・向上ではなく、これらを政治的闘争の単なる橋頭堡としか考えてこなかった部分が大きく、それが世論のニーズとの乖離を招いた部分が否めず、これが「ブラック」な業者の台頭を招いた部分もないとは言えないと思う。今度は純粋に、本来の役割に戻ってドライバーのためにやって欲しい。

 関連して、2000(H12)年の規制緩和自体が誤りだった、零細事業者は全面排除せよという声が、恐らく(特に組合側から)出てくるだろうと思う。ただし、なぜその方向に行ってしまったのかは考える必要がある。バスに限らず、昨今のLCC全盛の航空もそうだが、既存の事業者の営業政策(横並びの運賃・サービス等)に対する利用者の不満が規制緩和を後押しした面を忘れてはならない。低運賃のツアーバスはもはや路線バススタイルと同等の地位を得てしまった。今後路線バススタイルとツアーバスの一本化による「新高速バス」への移行も行われる。分け隔てなく色々な面で向上を図るべきだろう。

 同時に利用者の側も、「なぜこれ程安くなるのか?」と、少しばかり疑問も持ってみるべきだろう。LCCもそうなのだけれど、安さの真の理由を追求する報道が余りない事もあり、「これが当たり前の運賃なんだ」と思ってしまうかも知れない。ネット時代というのもあるかも知れないが…。
 監査に大きな期待を寄せるのは無理というのは同感。300人では少なすぎるし、100倍にしても少ないだろう。前述のように、そもそも監督官庁の規制に異議を唱えてきたのは事業者の側であり、それを支持してきたのは利用者の側だった。事が起きてから「何やっているんだ!」と怒るのは、虫の良い話ではないか?
 そうなると利用者代表である消費者団体ももう少し業界の実情に関心を持って欲しいし、それ以上に、何度も繰り返しになるがジャーナリズムの責任も大きい。これも前にも書いたが、大惨事の種がすぐ目の前に見えているのに無視されてしまって、事が起きてから大騒ぎという事が多すぎる。今回の関越の事故もそう。ウケ狙いではなく、もっとまともな報道をやって欲しい。

以上、例によってダラダラ書いてしまったが、まとめると
1.旅行会社は、発注した運行の全体に、連帯して責任を負う事。中間に業者を入れない。
2.バス会社はまず「日雇い」とキッパリ手を切り、正社員ドライバーの労働条件の向上に取り組む事。コンプライアンスの自主的な遵守。
3.国土交通省は、新規参入希望の時点で事業者の「体力」を厳しくチェックする事。「零細」の排除はある程度やむをえない。
4.労働組合は、邪な政治的思想を捨て、垣根を越えて純粋にドライバーなどの労働条件の向上に尽力する事。
5.利用者は、漫然と広告に惑わされて安さに飛びつくのではなく、その理由を考える事。そのためには消費者団体やジャーナリズムの常日頃からの調査や啓蒙も欠かせない。

 残念ながらツアーバスのみならず、バスの事故は形態に関わらず少なくない。バスに限らないが、全ての人々が立場を越えて、事故防止のために尽くすべきだろう。

 大惨事というものは、直接の原因は一つでも、その背景をたどれば、間違いなく複数の原因が絡み合っています。
 先に少し書いた中華航空機の墜落事故もそうだし、JR福知山線事故も、日航ジャンボ機墜落事故も、福島第一原発事故だってそうです。
 今回の関越の事故も、直接の原因はドライバーの居眠りだったけれど、背景には異常な価格競争や、バスの経営者や旅行会社の体質、監督官庁の監督のあり方など複数の遠因が複雑に絡み合っていました。
 その意味で今回の番組は、30分弱という短い時間だったから仕方がないかも知れないが、通り一遍等の結論で終わってしまっていて、少々物足りなかったと思います。

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 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 今日というより5日の事になりますが、北海道電力泊原子力発電所の3号機が停止し、これを持って国内の原子力発電所は全て停止しました。
 関連して東京では大規模な原発反対集会・デモが行われ、その模様は海外のメディアでも関心を持って報道されました。
 せっかくの子供のお祝いの祝日が、何たる事かとも思います。
 さて、これで問題になるのはこの夏の「節電」です。
 特に今年は関西地方も大幅な節電が避けられなくなる見込みで、昨年の関東同様、どうやら関西でも鉄道の間引き運転が行われる事になりそうです。
 近鉄は既に3月20日改正で、定期ダイヤにおいて昨年比約10%減となる減量ダイヤとなりましたが、さらに間引きを強いられるのか。
 また他の大手私鉄や地下鉄などはどうなるのか。
 阪神なんて、夏の甲子園(高校野球)の輸送はどうなるのでしょうかねぇ。
 もちろん関東地方も去年同様、節電ダイヤは避けられないでしょう。
 ちなみに昨年の場合、JR東日本は6月16日に内容を発表、24日から始めています。
 他の主要な私鉄や地下鉄もほぼ同じでした。
 去年も書いたように、少なくとも定期ダイヤとバリアフリーは震災前と同レベルを確保しなければならないと思います。
 電力不足自体はどうにもならないでしょうが(逆に言うと、これ以上の電力供給レベルの低下もない、はず)、何とか公共交通の犠牲は最小限に抑えるべきです。

《今日のニュースから》
小沢一郎代表の資格停止 民主党常任理事会が解除決定