№727 私鉄の車両シリーズ105 小田急電鉄9000形

「私鉄の車両シリーズ」、今日は小田急の9000形です。
 営団地下鉄千代田線との相互直通用に製作された通勤型で、特に前面スタイルは、後の通勤電車に大きな影響を与えました。

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 9000形は、営団地下鉄(現東京メトロ)千代田線との相互直通運転用として1971(S46)年より製作された通勤車で、1973(S48)に鉄道友の会ローレル賞を受賞している。

 5000形と同じく20m4ドア車体であるが、一段下降窓を採用し、近代的な見付となった。
 前面は額縁スタイルとして貫通扉の左右の窓を天井部分まで延長して大型化、前照灯・尾灯を窓下に配置して、当時としては斬新なデザインとなった。
 車体幅は直通規格に合わせて、5000形より40㎜狭く、2,870㎜としている。

 制御システムは地下鉄直通を考慮し、小田急初の界磁チョッパ制御を採用、ブレーキ装置はHSC-DRで、75㎞/h以下では回生制動、それ以上では発電制動を選択するシステムにしている。
 急勾配が多い千代田線内の走行を考慮し、4M2T+4Mの10連とし、M車の比率が高い構成になった。
 モーターの出力は110kwとしている(5000形は135kw)。


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 車内は一般的なロングシートだが、5000形と比較して寸法の見直しを行っている。
 当初から冷房を採用、1両あたり5器の分散式冷房装置を搭載し、扇風機に代えてラインフローファンで冷房効果を高めている。

 1・2次車では4連を10編成、1973(S48)年からの3・4次車では6連を8本製作。
 後に運用本数の決定により4連の1本にサハ2両を挿入して6連化、6連+4連×9編成、合計90両が日本車輛・川崎重工・東急車輛によって製作されて出揃い、1978(S53)年より待望の相互直通運転が開始された。
 当時は平日の朝夕ラッシュ時のみ本厚木~代々木上原~綾瀬の準急で運用、他に多系列との併結で本線の急行などにも運用され、箱根登山線への直通運用もあった。

 千代田線直通運用はVVVF制御のステンレス車1000形デビューにより1990(H2)年3月には終了、以降は本線運用に専念する事となった。
 4連については全M編成である事から高加減速性能を生かす形で、2本を組み合わせて実質8連で各駅停車の運用につく事が多くなった。
 このため先頭に出る事がなくなった先頭車6両は2000(H12)年より運転台機器を撤去、実質的な8両固定編成として運用される事になった。
 車内の更新工事は1988(S63)~1995(H7)年にかけて順次実施、末期には全車両のシングルアームパンタへの交換が行われた。
 なお小田急の20m級通勤車で先頭車がM車、かつパンタグラフも搭載しているのは、今の所9000形が唯一である。

 保守に手間がかかることもあって廃車は5000形より先になり、新3000形の増備によって2005(H17)年には大量74両の廃車が発生、残りの16両も2006(H18)年3月のダイヤ改正で定期運用を失った。
 5月にさよなら運転を行い、全面廃止となっている。
 現在、9001号1両が喜多見電車基地で保管されている。


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 その「さよなら運転」のチラシです。

【編成】
←新宿・片瀬江ノ島     小田原・藤沢
Mc1 9000 - M2 9000* - M1 9000 - *Mc2 9050
Mc1 9000* - M2 9000* - T19050 - T2 9050 - *M1 9000 - *Mc2 9050
* パンタグラフ

 今回の記事は
「私鉄の車両2 小田急電鉄」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1991年7月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年12月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2010年1月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「小田急電鉄完全データ DVDBOOK」(メディアックス)
小田急電鉄公式Webサイト「小田急バーチャル鉄道博物館」 等
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは、東急の東横線や大井町線に配置が進む、8000系について書きます。
 界磁チョッパ制御やワンハンドルマスコンなど、数多くの新機軸が取り入れられました。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
「名張毒ぶどう酒事件」 名古屋高等裁判所 再審請求を棄却

№726 バスで行くバス 32.亀の湯(神奈川県横須賀市)

 今回の「バスで行くバス」は、初めて横須賀市の銭湯を取り上げてみたいと思います。
 今回紹介する「亀の湯」さんは、交通の便自体は極めて良好ですが、緑が多い谷戸の中の閑静な住宅地の中にあり、ほとんど手が加えられていない、クラシックなスタイルを未だに残しています。
「やっぱり銭湯は番台式だよね~」とばかりに、昔ながらのスタイルの銭湯を好む向きには、穴場ではないでしょうか。

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(訪問日:2012年5月14日)

<アクセス>

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 最寄り駅は京急線汐入
 特急停車駅だが、日中は普通電車のみ。
 駅前の道を反対側へ渡って左手へ(両側がアーケードになっている)。

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 アーケードの終端に信号がある。ここを右に入る。

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 しばらく行くと左手に長光寺がある。
 このカーブの先で、目の前に煙突が見えてくるだろう。
 駅から10分弱。
 
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 バスの場合、池上十字路・湘南国際村・西来寺・鶴ヶ丘方向から来る場合は、汐入駅の1つ手前の汐入4丁目下車。
 停車するのは〔須10〕〔汐10〕〔衣19〕(横須賀駅・安浦二丁目・汐入駅~池上十字路~衣笠駅)、〔汐16〕(汐入駅~湘南国際村センター)、〔須20〕〔須21〕(横須賀駅~西来寺〔循環〕)など。
 バス停は子之神社の前にある。
(ちなみに汐入からの商店街もこの神社にちなんでか、「汐入子之神通り」という)
 進行方向を直進すると先の信号に出るから左折。

 なお汐入駅を経由せずに国道16号線を走る路線の場合は、16号線沿いの「汐留」停留所を利用する。
 追浜・田浦の方から来た場合、また観音崎、長井、三崎口方面へ行く場合は、交差点上にある×字状の歩道橋を利用。
 京急線の汐入駅前の高架線をくぐる。
 JRの横須賀駅からだと、徒歩で15分位か。

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<営業時間・休業日>
 16:00~22:00と短い。
 金曜日が休みで、軒先にも次の休みが表示される。

<脱衣場>
 昔ながらの番台。扉を入ってから靴箱があるのが珍しいかも。
 扉の上の壁などの意匠が見所かもしれない。
 ロッカーは8つと少なく、馴染みの客が利用するのか籠が棚に並んでいる。
 秤式の体重計と、ぶら下がり健康器(!)あり。
 コーヒー牛乳はタカナシで120円。

<浴場>
 昔ながらの湯屋建築だが、相当小ぢんまりしている。
 カランが14(うちシャワー付8)。
 壁画は富士山だが、一般的な海ではなく、川が流れる里山の背景として描かれている。
 昔は下部に広告も書かれていたようだ。
 銭湯としては、必要最小限という所だろう。

 ここはひょっとしたら、蝉時雨真っ只中の真夏に行くと、結構趣きを感じるかも知れません。
 住宅地ですが木々が多く、自然が豊かですから。

 全くの偶然ですが、4回連続で京急線の沿線という事になりました。
 歴史が古い路線で、元々住民の多い地域を走っているからでしょうか。
 
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《今日見た・聞いた・思った事》
 京王線の調布付近の地下線化工事が大詰めを迎え、切り替えが近づいてきました。
 京王電鉄よりプレスリリースがあり、8月19日(日)の10時頃まで、京王線・八幡山~府中(7時~10時頃は、つつじヶ丘~飛田給)、相模原線の調布~京王稲田堤、及び8時頃までは競馬場線も運休という、かなり大規模な切り替え工事になる模様です。
 それにしてもこの地下線化工事は、京王線・相模原線の上下分離もあるため相当大規模なのですが、意外に早く工事が進んで切り替えになるという印象があります。
 小田急の下北沢の工事が遅れに遅れている事もあるでしょうか。
 地下化される3駅は皆、ホームドアが採用されるとの事です。
 またこの後にはダイヤ改正も予定されているとの事(7月頃発表)ですが、調布の配線の変更で、相当大規模なものになると予想されます。

 最終的な開催地の決定は、来年9月のIOC総会。
 それまでの間、前回(2016年)と同様、招致アピールのラッピングの都営バスや旅客機が見られたりするのでしょうか。
《今日のニュースから》
2020年オリンピック書類審査 東京・イスタンブール・マドリードが通過

№725 PDG-LR(KR)234J2とSDG-LR(KR)290J1の見分け方

 今回は超マニアックな話題で申し訳ありません。
 J-BUSグループのいすゞ「エルガミオ」と、統合モデルである日野「レインボーⅡ」は昨今のバス事業者ではポピュラーな中型バスで、三菱ふそうで一時純正中型車のラインナップが途絶えていた事もあって、これまでいすゞや日野の導入がなかった事業者でも見られるケースが増えてきています。
 さて「エルガミオ」「レインボーⅡ」は昨年、ポスト新長期規制(H22年規制)適合モデルに以降、形式が

「PDG-LR234J2」(レインボーⅡはKR)
  ↓
「SDG-LR(KR)290J1」

と形式が変更になりました。
 小排気量エンジンへの置き換えが最大の変更点です。
 さて外見は…というと、排出ガスの後処理をアドブルーに頼らない(つまりエルガ・ブルーリボンⅡやエアロスターのような供給孔のフタがない)事もあって、見分けるのが非常に難しい。
 そんな中で、極めて小さいのですが、1箇所だけ見分けるポイントがありますので、ここで紹介してみたいと思います。
 神奈川中央交通のエルガミオ・ワンステップ車で比較してみます。

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 まず先代モデル、PDG-LR234J2です。
 戸塚〔営〕に配置されている「と62」号車で、主に〔戸90〕(戸塚駅西口~鳥が丘〔循環〕)や〔戸93〕(戸塚バスセンター~戸塚台〔循環〕)の系統で運用されているようです。

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 公式側エンジンルームのフタです。
 エルガミオではPDG-規制(H17年規制)からエンジンルームのフタにメッシュが設けられました。
 このメッシュがPDG-規制では31段あり、右側のバンパーの上辺より下側まで広がって、赤と黄色の塗り分け部分まで近づいています。

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 一方、新モデルのSDG-LR290J1です。
 今年になって横浜神奈交バス舞岡〔営〕に配置(神奈中本体から委託)、今の所はこの4月から運行を開始した〔上31〕系統(上大岡駅~日野ヶ丘〔循環〕)に専用されているようです。

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 SDG-規制ではメッシュがやや小型化、27段と少なくなり、下辺はバンパーの上辺とほぼ同じ。
 塗り分け線との間隔が広くなっています。
(ついでに開閉用のボタンの位置も上がっている)

 これ以外の外見上の違いは、少なくとも私には解りませんでした。
 この程度の違いだと、停車中はまだしも走行中に見分けるのは … 難しいでしょうねぇ。
 SDG規制車両が増えてきて、見慣れてくるのを待つしかないでしょう。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
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《今日のニュースから》
関東地方知事会議 裏磐梯で開催 福島支援の決議を採択