№604 年鑑バスラマ2011→2012(ぽると出版)

 毎年恒例の「年鑑バスラマ」ですが、今年も少々遅くなりまして今日取り上げます。
 まあ今年はあんな大震災があり、直接的にも間接的にも業界にとっては一大事でした。
 そして個人的にも、色々考え直さなければならないかも知れない事が多いかも知れないなあと感じました。

 巻頭のカラーグラフがその東日本大震災で、瓦礫の中を走る路線バスがかえって異常に見えて胸が痛い。
 走っているバス自体は傷を負っていなくてまともなので。

◆2011年 国内バスハイライト

画像

 富士急の「KABA」を初め、水陸両用バスが4ヶ所で走り出しました。
 連接バスはJRバスの導入が意外でしたが、レギュラーの号で何度か取り上げられていたはずのいわさきバスの方は、まだ営業運行には入っていないようです(どこで使うのだろう?)。
 後は新幹線の色をまとった、東西のJRバスでしょうか。
(前の年の松本電鉄の旧塗装は、撮れずに終わってしまいました…。もう一回やってくれないかなあ)

「巻頭言」として和田由貴夫編集長より、3つの視点から日本のバスを展望しています。
1.東日本大震災ではバスの機能が評価された。
2.UDの事実上の撤退もあり、バスの選択肢がさらに狭まっている。
3.ノンステップバスは議論ばかりでいっこうに改善が進まない。
4.高速バスと会員制ツアーバスはどう共存するか。
5.貸切バスの認定制度の問題。

「良いノンステップバスづくり」について誰がリーダーになるべきか?という事ですが…。
 もう少し一般のジャーナリズム(新聞・TVなど)が取り上げてもいいのではないかと思います。
 感心を持たれない事が、バス業界の問題を反映しているのかも知れないが。
 究極的には日常バスを利用する乗客がメーカーにとっても間接的にはお客様になりうるので、乗客の立場から訴えてみるという事のありうるのではないか?
 LRTを造ろうという運動は全国各地にあるようだけれど、その10分の1位でも既存のバスの在り方について世に問う運動があってもいいのでは?
(「バスマップ」のように、ない訳ではないのだろうが、LRT程は声が大きくない)

 例年同様に国内で発売されているバスのカタログが並びますが、ラインアップがさらに少なくなった事で、個々の車種について例年より多くページが割かれています。
(なお刊行直後の12月7日、三菱ふそうより新エアロミディ発売のプレスリリースあり)

◆海外編
 国産のバスのラインナップが少なくなっている事もあってか、コルトレイクのバスショーのリポートに続いて、初めてヨーロッパのノンステップバス5種(スカニアは想像図)が並びました。
 設計図を見て思ったのは、100%ノンステップバスを実現するに当たっては、タイヤハウス上の後ろ向きの座席をどうするのか?という事。
 5車種とも前後輪全てのタイヤハウス上に後ろ向きのシートがあり、合計6~9席が後ろ向きになっているようですが、これが日本で受け入れられるかどうか。
 日本でも初期のノンステップバスは後部に後ろ向きがあり、今でも京成・神奈中・岐阜バスで運行されているノンステップバスには後ろ向きシートがあるので、一度乗客の意見も聞いてみた方が良いでしょう。
 鉄道でもそうですが、日本では後ろ向き(ボックス)シートがあまり歓迎されない傾向があるので。

◆新時代を迎えた高速バス
 いよいよ高速バスと会員制ツアーバスの共存の問題が避けては通れなくなってきたようです。
 しかし「高速バスマーケティング研究所」という「株式会社」があるのはまず少々驚きでしたが。
 そのツアーバスの車内の写真がたくさん並んでいて、どれも航空機のファーストクラスとか、ビジネスクラスを連想させるものになっています。
 シートテレビまであるとはねえ。
 個人的にはそこまで必要じゃないですけれど、それが今の特に若い人が求める部分なのでしょうか。
 大手はともかく、海部観光なんて(失礼ながら)田舎の会社がこれほどのグレードの車両を走らせるとは、少々ビックリ。
 それにしても、四半世紀前の「高速バスブーム」(本文でいう所の「第2フェーズ」)では、電話予約で乗れるのが、窓口まで指定券を買いに行かなければならない鉄道に比べてそれでも画期的とされていたのに、今やそれすら時代遅れになりつつあるようで、この部分は少々考えさせられました。
 ただし、仮に予約・発見のルートがネットだけになってしまうと、ネットに不慣れな人(電話だったらオペレーターが誘導してくれる部分もあるが、ネットは基本的に全部一人でやらなければならない)を遠ざけてしまう事になるので、その辺の配慮は必要でしょう。
「お客がバスを選ぶ時代」というのはいいけれど、「選び方が難しい…」という人、バスに限らずまだまだ多いと思います。

◆歴史編
 北から南までの定点撮影で、鉄道、特に路面電車では盛んで出版物もたくさんありますけれど、バスはまだ珍しいですね。
 名古屋のJR高速バスは、「復活」という点が興味深い。
 一方で鹿児島は、キャプションが市電の方にも向いて欲しかった。
(センターポール・芝生軌道が整備されているので)
 鹿児島は今でも、地方都市としてはまだバスの運行回数が多い方だと思いますが、30年前は数珠繋ぎですね。

 また前年と同じ事を書いてしまいますが、どうか次の(2012→2013)こそ、バス業界全体が明るい話題で占められる事を願わずにはいられません。
 といって特に東北はどうしても震災の影響は拭えないですが、バス(を初めとする公共交通)が先頭に立って、本当の元気をもたらして欲しいと思います。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 今日は昼になって国際社会の一大事が起きましたが、とりあえずここでは触れません。
 でも3時頃に届いた夕刊には1面にデカデカ記されていて、恐ろしく早かったですね…。
 話を変えてこの話題、去年については№387で取り上げましたが、今年はさらに寡占化が進んでいるようです。
 あくまで個人的な見方として認めて欲しいですが、ここまで進むと何だか異常というか、何か裏で意図するものがあるようで不気味なものさえ感じます。
 ソロシンガー、もっと頑張れ!
《今日のニュースから》
AKB48 オリコンチャート上位5位まで独占