№545 北海道・苫小牧 台風の中弾丸旅行 2.苫小牧のバスとJAL510便

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9月7日(水)
 翌朝、ホテルの窓から外を眺めると … 青空が広がっているじゃないですか!
 天気予報自体は良くなくて、いつまで持つかは解からないけれど、とりあえずはバスの撮影に時間を使えそう。
 ところでこの朝、日高の方で地震があって(先に書くと、横浜に帰った後の夜にもありました)、苫小牧も揺れたみたいだけれど、全然気づきませんでした。

 駅前で撮影。
 ここは苫小牧市営バスの他、道南バス(札幌行高速バスの他、本数はあまり多くないが一般路線もある)やあつまバス(これも本数は少ない)も乗り入れている。

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道南バス 102
 その数少ない道南の一般路線バス。
 登別から来た、苫小牧私立病院行。
 元横浜市営バスのKC-JP252NTNと思われるが、バンパーにコーナーランプが追加されている。

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道南バス 607
 貸切からの転用と思われ、中央にリフトを備えています。

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道南バス 610
 一日3往復ある静内行。
 数少なくなったスーパークルーザーの、短尺タイプ。

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道南バス 645
 札幌行高速バス。

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あつまバス 室蘭200か707
 この車両は、元名古屋市営バスでしょうか?

 ところで、路線バスの他に、駅前のドーナツ店の前に妙なバスが現れます。

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 イオン苫小牧への無料送迎バスですが … どう見たって、東武バス。
 緑ナンバーながら社名が記載されていないのですが、「フジタバス」という会社が運行しているようです。

 苫小牧市営バスについては、10月1日付(9月30日夜間)の本体の更新時に、過去に撮影した分と合わせて公開しますので、そちらをお待ち下さい。
 とりあえずここでは1枚。

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苫小牧市交通部 326 
 国際興業の車両で、市営バス … というより北海道では随分短く見えてしまうものです。

 それにしても、苫小牧は確かに涼しい。
 快晴ですが、半袖では少々肌寒いかも。
 9月になってなお猛暑が続く首都圏とは大違いで、こんな場所ばかりなら節電も必要とせず、ひいては発電所も少なくて済むのに…とか感じました。
(最も、今度は真冬の暖房や除雪で大変だろうが)
 しかし、平日の朝方というのに、駅付近は人通りがあまりありません。
 王子製紙など大工場も多くて、地方都市とはいえ朝ラッシュ時にはそれなりに多くの通勤通学客が行き来するものと思っていたのですが。

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 市営バスターミナルはホームが3面あり、出発案内表示も備えた本格的なものです。
 しかし、路線の廃止が相次ぎ(この中には千歳に行く路線もあった)、バスの出入も、人通りも少なくなっていました。
 現在市営バス以外は駅前の「egao」の前に発着(道南バスの案内所もある)していますが、来年5月の市営バスの道南バス譲渡後は、他の民営バスもこのターミナルの発着に統一される事になるのかも知れません。

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 №517の「バスマガジンvol.48」にもあったように、苫小牧市営バスでは大判の時刻表を発行していて、特に今年4月発行分は、市営バスとしては最後になるからか、土休日のページに市営バスの歴史的な写真が掲載されています。
 特に時刻表そのものにはそういう事は謳われていないのですが。

 さて、しばらく駅前で撮影した後、少しはバスに乗って、バスが走る所を取りたいと思い、1系統の交通部行に乗車。
 双葉町で下車し、反対方向から来る市営バスを狙ってみました。
 それが、一番上の画像です。
 特に風光明媚、という訳ではないですけれど。

 この上空は、新千歳空港を離陸して本州方面に向かう旅客機の通り道になっています。
 次々にジェット機が通過していきますが、その中にスイスのエーデルワイス航空らしき機体もありました。

 その千歳方面は最初から曇り空になっているようでしたが、上の画像を撮った直後あたりから、苫小牧も急に雲行きが怪しくなってしまいました。
 残念ながら、この先は天気予報通りになりそうです。

 11時23分の普通電車で千歳空港に向かい、空席(できれば窓際)があれば早めの便で帰ろうと思います。
 それにしても、苫小牧は全体的に、何だか随分寂れているように思えました。
 駅ビルの「ESTA」からして閉店になっていますし。
 市営バスの民営譲渡は、ひょっとしたら苫小牧の町そのものの現状も反映しているのかもしれないと感じました。

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 普通電車の前、右は札幌行特急<スーパー北斗3号>。
 左は711系の糸井行き4472M。
<スーパー北斗3号>は、20分程の遅れになっていました。
 この後、側線にいた721系が入ってきます。

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 札幌行2765M。
 苫小牧で既にパラパラ雨模様になってしまいましたが、次の沼ノ端が土砂降り。
 早い帰宅の女子高生たちがキャーキャー叫びながら走っていきました。
 植苗ではすぐに止みましたけれど。
 美々では左手、ANAのB747-400Dが離陸して行くのが見えましたが、その行く手には大きな雲の塊。
 こりゃ、また昨日の羽田みたいに揺れるのか?とゲンナリしてしまいました。
 まだ搭乗便の変更もしていないのに。

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 南千歳の到着が若干遅れ、快速<エアポート>は至近の110号は間に合わないかな(アナウンスも次の112号を案内していた)と思っていたが、向こうの方も若干遅れて到着。
 この日も道内は全体的にダイヤが乱れがちで、<スーパーおおぞら6号>は、<北斗5号>の後になっていました。
 1時間程度は遅れていたようです。

 新千歳13時00分出発のJAL510便は、窓際が2つだけ空いていました。
 しかしどちらも翼の真横、しかも一方は隣が赤ちゃんと聞かされ、しかし新千歳も天気がやはり良くないので、この510便の24Kを選択する事になりました。

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 折返し510便となるB777-200(511便)は、所定より20分の遅れで着陸、12番スポットに着きます。
 ここの展望デッキは屋根がなく、時折ザァッと雨が降ると、下まで逃げなければなりません。
 スポットには新鶴丸のB737-800とか、ANAでは「ピースジェット」とかいるのに、悔しいったらありゃしない。

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 折返し510便の搭乗開始も残念ながら遅れて、本来の出発時刻が近付いて搭乗開始。
 この便は特に他の外国のコードシェアはないけれど(ちなみに同時刻の成田行はAA、VN、MU、CXとのコードシェアあり)、外国人の乗客もいる。一人床に寝そべり、ベンチの背もたれに足を投げ出すヒドイ格好の男もいた。

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 折返しの出発も遅れをほとんど縮められず、15分遅れでゲートを出発。
 その直前、「JAL嵐JET」が着陸した。
 事前に公表されている便より1つ前で、このあと2機の並びが見られた事になります。
 つくづくこの悪天が恨めしい。
(別に「嵐」のファン、というわけじゃないけれど)

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 離陸すると右手に樽前山が見えるはずだが、雲に隠れている。
 この後苫小牧の上空を通過して海上に出るが、広々と広がる翼に遮られてあまり下界を楽しめない。
 まあ、仕方ないか。
 幸い、大きな雲はどこかに去ってくれたようで、揺れはほとんどなし。

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 国内線用のB777-200のシートは、以前の9列配置から10列配置に変更になっている。
 10列配置になってから10列部に座るのは初めてだったが、特に窮屈になったという感じはありませんでした。
 外国人旅客はノートパソコンのキーボードを叩く人が多い。

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 真昼のフライトなので、サービスのコーヒーと共に、空港で買ったサンドイッチをつまむ。
 真昼でなくても、たいていは何か食べているのだけれど。

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 天井のモニターに映されるフライトデータは、随分と立体的になりました。
 そういえば、その前のテキストスタイルのニュースには、東京駅の赤レンガの駅舎は来年6月開業だと書いてあったっけ。
 三陸鉄道の復興祈願のレールが速効で完売したとも。

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 羽田が近付いてきました。
 雲海の向こうには、「ちっちゃなカワイイ富士山」。

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 降下しながら房総半島の真ん中まで南下、一気にUターンして東京湾上空へ。
 羽田のR/Wは34R。
 昨日とは逆になりました。

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 D滑走路を横切るように着陸。

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 残念ながら、羽田空港も出発時の遅れをほとんど回復できないままの到着となりました。
 ターミナルに並んでいるのは、「Arc of the Sun」カラーばかり。
 このシーンはいつまで見られるでしょうか。

 という訳で、北海道旅行にしては何とも慌しいものになりました。
 前回書いたように、本当は午後には新千歳で「JAL嵐JET」など、旅客機を少しは撮りたかったのですが。
「JAL嵐JET」は結局、羽田空港で撮る事になります(それは№539で書きました)。
 このわずか3日後、今度は大阪へ飛ぶ事になりますが、それについては来月書きます。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 ここへ来て関東もまた、朝晩は先日の苫小牧並みに涼しくなりました。
 というか半袖だと寒い位かも。
 また数日のうちには猛暑がぶり返してしまうのかも知れませんが、それにしても「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだと、改めて感じます。
  震災復興とか、エネルギー問題とか、世間では喧々囂々鋭く意見が飛び交いますが、まずはこうした、日本ならではの日常の季節の変化を一人一人が大切に感じる事から始まるのではないか、そう密かに思っています。

 震災復興といえば、仙台空港鉄道の美田園~仙台空港の試運転が今日行なわれたそうです。
 問題がなければ来月1日に運行を再開します。
 何とか少しづつでも、復興に向けた一歩を…!

《今日のニュースから》
米人工衛星 米西海岸沖に落下の模様

№544 北海道・苫小牧 台風の中弾丸旅行 1.JAL527便

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 今回と次回の2回は、9月6及び7日にかけての北海道旅行について書きます。
 今回はJALのマイレージサービス「JALマイレージバンク(JMB)」の一部のマイルの有効期限が迫ってきていた事で急遽設定、しかも本当は土日の連休で行きたかった所、往路も復路も希望の時間の便を確保できず、泣く泣く火曜の夜出発、翌水曜の午後帰宅という、信じがたい弾丸旅行となってしまいました。
 オマケにご存知の通り、紀伊半島を中心に甚大な被害をもたらした台風12号崩れの温帯低気圧、及び太平洋を北上していた台風13号の影響により、北海道も荒れ模様の天気が予想されていました。
 一応目的は2つ。
「来年3月一杯で民営譲渡となる苫小牧市営バス」と「新千歳空港の旅客機、特に『JAL嵐JET』」。
 しかし事前の天気予報では雨模様…。
 しょうがない、なるようにしかならんと羽田空港に向かう事になりました。
 でも、奇跡が起きてくれないかな…。

9月6日(火)

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 ターミナルに着いて驚いた。
 とてつもなく暗い。
 外が曇り空という事もあるのだが、いくら節電対策だからといって、少々やりすぎではないだろうか?

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 JALのカウンターは新鶴丸に模様替えしていた。

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 第1ターミナルでは内も外もリニューアル工事が行なわれている。
 出発ゲート付近でも新規ショップがいくつかオープンしていた。
 これから開店、という店もあるようだ。

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 福岡行の「JAL嵐JET」。

 羽田18時30分発527便はB777-300。
 札幌からの516便で着いて、トンボ帰り。
 B777-300への搭乗は7年ぶりだ。
 あの時も同じ羽田発新千歳行だった。
 JA751Jは、日本エアシステムが導入した機材だった。
(ただし、カラーは最初から「Arc of the Sun」)

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 羽田上空は雲が切れてきたが、彼岸前とはいえ9月を過ぎると夕暮れが早い。
 もう一機、大阪・伊丹空港に向けて「JAL嵐JET」が出発して行く。
 これ、明日新千歳で撮りたいんだけれどなあ…。

 案ずることなく、キャビンは特に後方はガラガラ。
 隣にも客は来ない。
 のんびり過ごせそうだ、と思っていたのだが…。

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 定刻より心持ち遅れての出発。
 18時30分、でもう真っ暗になった。

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 離陸前、キャビンが減光される。
 JALでは結構徹底されている。
 でも、本当は全部消してくれても良い位だ。
 空港の夜景が美しく見えるから…。

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 国際線ターミナルの夜景。
 この後機体はC滑走路、R/W16Lより離陸する。

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 手ブレで申し訳ないが、市原の工業団地を右に見る。
 本来はもう少し東京湾の中央で旋回して北上するらしいのだが。
 なかなか美しい。

 ところが、上空の雲海に突入すると、とたんに上下に揺れが激しくなる。
 事前にアナウンスでも言ってはいたけれど、気流が相当悪いみたい。
 上昇中のはずなのに3度4度と、スゥーッと下降していくように感じられるのは、いくら「ご安心下さい」と言われたって、どうしても気分のいいものではない。
 心で納得しようとしても、体が反応しないものだ。
 随分旅客機には乗ってきたけれど、こんなに揺れたのは経験があまりない。
 正直冷や汗を掻いた。

 離陸から10分強、雲海を抜ける。
 ベルトサインが消灯、キャビンの明かりがつくと、安堵感から思わずため息が出てしまった。

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 キャビンの様子。

 オーディオ・プログラムで、山下達郎のスペシャル・プログラムが用意されていたので聞いてみた。
 8月発売の新アルバム「Rey of Hope」について、達郎本人がDJスタイルで語るというもの。
 このアルバムでは「タイアップ曲」(つまり、CMソングや映画・TVの主題歌)が多いというのが特徴ではあるのだが、その観点では、達郎自身が

JALスペシャル・山下達郎・『Rey of Hope』!

と叫ぶのは、ひょっとしたらオールドファンは苦笑いするかもしれないなあ。
 だって、達郎はそれこそ20~30年前、「高気圧ガール」「踊ろよ、フィッシュ」「飛遊人」と、ANAのCMソングを作って、歌っていたんだから。
「YS-11」という単語が出てきたのはちょっとビックリ。
 興味がある方は、今月一杯はプログラムに入っていますからどうぞ。

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 これも手ブレで申し訳ないが、タバコ税増税に関するニュース。
 ハンガリーではポテトチップにも税金が課せられたそうだから、タバコ位はどうって事ない?

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 羽田を離陸してから1時間、弁当を食べたりしているうちにもう北海道だ。
 さすがに旅客機は早い。
 本当は新千歳でも着陸前には揺れるというので、早めにベルトサインがついたりしたのだが、幸い羽田離陸直後ほどは揺れなかった。
 これまた手ブレでゴメンナサイだが、中央に輝いているのは、JRの千歳駅だろう。

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 新千歳空港はほぼ定刻に着いた。
 ブリッジに出ると寒い!
 確かにアナウンスで「新千歳は16℃」と言っていたけれど。
 暑い暑い東京の感覚で上着を持ってこなかったのは大チョンボ。

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 荷物を受け取ってロビーに出ると、TVでは、札幌ドームで行なわれているプロ野球・日本ハムvsソフトバンクの試合が中継されていました。
 TVに映っているのはダルビッシュ。
(結局この試合は1失点で敗戦投手となってしまった)

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 新千歳空港駅のお知らせ。
 左側2枚はICカード「kitaca」の利用についてのお知らせ。
 右は、5月に発生した<スーパーとかち>の火災の影響について。
 一部の<スーパーおおぞら><スーパーとかち>のグリーン車やバリアフリー対応車両が不連結となるという事。
 英語放送ができない等、他の部分でも影響が小さくないようです。

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 今日は苫小牧泊。
 道南バスの直通バスもあるが、今回はJRを乗り継いで行きます。
<快速エアポート205号>から南千歳で苫小牧行普通に乗り継ぐが、731系はなんと暖房が入っていました。

 苫小牧では駅前のホテルに投宿。
 TVの天気予報は、相変わらず明日の苫小牧の予報は良くない。
 奇跡よ起これ!

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
「小田急F-train」が、なんと今月一杯で運行が終わってしまう事になりました。
 編成全体に描かれた藤子・F・不二雄キャラのイラストが東京都の広告条例に触れて、「広告」扱いとなってしまうからなのだそうです。
 実物は見た事がないし、屋外広告に関する具体的な規定や手続きの仕方も解からないので実際どうなのかはな何とも言えないのですが、それにしても「ラッピングバス」発祥の地の東京都としては、なんだか矛盾を感じないでもありません。
 企画自体は悪くないはずですから、また形を変えてやって欲しいかな、と思います。

《今日のニュースから》
情報通信衛星搭載 H2Aロケット打ち上げ成功

№543 Forever JAL&#39;s A300-600R 4

 前回お知らせした通り、本来ならこの記事は昨日の夕方アップする予定でした。
 しかしご存知の通り、台風15号が夕方に関東地方を直撃するという予報が出ていて、それに備えるため早めに出勤したため、昨日の更新は予告なくお休みさせて頂きました。
 どうかご了承下さい。

 3月11日に発生した東日本大震災は、今更語るまでもない未曾有の大惨事を、特に東北地方太平洋沿岸にもたらす事になってしまいました。
 交通にも甚大な影響を与え、仙台空港が大津波の直撃を受けて使用不能になり、周辺の空港への臨時便が多数設定されます。
 また、東北新幹線も長期に渡って不通となって、航空が臨時便の就航や機材の大型化で対応する事になります。
 そこで抜擢されたのが、本来3月26日を持って退役となるはずだったA300-600Rでした。
 特に青森線では震災以降3月一杯は全便がA300となり、4月以降も2~4便はA300が就航して輸送力の増強に貢献します。
 そこで「震災復興支援」の意味も兼ねて、4月30日の東京-青森線のA300-600R就航便に、今度こそ「お別れフライト」として乗ってきましたので、最終回はこのフライトについて書きたいと思います。
 №466と重複する部分が多くなりますが、今一度お付き合い下さい。

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 本来青森行は北ウイングからの出発だが、スポットに空きがなかったのか、この日の1201便は南ウイング8番からの出発になった。
 MD-90-30の出発の後トーイングされる。


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 パイロットが乗り込む前のコクピット。
 右に左に、窓の清掃に余念がない。


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 いつの時代も、ジェット機は子供の憧れの的。

 この日は弘前の「さくらまつり」が始まっており、加えて東北新幹線は前日に全線で運行を再開はしていたものの、発表は急で運行体制にもまだ不安定さを残しており、この便の乗客は予約数が提供座席数を上回る程の盛況だった。
 次便への振り替えの協力を募るアナウンスも流れる程だったが、結局は全員がこの便に乗れる事になる。


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 第1ターミナルにならぶ「Arc of the Sun」。
 JALグループがこのカラーに統一されたのは、そんな遠い昔の事ではなかったはずだ。


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 R/W16Rを離陸する、新たな鶴丸を描いたB737-800。
 胴体には「がんばろう日本」のメッセージ。


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 離陸直前に流される、エマージェンシービデオ。
 画面に現れるCGの機体も、新しい鶴丸に変わっていた。
 ただ、内容自体は以前と変わっていない。


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 R/W16Lを離陸、左に旋回すると背後には羽田空港の全景が広がる。
 D滑走路も前の年には完成、供用を開始している。
 羽田の拡張は、とどまる事を知らない。


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 TDRから江戸川上空を経由し、北上するルートを取る。
 東日本大震災は首都圏でも影響が大きく、特に浦安市は液状化現象で甚大な被害を受けた。
 TDRも長期休業に追い込まれ、ようやく数日前に営業を再開したばかり。
 ただ、上空から見ただけでは、正直被害の深刻さをうかがう事はできなかった。
 いつもの浦安市に見えた。


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 座席前のポケットに入っている、おなじみのセーフティ・インストラクション、つまり「安全のしおり」。
 他機種ではもちろん新鶴丸デザインになっていて、MD-90-30も新しいものに変わっていたけれど、5月一杯で退役になるエアバスでは、もちろん変わっているはずもなかった。


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 機内のサービスは、何だか色々変わっていた。
 JALではドリンクサービスは引き続き無料で、しかも2日前から有名な「コーヒー・ハンター」(?)と組んで新しいコーヒーを提供しているそう。
 正直どこがどう変わったかは分からなかったけれど。
 また、モニターのプログラムも、それまでのNHKニュースの録画に変え、テキストと静止画像による新スタイルのニュース(最近山手線のドア上とかで見かけるようなもの)になっていた。
 どちらも退役が予定通り3月26日だったら、エアバスの機内では体験できなかったわけ。
 ところで、今回搭乗したJA016DはJALにおけるA300-600Rの最終号機で、モニターがMD-90-30のような液晶式の薄型に変わっている。


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 青森が近付いてきた。
 降下が始まり、ベルトサインが点灯する頃、主翼の上には岩木山が見えてくる。
 機体はこの後青森市の中心部を掠めるように右旋回、空港へのファイナル・アプローチに入る。


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 八甲田の山々を左に見て、フラップが全開になる。
 着地、スポイラー全展開。

 正直言うと、指定された27A席は翼の付け根の少し後で、本音はもう少し後の方が良かった。
 でも状況を考えれば上々の位置ともいえたし、着陸時の翼の各パーツの動きをじっくり観察できて良かった。


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 機内から降り立った旅人たちが、機体にカメラを向ける。
 その視線はコクピットに向けられた。


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「頑張ろう日本」。
 パイロットたちからの、熱いメッセージだ。
 頑張る日本のために、エアバスもまた、もう少し頑張る。


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 エアバスを見送るグランドスタッフ。
 2月一杯までお馴染みだった光景が、少しの間だけ復活する事になった。
 グランドスタッフもまた、頑張っている。


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 青森空港には来月まで乗り入れるが、この目で青森のエアバスを見るのは、これが最後。
 連絡バスを1本見送ってでも、離陸の瞬間を見届けたかった。
 八甲田をバックに加速し、青空に向けてグングン上昇して行く。
 その機体がただの点になり、青空に溶け込んで消えて行くまで、ひたすら目を凝らして見送っていた…。

 営業の最終便は5月31日の青森発羽田行1208便。
 最初に就航したのが青森線なら、最後もまた青森線。
 本来の退役予定なら青森線は最後にはならなかった。
 A300-600Rとは、よほど青森に縁がある旅客機だった。


エピローグ

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 5月一杯でついにJALでの役目を終えたA300-600R。
 胴体のマークを消され、1機また1機と海外に売却されている。
 そのマークもまた、経営破綻を象徴するかのイメージを植えつけられ、新たな鶴丸に取って代わられて短い生涯を閉じようとしている。
 でも私は絶対忘れない。
 JAS時代も、JALのマークを背負ってからも日本各地を駆け巡った優雅な姿を。
 そのマークと共に…。


 最後に個人的なデータをまたいくつか。
 JAS~JALのA300-600Rには、1994年6月30日~2011年4月30日の間で、合計26回搭乗。
 うちJAS時代のスーパーシートに1回、JAL時代のクラスJは2回搭乗しました。
 全搭乗マイル(TPMベース)を合計すると、12165マイル。
 平均で1回あたり467.9マイルで、国内線しか乗らなかったから、B747-400と比べたらやはり距離はかなり短くなりました。
 最も多く搭乗した路線はやはり東京(羽田)~青森線で7回(東京発1回、青森発6回)、次いで東京(羽田)~熊本線で往復合計4回、長崎線で3回と、地域的には九州路線が多くなりました。
(ちなみに全て羽田発着)
 そして合計22機のうち、JA8375・JA8377・JA8564には3回ずつの搭乗がありました。
(一方でJA8559・JA8566・JA8573・JA8659・JA012D・JA014Dには搭乗機会なし)

 退役後を追跡すると、まだ「整備保存」という機体もありますが(9月15日現在では少なくとも2機を確認)、大半は貨物機に改修されて売却となっているようです。
 世界的にもA300-600Rは旅客用としては退役が進んでいるようで、JALからの退役後、日本で見られるA300-600R旅客型は、大韓航空の東京(成田)~済州島線、大阪(関西)~ソウル(金浦)線の2路線3便のみとなっています。
 不幸な形ではありましたが、JAS~JALにおいては、旅客機としての使命はまっとうできたのだと、評価してよいのではないでしょうか。

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I don't forget you forever!
Thank you for 20 years!!


 今回の連載は
「日本の旅客機」(各年/イカロス出版)
を参考にさせて頂きました。


 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 いうまでもなく、昨日の首都圏の鉄道網は、台風の直撃を食らって散々でした。
「帰宅難民」が多数発生した事で、3月11日を思い出した方も多かったでしょう。
 駅をいくつか見て、思った事を簡単に2点。

1.運行情報が基本的に自社中心で、他社の事がまるで解からない事も少なくないようだった。
 駅員は他社の公式HPを頼りにして案内を行なっているようだ。
 JR・私鉄関係なく、加えて可能な限りバスも含めた包括的な運行情報提供システムを、旅客向けにも、業務用としても構築すべきではないか。

2.遮蔽物がない、吹きさらしの高架駅は強風に合うと危険。
 そうでなくてもサービス上好ましくなく、何とか改良して欲しい。
 構内全体を覆うドーム化も検討されても良い。

 ANAのB787-8が10月30日、仙台への「復興支援フライト」を行なうそうです。
 
《今日のニュースから》
「富士山」「鎌倉」 2013年登録めざし世界遺産に推薦