№494 バスラマインターナショナル126(ぽると出版)

「バスラマ・インターナショナル126」は先月25日に発売になりました。
 ところで、バスラマ誌は多少専門性が濃い雑誌だからか、入手できる書店が、以前に比べたら多くなっているものの、まだまだ少ないかもしれません。
 せめて、大手チェーンの支店全てで、最新号が入るようになればいいと思います。

 先に、「東日本大震災とバス」から。
 ここでは敢えて被災現場の写真の数は抑えているようで、宮城交通とジェイアールバス東北の被災直後やその後の対応について、現場の対応をインタビュー形式で報告しています。
 しかしその数少ない被災現場の写真ですが、宮城交通の気仙沼営業所は凄まじいですね…。
 正直な所、私自身津波というものが、これほど凄まじい破壊力を持っているものだとは思っても見ませんでした。
 過去の男鹿半島や奥尻島、インドネシアの津波被害を見ていたはずなのに。
(だから私は、津波に対する政府や電力会社などの対応を一方的には批判できないのです)
 やはりここでも、高速バスなどが「緊急支援車両」として早々に認められ、新幹線などの鉄道の代わりとして活躍できた事はとても大きかったといえます。

 それと今回は、初めて首都圏の被害やその後の対応についても取り上げられています。
 特に京成バスの扱いが大きいですが、茜浜車庫の当日の状況は生々しいものが感じられました。
 京成グループは、特に東北への進出はないのですが、<ポーラースター>(成田空港~石巻線)つながりで仙台への緊急支援バスが設定され、好評だった由。
<ポーラースター>は地味な路線だと思っていたのですが、夜行高速バスも歴史が長くなると、地域との連帯感を強くするんだなあと思わされました。
「バスラマ」誌らしいのは、都内の事業者へのアンケート調査を行っている所で、事業者側は口を揃えて「震災時のマニュアルは用意していた」「鉄道運休の影響は大きく、代行輸送の役割の担う事になった」「地震発生後は乗客が減った」としています。
 また、大半の事業者は燃料不足で一部路線の運休を行ったと回答。
 東北もそうですが、盲点だったのがドライバーの出勤の足の確保で、相乗りだとか、営業所泊まりこみとかもあったそうです。
 バスの運行自体苦行の連続だったはずですが、本当にご苦労な事でした。

 以上を踏まえると、高速バスは機能したが、今後は震災発生時、一般路線バスのスムーズな運行をいかに確保するかと言うのが課題となりそうです。
 記事にもありますが、バスそのものの燃料、ドライバーの通勤手段の確保は考えておく必要があります。
 私もブログ再開時の№440で少し書きましたが、燃料(に限らず全エネルギー)が不足する自体に陥った際は、公共交通に優先的に配分するような、付け加えるとさらに一般道でも優先的に走行できるようなシステム・体制づくりを求めたいと思います。

 なお、東京都交通局が中古車両を宮城交通・岩手県交通に無償譲渡するというニュースがありました。
 次号で見る事が出来るでしょうか。

◆各地の新車から
 現代ユニバースは、高速バスでも導入が進みつつあるようです。
 ちょうど先日韓国を訪れた際、ソウル→釜山でユニバースに乗る機会がありました。
 正直日本の高速バスと(サービスレベルとは別に)どう違うのかというのは解からなかったですが、価格面でも国産車にとってはさらに脅威になるのでしょうか。
 立川バスのエアロスター・ノンステップは、車両そのものもさる事ながら、側面の薄型区間表示装置が注目で、乗降方法にも拠るでしょうが、今後の普及が期待されます。
 戸袋窓は、外を見るにはあまり適していないので。

◆ いよいよ完成した“電動低床フルフラットバス”
 震災の直後の話ではありましたが、№14でも取り上げた神奈川の電動低床フルフラットバスの試作車が登場しました。
 このバスはいすゞと慶應義塾大学、それに神奈川県内のバス事業者が加わって研究が進められていたものです。
 サイズ的にほぼ同じいすゞのエルガ(LKG-LV243L3)と比較すると、かなり軽く作られて入るものの、75人というエルガの定員と比較すると、49人はやはり少なすぎる。
 ちょっと気になったのは、前号の三菱重工業の大形電気バス実証走行の際に問題視していた動力源の問題がなかった事で、電力不足の昨今だけにどうするのかなあという部分には触れて欲しかった。
(夜間の充電を想定しているらしい)
 最後部までフルフラットというのは魅力的で、まだまだ問題も少なくはないでしょうが、早い実用化が求められます。
 とりあえずは緑ナンバーを取得しての実証運行が期待される所で、何しろ地元神奈川ですから、運行開始時には乗りに行きたい所です。
 
◆ バス事業者訪問146 奈良交通・エヌシーバス

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 2社構成の予定だったようですが、東日本大震災関連でページをかなり割いたからか、今号は奈良交通(+エヌシーバス)のみになりました。
 十津川村経由新宮までの長距離特急バスの運行はありますが、熊野を経由する路線はもうなく、和歌山県内には事業所はないようです。
 広大な奈良県のほぼ全域を独占していますが、それだけに格差が大きいようです。
 特に南部は高齢者が多いのにノンステップ車の導入が進んでいないというのは、そうかもなあと思いました。
 奈良交通に限らず、エリアが広大で、都市路線・過疎路線を共に数多く抱える事業者では良くあるだと思いますが。
 気になったのは高速・空港バスやエヌシーバスについての事業者サイドからの話が全くなかった事。
 また輸送人員推移のデータがあり、乗合は10年間で2割以上も減ってしまっていてキツイなあ。
 特に2006年は対前年比8.6%の減少で、これは近鉄けいはんな線開業の影響なのは間違いないはずですが、その辺の所にも触れられていませんでした。
 数少ない都市輸送のエリアなので、大幅減少は一大事のはずなのですが。
(2009年は前年比11.4%とさらに減少幅が大きいが、ここは理由がわからないなあ)

 それから、後半ではバス仕様標準化に対する疑問が呈されています。
 しかし、15年前の№33では、標準化はむしろ好意的に受け入れているように記されていました。
 この15年間で180度思想が変わってしまっているように思えるのですが、どうしたのでしょうか。
(メーカー側があまりに仕様を絞りすぎたからかも知れない。十津川特急車も、大型短尺車がなくなってしまったので代替が利かず、その辺も影響しているのかも)
 その事もあるのか、最近は近鉄バスからの移籍車両が若干入っているのですが、その辺も子細はあまりはっきりしません。

 ところでクイズですが、毎月第2日曜日のみ運行される系統がありました。
 敢えて回答は記しませんが、ヒントとして、「路線概要」にはない区間を走っています。
 確かかなり昔、奈良と京都をやはり一月に1便だけ運行される系統があったと思ったのですが、その名残なのでしょうか?(あれって近鉄だったっけ?)

◆アルピコ交通がスタート
 アルピコグループは、確かに過疎路線も多いから厳しい事は厳しくても、それなりに健全な経営を行っているというイメージを持っていましたから、いきなり大幅な超過債務と聞かされて、確かに少々驚かされた記憶があります。
 経営サイドでさえ、晴天の霹靂だったようです。
 エリア的には長野県の主要都市は抑えていると思うのですが、長野・松本・諏訪・茅野4市の合計で74万人と言うのは、その広さを考えると厳しそうだなあ。
 特に諏訪バスのエリアは一般路線がほとんどないようだし、№64で書いた塩尻市のように、「市」のレベルでさえ一般路線バスがなくなってしまっている所が少なくないようでは、この先も厳しいのかも知れない。
 でも北アルプスに代表される豊かな自然が数多く存在する場所でもあるし、最近は著名観光地でもマイカー規制が強化されつつありますから、バスの役割はまだまだ大きいはずで、がんばって欲しいと思います。
 鉄道の上高地線は設備の更新に年間売り上げの約10倍の投資ですか。
 車両は当分大丈夫でしょうが。

◆その他
 都自動車を引き継いだHMC東京の路線バスのカラー写真が出ました。
 たぶん横浜市営バスだと思いますが、これだけはっきりニューカラーでやってくれるのだったら、それなりに本気と期待していいかもしれません。
 ドバイは、UITPや交通はさておくとして、MAPを見ると、ひどくいびつな埋め立てが行われているようです。
 BSでも上空からの人工島を見る事がありますが、金持ちのやる事と言ったら…。
(実は意外に経済格差が大きいとも聞いた事がありますが)

 次号は大震災企画のPART2とか。
 事業者訪問はどこでしょうか。
 
 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 毎年作られるもののようですが、今年は関西でも節電なので、昨年の4ヶ所から1ヶ所だけになったようです。
 相談に応じるホットラインも開設されるとの事です。
《今日のニュースから》
大阪府吹田市 消防本部に「熱中症シェルター」設置