№509 私鉄の車両シリーズ96 京都市交通局10系

 昨日は冒頭で韓国の大雨について書きましたが、今日は新潟県から福島県(会津地方)にかけて記録的な豪雨になっているという事です。
 新潟県三条市や福島県只見町では、全域に避難勧告が出ているそうです。
 十日町市では1時間に121ミリも降ったとか。
 TVニュースの映像を見た感じでは、只見線がかなり手酷くやられているのではないでしょうか。
 この大雨が福島県の浜通りや宮城県など、震災の被災地にまで及ぶ事が懸念されます。 

「私鉄の車両シリーズ」、今回は京都市交通局烏丸線の10系です。

 烏丸線は、京都市の中心部を南北に貫く動脈として1981年に京都~北大路間が開業。
 その後延伸を繰り返し、1997年に国際会館まで達して全線が開業しました。
 この、1988年6月に京都~竹田間が開業、近鉄京都線との相互直通運転が開始されています。
 10系は、この近鉄線直通運転にも対応するように設計された、烏丸線の専用車両です。

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 車体は近鉄直通規格似合わせた20m4ドアの無塗装のアルミ製で、正面は非常用扉を車掌側にオフセットさせ非対称になっています。
 この非常用扉及び側面窓上部には、鴨川をイメージしたラインカラーのエメラルドグリーンをあしらっています。
 チョッパ制御・電気指令式ブレーキを装備、近鉄直通に対応したATS・無線・列車選別装置も搭載しています。
 運転台は2ハンドル式マスコンで、故障情報を表示できるモニターを設置しています。

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 車内もグリーンを基調としたデザインとなり、編成中1箇所に車椅子スペースを設けています。
 当初から冷房を採用し、分散型クーラーを4器搭載しています。
 開業当初はオールMの4連で、2次に渡って9編成36両が製作されました。
 番号は8連化を想定してつけられています。

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 竹田延伸・近鉄京都線との相互直通運転開始に合わせて製作された3次車よりマイナーチェンジが図られました。
 正面は縁取りをなくして曲線的となり、非常用扉にも窓が設けられました。
 運転台のATC装置が床下に移り、客室では床面高さを低くした他、窓が一部下降式となりました。
 ラインフローファンも装備されています。
 3次車はT車2両を挟んだ6連となり、1・2次車も合わせて6連化されました。
 さらに1990年10月の北山延伸以降4・5次車計3編成、1997年6月の国際会館延伸に合わせて6次車3編成が増備され、全180両が出揃いました。
 6次車では車椅子スペースが全車両に設けられた他、ドア上には千鳥状にLED式車内案内表示装置が設けられています。

 2001年には烏丸線開業20周年を記念したラッピング編成(1101F)が運行されました。
 2000年には相互直通運転区間が奈良まで延伸、直通急行として奈良県にも顔を見せるようになっています。
 運行開始30周年を迎え、今後の動きが注目されます。

【編成】
←竹田     国際会館
 M2c 1100 - *M1 1200* - T1 1300 - T2 1600 - *M1' 1700* - M2'c 1800
* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1990年3月臨時増刊号 【特集】日本の地下鉄」(鉄道図書刊行会)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄04 京福電気鉄道/叡山電鉄」(朝日新聞出版) 等
を参考にさせて頂きました。

 次回は山陽電気鉄道5000系です。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 当ブログの次回の更新は8月2日(火)の予定です。
 8月1日夜(2日付)に本体の更新を行います。
(予告より1日遅くなります)
 九州の事業者のバスの画像を追加で公開します。
 なお予告していました韓国のバスの画像は、申し訳ありませんが9月更新での公開とさせて頂きます。
 2日からは、今月9・10日の九州旅行について、4回に分けて書く予定です。

 遺族の方の中には、「ATS未整備だけが原因ではなく、有罪とするには証拠不十分で無罪が妥当だ」と主張された方がいるようです。
 直接的にも間接的にも色々な要因が複雑に絡み合っての大惨事だけに、社長とはいえ個人の責任の有無の判断は、当事者にとっても難しく感じられるのでしょうか。
《今日のニュースから》
福知山線事故 JR西日本社長に禁錮3年の求刑

№508 JTB時刻表2011年8月号(JTBパブリッシング)

 先日旅行記を書いた韓国では、昨日から広い範囲で大雨になり、土砂崩れが相次いで死者も多数出ているそうです。
 一方、アフリカ東部、特にソマリアでは記録的な干ばつで危機的な飢餓になっているとか。
 どうして天気はうまくいかないのだろう?

「JTB時刻表2011年8月号」が、20日に発売になりました。
 表紙はこの後のカラーグラビアでも取り上げられる「大阪ステーションシティ」が開業した大阪駅8番線に進入する223系の快速電車。
 長らく工事が進められていましたが、5月4日にグランドオープンを迎えました。

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◆ 大阪ステーションシティへいこう
 ちょうど関西に行って、大阪駅で下車してきたばかりでしたが、まずホーム上空に連絡通路があり、エスカレーターで上がって行くというのが、新鮮な経験でした。
 鉄道利用者としては、ホームを大きなガラス張りの屋根で覆う構造が印象的ですが、各広場にある「時計」というのが、ランドマークとなっているようです。
 当然百貨店(大丸は昔から)や専門店も数多くあり、ツアーが3つもあるそうです。
 鉄道ファンには「鉄道プラザ」が注目でしょう。
 ホームの上屋はまだ数多く残っていて、ドーム部では引き続き撤去が進められる事になりそうです。

◆ 博士とノリゾーののりもの探Q隊 vol.2
 予告通り、山中湖で運行が始まった水陸両用バス「KABA」のリポート。
 水陸両用バスはこれまで日本の各地で試験的に走ってきましたが、いよいよ本格的な営業運行になりました。
 アメリカ製という事で、エンジンは水陸の両方を別々に搭載していると言う事。
 運転手も両方しますが、陸上の運転は死角が多いとの事で、バックアップはどうなっているだろう?
 運行コストはいろいろな面でかなりかかりそうだなあ。

◆ 駅弁細見 288
 一ノ関駅の「平泉うにごはん」。
 平泉の世界文化遺産登録を記念して、と言うより登録を見込んで企画されたと思います。
 でもうにって、海の幸じゃなかったっけ?
 どこのものかは記されていないのですが。
 いくらは以前は気仙沼産でしたが、震災後は北海道産を使用しているとの事です。
 一ノ関駅以外に東京・大宮・盛岡でも販売しているそうですが、肝心の平泉駅にはナシ。
(今は通勤電車しか発着しないから…)
 ところで、「売切御免」では「あぶり焼き牛肉弁当」が取り上げられていますが、今の状況で販売できているのだろうか?

「ノリノリのりもの情報局」では、京阪の「きかんしゃトーマス」のスタンプラリーがあり、交野線でのイベントが取り上げられています。
 今年は10000系(10001F)にトーマスのラッピングが施されていますが、実はこれも撮影してきたので、後日ご覧頂きたいと思います。
 大井川鐵道のフリーきっぷの通年販売開始は吉報。

◆ 黄色のページ
 いよいよ今夏の首都圏の節電ダイヤについて取り上げられており、ニュースで特別ダイヤ実施路線とその状況について記された後、横浜線の「夏の特別ダイヤ」が掲載されています。
 平日11時台~14時台は桜木町~八王子の各駅停車のみが10分毎。
 武蔵野線は<しもうさ>は平日は全列車運休。
<むさしの>も一部が運休となり、2653Mは府中本町~東所沢のみの運転になっています。
 大宮に行かないのでは<むさしの>ではないと思いますが、ラッシュ対策でこの区間だけでも運転という事なのでしょう。

 花火大会や夏祭り関係の臨時列車が掲載されていますが、このうち「筑後川花火大会」は、新幹線開業後初なのでどんなものになるかと思われました。
 新幹線は全く影響なく、在来線の博多~久留米に臨時<有明>を設定して対応しています。
 東北の花火・夏祭り列車は、何とか盛況を見せて欲しいと思います。

 私鉄時刻表の第2回は近鉄の名古屋線と、関連する支線区。
 特に準急が中途半端になってきているように思え(大半は名古屋~富吉のみの運転)、噂されている次期減量改正のポイントになりそうです。
 意外なのですが、近鉄では24時を過ぎて運行される特急がほとんどありません。
 その中、名古屋23時15分発津行は、津が0時04分着になり、大阪線の難波→名張と共に、数少ない日付をまたぐ特急になっています。
(大阪線の方は平日ダイヤのみだが、こちらは毎日運転)

「お得なキップ&お出かけ情報」「旅名人の九州満喫きっぷ」がすごい。
 九州内のJR(在来線)・私鉄のみならず、地下鉄・モノレール・路面電車まで全区間の普通列車がほぼ乗り放題に乗り放題になるそうです。

◆ 本文
 東北新幹線は8月12・13日を中心に臨時列車が多数設定されていて、ようやく多少は活気が出てきたかなと感じます。
 一方首都圏は節電のための「夏の特別ダイヤ」が掲載されています。
 注釈の「当分の間 平日運休(平日運転)」の一文が、事態の異常さを感じさせるようです。
 東海道線では運休列車の前後で時刻の調整も行われています。
 なお、JRだけでなく私鉄・地下鉄も節電ダイヤとなり、東急では合わせて東横線・田園都市線で始発列車の繰り上げも行われているのですが、本文には全く反映されていません。
 小田急ロマンスカーの一部運休が注釈にあるのみ。
 京成「スカイライナー」や西武「レッドアロー」などにも多数運休が発生しているのですが…。

 被災路線では、三陸鉄道北リアス線は小本~陸中野田を空欄とし、その前後で運転されている列車の時刻を掲載しています。
 仙台空港鉄道は今月23日に美田園まで開通、美田園折返しのダイヤが掲載になっています。
(美田園~仙台空港はバス代行)
 また<スーパーひたち>では、不通区間の運行について「当分の間運休」の一文が入りました。
 しかしその他の区間は不通区間を網で被せただけで、震災前の通常ダイヤをそのまま掲載しています。

 先日の石勝線での火災事故の影響で、<スーパーおおぞら2・13号><スーパーとかち5・8号>はグリーン車の連結が取り止めになり、普通車のみ5連になります。
 またバリアフリー対応車両も連結されない場合があるようです。
 グリーン車は8月5~21日には連結されるそうですが、予備車両がないという事でしょう。

 来月ですが、カラーグラビアは今月の大阪に続いて駅ナカで「博多シティ」。
 また、今月は休載になった「鉄おとめ」は、5月号で掲載予定だった青い森鉄道だそうです。
  
 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 今日はこの他にも宮城県産牛肉の出荷停止指示や、小松左京さんの死去など、バタバタした一日でした。
《今日のニュースから》
航空大学校訓練機 帯広空港離陸後墜落

№507 中国高速鉄道の大事故と日本の論調

 3日間お休みを致しました。
 この間は勤務に加え、関西の方に出かけていまして、昨日帰ってきたのですが遅くなったので更新はお休みとさせて頂きました。
 今回の旅行についても来月取り上げる予定です。
 それにしても関西もいよいよ節電モードに入っていて、まだ首都圏ほどではないにしろ、ホテルの廊下なんて暑かった…。

 さて、この3日の間で一番大変な出来事は、なんといっても中国で発生した高速鉄道の大事故でした。
 事故そのものは今更個人レベルで語ってもしょうがないのですが、追突した側の列車が4両も高架下に落下してしまうとは相当凄まじい追突だったはずで、それで本当に死者が39人で済んでいるのでしょうか?
 また、事故を起こした車両をさっさと土に埋めようとしていたという事で、この点はやはり私たちの感覚ではついていけない部分も多々あるようです。
 事故そのものも大問題ですが、その原因をきちんと調べて次に生かすという事をしないとまた同じ過ちを繰り返す、というのはもはや日本では当たり前の考え方なのですが、今の中国は中央集権体制の下で、とにかく行け行け押せ押せなので、そこまで考えが回らないのでしょうか。
 事故からわずか38時間で運行再開というのも驚かされるのですが(福知山線の事故の時は、ATSの整備が求められた事もあって再開まで2ヶ月かかった)、去年スイスで発生した氷河急行の事故の時も、2日程度で再開していますから、この辺は中国のみならず、海外は日本と考え方が異なる部分があるのかも知れません。
 いずれにしても、ちょっと今のままでは、中国に行っても高速鉄道を利用すると言うのは、多少自己の安全面でリスクを覚悟しなければならないかも知れません。

 それで、その事故を伝える日本のメディアですが、皆こぞって
「日本では考えられない、起こり得ない」
の一辺倒。
 でもちょっと待って。
 福島第一原子力発電所の大事故はどうでしたっけ?
 あれも、実際に事故が起きる前は、その危険性が指摘された事は皆無に近く、日本ではあり得ないと思われていたのではないですか?
 もちろん原子力発電そのものの危険性は常々叫ばれていたものの、具体的に福島第一原発の構造そのものの問題点にまで踏み込んだ報道が、事故よりも前にメディアから発せられていたとは、少なくとも私には思えません。
 事故後になって「実はああだった、こうだった事が解かった」とか根ほり葉ほり叫ばれて悪者探しに躍起になっていますけれど、私に言わせれば「何を今更」です。
 これは上で少し触れた福知山線の事故でもそうで、よくよく読めば、何も事故を起こした列車だけが突然暴走したわけではなく、ああいう事が起こりうるという前兆が、実はかなり前からはっきり目の前に現れていた事になります。
 だったら各メディアはいったい何を見ていたのか?
 事前に目の前に見える具体的な危険は一切調べず、大事がおきてからああだこうだと叫ぶのは、日本のメディア、ジャーナリズム全体の悪い癖だと思います。

 来年、ANAなどが設立したLCC「PEACH」が就航しますけれど、このLCCに対する今のメディアの態度にも疑問があります。
 とにかく「航空旅行の革命だ」「経済の活性化に貢献だ」とか、そんな事ばかり。
 低コストで飛ぶ以上、安全性はどうなの?という疑問が沸いて当然なのに、それについての調査報道は、今の日本にははっきり皆無です。
 現に昨年春にはスカイマークが度々問題を起こして国土交通省から厳重注意を受けていて(№161)、航空業界の運航の現場からはLCCの運行体制に対する疑問も呈されているのですが(№380)、その点メディアはどう考えているのか?
(ついでに言えば、そのスカイマークの連続して発覚した不祥事に対する報道も、私には少々甘く思えた。これらが例えばJALで起きていたら、同じ態度で挑んでいたのか)
 いざ大惨事になってから「交通にとって大事なのは安全だ」と主張したって、手遅れなんです。
(これは1997年に発生したアメリカのヴァリュー・ジェット機事故に関わる日本での報道でも強く感じました)

 まあ確かに私自身、日本の新幹線が中国のような大惨事を起こすとは思っていませんし、だから一昨日・昨日と関西への往復に、何の疑問もなしに東海道新幹線を利用したりしている訳ですが、日本のメディアもここらで一度、
「中国ではこうだった、では日本の新幹線はどうなのか。本当に日本では考えられない、起こり得ない事なのか」
位の視点を持って、報道に当たってみる事も必要ではないでしょうか?
「事が起こってから遅い」というのは、日本のメディア・ジャーナリズムにこそ言えると思っています。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 その福知山線事故の背景とされた出来事に関する判決が出ました。
 判決内容はともかく、こういう事があると職場全体のモラルの低下も招くし、なにより人間関係がギスギスしてしまって、安全確保には明らかにマイナスです。
(といって馴れ合いでもダメだが)
 原告側のコメントを聞いた感じでは控訴になりそうで、裁判はまだ長引きそうです。
《今日のニュースから》
JR西日本「日勤教育」 大阪地方裁判所が賠償命令