№473 バスマガジンvol.47(講談社ビーシー/講談社)

 日本では原発事故の影響で「風評被害」が問題になっていますが、ドイツでも同じような問題が発生しているのだそうです。
 最もドイツの場合は放射能ではなく病原性大腸菌「O-104」が原因で、当初はスペイン産のキュウリが原因とされていましたが、調査の結果そうではなく、スペインはEUに補償を求めているそうです。
 「風評被害」って、誰が作るんだろう?
 しょせん、あまり責任感のないジャーナリズムが、勝手に騒いでいるに過ぎないのではないのか?
(もし、本当に農作物が放射能に汚染されているのなら、風評も何もはっきり危険なのだから「食うな!」と強い警告を出さなければいけないはず)
 大惨事はエンターテイメントではないのだから、おためごかしのエエカッコシイではなく、もう少し自覚を持った報道が必要ではないですか?
 
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「バスマガジンvol.47」が発売になりました。
 いよいよ本格的に東日本大震災について特集された記事が出るようになり、2部構成で合計25ページに渡り、グラフと記事が展開されています。
 グラフについては…正直日常と異常が交錯している感じで言うべき言葉が見当たりません。
 というか、被災地に足を踏み入れ、目の当たりにした事がないものが軽々しく言ってはいけないでしょう。
 それにしても防災対策に関連して「想定の内外」だとか「最悪の事態に備えて…」とか外野の方々は軽々しく言う。
 けれど、地上から10mもあるJR気仙沼線の橋梁(それも決して海岸線ではなさそう)も津波に飲み込まれてしまった跡の写真を見ると、ではどこまでを想定して、どのレベルを「最悪」と規定して対策を練ればいいのか、正直素人からすると際限なくなってしまうんじゃないかと考えてしまいました。

 バス輸送に限ると、今回は高速道路に限れば被害は阪神大震災ほどではなく(阪神の時は橋脚が崩壊し、帝産観光バスがあわやというシーンは記憶に新しい)、原発事故の避難地域以外は3月中には全線で通行が再開した事、加えて高速バスが「緊急車両」に指定された事はとても大きかった。
 緊急時、特に鉄道網が寸断されている時点でのバス輸送がいかに重要なものか、改めて思い知らされたと思います。
 今後再びこのような大災害が起きた時 …もちろん、本当は願い下げなのですが… も、今回の経験が生かされると思うし、生かされなければならないでしょう。
 一方考えさせられたのはみちのりホールディングスの代表取締役へのインタビューで、震災直後に各社に指示を出そうとしたものの、通信網がほとんど途絶した状態で、うまく伝わらない部分も少なくなかったようです。
 バス業界は大規模事業者でも経営難で、「みちのり」のように外部からの支援を得て大規模グループ化する傾向にあり、今後は持ち株会社⇔傘下の事業者、あるいはその事業者間で災害時にも有効なホットラインの整備が必要になるかもしれません。
 そうなれば、名鉄グループのように(名鉄グループにあるかどうかはわからないが)、他地域からのバス車両の融通など、より迅速な復旧が図れるようになるでしょう。

◆ 移籍車両の最新トレンド
 この4年の間でバスの移籍の事情がどう変わったかというリポートがふんだんなカラー写真と共に開設されています。
 特に顕著な流れとして、
1.ノンステップバスの移籍が本格化
2.大規模事業者の移籍車両導入開始
3.移籍が少なかった事業者からの移籍
4.特殊仕様車の移籍
という事でしょうか。
 特に道北バスと北海道中央バスは、ちょうど先月半ばに北海道へ行ってきて撮ってきたばかりなので、個人的にはタイムリーだなあ。

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 これは川崎市営バスで、外観以外にも座席の地が川崎市営当時(名所をプリントしたもの)のままなのですぐ解かります。
 道北バスの場合、神奈中からのワンロマの移籍は、名寄や留萌への長距離路線の体質改善にかなり貢献しているでしょう。

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 これは記事にはなかったけれど、これも座席の地からして、横浜市営バスとすぐに解かります。
 緑〔営〕か若葉台〔営〕の所属だったはずで、側面の区間表示装置はキレイに移設されていますが…。
 後は江ノ電バスからの移籍がこの所増えている、というのはちょっと信じがたいなあ。
 江ノ電バスは長いのも短いのもあるので、今後は注目の供給元になるかも知れません。
 長尺車だって、北海道なら使えそうだし。
 
◆ 西日本車体工業 歴代バスボディ徹底解説
 第5回、全国区とされる、通称「スペースランナー」型ボディ。
 横浜市営バスやJRバス関東にも導入されて話題になりましたが、それらの写真がなかったのは残念。

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 横浜市営バスでは、1989年のYES89にあわせて都心循環バスを設定、その専用車として投入されていました。
 関東地方でこのタイプのボディといったら、後は京王バス・関東バス・川越観光(桶川市コミュニティ)あたりでしょうか。
 あ、あと都営バスにも1台だけありました(CNG車)。
 さすがに中型系はなかったですが。

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.47 大阪市交通局
 歴史的な面では、大阪市営バスは大阪市内のみならず一部市の外に路線が延びているだけでなく、守口市には営業所まで構えている(少なくとも政令指定都市の公営バスとしては唯一のケースと思われる)が、どういう経緯だったのでしょうか。
 戦前の路線網成立の過程の中の民営バス路線の名残りなのでしょうか。
 車両面では、コスモスクエア輸送の特大車の写真が1枚もなかったのが残念。
 三菱ふそうに関しては譲渡で北は室蘭から、南は石垣島まで走っていたようでした。
 あとは大阪市営でも自前の博物館の建設を期待。
「ゼブラバス」が残っていますし、市電や地下鉄の保存もありますから。
 車両面でははっきりAT志向になっているようです。

◆ 路線バス全方位レポートvol.47 埼玉県
 PART2の今回は北部と西部。
 この地域の最大の事業者は西武バスだけれども、後は比較的最近参入した小規模な事業者ばかり。
 この中でライフバスは純粋な民営バスだけれど、自社はバスロケのみWebページを作成、時刻表や路線図は三芳町のHPに掲載(東上線より東側の2路線は三芳町ではないからか掲載なし)されていて、なんかヘン。
 川越観光の「べにばなGO」は、スペースランナー型ボディからエルガミオに交代しましたか。
 川越観光は名前とは裏腹に、貸切バス事業はもうないし、川越乗り入れも、成田空港線が途中経由するだけで、実態を表していません。
 高坂を中心に大型車があるのは、朝日グループの一般路線車では唯一ではないでしょうか。
 埼玉県はこの他にも大小さまざまな事業者があり、とても全貌の把握は難しいです。

 今号はこの他にも国際興業(不採算路線の再編成による活性化やハイエース路線車の投入など)や名古屋市交通局(地下鉄関係の他、名古屋ターミナルの閉鎖や3ドア車ディーゼル車の廃止など)の動静など。
 カラーページでは、富士急行の「YAMANAKAKO NO KABA」が注目でしょうか。
 メカニズム的な解説も期待されます。
 あとはVol.39で出てきた「リラちゃ~ん」とか。

 今回は大震災関連の記事に相当ページが割かれていて、連載記事がかなりお休みになったようです。
 「バスマガジン」誌では廃止目前の公営バスが取り上げられる事が多いですが、次号は苫小牧市営ですか。
 あとは大震災関連の続報で、いくらかページが割かれるかも知れません。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 さて、少し前から予告しているように、明日の勤務の後、明後日から3日間、韓国に行ってきます。
 と勇んで叫んでいますが、ただでさえ3日しかない上、日曜日の帰国便が午前中の仁川→成田便しか確保できなかったため、韓国滞在は実質46時間という有様。
 という事であっちへウロウロ、こっちへウロウロという訳には行かないのですが、一応乗り物好きとしてこんなプランを考えています。

1.6月3日(金) … 羽田を午前のOZ便で出発、ソウル(金浦)に着いたら地下鉄でソウル市内へ、そして高速バスに乗って釜山に向かい、宿泊
2.6月4日(土) … 午前中は路線バスで名刹を巡り、午後は高速鉄道KTXでソウルへ、空港近くのホテルに宿泊
3.6月5日(日) … 仁川発午前の便でもう成田に向けて帰国

という事で、ソウル~釜山間・高速バスvsKTX乗り比べをメインに据えてみようと思います。
 後は少しでも路線バスが撮れればいいな、それとせめて焼肉定食は食べたいな、なんて思っていますが、どうなりますか。
 このため、当ブログの次回更新は5日(日)になる予定です。

《今日のニュースから》
佐賀県武雄市 「ウルトラクールビズ」の取り組み開始