改めまして、この度の東日本大震災で被災された多くの方々に、お悔やみとお見舞いをいたしたいと思います。
前回の予告通り、本日よりブログ更新を再開します。
出来るだけ以前と同じ位のペースで更新をしていきたいとは思いますが、首都圏を中心に関東地方全域でいまだに計画停電が続いており、思うような更新は出来ないかも知れません。
その点はご了承ください。
以降、多少長くなって、しかもあまりまとまりがないですが、この3週間に考えた事を記してみます。
それにしてもこの間、坂上二郎さんの葬儀とか、名古屋の市議会選挙で「減税日本」が第一党になったとか、リビア情勢とか、秋葉原通り魔事件の判決とか、重大な出来事はいくらでもあったはずなのですが、なんだか全てが文字通り、震災と津波で押し流されてしまった気がします。
震災から3週間も経つというのに、未だに震度5クラスの余震が頻発するとは、なんとも凄まじいエネルギーだったと、改めて驚かされます。
4月というのに、どうにも気分はブルーですね…。
この状況では当然でしょうが。
春休みで街を行きかう女の子たちのいでたちは華やかですが…。
いまだ続く計画停電、それに伴う首都圏の鉄道のダイヤの混乱もまた、憂鬱さに追い討ちをかけるようです。
ホームで電車を待っていても揺れを感じるようで、それが地震なのか、電車の振動なのか、工事の振動なのか、自分の錯覚なのか、わからなくなってくるようです。
何もかも奪い取る大震災なんてもうたくさんだ!と叫びたくなりますが、二次災害はともかく、地震そのものは誰に止められないですからね…。
さて、今回の震災では、M9.0と言う破壊的なエネルギーの地震そのものもさる事ながら、その直後に起った、信じがたい大津波が、北関東から東北の太平洋側をあっという間に押し流し、死者1万人以上の大惨事になってしまいました。
というか、下手すると3万人いってしまうかも知れない…。
何でも一部では10m以上の大津波にもなったとか…。
この大津波は鉄道網をもズタズタにしてしまい、何より常磐線ではED75のフレートライナー、仙石線の205系が津波で押し流されてしまった様はショッキングでした。
幸い列車の乗客・乗務員は皆無事だった、と思うのですが…。
今日現在東北新幹線や東北本線などが未だに不通のままなのですが、どちらも今月下旬までには全線で再開されそうです。
もっとも、すぐに震災前のダイヤに戻るとは思えない。
新幹線もしばらくは徐行運転が続くはずだし、<はやぶさ>は運行開始から1週間しか経っていないのに、当分運休でしょうかねぇ。
それ以上に東北本線の早期の全通が、復興物資の輸送のためにも求められるのですが。
しかしそれよりも、今回の大津波でやられた海岸沿いの各路線は、復旧のメド…というよりも、果たして路線そのものの再起が可能なのか?
JRから公表された写真を見る限り、場所によっては、一から新線を作り直さなければならなそう。
JRはまだいいかもしれないが、体力がない第3セクター鉄道は運営がかなり厳しくなりそうです。
特に存続が懸念されるのが、三陸鉄道でしょう。
既に北リアス線の両端が無料(今月から割引運賃)で運行を再開しているそうですが、今後全線の運行再開となると、相当な困難が待ち受けているはずです。
沿線では集落がまるまる大津波で消えてしまった場所もあり、生き残った方々も遠方の避難所へ散り散りになってしまった。
再開自体難しそうだし、再開できても利用者そのものの大幅な減少は避けられないだろうし、何より鉄道を支えるべき沿線の各自治体は町の復興に大きなエネルギーを使わざるを得ず、果たして鉄道にまで金を回せるのかどうか。
他にも阿武隈急行や、ひたちなか海浜鉄道、鹿島臨海鉄道あたりも、状況によっては深刻な事態に陥るかもしれません。
エネルギーと言えば、今回の大震災は、いかに「貧弱なシステム」によって供給される「膨大なエネルギー」によって、日本、特に首都圏が支えられているかと言う事を思い知らされた出来事でもありました。
いまだ解決の糸口が見えない、福島第1原子力発電所での危機的な事故を受け、一度はくすぶっていた反原発運動は再び勢いを増すでしょう。
実際、東京ではデモも行われたようだし…。
まあ、あれだけの事になってしまえば当然とは言えます。
ただし注意しなければならないのは、よく引き合いに出される「スリーマイル島」(1979年)とか、「チェルノブイリ」(1986年)の事故の頃に比べ、日本に於いて1個人レベルの電力消費量はべらぼうに増えているはず、という所です。
だって、チェルノブイリの頃はそもそもPCがあったとしてもとても個人レベルでは手に入る代物ではないし、インターネットも、少なくとも民間には全く知られていなかった。
それが今は皆ケータイの画面を食い入るように眺めていて、「スマートフォン」だの、「電子書籍」だのと、いずれも相当電力を消費しているはずです。
(それを言ってしまえば、このブログや本体のWebページもそうなんですけれど…)
だからもし原子力発電を全てやめろと言うのなら、大幅な電力の減少を招かざるを得ず、企業などだけでなく、個人個人のライフスタイルにも大きな制約を強いる事になるでしょう。
反対するなとは言わないけれど(私は未だ全否定は出来ない)、反対するのなら、ポスト原子力の後の日本人の取るべきライフスタイルまで提示し、国民一人一人の賛同を得る所までいかないと、運動もうまくいかないでしょう。
その意味で言うと、この震災の直前には、GDPが中国に抜かれて第3位に落ちた事が、経済の世界では大問題として騒いでいるようです。
しかし、現状を見ると…、もう今のレベルで充分じゃないですか?
ガンガンひたすら「ナンバー1」を目指す事がいい事だとはもうとても思えない。
所詮日本ではエネルギーが限られるのだから、やはり成長にも限界…というか限度がありますよ。
いいじゃないですか、中国にも韓国にも、インドにも抜かれたって。
身の程をわきまえたほどほどの成長で、身の丈にあった暮らしをすればいいと思いますよ。
危ういシステムを基にした、不相応の成長の挙句に破滅に追い込まれるよりは。
そこで交通の事になりますが、まず鉄道。
今回の震災では福島の両原発以外にも鹿島火力発電所など、電力の大供給源の変電所が軒並み被災した事で、首都圏でも深刻な電力不足に陥る事になり、「計画停電」実施のためエリアごとに3時間ずつ停電させたりして、それは交通にも影響を与えています。
(この数日は幸い実施されていませんが、面倒くさい事この上ない)
どの鉄道も8割程度の運転になって、JRでも相模線なんて殆どの区間で運休が続いていたし(自前の変電所が沿線にないかららしい)、私鉄でも有料特急が「スカイライナー」や一部の「スペーシア」(これは会津への足の確保と言う意味もある)以外は運休が相次いでいます。
私が通勤に利用する東急東横線も、各停のみの運行、日比谷線への直通中止と言う事態が長く続き、正直ゲンナリしていました。(これも気分をブルーにさせた一因)
ようやく昨日から特急等も運行を再開している所です。
(特急を毎時4本中2本削減している。日比谷線直通も引き続き運休)
他の鉄道もダイヤは少しは回復傾向ですが、JRは<成田エクスプレス>や「湘南新宿ライン」は運休が続いていて …明日から運行を再開するようですが… 、私鉄も小田急ロマンスカーなどが止まったままです。
計画停電自体はまだありうる状況だし、夏の事 …特にこの数年は異常に暑いから… も考えると、このまま震災前のレベルへの回復に向かうのかどうか、心配は消えません。
それとエネルギーではないですが、ここへ来て部品調達の問題で、直接被災していないはずのJR西日本が昨日から大規模な間引き運転や特急の増結中止、臨時列車の取り止めとかを始めています。
直流電動機ブラシの供給が止まっている(日立市で素材を作り、浪江で最終組み立てを行っているらしい。浪江は原発事故の避難対象地域)と言う事で、対象となる形式は国鉄型が大半ですが、民営化後の221系も対象になっています。
近畿圏でもおおさか東線が30分間隔に間引き等、地方では幹線でも2時間程度列車がなくなるという事態にまでなっています。
JR西日本は民営化後も長らく国鉄型を重用しており、先日2回に渡って山陽に行った時も(後日書きます)、新陳代謝が進んでいないなあと思ったのですが、それが仇になってしまった格好です。
これで、JR西日本でも自社設計の新型車両への置き換えを、かなり早いピッチで進めなければならなくなるでしょう。これも大変だ…。
長引くようなら、JR東海や九州あたりから車両の貸し出しを受けるとかの対策も必要でしょう。
(保安装置が対応するかと言う問題があるが…)
近鉄も「アーバンライナー」が部品調達の問題で一部減車するとかで、JR東日本でも5月頃から影響が出るかもしれないと言う事です。
それとバス。
こちらは燃料不足で首都圏でも間引きや深夜バスの運休とか発生しました。
でも、こちらはどうも事業者によって差があるようで、例えば東急バスは17日から一部系統や深夜バス・深夜急行バス・トランセの循環・リムジンバスなどの運休や、残りの系統も大幅な運休などが発生しました。
(3月29日よりTDR以外ほぼ通常通り)
神奈中バスも休日ダイヤでの運転を強いられて、28日にようやく通常ダイヤに復帰したばかり。
しかし同じ東京・神奈川でも京王バスは一般系統はほぼ通常通り(深夜急行は運休中)、神奈川の相鉄バスは22日には所定に復帰(深夜急行も運行)と対応にばらつきが見られました。
燃油を確保するルートに違いがあると言う事なのでしょうか。
月末になってようやく各社とも通常運行に復帰しつつあるようですが、こちらもガソリン価格の高騰が(震災前から)問題になっていて、予断を許しません。
それで、もろもろ見ていくと、あまりにも首都圏にエネルギー(直接的にも、間接的にも)が集まりすぎているんじゃないかと改めて感じさせられます。
電力に関しては、別に東京電力をかばうつもりは毛頭ないけれど、首都圏の電力の殆どを、東京電力という民間会社1社のみに依存してきた構造自体が問題じゃないですか?
構造上の欠陥を無視して東京電力一人相手に罵声を浴びせたって、事は変わらないと思う。
交通とは直接関係ないですが、先日2009年の衆議院選挙は違憲状態だったとの最高裁判決があり、選挙制度をどうするかという議論も、復興への議論と並行して行われています。
中には「完全人口比例代表」の案もありますが、しかしこれを見ると小選挙区では5分の1以上が東京都のみ、4分の1以上が神奈川・埼玉・千葉を加えた1都3県が占める事になります。
ちょうど今東京都知事選挙が真っ只中で、「首都圏が元気にならなければ!」と叫ぶ候補もいるようですが、逆にこれ以上首都圏の発言力ばかりが増大するのは、現状を見るといいのかなあという気もしてなりません。
といって、現状の人口のバランスを持って一票の格差を改善するならそうならざるを得ず、結局の所、首都圏から(金はわからんが)人・物の積極的な分散を図らないと、全ての分野で抜本的な解決は図れないような気がします。
最後に、とりあえず火急にやらねばならんだろうと思う事を3点記します。
1.もはや「省エネ」だの「エコ」だのと、生温い言葉を並べて済む状況ではない。
「最低でも10%のエネルギー消費削減」を国策として明確に謳い、実行のための各種法整備を行う。
(本当は10%では足りないと思うが、これ以上は個人の行動をかなり束縛しそうで、異論が多くなりそう。私だって「電気のムダだからこのブログやめろ」と言われて、ハイ解かりましたと素直に言えるかどうか…)
2.電力や燃油など、エネルギー不足に陥った時は、公共交通に優先的に配分するシステムを整備。
今後も「計画停電」を必要とする場面が起きるかもしれないが、その場合でも減便まではまあ止むなしとしても(特急の運行など、「形」はある程度残して欲しい、それが利用者への安心感を与えると思う)、一路線がまるまる長期間・長時間運休に追い込まれる事態はご勘弁願いたい。
3.一電力会社の電力供給がマヒした場合、隣接する電力会社から電力を融通してもらうシステムも整備を急ぐ。
東西の周波数の違いの問題がクローズアップされたが、こうなった以上、万難を排して解決すべきだ。
(予想される東海地震で中部電力などがやられた時には、逆に東京電力等からの融通が必要になるかもしれないし)
そして、2にも少し関わるが、交通に関しては完全に公共交通優先の政策をとって頂きたい。
「高速道路無料化」なんてもう止め。
鉄道・バスなどの公共共通に、(強制ではなく)人々を誘導できるような政策の策定及び実現が不可欠。
事業者側も「公共性」とか、「環境」とか言う言葉に甘えず、車両や施設、ダイヤ、車内(キャビン)のアコモデーションの充実など、人々が進んで利用してもらえるような環境を積極的に推し進めなければなりません。
最後に、本当に日本を元気に出来るのは、「乗り物」です。
現に鉄道が寸断状態に陥っても、航空や高速バスが希望を与えました。
今後も原油の高止まりや夏場の停電が予想されるなど、困難な状況が続きますが、是非「乗り物」が先頭に立って、道を開いて欲しいと思いますし、周りも強力にバックアップして欲しいと思います。
もちろん当ブログも、出来る範囲ではありますが応援を続けていきます。
それではこんな状況ではありますが、今後とも当ブログ、そして本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」をどうぞよろしくお願いいたします。
今日のニュースを一つ、簡単なピックアップも続けます。
敢えて出来るだけ震災・原発事故以外から拾ってみたいと思いますが、これもまた大変な事故です…。
《今日のニュースから》
米・サウスウエスト航空機 飛行中機体に亀裂 米軍基地に緊急着陸