今日はパリ市内を回った時の事を書きますが、何でもパリは昨日は雪で、交通網がマヒし、エッフェル塔は午後は入場を中止にしたのだとか。
大都市が雪に弱いとは、どこの国も同じようです。
10月30日(土)
今日は一日パリ市内に留まる。色々行きたい所、やりたい事もあるけれど、何より今日・明日の宿を確保しなければならない。市中の北の方に「クリシー」YHがあるので、地下鉄を乗り継いで向かう。気づかぬうちにEURがもうない事に気づいたが、幸い地下鉄の券売機は、1日乗車券(3ゾーン内まで有効・9EUR)もクレジットカードで購入できる。日本の市内交通も、一般の乗車券もクレジットカードで対応できるような体制を整えるべきではないだろうか。
幸い宿は確保できた。午前中はパリ市内にあるSNCFの6大ターミナルの内、3ヶ所を訪ねる。しかし意地悪くかなりの雨になってきた。リヨン駅では屋根を覆うドームから雨漏りもした。コンコースがごった返しているのは昨日と同じ。TGVデュプレクスが何本も待機している。駅舎はとにもかくにも荘厳。東京駅の赤レンガなど、シンプルに見える。
一方、セーヌ川を隔ててすぐ向かいにあるオーステルリッツ駅は、リヨンと比べると小ぶり。TGVの発着もないし、多少寂れた感もなくはない。ただし構内は改良工事中だ。
トゥールーズ行「コラーユ・テオス」
ちょうどトゥールーズ行きの長距離列車「コラーユ・テオス」が出発していく。客車を13両つないでいたが、そういえばフランスでは、一般の客車列車でこれほどの長編成は、ここまで見ていない気がする。
オーステルリッツ駅で、急速に青空が広がってきた。雨雲は、急速にパリから去っていくようだ。
もう一箇所、モンパルナスは他のターミナルとは全く異なり、斬新な駅ビルに建て替えられている。ホームのほぼ全体が人工地盤で覆われているのも、他のターミナルにはない特色。構内の中央部からは近郊列車が出発。その両側が長距離路線で、TGV大西洋線が発着する。
この駅の真上を、バストゥール通りが交差するが、地上に出るとエッフェル塔が聳え立つのがはっきり見える。
狙って通りを造ったのだろうか。
モンパルナスからのエッフェル塔
(パリの6大ターミナル(サン・ラザール、ノール、エスト、リヨン、オーステルリッツ、モンパルナス)については、旅行記の連載の終了後に、他の3駅と共に画像をご覧頂きたいと思います)
「乗り物中心」と謳ったフランス旅行記だが、せっかくの異国の地、やはり少しは物見胡散もしたい。かなりミーハーではあるが、LRTを訪ねる前に、凱旋門に行って見よう。地下鉄の6号線でいける。
パリの地下鉄
パリの地下鉄にも高架線の区間はあり、特に6号線では、セーヌ川を渡る区間でエッフェル塔をも見ることができる。遠目にもエッフェル塔の展望台は観光客があふれているように見えた。
セーヌ川とエッフェル塔
凱旋門
凱旋門は晴になった。さすがに凱旋門が建つサークルの内も外も、観光客でいっぱいだ。日本人の姿が目立つのは言うまでもない。この門を巡る道路はだだっ広いロータリーになっているが、信号がある訳ではないし、何より車があまりに多くて、運転する立場としては大変な場所だろうと思う。
凱旋門も上部は展望台になっていて、人が一杯だ。本当だったら金を払っても入場して良かったのだけれど、地下通路の行列が長く、この後のLRTの事を考えてあきらめる。
ラ・ディフェンス
凱旋門からは、シャンゼリゼ通りと対を成すようにしてシャルル・ド・ゴール通りが延びる。その向こうにはラ・ディファンスの新都心。中心部では見られない近代的な高層ビルが並んでいる。中央に見えるのが「新凱旋門(グラン・ダルシュ)」。1989年にはサミット(先進国首脳会議)が開催された所だ。
午後はLRTを訪ねよう。T2系統は、そのラ・ディファンスから出発するので、RERのA線で移動。
パリLRT T2
パリLRT T2車内
パリLRT T2 ラ・ディファンス
ラ・ディファンスはRERと同じレベルの地下に発着する。電車は御馴染み「シタディス」だが、なんともユニークな正面の形状。カモノハシを連想させる。5車体を2ユニット連結していて、下部のカバーには連結器が収納されている。
パリLRT T2すれ違い
この路線は以前の第3軌条式の郊外鉄道をLRTに転用したという事。富山ライトレールに似ているが、はるかに規模が大きい。いくつかの駅には昔の駅舎がそのまま残されている。
パリLRT T2レ・コトー駅
パリLRT T2レ・コトー駅旧駅舎
レ・コトー駅からのエッフェル塔
レ・コトー駅もその一つで、線路上の橋上駅舎が残されている。ただし、本来の駅としてはもはや機能していない。中にはイスやテーブルがあるようだが、何に使われているのだろうか。この跨線橋からもエッフェル塔が見える。こうして見るとエッフェル塔は、本当にパリのランドマークとして機能しているんだなあと思わされる。
(残念ながら今の東京タワーはこうはいかない。だから東京スカイツリーがまだ工事中の段階で大人気なのかなあとか思ったりもした)
パリLRT T2 電停上屋
電停自体は基本的にどこも同じデザインで統一されている。美的センスはさすがだし、一方で停留所名がはっきり大きく書かれていることも好感が持てた。上屋自体は日本と比べて小さい。
パリLRT T2ポルト・デ・ヴェルサイユ
T2系統の終点はポルト・デ・ヴェルサイユ。以前はRER・C線に接続するイシー・ヴァル・ドゥ・セーヌが終点だったが、最近延伸されたらしい。延伸区間は芝生軌道だ。
ここでT3系統と接続するが、直接はつながっておらず、横断歩道で車道を渡る必要がある。これは惜しい。もう一声でT3系統のホームまで延伸できれば、乗り換えもさらに便利になっただろう。
ここには見本市会場「Paris-Expo」があり、何か催し物が行われているようで、一帯は多くの行楽客で賑わう。
パリLRT T3
パリLRT T3車内
T3系統の電車もやはり「シタディス」だが、T2とは共用ではなく、7連接で正面スタイルは鋭角的。
パリLRT T3ポン・デュ・ガリアーノ
パリLRT T3スタット・シャルレティ
パリLRT T3ポルト・ディタリー
パリLRT T3ポルト・ディヴリー
T3系統はポン・デュ・ガリアーノとポルト・ディヴリーを結ぶ系統で、バスと共に外環状線の一翼を担う。こちらは純粋なLRTらしく、両側を道路に挟まれた芝生軌道を行く。単に車を締め出しているだけでなく、きちんと電車の走行路を確保できている所が、日本から見ると確かにうらやましい。
もっともパリともなるとさすがに車の数も多く、たまに交差点で目の前をマイカーが列を成していて電車が立ち往生、しつこくカンカン警笛が鳴らされる、といった場面もあるにはあった。
この路線の場合、ホームを上下でずらして設けられている停留所が多いようだ。幅を確保するためだろうか。
スタット・シャルレティ
この路線には多少規模が小さいサッカースタジアム「スタット・シャルレティ」がある。パリFC(3部に相当するフランス全国選手権リーグ所属)のホーム。
地下鉄入口
ポルト・デ・ヴェルサイユは地下鉄12号線の接続駅でもある。その入口。ここに限らないが、パリの地下鉄の入口はほとんどがクラシカルな装いで味わいがある。ただ、周りの建物もクラシカルなものがほとんどなので、逆に目立たなく感じられるかも知れない。
さて、いつもはこんな事はしないのだが、今日は少々夜更かしして、エッフェル塔に行って見ようと思う。
なぜなら…。
「クリシー」YHに張り出されていた、サマータイム終了の告知
今日は10月最終土曜日で、サマータイムが終了する日なのである。
(正確には日付が変わった日曜の深夜に終了)
つまり、1時間夜が長くなる事になる。なので、少しぐらい夜更かししても大丈夫だろうと、この機会にエッフェル塔を訪れてみようと思ったのである。
夜のエッフェル塔
夜のエッフェル塔はライトアップされ、さらに毎正時にはチカチカ明かりが点滅する。それにしても自分と同じような事を考えている人々は多いようで、展望台への入場券の発売窓口は45分待ちだった。行列の途中にはボディチェックがあるのでそのつもりで。入場料17.1EUR(クレジットカードは不可)。
展望台は3ヶ所にあり、中間の展望台でエレベーターを乗り換えて、最上部の展望台に行く事になる。
夜のセーヌ川
夜のジャック・リュエフ広場
夜のシャイヨー宮
結局トップの展望台に着いたのは、行列に並び始めてからちょうど1時間後。確かに夜景は美しいが、はっきりした町並みや郊外のディティールはわからないから、その点は今一つかもしれない。やはり高い所は昼間来た方が楽しいようにも思えた。グループの人々だったら、お互いに写真を撮りあったり、おしゃべりをしたりと楽しいひと時になるのだろうが。
ギュスターヴ・エッフェルの展示
この展望台の一角に、設計者ギュスターヴ・エッフェルの簡単な展示がある。奥に見える絵の上は鉄道が走るガラビ橋。この橋を、この後列車で通過する予定になっているのだが…。
行き止まりの高い塔で行きが渋滞、という事は帰りも渋滞、という事になる。それで第2展望台からは階段を歩いて降りてみた。10分はかからなかったが、思った以上に足に来るものだ。広場が近づくと、勇ましい歌声が聞こえてくる。例の抗議行動に参加する、労働組合あたりの集団だろうか。
YHに帰ってきたのは23時30分位で、床に就いたのはもう日付が変わる頃だった。珍しい事だ。明日はノール駅からアミアン経由でリール方面を目指す事にする。寝る前に、時計を1時間遅らせておく。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
《今日のニュースから》
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